区域を柔らかく耕す

¹ 春になると農夫は固くなった土地を耕し，畝を立て，種をまきます。同様に，真理の種をまき，水を注いでゆく奉仕者各人は，区域の人々の心という土壌を柔らかく耕し，同時に固くならないよう配慮する必要があります。―マタイ 13:23。

² 野外奉仕に真剣に携わるなら，確信を込めて，しかも人々の心に訴える仕方で話せるようになります。また，家の人に良い印象を残す巧みな接し方が身につくなら，人々は証人に親しみを感じるようにさえなるかもしれません。このような奉仕は畑の土を柔らかくしてゆきます。

³ 一方，人々の心を固くさせかねない種々の要素があることを長老をはじめすべての奉仕者が認識すべきです。その一つは，区域を大人数で奉仕することです。会衆によっては，週中や週末を問わずかなりの人数にのぼる奉仕者がグループになって奉仕をしているようです。野外奉仕の司会者が少ないことや，小人数ではあまり励ましが得られないなどの理由で幾つもの群れが合同で奉仕しているかもしれません。しかしながら，このような奉仕の仕方は適正なものと言えないばかりか，人々に良くない印象を与えかねません。―コリント第一 14:33，40。

⁴ 大人数で区域を回る場合，様々な問題が生じます。近所の人々は集合している大勢の証人や群れを成して歩いている証人たちを見て，異様に感じたり警戒心を抱いたりします。また，区域の割り振りに時間がかかり，予定時間に奉仕を開始できず，時間を浪費するという問題もあります。さらに，割り当てられたブロックを終えるたびに奉仕者たちが集まり，宣教とは無関係な話に熱が入るということがあるかもしれません。奉仕の司会者の中には，区域を指示したり別のグループを探したり最後に全員集まってから解散するのを見届けたりするうちに，実質上家から家の奉仕に携わることができない人もいます。

⁵ それで長老たちは会衆の奉仕状況を調査し，奉仕活動が適正に行なわれるよう再検討してみる必要があります。野外奉仕の司会者たちに区域の効果的な回り方や注意事項をきちんと説明しておくなら，奉仕者たちが途中から増えても区域を細分化するなどして機敏に対応できます。集合場所は，あまり目立たないふさわしい場所が選ばれていますか。大勢がグループになって交通を妨害したり，違法駐車をするなどして地域社会の不評を買うことがあるでしょうか。アパートや集合住宅を奉仕する場合，できるだけ小人数の奉仕者を割り当てたり，ベランダから訪問している様子が見えないような仕方で回っているでしょうか。区域を司会する人々に必要な指示を事前に与えておくなら問題を少なくし，区域の人々の心を固くせずにすむでしょう。こうした指針は，幾つかの群れが合同で奉仕するかもしれない休日や春の特別活動，また夕方の奉仕などにもあてはまります。

⁶ 書籍研究の司会者は，兄弟たちが奉仕に十分携わることのできるよう取り決めを設けるべきです。奉仕者たちは，区域の回り方に配慮を示すと同時に，家の人それぞれが自分なりの人生観や関心事を有していることを忘れないでください。わたしたちが道理をわきまえ，家の人に個人的な関心を示し，聖書がどのように家の人に役立つかを示すなら，温かい反応が得られ，再訪問の道が開かれることが少なくありません。そのような奉仕は区域の人々の心を和らげ，産出に結びつくものとなります。そして，なによりも大切なこととして，わたしたちを遣わしてくださった方に誉れが帰されるようになるのです。