「彼らは一致の中に伝道する」
― 1962年のエホバの証者の年鑑より ―
香港
人口: 3,128,044人
伝道者最高数: 237人
比率: 13,198人に1人
香港のエホバの証者は活動にみちた楽しい年を送りました。巡回および地域大会が開かれ,記念式にははじめて381人という大勢の人が出席しました。32人がすでに御国宣教学校を終えました。香港には滅びるパンを求めて汲々としている人々がひしめいています。全く更に多くの人が「人はパンだけではなく,エホバの御口から出るすべての言葉によって生きなければならない」と教えたイエスの言葉に聞くならば良いものをと,感じさせられます。香港のエホバの証者は雄々しく歩みを進めており,生命のパンについて学ぶことを中国の人々にすすめています。エホバの御口から出るすべての言葉を聞く機会が与えられているのです。香港の支部の僕は次の経験を書き送ってきました。
多くの人は開拓奉仕を始める能力の有無を自問して,自分の力を過小評価してきました。以前の年鑑にも出たある兄弟は引退と同時にアメリカを去り,必要の大きな所で奉仕するため家族を連れて香港に来ました。その兄弟は野外でたいした働きができなくても,支部で手助けできるという考えでした。しかし家から家の宣教に没頭するうち,奉仕の時間が増加したのでこれならば開拓者の要求を果たせると考えるようになりました。いまでは開拓奉仕にはいってから9ヵ月を経ており,月平均100時間の野外奉仕,180冊の雑誌配布,11の聖書研究を報告しています。
聖書に記録されているごとく,信仰をもってまくならば,たとえ見通しは暗くても収穫の喜びを得ることに間違いはありません。ある兄弟は次の報告を寄せました。決議(中国語の)を配布していた当時,冊子を申し込んだ人を訪問して研究を始めました。その人は教会に通う青年でした。研究は進みましたが,青年の態度はどっちつかずなので,興味の程度をおしはかることが困難でした。試験の時期になると研究を休むほどでしたが,ともかくも続け,まず週中の集まりそれから日曜日の集会にやっと出席するようになりました。休日に野外奉仕の行なわれたとき,すすめられて雑誌活動に参加しましたがほとんど何も言わず,あまり興味がないように見えました。それから大きな変化が起きたのです。青年は牧師にむかい,エホバの証者と共に神の御国の良いたよりを伝道することに時間を使いたいから教会をやめるときっぱり言いました。教会は代表者を青年の父親のもとにつかわして,キリスト教に反感を持つ父親の手によってエホバの証者との交わりをやめさせようとしましたが,青年は自分の立場を守り,伝道をつづけました。中国の人が伝統に打ち勝って真理の側に固く立つのを見るのはうれしいことです。
家のかしらの権をおだやかに用いた夫の行いから良い結果が得られたという例が最近にありました。この神権的な家庭に赤ん坊が生まれたとき,中国人の義理の母親が手伝いに来ました。この母親は中国の伝統に従って偶像を祭る宗教を長く行なってきた人です。しかし娘たちが聖書を勉強して証者となり,開拓者となっても反対しませんでした。妻の産後の静養のあいだ,家族と共にいる母親と聖書研究をしてはどうかと夫は妻にすすめました。そこで研究が始められ,「良いたより」の冊子を学ぶうち次第に感銘を受けるようになって,家族と共に集会に行くことを兄弟からすすめられた時には一緒に出席しました。
会衆内の兄弟たちから「ものみの塔」研究の注解を準備するようにすすめられたとき,「私はまだ円熟が足りません」と彼女は答えましたが,次の週,「ものみの塔」の質問に彼女が答えたのは大きな喜びでした。エホバの言葉はすなおな心にはいって力を働かせ始めたのです。この兄弟は母親をすすんで野外奉仕に招待したので,彼女は幸福な神権的家族のもう一人の伝道者となりました。このような場合「お母さんは好きなようにさせておけばよい」といった事になりがちですが,忍耐強い正しい行いはよい結果を招きました。