「真理はあなた方を自由にするでしょう」
日本にはたくさんの宗教があり,多くの人は誠実な気持ちでさまざまな問題を解決するための助けをそれらの宗教に求めてきました。どの宗教も同じようなものだと考える人もいれば,一つの宗教だけでは得られなかった助けをいろいろな宗教に求めた人もいます。
長年にわたり幾つかの宗教に非常に熱心だった一人の婦人が,最近自分の経験と,聖書が教えている真理を学んでどのように自由を得たかを話してくれました。
この婦人の話によると,いろいろな宗教に入った動機は,ご主人のひどい喘息を治す助けを得たいということでした。ご主人の病気のことが分かったのは二人が結婚してからのことです。発作が起きて,ご主人が息をしようとする時の姿はとても見ていられませんでした。座ってうつむいたまま三日間もただぜいぜい息をして過ごすということもありました。息がつけなくなって死ぬのではないかと思った時もあります。
この婦人は夫の病気を治すために宗教の力を借りることにしました。そして金光教,天理教,石槌教,天照皇大神,稲荷大明神といった幾つかの宗教に入っただけでなく,先祖崇拝も熱心に行なっていました。3年の間,毎朝5時に起きて,雨の日も風の日も氏神様のところへ行って水ごりを取りました。そのせいかご主人はよくなり,8年間というもの発作も起きず,親子共々喜んでいました。それで婦人は熱心に宗教儀式を続けました。また奇跡を目にし,死者(実際には目に見えない悪霊たち)と話すことや自分のところにやって来る人々の病気をいやすことができました。
ところが数年前,ご主人は突然激しい発作を起こしました。婦人は神仏に祈り,自分が持っていた力を用いましたが,ご主人は亡くなりました。
婦人はもうこれ以上宗教とはかかわりを持ちたくないと思いましたが,もし宗教をやめるならご主人と同じ運命をたどる,と宗教の指導者から警告され,恐ろしくなって30年間宗教的な習慣をそのまま続けてきました。
ところが今から3年前のこと,この婦人の息子さんが幾つかの問題を抱えるようになりました。失業し,交通事故を起こし,仕事に失敗し,サラ金にも手を出していたのです。婦人はこうしたことすべてを重荷に感じ,死んでしまいたいと思いました。
ちょうどそのころ,この婦人の娘さん夫婦が既に聖書の真理を学んでおり,二人から一緒に聖書を勉強しないかと誘われていました。この婦人は,「自分はいやしを行なうこともできるし,奇跡も見てきたし,多くの神々を信じているので,応じることはできない」と言いました。しかし娘夫婦から将来に対するすばらしい希望について何度も熱心に聞かされたので,とうとうこの婦人はしぶしぶ1冊の本を勉強することに同意しました。それは「とこしえの命に導く真理」という本でした。a
最初のうちは難しくて理解できず,まことの神のお名前はエホバであると学んでもぴんときませんでしたが,だんだん興味が湧いてきました。婦人は以前から,「神は愛なり」という言葉が好きでそれを半紙に書いて壁にはっていましたが,それがヨハネ第一 4章8節にある聖書の言葉であることを知って快い驚きを感じました。そしてその本に書かれていることが自分にとって次第に意味あるものとなってきました。「真の宗教をどのように見分けるか」という章を勉強した時には,自分の以前行なっていた宗教がすべて偽りであることを悟りました。
それから試練が生じました。「一般的な風習で神の不興を招くもの」という章を研究して,あらゆる宗教的な物品,すなわち神棚や社など,以前の宗教と関係していたものを処分しなければいけないことが分かったのです。それは難しい決定でした。この婦人は,エホバを喜ばせて,「自分を偶像から守りなさい」という聖書の命令に従うことに決めました。(ヨハネ第一 5:21)この行動によって悪霊からの激しい攻撃を受けましたが,宗教に関係した物品すべてを焼いてエホバに仕えるという決意を明らかに示した時,その攻撃も消え去りました。
この婦人は昨年の地域大会でバプテスマを受けました。そして,できるだけ多くの人々が「真理」を知り,偽りの神々への崇拝から自由にされるよう助けたいと切望しています。すべての人が地上の永遠の命の希望について,また死んだ人々の復活の希望について学ぶことをこの人は願っています。
この婦人は多くの異なった神々を30年間崇拝してきましたが,聖書の研究によって人を縛りつける偽りの宗教から自由にされました。さらに,預言者エレミヤが2,500年以上前に述べた事柄の真実性をも教えられました。こう記されています。「エホバは真実に神である。生ける神,定めのない時に至るまで王である。……『天をも地をも造らなかった神々は,地からもこの天の下からも滅びうせる者となる』」― エレミヤ 10:10,11。
エホバの証人は,偽りの宗教の慣行や習慣から『あなた方を自由にする真理』を学ぶためのお手伝いを喜んでいたします。―ヨハネ 8:32。
[脚注]
a ものみの塔聖書冊子協会発行。