ソロモン諸島の見事なグラス・バンド
ソロモン諸島の「目ざめよ!」執筆員
あなたはパンパイプを吹いてみたことがありますか。息継ぎに要するテクニックのせいで,目まいのすることがあります。では,長さ約2㍍,各パイプの直径が約5㌢,そして一つの音を出すのに全身を動かさなければならないパンパイプを演奏するところを想像してみてください。そのような楽器40個で構成されているのが,ソロモン諸島の見事なグラス・バンドです。お察しのとおり,このバンドの楽器はどれもグラス,つまりイネ科の植物で作られています。ソロモン諸島のジャングルに生い茂るイネ科の様々な植物で,極めて高いソプラノから低く響き渡るバスまで,様々な音のパイプが作られます。
ホニアラのある倉庫を訪ねてみましょう。そこではナラシラト・パイパーズが台湾への演奏旅行に出発する前に楽器の準備と練習を行なっています。3本のパイプを一つに束ねた楽器もあり,三和音,つまり三つの音を重ねた和音が出せるように調律されています。奏者は3本のパイプを一緒に持ち,それを平たい石に軽く打ちつけることによって,音が合っているかどうかを確かめます。合っていない場合は,音がはずれているパイプの先を少し削ります。これらのパンパイプは吹いて音を出すものではありません。各パイプの底にゴムが巻きつけてあり,3本まとめて地面に打ち当て,弾ませるのです。何とすばらしい和音が響くのでしょう。a
パンパイプが“歌い”始めると,その音を言葉で表わすのは至難の業です。時には羽毛のように柔らかく,時には耳をつんざくような音を出します。それぞれの曲には振りが付けられており,奏者たちはジグザグに進みながら演奏します。不気味な旋律もありますが,ほとんどの場合は,つま先で床をコツコツたたいてリズムを取りたくなるような陽気な音楽です。もしかしたら,あなたもいつかソロモン諸島を訪れて,見事なグラス・バンドの演奏を自分の耳で聞くことができるかもしれません。
[脚注]
a 分厚いゴムの切れ端でたたいて音を出すパンパイプもあります。