ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 目70 3/22 26–27ページ
  • ヨーロッパ統合を目ざす努力

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • ヨーロッパ統合を目ざす努力
  • 目ざめよ! 1970
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • 当初の努力
  • 統合を目ざす他の努力
  • 今後の見通し
  • “ヨーロッパ合衆国”,正しい方向への前進?
    目ざめよ! 1979
  • ヨーロッパの統一 ― なぜ重視されるか
    目ざめよ! 2000
  • ヨーロッパ統合の夢
    目ざめよ! 1991
  • 情勢は本当に明るい方向に向かっているか
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1991
もっと見る
目ざめよ! 1970
目70 3/22 26–27ページ

ヨーロッパ統合を目ざす努力

ルクセンブルクの「目ざめよ!」通信員

第二次大戦後,西ヨーロッパ各国は経済復興という大問題に直面しました。ヨーロッパの産業機構は荒廃し,国民は貧しい生活にあえいでいました。こうした事態に対処するため,西欧各国が自由貿易および緊密な協力関係の確立に努めたのは当然でした。1950年代には,ヨーロッパの統合を求める契機に新たな要素が加わりました。それはソ連による欧州侵略に対するヨーロッパ人の恐れでした。

ではヨーロッパの統合を図るために,どんな方法が講じられましたか。この目的のために設立された諸機構は功を奏しましたか。ヨーロッパ統合の見通しはどうですか。

当初の努力

長い準備期間を経たのちの1949年5月欧州議会が誕生しました。この機構の目的は,その成員国18か国の一致を促進させ,経済および社会的進歩を図ることにありました。しかし同議会は,実質的な権限を持っておらず,成員国に勧告を行なって目標の実現を促すことができるにすぎません。

しかし1951年,欧州石炭鉄鋼共同体の設立とともに,ヨーロッパの協力体制を目ざす第一歩が進められました。同共同体はベルギー,イタリア,フランス,ルクセンブルク,オランダおよび西ドイツの6か国で構成されており,その本部はここルクセンブルクにあります。

この欧州石炭鉄鋼共同体が設けられたのは,石炭と鉄鋼およびこれに伴う他の副産物を処理する共同市場を西ヨーロッパに創設するためで,成員国間の石炭および鉄鋼の流通の障害となっていた関税,割り当て,その他の輸入制限処置の廃止をもくろむものでした。

1950年5月9日,同共同体の構想を正式に発表した,当時のシューマン仏外相は,ヨーロッパ合衆国の樹立がその最終目標であることを指摘しました。しかし同外相は,ヨーロッパ統合を達成するには,幾つかの漸進的な段階を踏まねばならないことを認めました。

この機構の基本的な考え方は,経済統合を図って,商品の生産と流通を改善することにあります。そしてこの機構がそうした点で功を奏した結果,これに類似する6か国共同体が新たに二つ創設されました。

統合を目ざす他の努力

その一つは欧州経済共同体で,一般には欧州共同市場,もしくは簡単に共同市場と呼ばれています。その成員国は,前述の欧州石炭鉄鋼共同体のそれと同じで,ベルギー,イタリア,フランス,オランダ,西ドイツそしてルクセンブルクの6か国です。同共同市場はローマ条約に基づいて設立され,1958年1月1日に発足しました。その本部はベルギーのブリュッセルにあります。

欧州共同市場の目的は,成員国間の商品・労働・サービス・資本の自由交流を実現することにあります。その目的はある程度達成され,自動車,家庭用品その他の幾つかの商品に関するかぎり,たしかに単一市場が開設されました。しかしこの機構のおもな目的は,欧州の政治的統合を実現することにあります。

欧州共同市場と時を同じくして設立されたもう一つの6か国共同機構は,欧州原子力共同体で,略してユーラトムと呼ばれています。この共同体も,欧州共同市場および欧州石炭鉄鋼共同体の6か国で構成されています。

1956年,スエズ危機が生じ,石油の不足する重大な事態の出現する可能性と,ヨーロッパ諸国がやがて原子力を必要とする時代の到来することとが予想されて以来,ユーラトムの設立が考慮されたのです。その後,石油の流通は急速に回復しましたが,原子力の平和利用の発展をめざして,ユーラトムが設立されました。

ヨーロッパ統合を目ざして設立されたこれら三つの機構もしくは共同体は,いろいろな点で互いに関連しています。たとえば,これら3共同機構は,142名の議員から成る欧州議会,また7人の判事から成る司法裁判所および執行機関である委員会を共有しています。この委員会は,共同市場委員会,ユーラトム委員会および欧州石炭鉄鋼共同体最高機関を統合したものであり,ベルギーのブリュッセルに設置されています。

今後の見通し

ヨーロッパ統合を目ざす機構はたしかに幾つも設立されました。しかしその見通しはどうですか。西欧諸国はヨーロッパ合衆国の樹立に向かって歩みを進めていますか。

第二次世界大戦後および1950年代の一般情勢は変わり,ヨーロッパ統合の見通しに重大な影響をもたらしました。ヨーロッパ諸国の一般国民は今や貧困にあえぐどころか,物質面の繁栄を得ています。今日,多数のヨーロッパ人は,ソ連による侵略の脅威は去ったとみています。こうして,西欧の共通の利益を守るために協力しようとの願いとはうらはらに,国家主義的な風潮が高まっています。数年前まで見られた,ヨーロッパ統合を求める気運は,おおかた失われてしまいました。

ヨーロッパの資本家の中には,欧州共同市場委員会に反対する者さえいます。西ドイツの一評論家は,「信頼感はこれまでになく薄れ,失望とあきらめの空気が広まっており,『成員国』6か国はもはや前向きに事を進めてはいない」と述べました。事実,ブリュッセルの同共同体の本部職員は,将来性のある仕事を求めて,すでに何百人も退職しました。

ニューズウィーク誌の特約寄稿家オルソップ氏は最近こう述べました。「西欧諸国が国力に乏しく,かつ,恐るべき戦争の記憶と,ソ連の脅威を感じていたために,ヨーロッパ合衆国の樹立を真剣に論じ合う時代がかつてあった。しかし今それを口にするのはむなしいことである」。

「薄れゆく“欧州統合”の夢」と題する一文を載せた,USニュース・アンド・ワールド・リポート誌はこう伝えました。「西欧諸国はおしなべて自国の利益を追求する傾向にあり,共同市場をヨーロッパ合衆国の中核にしようとの,かつての高遠な希望は,すでに失われてしまった」。

こうして,西欧諸国を統合しようとの高遠な希望が,かつて掲げられたにもかかわらず,自国の益を図ろうとする考えが大きく災いして,そうした希望は薄れてしまいました。ヨーロッパ統合を目ざすこうした努力は,人類が求めてやまない平和を,人間が自らの力ではもたらし得ないことを示す一例にすぎません。永続する平和を願うなら,人間は神に助力を求めねばなりません。

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする