唯一の正しい宗教
『兄弟よ，私たちの主イエス･キリストの名によつて，あなた方に勧める。みな語ることは一致し，あなた方の中に分裂がなく，同じ心，同じ思になつてかたく結ばれていて欲しい。キリストは分裂しているのか？』― コリント前 1:10，13，新世。
1 どんな詐欺は，霊的食物が不純にされていることを例証していますか？
仮りに小麦の代金を払いながら，藁をうけとりますか？ 葡萄酒を買うときに，水をうけとりますか？ 咽喉がかわいて水を欲するときに，泥で満足しますか？ ある人があなたのところに来て，あなたは今これらのことで騙られていると述べ証明するとしたならば，どうでしようか？ あなたはその人に怒りを感じますか，またはあなたを欺いていた人に怒りを感じますか？ 自分のお金を大事にするために，たとえ欺かれた事を認めるのは自分の誇りを傷つけようと，あなたはその証拠に耳を傾けて聞き，その詐欺を止めさせるでしよう。聖書はこのような象徴の言葉を用いつつ，自分は滋養のある霊的な糧を受けていると考える多くの人は，実際には，無価値の不正品を受けていると述べています。あなたは騙られているとある人が証明するとすれば，あなたはその人の言葉に耳を傾けますか，それとも烈火のごとく激怒しますか？ お金よりも自分の生命の方を大事にするのですから，たとえ誇りが傷つけられようと，その証拠に気持よく注意を払い，霊的な詐欺を止めさせるべきです。賢い人は，亡びをうける以前にそのような誇りをうち潰してしまいます。―シンゲン 16:18。
2 麦と藁の例証は，キリスト教国にどうあてはまりますか？
2 昔のイスラエルでは，打穀場は丘の上にあるのが好ましく，どの風にも曝されていました。そして農夫たちは穀物の束をそこに持ち運んで牛に踏ませ，それから箕でもつて空高く投げ上げました。小麦の重い穀粒は打穀場に落ちて来ましたが，風は藁や籾殻を一方に吹き寄せ，もし望むならばそこで燃してしまいました。（マタイ 3:12）偽りの予言者は嘘を夢見てつくり，真理をけなそうとしてその嘘をヱホバの御名の引き合いの中に語りました。これら嘘を語る夢想家たちは，真理の小麦から分けられ燃されてしまう藁になぞらえました。『夢を見し予言者は夢を語るべし。我が言葉を受けし者は真をもて我が言葉を語るべし。糠いかで麦に比うことをえんやとヱホバ言い給う。ヱホバ言いたまわく，我が言葉は火のごとくならずや』（エレミヤ 23:28，29）今日，キリスト教国の諸宗教は，ヱホバの御言葉に自分たちの偽りの教えの夢を混ぜており，またこれらの宗教に従う人や貢献者たちは，霊的な小麦の代りに，いわば藁を用いています。誇りや偏見や争論を度外視し，高い程度の理智に基いて宗教的な教を調べるならば，その不正はヱホバの霊によつて吹き払われ，ヱホバの御言葉によつて取り除かれます。―使行 2:2-4。
3 キリスト教国はどのように，そしてなぜヱホバの御言葉の葡萄酒に雑物を混ぜますか？
3 昔のイスラエルで，不正直な葡萄酒の商人は水を葡萄酒に加えて，分量を大きくし，大儲けをしました。ヱホバはこのことを述べられましたが，それはイスラエルが偽りの崇拝に陥った際にイスラエルを責めた時でした。『商人は汝の葡萄酒に水をまじえ。』（イザヤ 1:22，七十人訳）使徒パウロは，これを用いヱホバの御言葉に耳をくすぐる哲学や言い伝えを交ぜ，自分たちの利己的な目的を拡めようとした宗教指導者を示しました。『私たちは，多くの人のように，神の言葉の行商人ではない。』又は『私たちは神の言葉を商売とせず，また利益も得ない。』あるいは『私たちは神の言葉に不純を加える者ではない。』パウロは後のところでこう言いました『私たちは恥づべき隠れた事を捨てさり，悪巧みに歩かず，また神の言葉に不純を加えず，むしろ真理を明らかにすることにより，神のみまえに，すべての人の良心に自分自身を推薦するものである。』（コリント後 2:17，欄外; 4:2，新世）今日キリスト教国の宗教は，その伝道を一層広めるために近代哲学を混ぜ，より広い，より異つた聴衆に聞いて貰いたく，そしてより多くの人の支持を得ようとします。しかし，神の純粋な御言葉を味い，御言葉のもたらす不純のないよろこびを経験してから比較してみるとき，それは霊的に詐欺の混ぜものであると気がつきます。―イザヤ 25:6。
