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売血と生身の切り売り
「角膜売ります……平日に電話をください」。これはブラジルのリオ・デ・ジャネイロの一新聞に載った広告です。しかも,これは例外的な出来事ではありませんでした。最近の日曜日に,ある新聞にはじん臓を売るという広告が10件,角膜を売るという広告が3件載りました。別の新聞には,角膜の広告が3件,じん臓の広告が5件載りました。一体どうなっているのでしょうか。どうやらブラジルの年間120%のインフレと広範囲に及ぶ貧困により,貧しい人々が収支の帳じりを合わせるために体の一部を売ることを余儀なくされているようです。そうした広告をした一人の人は,「命懸けなのは百も承知ですが,ほかの方法ではやりくりをしていけないのです。……残された道はこれしかありません」と語りました。
貧しい人や失業者の多くも,家族を扶養するために定期的に売血をしており,週に2回も売血をする人もいます。幾百もの商業的な血液銀行が人々から血液を500ccあたり3ないし4㌦(約660円ないし880円)で買い入れ,病院や診療所にそれを60㌦(約1万3,200円)で売っています。文書に記録されている幾つかの事例では,血液を売り過ぎた人が血液を売って得たお金で食べ物を買っている最中に倒れて,そのまま息を引き取った,とされています。
明らかに,これらの人々は,なすすべもなく,サタンの圧制的で,貪欲で,腐敗した世界体制の犠牲になりました。このようにして起きている事柄は預言者ミカが自分の時代に観察した事柄と非常に似ています。当時の人々は,「善いことを憎んで悪を愛し,民から皮を,その骨から生肉を引きちぎる者」と言われています。(ミカ 3:1,2,新)そのような「悪」ゆえに,エホバ神は西暦前607年にその不正な体制に終わりをもたらされました。同様に,神は現在の圧制的な体制に終止符を打ち,義の新秩序への道を開かれます。―ペテロ第二 3:13。
創世記の筆者
ハイファにあるテクニオン研究所の研究者の一チームは,語の用法と出現のひん度を研究するようプログラムの組まれたコンピューターに創世記に出て来る言葉2万語を入れ,創世記を言語学的に分析しました。その結果,創世記の筆者に関する新しい論議に火が付けられました。長年の間,聖書学者はいわゆる文書仮説を奉じてきました。すなわち,創世記は一人の人モーセの書いた,あるいは編集した書ではなく,モーセよりずっと後代の人々をも含む幾人かの人が編集したとする説です。ところが研究者の伝えるところによると,コンピューターによる研究の結果,この書が一人の人によって書かれた確率は82%であることが分かり,ただ一人の筆者の存在を示す文体上の“指紋”のあることが明らかにされました。
ヘブライ大学のモシェ・ワインフェルド教授は明言を避けながらも,文書仮説が「創世記の各部分は後代に書かれたものであろうと断定した点で,正確ではなかった」ことを,この研究は「証明しているように思われる」と語りました。別の教授は,この研究は「[仮説の]ある分野を再調査しなければならないことを示しているかもしれない」という点を認めました。
コンピューターの専門家が今後さらにどんな証拠を提出しようと,真のクリスチャンは創世記を含む律法全体の編集者をモーセとしたイエス・キリストと同じ考えを保ちます。―ルカ 24:27,44。テモテ第二 3:16もご覧ください。
犯罪という「流行病」に歯止めを掛ける
「犯罪はアメリカの流行病である」と,レーガン大統領は国際警察本部長連盟の会合で演説しました。連邦捜査局(FBI)の統計によると,1980年には総計1,329万5,400件の重大な犯罪が発生しました。これは平均すると2.4秒に1件の割合になります。
この「流行病」に歯止めを掛ける提案を述べながら,同大統領はさらにこう語りました。「これは究極的には道徳上のジレンマで,道徳上の,あるいはこうした言葉を使っても差し支えなければ,霊的な解決策を求めるものである……結局,アメリカにきちんとした心構えができ,心の変化が生じることによってのみ,犯罪との戦争に勝利を収め得るのである」。
そのような「霊的な解決策」および「心の変化」が今後もたらされるでしょうか。人間の政府や諸機関にそれを求めるなら,実現されないでしょう。ところが,そのような変化に関して預言者イザヤは次のように書いています。「それらはわたしの聖なる山のどこにおいても,害することも損なうこともしない。水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ちるからである」。(イザヤ 11:9,新)神の約束された新秩序で,またそのメシア王国のもとで,「エホバについての知識」は,その時生きているすべての人に必要な変化をもたらし,犯罪のない平和な世界が実現されるのです。―イザヤ 9:6,7もご覧ください。