世界展望
アルゼンチンの控訴裁判所は判決を下す
◆ 1977年6月16日,この裁判所は,アルゼンチンにおけるエホバの証人の活動を禁ずる法令に関し,待望久しい判決を下した。その判決は,一定の例外を除いて,「原告[エホバの証人]に適用されていた措置を……無効にする」と述べていた。つまり,エホバの証人を弾圧する法令は破棄されたのである。しかし,7月1日,アルゼンチン内務省が事件を最高裁判所に持ち込んだため,最高裁判所の判決が出るまで,エホバの証人は引き続きアルゼンチンで禁令下に置かれることになった。
たばこ教
◆ 「たばこがなければ我々はここにいなかったであろう」と連合メソジスト教会の北カロライナ年次総会の一議員は語った。同議員は,たばこの栽培地を有用な作物の生産に当てようとする決議に反対する弁論をしていた。「これは,自分の口に食物を運ぶ手にかみついたり,金の卵を生むがちょうを殺したりすることの典型的な例である」と同議員は語った。「北カロライナのメソジスト教会員はどこから資金を得ていると思っているのか」。クリスチャン・センチュリー誌の伝えるところによると,その決議は,「二対一」で否決された。
遺霊の代価
◆ 第二次世界大戦で死んだ人々の33回忌が日本中で行なわれ,国内の僧侶170万人は,必要とされる法要すべてをこなすのにおおわらわであった。一僧侶は,「酷使された声帯を守るために禁煙した」とタイム誌は伝えている。しかし,「この業にはそれなりの社会的な代償がある」と同誌は述べている。「寺院に対する寄進は,一度の法要で3万円から100万円にも上る」。
モルモン教の“ルーツ”
◆ モルモン教の創始者ジョセフ・スミスは,古代の金板からモルモン経全体を翻訳したといわれているが,最近,三人の研究家はスミスが翻訳したのではないことを証明したと唱えている。モルモン教との関係が明らかにされていない,著名な筆跡鑑定家たちは,手書き原書12ページ分の写真複写と1816年に没した組合教会の牧師で小説家であるソロモン・スポールディングの筆跡を付き合わせてみた。
三人の専門家たちすべては,各々別個に,スポールディングがその文書すべてを書いたと結論した。モルモン経のこの部分は,アメリカ・インディアンの起源に関する,スポールディングの未発表の小説から取られたものだ,と言われている。興味深いことに,モルモン経をジェームズ王欽定訳聖書と比べてみると,スミスがかなりの部分で欽定訳を丸写しし,欽定訳の200年来の古色蒼然とした英語や同訳の学問上の誤りまでそのまま用いていることが分かる。
ソ連式“愛人”による解決策
◆ ロンドンのデイリー・メール紙によると,モスクワの有力紙イズベスチャは,「花婿100人に対して,花嫁170人がいるのだから,我が国の婦人は[結婚するかわりに]愛人としての立場に甘んじなければならない」と述べている。他の多くの国々と同様,若い男性にとって結婚せずに性関係を持つことがますます容易になっているため,結婚という責任を負おうとする男性の願いは減少している。政府機関紙であるイズベスチャは,「我々は愛人という解決策を好まないかもしれないが,一体どんなことができるというのだろうか」と述べている。これほど微妙な問題に政府当局が関心を抱くのはなぜだろうか。「すでに30代に入っている,幾千幾万ものソ連の未婚婦人が愛人を作らなければ,妊娠することはない。ところが,国家はその子供たちを必要としているのである」というのが,同紙の説である。
口の中で安らかに
◆ ワニが生まれたばかりの子ワニを自分の口の中に入れて育てるかどうかに関する論争に決着がついた。南アフリカのズールーランドのセント・ルシア河口鳥獣保護区のA・C・プーレイは,ワニは確かにそのようなことをする,と報告している。プーレイによれば,子ワニがかえると,母ワニは子ワニを巣から掘り出し,そのうちの一匹を優しく口の中に入れ,口の中の特別な袋の中にその子ワニを入れる。「それから,事は一気に進む」と英国のニュー・サイエンティスト紙は述べている。「先に口の中に入った子ワニの声に促されて,他の子ワニも入って行く。そして,ワニはただ口をあんぐりと開けて小さな子ワニが入るのを待つ」。18匹もの子ワニがそれらの恐ろしい歯の奥で安らかに過ごしていることがある。母ワニは,頭をゆっくりと縦に振って子ワニをあやす。
「火星の生物」?
