健全な家族生活を築くためのエホバの備え
1 今日,家族は多方面からの攻撃を受け,危機に瀕しています。親の指導や愛情を十分に受けることなく大きくなってゆく子供たちが増えており,時間をかけて築き上げてきた家庭が離婚や別居によって崩壊してゆく場合も少なくありません。とはいえ,問題の原因がすべて家庭にあるというわけではありません。健全な教育の場となるはずの学校が非行の温床となったり,退廃した社会の影響を受けてしまったりすることがあるからです。
2 しかし,エホバは,家族生活を健全でより幸福なものとするための導きを,聖書を通して与えてくださいました。今日,エホバの崇拝者からなる家族は,家族生活に関する聖書の原則を学び,それを実践することによって安定した家庭を築いてきました。
3 そうした教育の効果は,1979年に出版された「家族生活」の本に負うところが多いと言えます。なぜなら,この本は人々に神のみ言葉の知恵を気づかせ,その思いと心を創造者であられるエホバに向けてきたからです。加えて,この本は結婚を考え始める独身の人から,老後の生活を送るようになった人まで,あらゆる世代を対象とした他に類を見ない本です。それで,5月中わたしたちは熱意を込めてこの本を人々に提供したいと思います。
家の人の思いと心を動かす
4 あなたは家の人の考えを刺激し,心を動かすために,この本の効果的な用い方を前もって準備しますか。各章の内容は,分かりやすい例えや説明に加え,夫,妻,子供,そして親の立場に立って物事を考えるよう読者を助けています。しかもこうした説得力のある論議が,聖書に基づいていることを明らかにしています。(箴言 4:10,11)例えば,結婚を考えている人には,2章が良い話し合いの糸口を提供してくれます。その冒頭には,「家にせよ,生活にせよ,あるいは結婚にせよ,そのいずれも拠って立つところの土台の強さに全く依存しています」という一文があります。第一に自分自身を知り,それから,結婚を決める前に配偶者となる人物をよく知る必要があることを力説しています。お互いをよく知らずに結婚すると,造りや力の異なる動物が同じくびきのもとで働けないのと同様,そうした結婚生活には難儀がつきまとうことになります。
5 「深く尊敬される夫」と題する4章は,「尊敬は,自分を尊敬するようだれかに命令すれば得られるというものではありません。話し方や振舞い,人柄などによって得なければならないものです」という言葉で始まり,妻への感謝を表わすことの大切さをこう説明しています。「自分ひとりで収入を得ているように考えている夫があるなら,その人は,買物をする人,料理人,……その他を雇えばどれほどの費用がかかるか計算してみるとよいでしょう」。箴言 18章22節の言葉は何と的を射ているのでしょう。
6 子供の訓練を扱った9章は,「生まれたばかりの子供の頭は,よく白紙のページに例えられます」という言葉で始まりますが,親と子の双方がそこに何を書き込むかによって,子供の将来は大きく影響を受けるようになります。子供のことを真に気遣う親は,良い作品を描こうとする画家と同様,子供というキャンバスに,愛すること,寛大であること,必要なときには謝ることなど,人生で最も重要な教訓を教え込むことができます。
7 この本にはどの章を取り上げても,家の人と十分に話し合うことのできる情報が含まれています。それで家の人がこの本を読むことに同意したなら,ぜひ次回の訪問を約束なさってください。昨奉仕年度中「新しい家庭聖書研究を取り決める」のシリーズで取り上げた,「家族生活」の本を用いる再訪問の実例は,今なお聖書研究を取り決めるための最も有効な手段の一つであり,こうして研究の始まった研究生の中には,既に伝道者となっている人々さえいるのです。確かに「家族生活」の本は,家庭を崩壊に至らせる世の圧力に屈することなく,安定した幸福な家族生活を営むうえで大きな助けとなるでしょう。