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目ざめよ! 1988
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ネパールの秘められた動物をかいま見る

インドの「目ざめよ!」通信員

時刻は真夜中近くになっていました。周囲のジャングルは真っ暗闇です。背の高い樹木が頭上を覆っていて,星空は全く見えません。私たちは足元を見るために,薄暗いたいまつを地面にくっつけるようにして進みました。私たちはトラを探していたのです。しかし,暗闇の中をおぼつかない足どりで歩いていると,トラもわたしたちを探しているのではないだろうかという恐ろしい考えが絶えず頭をよぎります。

妻と私は,ネパールの自然の生息地に住む,絶滅の危険にさらされた大事な動物を幾つか見る目的で,インドのカルカッタから,ネパールのロイヤル・チタワン国立公園内の密林の中にあるロッジ,タイガートップスにやって来ました。この国立公園は,テライ地方の北に広がる草原と美しい森林から成る930平方㌔ほどの保護区で,大ヒマラヤ山脈のふもとの丘陵地帯の中にあります。

タイガートップスに到着する

この旅行自体がすでに冒険でした。私たちはまずカルカッタから山岳王国ネパールの首都カトマンズに飛びました。その空の旅は,標高8,848㍍のエベレストをはじめとするヒマラヤ山脈の高峰の壮観な光景を見せてくれました。

カトマンズはその名前からして,古くて遠いものを感じさせます。ですから私たちは,狭くて曲がりくねった古風な通りに沿って西洋風の建物が立っているのに驚きました。手作りの商品を置いている昔ながらの市場と,輸入香水やかん詰類,ステレオなどを売っているアーケード付きの商店街とが張り合っています。カトマンズは変わりつつあるとはいえ,やはり魅力的な都市です。

私たちはカトマンズ空港で,チタワン渓谷行きの19人乗りの飛行機に乗り込みました。そして,段丘状の斜面や深い渓谷のある雄大な山々の間を30分ほど飛行した後,世界最小の飛行場の一つと思われる,草原のメグハイリ空港に着陸しました。しかし,旅はまだ終わっていませんでした。

そのあと私たちはランドローバー(ジープに似た荒地用の自動車)に乗り,さらに丸木舟に乗り換えて,林間の狭い空地にやって来ました。驚いたことに,6頭の大きな象が丈の高い草の間から現われて私たちを迎えてくれました。密林の中にあるロッジまでの残りの旅は,これらの象に乗って行くことになっていたのです。私たちは象の背に乗せられたクッション付きの台に座りましたが,ペースを乱さない象の歩調は,ここまで来るのに利用した様々な輸送手段と実に対照的でした。

やっとタイガートップスに到着しました。タイガートップスは籐でできた二重構造の建物で,草ぶきの屋根があり,3.5㍍の脚柱の上に建っています。私たちの部屋には感じのよい家具が備えられていました。私たちが「招かれざる客が来るので食べ物は外に置かないでください」と書かれた部屋の中の掲示に目をやっていると,外からドシンという音が聞こえてきました。その「客」とは,私たちの部屋のベランダに我先にやって来て,食物を物色する数匹のラングールヤセザルのことでした。

象と出会う

近くにある象のテント村では,博物学の教師が,ロッジを運営してゆく上で象が果たす非常に重要な役割を説明してくれました。そのテント村には輸送用の象12頭が飼われています。雌は雄よりもおとなしいので,12頭のうち10頭が雌です。象はそれぞれ1日に200㌔余りの飼い葉を食べ,200㍑ほどの水を飲みます。1頭の象を養うのに必要な経費は年間5万4,750ネパール・ルピー(約33万円)に達します。また,象の平均寿命は65年です。ここから“白象”という言葉の真意が分かります。白象は神聖視されたので,仕事をさせることはできず,むしろ負担になりました。したがって,昔の王は自分の気に入らない大臣に白象を贈って,その大臣を容易に破産させることができました。

マハウト,つまり象使いは,口頭による幾つもの命令と他の合図に従うよう象を訓練することができるそうです。例えば,象の背にまたがったマハウトは,象の耳の裏をつま先でつついて象を進ませ,象の肩をかかとで突いて象を後退させます。1頭の象をみっちり訓練するには5年ないし8年はかかりますが,訓練を終えた象はそのような命令に対し非常に敏感になり,4トン半の巨体にもかかわらずすぐに反応します。

サイを求めて

角が1本だけの大きなインドサイは,世界でも1か所,つまりネパールからインドのアッサム地方にわたる地域にしか生息していません。私たちはその珍しい動物を一目見ようと,象のキャラバンを組み,1頭の象に二,三人乗って出発しました。象は1列縦隊になり,前の象の歩みに合わせてゆっくりと進みました。

サイの生息地は何年もの間,テライ地方の牧草地の広範な開墾や,政府後援のマラリア撲滅計画によって脅かされてきました。事態を安定させるための保護対策に力を入れるようになったのはほんの20年ほど前のことです。現在,インド亜大陸に残っている推定1,000頭のインドサイのうち約300頭は,草の茂るチタワン渓谷の沼地を徘徊しています。

