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  • トラだ! トラだ!
  • 目ざめよ! 1996
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目ざめよ! 1996
目96 11/22 15–18ページ

トラだ! トラだ!

インドの「目ざめよ!」通信員

『あるとき,私は狭い尾根を歩いていました』と思い出して語るのは,ネパールのロイヤル・チタワン国立公園で多年トラの研究を続けてきたチャールズ・マクドゥーガル博士です。『歩いていると,向こうから1頭のトラがやって来ました。私たちは頂上で鉢合わせした形になりました。トラと私との距離はほんのわずかで,15歩ほどしかありませんでした』。マクドゥーガル博士は立ち止まり,視線をトラの肩越しに向けました。目をじっと見つめると,トラはそれを挑戦とみなすからです。トラは身を屈めた姿勢でいましたが,襲ってくるような動きは見せませんでした。長い数分が過ぎ,マクドゥーガル博士は数歩後ろに下がりました。『それから,私はくるりと向きを変え,歩いて元の場所へ引き返しました』と博士は語っています。

今世紀の初めには,トラはインドの約4万頭を含め,原産地のアジアに10万頭生息していました。しかし1973年にはすでに,この堂々とした美しい生き物の総数は全世界で4,000頭以下に減っていました。おもに狩猟のためです。地球上最大のネコ科の動物であるトラは,人間によって絶滅の危機にさらされるようになったのです。しかし,トラは人間にとって脅威なのでしょうか。この大型のネコ科動物は実際にどんな動物ですか。トラを絶滅から救う努力は実を結んでいるのでしょうか。

トラ一家の暮らし

長年にわたる根気強い観察により,動物学者たちはトラの生態を一層よく理解するようになりました。では,インド北部の美しいランザンボーの森の中で,わたしたちが典型的なトラの家族の様子を見ているところを想像してみましょう。雄は,鼻先からしっぽの先までの長さが3㍍近くあります。体重は約200㌔。相手の雌の体長は2.7㍍ほどで,体重は約140㌔です。a 子供は3頭いて,1頭は雄,2頭は雌です。

この森では,気温が45度を上回ることもありますが,このトラ一家は,葉の生い茂る樹木の陰に身を寄せます。それに,いつでも近くの湖の冷たい水に浸かることができます。泳ぐネコ? そうです,トラは水が大好きなのです。事実,一気に5㌔以上も泳ぐことで知られています。

木漏れ日が注ぐと,トラのつやつやとしたオレンジ色の毛皮は光を放つかのように感じられます。黒の縞はつややかに光り,琥珀色の目の上にある白色の部分がきらめいて見えます。3頭の子供をしばらく観察していると,縞模様や顔の斑紋の違いで,それぞれを見分けるのが容易になってきます。

一人前のトラに成長する

母親トラは子供を身ごもっていたとき,生い茂る草木に覆い隠された格好のねぐらを探し当てました。今,一家はそこから,眼下の平原を眺めることができます。平原には水場があり,他の動物たちが水を求めてやって来ます。雌トラがこの場所を選んだのは,子供たちから遠く離れずに獲物を狩ることができるからです。

子供たちは生まれた時から,よく世話されてきました。子供たちが幼い間,母親は子供たちを脚の間に入れて抱き,低く優しい声を出しながら,鼻をすり寄せ,なめてやります。少し大きくなると,子供たちはかくれんぼやけんかごっこをするようになります。トラの子供たちはゴロゴロとのどを鳴らすことはできませんが,1歳ごろから,留守にしていた母親が戻ってくるとのどの奥からハッハッと大きな音を出すようになります。

トラの子供たちは,母親と一緒に泳いだり,水遊びをしたりするのが大好きです。雌トラが,しっぽを水の中に入れて湖のへりに座っているところを頭に描いてみてください。時々,そのしっぽをさっと振り上げて,熱い体に冷たい水を振りかけます。しっぽと言えば,子供たちは母親が左右に振り動かすしっぽをつかもうとして,飽きもせずに追いかけます。こうすることで,雌トラは子供たちと遊んでやるだけでなく,子供たちが将来狩りをするようになるときに発揮する,獲物に襲いかかる技術を教えてやっているのです。子供たちは木登りも好きです。しかし,1歳3か月になるころには,体が大きくなって重たくなり,木登りも簡単にはできなくなります。

父親の役割

最近まで多くの人は,母親トラは独りで子供を育てる,雄は機会があれば子供を殺す,と考えていました。しかし,ほとんどのトラはそうではありません。確かに,父親トラは長い間ジャングルに姿を消し,50平方㌔に及ぶ自分の縄張りをくまなく歩き回りますが,家族のところへもやって来ます。そのときには,父親は雌トラや子供たちの狩りに加わり,一緒に獲物を仕留めることさえあります。幾らか強引な雄の子供は,自分が一番先に獲物を食べるかもしれません。しかし,あまり長いこと獲物を独り占めして妹たちにやらないでいると,母親は雄の子供を小突いたり,時には脚でたたいたりして,雌の子供たちもごちそうの分け前にあずかれるようにしてやります。

子供たちは体の大きな父親と楽しそうに遊びます。お気に入りの遊び場は,近くの水場です。父親トラは後ろ向きにゆっくりと水の中に入り,首まで水に浸かります。(トラは水がはねて目に入るのを嫌います。)そして,子供たちが鼻をすり寄せてくると,その顔をなめてやります。固い家族のきずながあることは明らかです。

人食い?

