『すべての国の民への証言』

エホバの証人の1968年度年鑑より

チリ

人口: 9,000,000

伝道者最高数: 4,530

比率: 1,987人に1人

今年はきわめて多くのすばらしい事柄が起こり，時間は飛ぶように過ぎ去りました！ チリのエホバの証人は詩篇65篇4節のことばの意味を本当に深く味わいました。「あなたに選ばれ（た）……人はさいわいである。われらはあなたの家……の恵みによって飽くことができる」。このことばが最も良くあてはまったのは，1月に開かれた決して忘れることのできない「神の自由の子たち」地域大会でした。その時，7693人もの人々が崇拝のための『エホバの家』に集まったのです。この大会が外部の人々にどんな影響を与えたかは，バプテスマを受けた441人の中の一婦人の以前に反対していた夫の経験からうかがえます。そのことについて一宣教師はこう述べました。「その夫は軍人ですが，典型的なこの世の考えの持ち主です。子供を大会に出席させることは許しませんでしたが，大会がいったいどんなものかを調べるため，自分ひとりで出席したいと考えました。大会に向かう貸切りバスの車中では大変気むずかしい様子で，めったに口をきこうとしませんでした。しかし大会では，劇を含めてその見聞きすることにすっかり感動し，たちまち大会の雰囲気にひたってしまいました。帰途，別人のようになった彼は，まるで『よく巻いたビクターの蓄音機』のように，質問を連発していました。そして翌週には娘が野外奉仕に参加するのを初めて快く許しました。その次の大会ですか。彼はこう語りました。『大会中，子供たちが家にいるのは，あれが最後で，今度は家族全部で出かけることにします』」。

ひとりの若い女性の伝道者の次のような経験が示すとおり，一，二冊の雑誌でさえ生命の音信を広めるのに大きな役割りを演じます。その女性は真理を学ぶようになるまでの数年間，「地獄」および死者の状態に関する疑問の答えを求めてさまざまの教会を訪ねましたが，与えられた答えはいつも同じことばかりでした。ある日，1軒の店先で何かの雑誌から切り取られた1枚の紙片を拾い上げ，それを読んで，そこに答えを見つけたのです。それで，その雑誌をどこで得たのか店主に尋ねましたが，その紙片は，古い「目ざめよ！」誌の「あなたのみことばは真理です」という記事の部分でした。店主は，エホバの証人がその雑誌を定期的に届けてくれると説明したところ，彼女はこう告げました。「その人が今度来た時，わたしの家を訪問するよう伝えてください」。その後まもなくエホバの証人が訪れ，その若い婦人だけでなく家族内の他の人や近所の人々まで含めて一緒に研究する取り決めが直ちに設けられました。今日，その婦人は特別開拓者で，家族内の5人の人々は御国の伝道者です。確かにエホバの「みことばは真理で」あり，きわめて強力なものです。

たとえ会衆から遠く離れた場所に孤立しても，誠実に努力さえすれば，エホバの家の恵みにあずかれます。北部のパンパつまり砂漠の地方の孤立した場所に転勤を命ぜられたひとりの新しい伝道者は，それが真実であることを体験しました。最初，彼は集会の行なわれる日の夜が来たとき，集会には出席できないため，悲嘆に暮れました。しかしある夜，聖書の文書や「御国奉仕」を取り出して，集会のプログラムの話や実演などのそれぞれの部分をひとりで勉強し，そうすることにより，たとえ孤立していても，知識や能力を増し加わえられることを知りました。そして1か月分として30冊の雑誌を送ってもらうように注文し，こうして彼は日曜日朝，部屋から部屋を訪れて，同僚に多くの文書を配りはじめました。そして毎号の雑誌を届ける取り決めをある人と設け，それから聖書研究が定期的に行なわれるようになり，また，奉仕の報告が定期的に会衆に送られました。そして最近の一巡回大会で彼は起立し，エホバへの献身を表わす決心を明らかにしたのです！ それはわたしたちにとっても大きな喜びでした。巡回のしもべがその会衆を訪問する時には，彼は特別の許可を上司に申請して会社の仕事を休み，その訪問中に取り決められている特別の宣教活動に参加して奉仕者としてより良い備えを身につけるようにしています。こうして確かにこの伝道者は，「あなたに選ばれ（た）……人はさいわいである。われらはあなたの家……の恵みによって飽くことができる」ということばの真実さを証明しています。

奉仕年度の終わりには聖書全巻のスペイン語の新世界訳聖書が届きましたが，このすばらしい備えに対するチリの兄弟たちの感謝のことばをここにしるさなければ，この報告は不十分なものとなるでしょう。一監督はこう書き寄せました。「このすばらしい助けを備えてくださったことにつきエホバとその組織に心から感謝します。すぐれた聖句索引および聖句の付録そして各巻に関する資料を載せたこの新しい聖書を用い得るのは何という喜びでしょう！」 これほどの心からの感謝をもって迎えられた出版物はこれがはじめてです。それは，わたしたちすべてに対するエホバの無上の恵みの表われです。