4 霊的に言つて，キリスト教国の牧師は，病気と飢餓をひき起すと，どんな例証は示していますか？
4 昔のイスラエルで，牧羊は主要な仕事であり，また羊の群は一般に親しまれていたために，ヱホバは羊を用いて民の象徴としました。イスラエルの国民は，神の群と主張し，大いなる牧飼として神に頼りました。強い肥つた羊は，病気でやせた羊を押しのけて追い出してしまいますが，それと同じように，霊的な病気で滋養物の不足だつた者たちを濫用して散らしたイスラエルの力ある宗教指導者たちにヱホバは注意を払われました。ヱホバは羊を用いて説明しつつ，このことについてこう述べています『なんぢらは良き牧場に草食い，足をもてその残れる草を踏みあらし，又清たる水を飲み足をもてその残りを濁す。是なんぢらにとりて小さき事ならんや。わが群なんぢらが足にて踏み荒したるものを食い，なんじらが足にて濁したるものを飲むべけんや。』（エゼキエル 34:18，19）今日キリスト教国内の宗教指導者たちは強い勢力を持つていて，その群がどんな霊的食物と飲物を取るかを決定することができます。しかし，高等批評で聖書を踏みつけ，また異教の教えでその真理の清い水を濁した後では，これら宗教制度の支持者たちに価値あるものは殆ど残りません。それで，彼らが霊的に病気で飢餓に瀕しているのも全く不思議ではありません。しかし，これらの制度の中にヱホバの他の羊がいるならば，彼らは聖書に求め，泥のような虚偽を取り除き，聖書の真理の水に明晰と美味を戻すことができます。―アモス 8:11。エペソ 5:26。黙示 22:1。
悪は善を害う
5 どんな論議は偽りですか，どんな例はこのことを表していますか？
5 しかし，すべての宗教の中には善いところがあり，何らかの価値があるものだと論ずる人がいます。あなたは藁で一杯のパンを食べたいですか，水の混ぜられた葡萄酒を飲みたいですか，または泥の交つている水を飲みたいですか？ 藁は良い麦を害い，水は良い葡萄酒を駄目にし，泥は清い水を濁しませんか？ この例証の要点は，つまり悪が加えられるときに善は害われるということです。そして，ヱホバの御言葉はそれらを用いて，虚偽が混るときに善い霊的な食物は害われることを示しています。ある者は，イエスが贖いであるという真理を述べますが，しかしすべての人は救われるという偽を伝道することにより，贖いの必要を無効にしております。他の人は生命に戻る復活の希望を正しく語りますが，しかし各人は決して死なない魂を持つていると主張し，復活の希望を無効にしています。またある人は，ヱホバ神を全能者と認めますが，しかし他の二つのものはヱホバ神と同等であるとつけ加え，その真理を駄目にしてしまいます。また他の人は，罪の価は死であると正しく引用しても，今度はそれと矛盾して，罪人は永遠の苦しみをうけると教えています。これらの例は，キリスト教国内の基礎主義者たちが異教の言い伝えを附加して聖書の真理を害う多くの例のごく僅かなものに過ぎません。彼らは，自分自らイエスの次の言葉の叱りをうけています。『あなた方は巧みに神の言葉を捨てて，自分たちの言い伝えを守ろうとする。』― マルコ 7:9，新世。
6 現代主義の宗教の行うどんな実践に対してどんな聖句は警告を述べていますか？
6 現代主義者の宗教は，科学者，心理学者，哲学者に迎合しようとして，聖書をよりひどく捨てております。時折り聖書を引き合いに出して口先きだけで敬いますが，彼らは神の智恵の代りに哲学を置き，神の平和の代りに心理学を置き，神の創造の代りに進化論を置きます。彼らはこの世の智恵に溺れてしまい，神の次の警告に注意を払いません。『哲学や空しい欺きで，あなた方をとりこにしようとする人のいることに注意しなさい。それらは，人の言い伝えやこの世の事柄に従うのであつて，キリストに従うものではない。』彼らは外見を飾る智識で盲目となり，矛盾する嘘偽の犠牲者になつています。『あなたに任されているものを守りなさい。そして，聖なるものをこわす無駄話や，偽りにも「知識」と呼ばれる反対論から避けなさい。そのような知識を見せびらかせようとして，ある者は信仰から外れてしまつたのである。』― コロサイ 2:8。テモテ前 6:20，21，新世。