本や映画ではしばしば,トラは,人間に忍び寄って襲いかかり,傷を負わせたり食べたりする,どう猛で攻撃的な動物のように描かれますが,それは事実とは大分かけ離れています。トラというトラがみな,人食いというわけではありません。森の中で人間を見ると,トラはむしろただこっそりとその場を立ち去るのが普通です。興味深いことに,人間のにおいはトラの嗅覚を全く刺激しないようです。

しかし,ある状況下では,空腹のトラはとても危険な存在になる場合があります。老齢で歯がなくなったり,人間に傷を負わされたりしているなら,そのトラは普通の狩りはできないでしょう。同様に,人間の居住地がトラの生息地を侵すなら,自然界でのトラの餌食は不足するかもしれません。こうした理由のため,インドでは毎年50人ほどの人がトラに命を奪われています。とはいえ,この数はヘビに殺される人の100分の1です。トラが人を襲う事件はおもに,ガンジス川の三角州にある沼地で生じています。

マクドゥーガル博士によれば,トラは,ほとんどの人が考えているほど危険な動物ではありません。至近距離からトラを驚かせると襲ってくることがあるかもしれませんが,「トラは非常に穏やかで,冷静で落ち着いた動物です。普通,ごく接近した距離でトラに出くわした場合でも,トラは襲ってきません」と博士は言います。

トラ同士で攻撃し合うことはまれです。例えば,若いトラがよそのトラの縄張りに迷い込み,そこに住む雄に出くわすことがあるかもしれません。すると,低いうなり声,血も凍るような咆哮,鼻先を突き合わせながらの敵意に満ちたうなり声が上がります。しかし,年上の雄が優勢を示すと,若いほうの雄は大抵,服従のしるしとしてくるりとあお向けになり,脚を上に向けます。それで対決は終わります。

この大きなネコの将来

人間がトラに襲われる危険があるというよりもむしろ,人間のほうがトラにとって真に唯一危険な存在になってきました。現在では,トラを絶滅から救う努力が払われています。アジアにはトラの保護区を設けた国々もあります。1973年には,インド北部のコルベット国立公園でタイガー・プロジェクトと呼ばれる特別な運動が発足しました。世界中から,タイガー・プロジェクトに対する資金や器材が寄せられました。最終的には,インド国内で18のトラの保護区が設けられ,その総面積は2万8,000平方㌔余りに及んでいます。1978年にはすでに,トラも絶滅危惧種のリストに載せられていました。その結果は驚くべきものでした。禁猟になる以前,トラは巧みに逃げ隠れし,人間への恐れからおもに夜,行動するようになっていました。しかし,保護運動が始まった数年後には,トラは保護区内を歩き回り,白昼堂々と狩りをするようになったのです。

それでも,トラは相変わらず脅威にさらされています。トラの体の一部から作られるアジアの伝統的な治療薬に対して,国際的な需要があるのです。例えば,インドではトラの骨1袋が500㌦(約5万5,000円)を超え,その骨が加工されて極東の市場に届くころには,その価格は2万5,000㌦(約275万円)以上にはね上がっています。こうした多額のお金がもうかる見込みがあるため,貧しい村人たちは,森林警備隊を出し抜いてトラの密猟者に協力しようという誘惑に駆られます。初めのうち,トラを救う努力は実を結んでいると考えられていましたが,1988年以降,状況は悪い方向に向かっています。20年前には,ランザンボーには40頭のトラがいたのに,現在では27頭ほどが歩き回っているにすぎません。さらに,世界中でもトラは5,000頭ほどしかいないようです。

インドでは,前世紀の末まで,トラと人間は比較的に仲良く共存していました。果たして,もう一度そうすることができるのでしょうか。今のところはまだ,この世界最大のネコ科動物を見て,「トラだ! トラだ!」という興奮した叫び声を上げることもできます。種々の保護計画が今後のトラの安全を保障するものになるかどうかは,先にならなければ分かりません。しかし,聖書は,地球全体がエデンの園のようなパラダイスになるときが来ることを保証しています。そのとき,人間と,トラのような野生動物は共に,地上で平和に住むのです。―イザヤ 11:6-9。

[脚注]

a 最大の亜種であるシベリアトラの場合,体重は320㌔を超え,全長4㍍に達することもあります。

[17ページの囲み記事/図版]

ホワイトタイガー

インドの国宝である珍しいホワイトタイガーは,劣性遺伝子の突然変異によるものです。1951年に,インドのレーワ・フォレストで白い雄のトラの子が捕獲されました。そのトラが普通の色の雌と交尾した結果,普通の子供たちが生まれました。ところが,この子供たちのうちの1頭の雌が白い雄親と交尾したところ,4頭の白いトラの赤ちゃんが生まれました。細心の注意を払って繁殖が行なわれたため,各地の動物園で人々はこの希少で美しい動物を見ることができるようになりました。

[16ページの図版]

泳ぐネコ? そうです

[17ページの図版]

トラはほとんどの人が考えているほど危険な動物ではない

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