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  • あらゆる人を結び合わせる神の言葉
  • 目ざめよ! 1993
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  • 真の正義を知る
  • 恨みの気持ちを越えて
目ざめよ! 1993
目93 6/8 12ページ

あらゆる人を結び合わせる神の言葉

今から20年ほど前の8月のある暑い日のことでした。20代半ばの正義感あふれる婦人警察官の涼湖さんは勤務を終えて女子寮へ帰るために駅の地下道を歩いていました。ふと見ると,階段の所に一人の少年が倒れています。勤務時間外ではありましたが,触法少年育成取締官という職業柄,涼湖さんはその少年に近づいて声をかけました。

「シンナーか覚醒剤中毒者だ」と,相手の目を見た瞬間直感しました。「しっかりしなさい。なぜもっと自分を大切にしないの」と言って少年を抱き上げようとした次の瞬間,焼け火ばしを差し込まれたような痛みが全身に走りました。心臓の下と太ももを刺されたのです。意識がもうろうとする中,少年を必死で押さえました。パトカーと救急車のサイレンが鳴り響き,「しっかりしろ,がんばれ」という仲間の声が遠くに聞こえ,意識がなくなってゆきました。

次に気がついた時はベッドの上でした。2,500ccの輸血を受ける大手術でしたが一命は取り止めました。4か月後には職場へ復帰し,名誉の表彰を受けました。

職場へ復帰してからも,涼湖さんは少年刑務所に少年を毎週のように訪ね,正しい道を歩むよう説得を続けました。覚醒剤を体から抜くために隔離された後18か月間を少年刑務所で過ごした少年は,見違えるほど素直になりました。しかし,出所後,少年との連絡は途絶えてしまいました。

真の正義を知る

正義感に燃える涼湖さんは熱烈な国家崇拝者で,国家を崇拝しないエホバの証人が大きらいでした。自分は輸血のおかげで九死に一生を得たのだから,輸血を拒否するというエホバの証人にはがまんがなりませんでした。しかし,事件があってから15年ほどたった1988年の2月,少し前に夫の転勤で越してきた東京近郊のある都市で,涼湖さんは心に残るような話のできる友がいなくて,むなしい気持ちになっていました。そんな時,一人のエホバの証人が訪れました。困らせようとして話をしましたが,相手の人がたまたま同じ大分県出身だったこともあり話がはずみました。頭ではエホバの証人は大きらいだと思っているのですが,その奉仕者との話し合いを重ねるにつれて,心のほうが引き込まれてゆきました。聖書を調べ,真の正義が何であるかをこの元婦人警察官は悟りました。その結果,義と愛の神であられるエホバに自らをささげ,翌年12月にその象徴として水のバプテスマを受けました。―詩編 89:14。

しかし,その後,愛の神に見倣う面で大きな試みが臨みました。バプテスマを受けたころ,ヘモグロビン機能破損減少貧血症という病気との闘いが始まったのです。あの事件の際に受けた輸血が原因です。犯人の少年に対する恨みの気持ちがわき起こってきました。『私をこんな体にして,自分はどこかでのうのうと暮らしているのだろう』という思いが,かき消してもかき消しても浮かんでくるのです。『自分はクリスチャンになり,愛の神に見倣わなければならないのに……』と考えると情けなくなりました。―コリント第一 13:4,5。

恨みの気持ちを越えて

バプテスマを受けた次の年の春に,このクリスチャン婦人は,エホバの証人の大会で,気軽な会話をきっかけにどのように聖書研究を取り決めているかについて自分の経験を話しました。その大会のプログラムの終了後,一人の男性が近づいて来て感謝の言葉を述べました。それからその人は,「ぼくを覚えていませんか」と尋ねました。見ると目にいっぱい涙をため,何度も同じことを尋ねます。思い出せずにいると,その人は「18年前のことを思い出してください。あの時の傷は痛みませんか」と尋ねたのです。あの時の犯人の少年の立ち直った姿がそこにありました。

その人の話によると出所後,立ち直ろうとしながらも世間の冷たい目に負け,身も心もぼろぼろになってアルコールにおぼれていたということでした。23歳のとき,自殺でもしようかと考え,ふとポケットに手を入れると,「エホバの証人はどのようなことを信じていますか」というパンフレットが出て来ました。それを読んで,「こんなことを信じている人がこの世の中にいるのか」と不思議に思いました。本当にいるなら会ってみたいものだと思っているところへ,エホバの証人が訪れ,研究が始まりました。反抗的な態度を示したにもかかわらず,穏やかな笑顔で応じる奉仕者に心を動かされ,その人は様々な問題を乗り越えてエホバの証人としてバプテスマを受けたクリスチャンになっていました。

その話を聞くうちに,涼湖さんの目からも涙があふれ,止まらなくなりました。「今,私の目の前に立っている人はあの時の少年ではなく,私の兄弟でした」と涼湖さんは語っています。恨みの気持ちは全くぬぐい去られました。犯人の少年も,刺された婦人警察官も共に真の義の神エホバの僕になり,同じ目的,同じ希望を抱いていたのです。確かに,神の言葉には人を変化させ,あらゆる種類の人を「結合のきずなである平和」により一つに結び合わせる力があるのです。―エフェソス 4:3。テモテ第一2:4。

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