間もなく先頭の象が,私たちの頭を優に越えるガマの壁の中にまっすぐ向かって行きました。私たちは追跡の興奮を感じ始めました。そして,草むら越しに,一人のマハウトが他のマハウトたちに興奮した声で叫んでいるのが聞こえてきました。すると突然,私たちの横にいた象が鼻を持ち上げて,鋭い息を吐いたので,私たちの乗った象は片方に大きく寄ってそれに応じました。こうした騒ぎの間に,1頭のサイが草むらから飛び出してきて,私たちのそばをかすめ,前方の草むらの中に姿を消しました。私たちはサイをもう一度見るために急いで前進しました。草むらが途切れると,逆上した母親に遅れないよう,ちょこちょこ走って行く赤ちゃんサイの姿がはっきり見えました。サイの親子は共に安全な森の中に消えて行きました。

私たちはサイが逃げる気になってくれたのをうれしく思いました。象は普通トラをあしらうことはできますが,3番目に大きい陸生動物であるサイには警戒しているからです。サイは刺激されると,30㌢もある角や,象の下腹をメスのように切り裂くことのできる,下あごの長くて鋭いきばを使って狂ったように戦います。また,足が短いにもかかわらず,短い距離なら馬と同じくらいの速さで走ることができます。このように足が速い上に体重もあるので,サイは象にとって手ごわい敵となります。

トラは呼ぶ

ある晩のことです。時刻は10時半を過ぎていて,ほぼ全員が床に就いていました。すると突然,夜の静寂を破って騒がしい足音と叫び声が聞こえてきました。トラが見つかったのです。私たち3人は二人のグルカ人に案内されて,暗闇の中に飛び出して行きました。

400㍍ほど歩くと靴を脱ぐように言われました。トラは靴が生み出す振動にすぐ気づくからです。裸足で歩くことには慣れていなかったので,その最後の歩行は私たちにとって無言の苦しみとなりました。話も,ささやきも,せきも,くしゃみも許されなかったのです。トラは本当に私たちの前にいるのでしょうか。それとも,後ろから私たちを凝視しているのでしょうか。私たちは何に首をつっこんでしまったのでしょう。

案内人は私たちに立ち止まるよう合図しました。私たちは耳を澄ませましたが,静かな夜の闇の中からは何の物音も聞こえません。たいまつのほのかな光を頼りに少しずつ進んでいるうちに,草で作った高さ2㍍ほどの仕切り壁に沿って移動していることが分かりました。右の曲がり角まで来た時,立ち止まって仕切り壁の切り抜きの後ろに隠れているようにと言われました。私たちはできるだけじっと立ち,耳を澄ませました。確かに,トラが獲物をむさぼり食っている音がします。しかもその音は非常に近くから聞こえました。近すぎるほどです。

突然,強力な明かりが照らされました。いました! ロイヤル・ベンガルトラです! ベンガルトラは私たちからわずか40歩ほどのところにいたのです。私たちが邪魔したことにトラがどう反応するか分からなかったので,とっさに緊張しました。ところが驚いたことに,トラは何の反応も示しませんでした。明かりは邪魔ではなかったのです。しかし,カメラのシャッターを切っていたなら,トラは逃げていただろうと言われました。

それは実に見事なベンガルトラでした。トラは自分が仕留めた若いヤギュウのそばに腹ばいになっていました。尾の先端まで3㍍はありそうなそのたくましい体はふっくらと丸みを帯び,体重は200㌔はあったと思われます。白と黒,それに金橙色の縞はくっきり際立っていました。見るからに力がありそうで,トラはライオンよりも強いという一部の人の主張を支持するかのようでした。私たちは双眼鏡を使って,トラの美しい頭と体のクローズアップを見ることができました。確かに,世界で最もすばらしい動物の一つです。有名なロイヤル・ベンガルトラは,あらゆる努力を払って見るだけの価値がありました。

私は常々,トラは生まれつき攻撃的な動物で,人を見れば必ず襲いかかるものという印象を抱いていました。しかしそのとき分かったのですが,実際はその反対です。トラは刺激されない限り,普通は臆病でおとなしい動物です。人間に出会うと,たいてい辺りを軽く見回してから逃げてゆきます。野生生物の写真を撮っている写真家たちは,自然の生息地でトラにあと3㍍ないし4.5㍍のところまで近づいたこともあるが,結局は警告のうなり声に足を止められたと報告しています。そのうなり声は,後ずさりでそろそろと退却すべきことを知らせる合図ともなります。トラは侵入者が自分の縄張りの外に出るまで後をつけて来ることもあります。

心に残る思い出

次の朝になるとまた,「急いで出発の用意をしてください」というせき立てるような呼び声が聞こえました。そのとたんに私は,タクシーで飛行場まで行くあの慌ただしさを想像しましたが,ただ今回はそのタクシーは象です。

それから間もなく,快適なロッジも,おとなしい象たち,ネコ科の友人,曲がりくねった川もみな後ろに消え去りました。しかし私たちは,それらのすばらしい野生動物の生態を収めた記念となる写真を携えて帰って来ました。

[25ページの図版]

密林のまっただ中にあるタイガートップス・ロッジ

[クレジット]

Photo courtesy of Tiger Tops Jungle Lodge, Nepal

[図版]

ヒマラヤ山脈のふもとの丘陵地帯にあるチタワン渓谷

[26ページの図版]

丈の高い草むらの中でサイを探す

[クレジット]

Photo courtesy of Tiger Tops Jungle Lodge, Nepal

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