教理の純粋性は肝要
7 基礎主義者と現代主義者両方の宗教は，自分たちの偽りに真理の香をつけるために何をしますか？
7 エレミヤの時代に，偽りの予言者はヱホバの御言葉を適宜に引用して自分たちの嘘に交ぜて，その混ぜものに真理の香りを入れ，真理をいくらか結びつけて自分たちの偽りをより良く受け入れさせようとしました。ヱホバはそのことを許されず『視よ，われ我言葉を互に盗める予言者の敵となるとヱホバ言いたもう。』（エレミヤ 23:30）今日の基礎主義者および現代主義者の両方は，同じことをしています，そしてある聖句をねじ曲げ，歪曲して，自分たちの異教の教え又は哲学的な神学を表向きに支持しようとしています。彼らは，このようにして聖書の香りを欺きの言葉に入れ，それでもつてヱホバの御言葉の純粋の真理を望もうとしない人々の耳をくすぐります。聖書をこのように曲げることは，亡びにいたる広い道を設けることであり，使徒ペテロもこう述べています『その中には，難しいところもある。しかし，教えをうけず又心の定まらぬ人は，聖書の他の部分になすのと同じく，その部分にも欺きの解釈をして自分の亡びを招いている。』（ペテロ後 3:16，新世）事柄を曲げても，自分個人の解釈にあて嵌めようとする人々は，後にクリスチャンの群を分裂させて，多くの分派をつくるであろうと，使徒パウロは警告し，責任を持つ者はそのような分裂に注意するよう諭しました。『あなた方自身およびすべての群に注意を払いなさい。聖霊はあなた方を任命してその監督者とし，神が御自身の（子の）血で購われた神の会衆を牧させるのである。私が去つてから反対の狼があなた方の中に入つて来る。そして愛の心をもつて群を扱わないだろうということを私は知つている。そしてまたあなた方の中からも人が出て，歪曲した事を語り，弟子たちを連れ去ろうとすることを知つている。』― 使行 20:28-30，新世。
8 信仰合同の擁護者は何を主張しますか？ しかし，聖書は彼らに反対してどのように論じていますか？
8 様々の偽りの教理が導入されたために，それぞれ真の信仰と主張する多くの違つた派と分派が生じたのでした。自称のクリスチャンたちを一致させるものは，ただこれらの嘘偽を取り除いて，純粋な聖書真理に戻ることによるのです。これらの教理の差異の解決は不可能に見えるために，今日信仰合同を擁護する者たちは，信仰の一致なしで制度の一致は得られると言います。その論ずるところによると，大切なのは教理の一致よりも制度の面での一致であるというのです。しかし，聖書は彼らと見解を異にします。聖書は正確な知識と信仰の純粋さを得る必要を強調しており，また真と偽りの混合を禁じています。真の信仰は，偽りの宗教と信仰合同をいたしません。『不信仰と釣り合わないくびきを共にしてはならない。義は不義とどんな係り合いを持つのか。光は暗やみとどんな交りを持つのか。』イエスは，ユダヤの宗教家たちの偽りの教えに注意せよと弟子たちを誡め，彼らの教理はパン種のようであると言われました。それ故に，『少しのパン種は粉全部をふくらます。』という警告があるのです。（コリント後 6:14。ガラテヤ 5:9。マタイ 16:5-12，新世）神への熱心は，『正確な知識による』のでなければならず，もしそれがないならば，ヱホバの民は亡ぼされます。―ロマ 10:2，新世。ホセア 4:6。
9 何が覆えされ，何が壊滅しますか。しかし，何が立ちますか？
9 教理がたとえ幾世紀に亙る固い信条であつても，もしそれが聖書に反対するものであるならば，それを覆し神とキリストに考えを一致させねばなりません。『私たちの戦の武器はこの世的なものではなく，城砦を打ちこわすための神による力である。私たちは神の知識に反して樹てられた数々の議論や各種の傲慢を打ちこわし，すべての思想を捕虜としてキリストに従わせるのである』。神の御言葉にかたく従わない宗教は，イエスが次の譬を話されたようにみな壊滅してしまいます『それであるから，私のこれらの言葉を聞いて行う人は，岩の上に家を建てた賢い人になぞらえることができる。