◆ 「火星の生物」という,アトランティック誌の最近の記事は,火星着陸実験の一つを挙げ,「火星に生物がいることを示す,最も強力で,極めて明りょうな証拠」としている。しかし,その実験の責任者で,バイキング計画に携わる科学者は,「事実をはっきりさせておきたい」と書いている。次いでその科学者は,自分の実験には予想外の結果があったものの,「すべての証拠(その中には公表されていないものもある)を冷静に検討してみると,実験の結果は,納得のゆくいかなる生物存在説とも合致せず,無生物説に当てはまる,という結論に達する」ことを示している。この科学者は,「どのバイキング計画の結果についてであれ,[生物の存在]に対する実質的な証拠があったなどという考え違いをだれもしてはならない」と結論づけている。
ネズミの危険
◆ 世界保健機関(WHO)の東南アジア地域事務局の最近の推定によると,同地域のある国々ではネズミの数が人間の数を上回ることになるかもしれない。そのため,東南アジアの国々では毎年3,300万㌧の食糧が失われているとも伝えられている。わずか一匹のネズミが倉庫に潜り込むだけで,1年間に9㌔の食糧がそのえさとなって消える。ネズミは1年に2万5,000回ふん尿をたらすが,これによって貯蔵食糧がさらに大きな被害を被る。また,ネズミは,人間に伝染する可能性のある種々の病気を媒介する。例えば,ビルマのラングーンにあるげっ歯動物繁殖防止実行団は,げっ歯動物の間の伝染病に注目している。「WHOは,東南アジアおよび西太平洋域の国々で同様の活動に従事している人々を訓練するためにラングーンの施設を用いる計画を立てている」と,ワールド・ヘルス誌は報じている。
“世界最深の穴”
◆ モスクワ発のUPI特電は,最近,ソ連が“世界最深の穴”を掘る計画を立てていることを明らかにした。タス通信によると,同国の科学者はアゼルバイジャン共和国の南部に深さ約15㌔の穴を掘ろうとしている。その目的は地球の地殻を研究することにある。しかし,ソ連は,1972年と1974年にも同様の発表を行なったが,その時は「目標深度に達しなかったものと思われる」と,UPIの報道は伝えている。
主な欠乏病
◆ 世界保健機関(WHO)の機関誌ワールド・ヘルスの報告によると,現在の主な欠乏病は,貧血,地方病性甲状腺腫,ペラグラ,消耗症および眼球乾燥症である。貧血は,血液中のヘモグロビンが不足するために生ずるもので,肉や果物,青菜を食べれば防止できる。地方病性甲状腺腫つまり甲状腺肥大はヨードの不足に起因し,海産物やヨードを混ぜた食塩を摂取することによって回避できる。淡白質がひどく不足すると,腫張や無感情などの症状を伴うペラグラが生じる。しかし,卵や豆類(落花生やエンドウマメなど),牛乳,チーズ,魚,肉などを食べれば,ペラグラを防止できる。発育不全や筋萎縮などの症状を伴う消耗症は,極度のカロリー不足によってひき起こされるが,穀物や油,脂肪,ジャガイモ,根菜などを含んだ食事を取ることによって防げるであろう。赤子を母乳で育てることも効果がある。ビタミンAがひどく欠乏すると眼球乾燥症になり,失明する恐れがある。しかし,WHOの機関誌によると,レバーや卵黄,牛乳,チーズ,バター,レッドパーム油,野菜,黄色の果物を食べることにより,これを防ぐことができる。
スリップする危険
◆ タイヤ産業安全協議会は,小雨の際の運転に注意するよう促している。というのは,これによって路上に膜ができ,氷の上を走行するときと同じほど,滑りやすく危険だからである。にわか雨の降っているときには,車が停止するまでに晴れた日の4倍以上もの距離が必要なので,スピードを落とすように勧められている。「ブレーキをかける際,車輪が動かなくなってスリップすることがないよう,ペダルを静かに踏むべきである。ブレーキをかけた際に進路が曲がらないように,前車輪の左右のタイヤの空気圧を同じにしておかねばならない」と,US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は報じている。
バイオフィードバックに対する挑戦
◆ 電子監視装置に現われる“フィードバック”信号を見るだけで,自分の体の不随意機能を制御できるという考えが,かなりの期間流行してきた。様々な実験がこの考えを確証しているように思われた。しかし,カンザス大学の研究者たちは,「実験心理学ジャーナル」誌上で,自分たちの検査が,「心室収縮率バイオフィードバックには全く何の価値もないことを明らかにした」と報告している。バイオフィードバックに有利な結果を提出しているように思われた従来の実験は,「[必要とされる]対照グループを欠いていた」と研究者たちは語っている。
この科学者たちは,バイオフィードバックにかけられた人々と,(1)監視装置を見せずに,ただ心室収縮率を変えるように言われた人々,(2)静かに座っているように言われた人々,(3)胸の踊るような,あるいは気持ちを和らげるような事柄について考えるように言われた人々,そして(4)監視装置を通して,手当たり次第に偽りのフィードバックを与えられた人々の各グループとを比較した。「適切な対照グループが検討された結果,心室収縮率の減少すべては,[フィードバックではない]単なる適応効果によるものと断定できる」と研究者たちは述べている。
検察官に“魔法をかける”
◆ 米国のナバホ族インディアンの部族検察官は最近,アリゾナ州の一担当地区で空席になった検察官の地位を満たすのに苦労した。比較的給料が安いことに加えて,応募者は,不満を抱く被告に“魔法をかけ”られることがあるので,その職に就くことをためらう,と同検察官は語っている。「だれかに魔法をかけられると,自分でそれを感じる」と検察官は語っている。気休めのために,この検察官は,「毎年六回ほど呪術師のところへ行き,自分を調和した状態に戻してくれる儀式的な歌をうたってもらう」とアリゾナ・リパブリック紙は伝えている。この検察官は,同じことをするよう他の検察官にも勧めている。
テレビ総数
◆ 米国下院州間および対外通商委員会は最近,テレビの暴力に関する聴聞会で明らかになった事実を要約した。一つの興味深い事実は,米国の家庭の97%は少なくとも一台のテレビを所有している。この普及率は屋内トイレの普及率をしのぐ。