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なぜ失敗したか
● イタリアは幾世紀にもわたってカトリックの勢力の強いところでした。しかし,ジョージ・アームストロングは,英国ロンドンのガーディアン・ウィークリー誌の1976年4月4日号の中で次のように書きました。「ローマは,イタリアの20の行政区画のうち,共産主義者と社会主義者の支配する第6番めの地域となった。今や,共産党の支配地域はジェノバからローマに及ぶ」。カトリックの国でありながら,共産主義がこれほど大きく発展するに至ったのはなぜだろうか,と尋ねるかたもおられるでしょう。
宗教の犯した失敗がその主要な原因であるに違いありません。
共産主義者は神を信じません。しかし聖書はこう述べています。「愚かな者は心のうちに『神はいない』と言う」。(詩 14:1,口)明らかに,ローマ・カトリック教会は,個々の教会員の心のうちに神への真の信仰を築くことに失敗しました。
同教会はまた,クリスチャンは政治上の問題に対して厳正中立の立場を保たねばならないことを教えませんでした。イエス・キリストはご自分の追随者についてこう語りました。「わたしが世のものではないのと同じように,彼らも世のものではありません」。(ヨハネ 17:16)イエスは,ご自分の弟子たちに対し,神の王国を祈り求めるようにとも教えました。(マタイ 6:9-13)しかし,望ましい政府を求める人類の真の希望が実現されるのは,人間の政治体制にではなく,すでに設立された神の王国にかかっていることをカトリック教会が教えてこなかったのは明らかです。
クリスチャンの見方
● 英国,ロンドンのタイムズ紙によると,英国教会の教義委員会の最近の報告書は,次のように述べています。「聖書を『神の言葉』とするか『人間の言葉のうちに見られる神の言葉』とするかは,歴史上のある出来事を『神の業』とみなすかどうかと同じく,多分に各自の判断による。これは真偽の証明が可能な命題ではない。聖書について話す際,それを神の言葉として受け入れようとするクリスチャンも数多くいるが,それを受け入れ難いとするクリスチャンもいる」。
つまり,タイムズ紙の伝えるとおり,同委員会の報告によると,「聖書のすべての言葉を受け入れることは……英国教会の会員に期待されてはいない」のです。これは一見,同教会の教義委員会が,単に狭量な態度を排し,聖書を霊感による神の言葉として全面的に受け入れることは必ずしもクリスチャンに求められていないと述べたにすぎないと思えるかもしれません。
しかし,イエス・キリストは,ご自分が地上におられた当時すでに書き終えられていた聖書の言葉を繰り返し引用しました。「あなたのみことばは真理です」と語ったイエスが,聖書のどの部分にも疑いを差しはさんでいなかったことは明白です。―ヨハネ 17:17。
クリスチャン使徒パウロは,『聖書全体は神の霊感を受けたものである』と言明しました。(テモテ第二 3:16,17)さらにパウロは,テサロニケのクリスチャンに次のように語りました。「わたしたちは絶えず神に感謝しています。わたしたちから聞いて神のことばを受けた時,あなたがたはそれを,人間のことばとしてではなく,事実どおり神のことばとして受け入れたからです」― テサロニケ第一 2:13。
動かされた良心
● エホバの証人は,南東アフリカにある国マラウィで残忍な迫害を受け,殴打されたり,強姦されたり,時には殺害されたりしています。それはなぜですか。それは,エホバの証人がクリスチャンとしての中立の立場を堅持し,マラウィ会議党の党員であることを示す政党カードの購入を拒否しているからにほかなりません。(ヨハネ 15:19; 18:36)しかし,証人たちの受けている残忍な仕打ちは,各地で人々の良心を揺り動かしてきました。
事実,1976年3月に,ボンのドイツ連邦議会の下院はこれらの残虐行為に関して長時間にわたる討議を行ないました。答弁に立ったビシネウスキー大臣は一部次のように語りました。「連邦政府は,マラウィのエホバの証人に加えられている迫害に関する報告を契機に,大使を通してドイツ政府の見解をマラウィ政府に伝達した」。
エホバの証人は,自分たちのために行動を取るよう世の政府に要請してはいません。しかし,いとうべき行為を容認することを許さない良心を神が人間に与えられた結果,心ある人々はこのような残虐行為を耳にして驚きの念を禁じえないことを,エホバの証人は知っています。この理由で,使徒パウロは,神の律法を持たない人々が「生まれながらに律法中の事がらを行なう」場合,それは「律法の内容がその心に書かれていることを証明する者であり,その良心が当人とともに証しをし,自らの考えの間で,あるいはとがめられ,あるいは釈明されさえしているのです」と語りました。(ローマ 2:14,15)マラウィの官吏が,その良心に従って,エホバの証人に対する残忍な迫害を終わらせるのはいつのことでしょうか。