雨が降り，洪水が押し寄せ，風が吹いてその家に打ちつけても，こわれることはない。それは岩を基礎にしているからである。しかし，私のこれらの言葉を聞いても行わない人は，砂の上に家を建てた愚かな人になぞらえることができる。雨が降つて，洪水が押し寄せ，風が吹いて，家に打ちつけると，それはこわれてしまい，そのたおれは大きい。』知識は正確なもので，害をなす偽りを持つてはならないために，次の助言が述べられています『自分自身と自分の教えに絶えず注意を払いなさい。これらの事を努めなさい。これをすることによつて，あなたは自分自身を救うのみならず，あなたの言葉を聞く人をも救うであろう。』― コリント後 10:4，5。マタイ 7:24-27。テモテ前 4:16，新世。
『信仰は一つ』
10 聖書と違つた宗教について，何が論理的ではなく，また何が論理的で聖書的ですか？
10 多くの違つた宗教があつて，矛盾した多くの教理を教えています。その全部が正しくないことは明らかです。神の御言葉の支持する教理のみが真実であり，調和のあるものです。宗教の教えがキリストの言葉に基いていないならば，それはくずれます。その論理が神に反対するならば，それは履えされます。その教義が真実と偽りの混合物であるならば，全部は害されます。ヱホバの一致している御言葉が多くの違つた矛盾している信仰を支持していると考えるのは不合理なことであつて，それが唯一つの真の信仰に対する岩の基礎と信ずるのは合理的です。聖書はこの論理的な結論を裏づけており，真の崇拝を，多くの信仰ではなく，一つの信仰に限定しています。『体は一つ，御霊も一つである。あなた方が召されたのは，一つの希望に召されたのと同じである。主は一つ，信仰は一つ，洗礼は一つ。すべてのものの上にあり，すべてのものを貫き，すべての中におられるすべてのものの父なる神は一つである』。生命の道は，一つの信仰だけを許す狭い道であつて見解の異る多くの信仰が通る広い，そして，小路の多くつく大道ではありません。『狭い門から入つて行きなさい。亡びに導く路は大きくて，広いから，多くの者はそれを通つて行く。しかし，生命に導く門は狭く，またその路はせばめられているから，それを見出す者は少い。』― エペソ 4:4-6。マタイ 7:13，14，新世。
11 矛盾している教理を持つ多くの信仰は，神より是認をうけるということについて，どんな聖句はそれを除外していますか？
11 真のクリスチャンの心持ちは一つであり，言葉を一致して話します。『さて忍耐と慰めを与える神が，あなた方にキリスト･イエスの持たれた同じ心持ちを授けられますように。それは，あなた方が心を一つにし，言葉を一致して私たちの主イエス･キリストの父なる神を崇めるためである。』矛盾し合う態度や，言葉を持つ多くの信仰は，このことからも不適当なものとしてはじき出されてしまいませんか？ キリストの心は分かれてはいず，彼の口は矛盾の言葉を述べず，また彼の一つの真の教会は分裂しておりません。『兄弟よ，私たちの主イエス･キリストの名によつてあなた方に勧める。皆語ることは一致し，あなた方の中に分裂がなく，同じ心，同じ思いになつてかたく結ばれて欲しい。キリストは分かれているであろうか？』 クリスチャンは『分裂をおこす者』を避け，『分派をつくる者』を排除するようにと告げられています。（ロマ 15:5，6。コリント前 1:10，13。ロマ 16:17。テトス 3:10，新世）聖書に書かれている初期キリスト教の教えにかたく従う一つの信仰以外に，今日ある多くの信仰は，分裂や分派をつくつたものから生じたものです。ヱホバは，クリスチャンたちに避けよと命ぜられた分裂といま交りますか？ また，クリスチャンに排除せよと命じた分派をうけ入れて認めるでしようか？ ヱホバが矛盾するということは決してありません！ ヱホバは変化しません。彼は御子キリスト･イエスの建てられた唯一つの真の信仰と，御言葉，聖書の中に説明されている教理をいまでも認められて維持しております。今日何百とある信仰の中から，その真の信仰をどのように識別するかは，次の記事に述べられています。
[188ページの図版]
誤った宗教
正しい宗教
Bible
Wine
Holy Bible
Wine