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目ざめよ! 1971
目71 11/22 6–8ページ

ドル問題の背後にあるのは何か

アメリカの国際収支はなぜこういう状態になったのだろうか。20年間になぜそんなに赤字がふえたのだろうか。

簡単に言えば,前にも述べたように,アメリカは海外で自国の収入を上回る支出を常習的に行なってきたからである。

これはアメリカが過去において,外国に売るよりも多くの物を外国から買い入れたという意味だろうか。そうではない。ごく最近までアメリカは,他国との貿易において常に輸出のほうが超過していた。

ではなぜそのように大きな赤字が出たのだろうか。なぜならアメリカは,世界貿易における商品の売買には含まれない,ほかの物のためにドルを費やし,あるいはドルを与えたからである。

この点で非常に重要な位置を占めるのは,対外経済援助である。第二次世界大戦以来,何億ドルもの莫大な額のドルが他の国々に与えられた。そのうえに,アメリカ人は海外で休暇をすごしては他の国々でドルを使う。彼らは,アメリカに来て休暇をすごす外国人よりも多くのお金を使うので,この面でも勘定は赤字になる。

ほかにもドルを流出させる領域がある。退職したアメリカ人の多くは外国で生活する。彼らは年金を受け取り,それを自分が住んでいる国で使う。またアメリカの企業家は,外国で運営する工場や設備にお金を使う。それに加えて,アメリカ人は投資として外国の有価証券を買う。

最大の犯人

しかしながら,アメリカのドルを流出させる最大の品目は,このうちのどれでもない。ではなんだろうか。1971年5月3日号,インダストリー・ウィーク誌は,「交易の赤字をつくる最大の原因は……海外における軍事費である」と述べている。

軍事費には,他国における武器購入費,海外でドルを消費する軍人の給料などが含まれる。また,アメリカと同盟関係にある外国の軍隊の維持費や必需物資の供給費もある。

そのような軍事費について,ニューヨーク・タイムス紙は,「1960年代中,軍事費にかんする米国の国際収支赤字は320億ドルにのぼった。ヘンリー・H・ファウラー元財務長官が強調したとおり,次の10年間には,そのような流出を許すわけにはいかない」と述べている。

そうした軍事費の別の面は,実際に価値のある物を何も生産しないということである。戦争も戦争準備も,国の納税者の富を破壊するものである。敵対する二国家が戦争用の飛行機や戦車を作るとき,永続する経済利益的になるものは何一つ生み出さない。それらの武器が建物や工場,都市,土地の破壊に用いられるとき,どれほどの富が生産されるだろうか。それだけの武器を作る費用とその使用は,国を豊かにするだろうか,それとも貧しくするだろうか。その答えは明らかである。

なるほど,戦争をするということは,戦争の道具が生産されなければならぬことを意味する。それは仕事をつくりだす。しかしその仕事は,経済的富,人類にとって実際に価値のあるものを生産してはいない。土地,家庭,樹木,公園,学校,病院などが改善されただろうか。もし戦争道具の生産に使われるお金がこれらのものに使われたなら,真の永続する経済的利益がもたらされるだろう。

したがって,長い目で見れば,多くの国が費やす戦費は,彼らの富をふやすものではなく,取り去るものである。アメリカの場合,海外における莫大な軍事費は,国際決済で破産状態に向かっている主因をなしている。

不気味な進展

アメリカの立場から見れば,最近,もうひとつ不気味な事態が進展している。アメリカがかつて他国との商取引において有していた莫大な余剰は姿を消しつつある。

最近は輸入のほうが輸出よりも急速にふえている。二,三十年前,アメリカしか能率的に生産できなかった商品の多くを,今では他の国々が生産できるようになっている。しかもそれらの国々の多くは,安い費用で生産する。

アメリカ製品の価格はインフレが原因で急騰している。そのために世界貿易におけるアメリカ製品はいっそう高くなる。外国人は,同質の商品をそれより安く生産する国から買うことを好む。

アメリカの消費者も問題を大きくしている。アメリカ製の品物が高いために,外国製品を買うことが多くなっている。今年,アメリカで売られている靴5足のうち2足は輸入品である。テレビは10台のうち6台,ラジオは10台のうち9台が輸入品である。また,ドイツのフォルクスワーゲンとか,日本のトヨタ・ダットサンなどの外車が殺到して,国産車の中に割り込んでいる。

このように外国商品はアメリカのいたるところで市場をさらっている。国外のみならず国内においても,それらの商品はアメリカ製品の売れ行きを阻害している。もしこの情勢がつづけば,アメリカは,海外における軍事費を全部削除してもやがて赤字を出すことになるだろう。

不均衡は危機を招く

アメリカの国際収支の赤字は何年かにわたって蓄積されてきた。しかし,アメリカの政府当局者は,政治的圧力その他により,他国に金交換をひかえるよう説得することができた。もし金交換に『かけつける』なら,国際通貨基金は互いに密接な関係にあるために,国際通貨基金加盟国全部が危機に見舞われるだろうと警告した。

しかし,親切な銀行家でさえ,選択の余地がほとんど,あるいはまったくなくなる時がくる。彼はお金を借りようとする人々に,『もう貸せない』と言わねばならない。1971年の春そういうことが起こった。この思いきった処置は,1970年中,および1971年のはじめに生じた事態のためであった。

1970年,アメリカは景気後退に悩まされた。この景気後退からの脱出策として種々の試みがなされたが,そのひとつが金利引き下げであった。これは企業を刺激するのが常である。お金を安く借り出せるからだ。自動車を買いたい人,家を建てたい人,あるいは事業を拡張した人はおそらく,金利の低いときに金を借りて使うだろう。

しかしながら投資家は,金利が低ければ利益が少なくなる。そこで多くの投資家は,アメリカでの投資をやめ,金利の高いヨーロッパでの投資に切り換えてしまった。

1971年の春,ドルがヨーロッパに殺到した。投資家たちが高利を求めたばかりではない。ドルが弱いために投機家たちはドルを手離して,もっと強いヨーロッパの通貨,とくに西独マルクを手に入れることを望んでいた。これらの強い通貨はやがて価値が上がり,自分たちは利益が得られると考えたのである。

しかしそういう通貨が一国内に流入すると,その国には使ったり貸したりするお金がふえ,インフレが激化する。何年かにわたるアメリカの赤字はすでに相当なものであるのに,ドルのこのヨーロッパ,特に西独への流入は,まったく重荷に小付けというところであった。ヨーロッパ各国の中央銀行は突如「受け入れを断わる」と言った。一時的にこれ以上のドルの受け入れを拒否したのである。そして自国の通貨を金融市場で上に『浮動』させた。

それは,自国の通貨の変動を1%だけ許すという,国際通貨基金の協定に固執しないことを意味した。そして,自国の通貨が,需要と供給にしたがってそれ自身のレベルをさぐることを許した。ドルの需要が弱く,ヨーロッパの通貨の需要が強かったので,それらの通貨の価値は数%上昇した。

それは実際上,ドルの価値を減ずることであった。アメリカがみずからそれをしないので,他国が自国の通貨を高く再評価することによって,それをしたのである。結果は同じことであった。今や同じ外国製品やサービスを買うのに,より多くのドルを支払わねばならない。

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