世界展望
人工“血液”
◆ スウェーデンのある研究チームは,緊急の際に血液の代用となる合成“血液”を作るのに成功した。アメリカ医学協会誌によると,炭素とフッ素から成る微粒子を含むある化合物は「人間の血液と同様,酸素と二酸化炭素を吸収し,運ぶ」ため,特に期待が持たれている。今のところ,この特定の“代用血液”の研究は,ネズミからヒヒの段階に進んでいる。他の場所でも,同様の実験が行なわれている。
たばこの煙のタール
◆ ドイツ連邦共和国のハイデルベルクで行なわれた最近の調査の結果,呼吸器系に生えている繊毛の動きが,たばこの煙のタールによって妨げられていることが確証された。この繊毛には,有害な物質や異物を気道から取り除く働きがあるので,その動きが鈍くなると体に大きな害が及ぶ。そうした状態で肺がんにかかる場合,「原因は恐らく,煙の中の[発がん]物質が肺胞に自由に入れる点にある」と,ベルギーのトゥー・ザ・ポイント・インターナショナル誌は述べている。
多妻主義者も除名されない
◆ 最近ザイールで行なわれたキリスト教会全国教会会議で,多妻主義者も教会員として認めることが決定された。しかし,クリスチャン・センチュリー誌によると,同会議(ザイールのキンバングイストローマ・カトリック教会は含まれていない)は,多妻主義者を聖職に就けてはならない,という決定を下した。
比較的物価の安い都市
◆ ビジネス・インターナショナル誌は,1977年に生活費の最も高かった都市として,世界57の都市のうち東京を一位に挙げている。東京に次いで,ストックホルム,オスロ,チューリヒ,ウィーン,ジュネーブ,コペンハーゲン,ヘルシンキ,ブリュッセル,フランクフルト,パリが続き,ニューヨークは17位だった。ところで,主要都市のうち,物価が比較的安いのはどこだろうか。「比較的物価の安い都市」として,パレード誌はローマ,ダブリン,リスボン,ベイルート,リオデ・ジャネイロ,マニラ,バンコク,マドリード,ボゴダ,メキシコ・シティ,カイロを挙げている。一番物価が安いのは,アルゼンチンのブエノスアイレスだった。
ラジアルタイヤの位置交換
◆ グッドイヤータイヤ・ゴム会社のハワード・Dマクドナルドによると,ラジアルタイヤは(斜めに裁断したコードを用いたタイヤと異なり),一度“くせ”がつくと,もとに戻らない。それでタイヤの位置交換をする際,車の一方の側に付いていたものを反対側に付けると,振動が生じ,乗り心地が悪くなる。ラジアルタイヤは1万㌔から1万3,000㌔ほど走るごとに前のタイヤを必ず同じ側の後ろのタイヤと入れ替えるよう,マクドナルドは勧めている。では,スペアタイヤはどうしたら良いだろうか。スペアタイヤを使う場合は,車の右側に付けると良い。カーブなどのために,右側のタイヤのほうが痛みが激しいからだ。もちろん,左側通行の国では,スペアタイヤは一定側に取り付ける。
穀物が豊富であっても飢餓は悪化する
◆ 多くの国が豊作だったため,世界各地の穀物貯蔵量は全般に増えている。しかし,トゥー・ザ・ポイント・インターナショナル誌はこう述べている。「飢餓状態は依然悪化している。穀物が豊富に貯蔵されても,食物の分配されない約4億5,000万人の人々の栄養不良を緩和するにはほど遠い」。「豊かさのただ中に暗やみがある」のは,穀物の平等な分配を行なう世界的な制度がないからである。結局,お金のある人が穀物を手に入れることになる。
食器の危険
◆ 米国食品医薬品局(FDA)によると,うわぐすりや移し絵に重金属を含む陶磁器は,普通に使用する限り,健康に危険はない。「しかし,陶磁器に酸性食品(コーラ等の炭酸飲料,サイダー,酢を含んだ食品,果物のジュースや調理した果物などの果実食品,塩づけキャベツ,トマト,ぶどう酒等)を入れておくと,重金属がしみ出る場合がある」と,FDAの機関誌ドラッグ・ブルテンは述べている。それで,そうした模様付きの陶器や良質の陶器や骨灰陶器を普通に使用する分には毒性の危険を心配する必要はない。「ただし,自家製の陶器やそのほか疑わしいものは,使用する前にテストする必要がある」と同誌は述べている。
鋭い聴覚
◆ 人間より聴覚の鋭い動物は少なくない。例えば,イヌはある超音波音の高周波を捕えるが,人間には捕えられない。コーネル大学の科学者たちの話によると,鳥類はかつて考えられていたよりはるかに遠方の,恐らく数百キロも先の音を聴き取ることができるかもしれない。伝書バトが超低周波音を捕えることが実験から明らかにされている。超低周波音の周波数は,人間には低すぎて聴こえないが,空気中を数千キロも進むものと思われる。こうした音波は,鳥が移動する際に助けとなり,海岸に砕ける波や山頂をうなりながら通り抜ける風など,地表面の状況を知るのに役立つと考えられている。
選択する鳴き鳥
◆ スズメの子は自分が覚える鳴き声を選択することを最近の実験は明らかにしている。ロックフェラー大学のピーター・マーラーとスーザン・ピーターズは,スワンプ・スパロー(スズメ科)の雄のひなを育て,ウタヒメドリ(ホオジロ科)とスワンプ・スパローの鳴き声のパターンを混ぜ合わせて録音したものを聞かせた。結果はどうだっただろうか。これらのスワンプ・スバローは,スワンプ・スバローに特有な音節から成る鳴き声だけを覚えた。
ネズミやリスにとっては災難!
◆ 今から五年前,エレキ・ギター製造業者のボブ・ブラウンは,カリフォルニア州サン・ディエゴにある自分の仕事場でハツカネズミやドブネズミが幾十匹も死んでいるのを発見した。なぜそのネズミは死んだのだろうか。それは,ブラウンが電線の取り付けを誤まり,電源を切り忘れていたギターの振動が原因だった。このことからある考えがひらめき,ブラウンは有害な小動物を広い地域から除去するための(アリ,ネズミ,リス用のアミゴと呼ばれる)装置を開発した。この装置から出る電磁波は有害な小動物にのみ影響を与え,その神経組織を狂わせると言われている。動物たちが逃げ出さないなら,知覚は鈍り,食べ物を取らなくなり,やがて死んでゆく,とブラウンは主張している。この装置は350㌦から1,000㌦(約8万7,500円から25万円)で販売されている。米国海兵隊のある基地では,最近,4ヘクタールの観兵式場からジ(地)リスを一掃するのにこの装置が二台使われた。
ヘルメットとオートバイの安全
◆ 米国の多くの州では,オートバイの運転者に保護用ヘルメットの使用を命ずる法律が廃止されている。しかし,全国ハイウェイ交通安全局が四つの州で行なった調査によると,こうした規制がないと,オートバイ事故の死亡件数に影響の出ることが明らかになった。調査の対象となった四つの州では,オートバイによる死亡事故が20%増加している。
“血液を興奮剤とする”競技者
◆ 1976年のモントリオールオリンピック大会で初めて大きな注目を浴びたある処置が,種々のスポーツにおいて論争の的になっている。それは“血液を興奮剤とする”処置として知られ,競技者の体内から血液を取り出し,競技の成果を上げる目的で後日それを再注入するというものだ。ドイツ人のある競技者の話によると,サッカー,競走,水泳,スキー,その他のスポーツにはそうした処置が一般的に行なわれている。ある研究員は一団の長距離走者を対象に実験を行ない,半数の走者に血液を注入したが,成績には何ら目立った効果は見られないと結論している。しかし,同じデータから,確かに幾らか良い成果が見られた,とする者もいる。
“赤字”財政の大阪市
◆ 世界中の多くの都市は,支出が絶えず収入を上回っているために大きな負債を抱えている。日本の都市も例外ではない。大半の都市は“赤字”財政で,実質的には“破産”も同然である。日本で第二の都市大阪の場合,さらに悪いことに,企業に対する返済金が予想以上に多いため,収入の減少が見られた。同市の法人税は,前年度の利益に基づいて前もって課せられる。したがって,会社の利益が前年度の利益より減少すれば,その会社は税金の返済を受けられることになる。市当局は,景気後退および一部の大会社の倒産のために,そうした返済金の増額を余儀なくされ,負債の問題を悪化させている。
古代の汚染
◆ 去る1972年,アラスカの永久凍土層の中で氷り付けになっていたエスキモー人の女性の死がいが三人のエスキモー人の兄弟によって発見された。それ以来,その死がいを研究している科学者たちは,その女性が1,600年前に生存していたものとみなしている。「彼女の肺は間違いなく真っ黒であった」と,国立公園管理局のある人類学者は語っている。こうした症状は石炭の粉を吸い込むと生じるもので,今日,炭鉱労働者の間によく見られる。しかし,そのエスキモー人の肺にそうした症状が見られたのは,アザラシやクジラの油を使ったランプから出る煙が閉めきった住居の中にたまり,それを吸い込んだためらしい。
マケドニア王フィリップの埋葬所
◆ 最近,ギリシャのサロニカの近くにあるバージナという村で埋葬所が発掘され,アレキサンドロス大王の父,マケドニア王フィリッポス二世のものと言われている。しかし考古学者の中には,こうした考えを疑う者もいる。発見者のマノリス・アンドロモコス教授によると,その埋葬所で発見された象牙製の頭像五点が決定的な証拠となった。同教授は,その小さな頭像はフィリッポス王,彼の両親,オリンピアス(最初の妻),息子アレキサンドロスの五人を表わすと考えている。さらにその遺跡で発見されたものの中には,マケドニア王朝のシンボルである爆発する星を付した金製の骨つぼ,つまり箱が二点,マケドニアの歴代の王がかぶった王冠などがあった。
家庭の口論
◆ シェーナー・ボーネン(より良い暮らし)誌に載せられた最近のある調査によると,家庭で起きる口論の大半は,ステレオやテレビの音量をどれくらいにするかといったささいな事柄から始まっている。調査の対象となった家族の32%は,どのテレビ番組を見るかで口論が生じることを示している。
暖炉用のまき
◆ 米国メーン州の森林管理局は,暖炉用の良質のまきとして,ブナノキ,ハリエンジュ,ヒッコリー,アカガシワ,サトウカエデ等を挙げている。しかし,サトウカエデ以外は,どれも火を付けるのが難しい。簡単に火が付き,香りの良い木としてストローブマツやヒマラヤスギを選ぶ人もいるが,ヒマラヤスギは火花が激しいという難点がある。サクラやリンゴの木は,香りが良く,火花が少ないことで知られているが,火を付けるのが難しい。