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目ざめよ! 1972
目72 1/8 18–20ページ

小さな職人たち

自己紹介します。ぼくは虫です。もっと専門的に言うと,こん虫です。でっかい創造物は,ぼくたち虫よりももっと人々をおどろかせたり,感心させたりしているようだけれど,ほんとうは,ぼくたち虫だって,めったにもらえないような信用証明書をいくつか持っています。今のようなトランジスター時代のことだから,ぼくたちのようによく働く小さな職人も,おもしろいんじゃないかな。

そこでひとつ,ぼくのいとこで,アマゾンの密林にすむアリの話をしましょう。その職人たちは,材木やかん木の上に吊り庭をこしらえます。そして,巣もそこにつくります。どうやって作るかというと,まず枝の上に土を運び上げ,その量をふやしていきます。つぎに土を手ぎわよくくり抜いて通路や小室をつくり,紙のようなものでそれらを強化します。それから,古い庭からもってきた特別の種をまきます。新しい庭はしだいに広がって,ついには木の上のアリの巣をおおってしまい,強い太陽や雨から巣を守ります。

これらの吊り庭は,ぼくたちを研究する人間の好奇心をそそります。ひとつの理由は,こん虫のつくったそれら吊り庭に生えている植物が,他の場所に生育する植物とはっきりちがっているからです。人間の専門家はいままでに,14種類の異なる植物を同定しています。そしてどれひとつとして,それらの吊り庭以外のところで生育しているところは見つかっていないのです。きっとアリだけがそのありかを知っているのでしょう。バビロンの吊り庭は,古代世界の七不思議のひとつと考えられましたが,ぼくたちは同じような不思議を,小規模に,いく世紀にもわたって作り出してきました。

室内装飾家と仕立屋

ぼくの一族には,腕のいい室内装飾家や仕立屋がたくさんいます。それはそれはりっぱな仕事をするミツバチを一種類知っています。せんさいな感覚をもつそれら職人たちは,自分たちの育児用巣房を,最も美しいサテンよりも光沢のある,おどろくほど優雅な膜で,いく層にも内張りをするのです。その膜は輝いてさえいますよ。ちょっと想像してみてください。彼らは舌をこて代わりに使い,装飾材料 ― 特別の分泌物 ― はみんな自分のからだから出すのです。

マルハナバチのなかには,大きさが1㌢そこそこの種類のものがいます。雌は,自分のからだから分泌せずに,外から材料を集めてきます。その材料というのは,いろいろな植物から取る柔らかい物質です。彼女の楽しみは,自分の根拠地をきれいに内装することです。ある種類は,アシのあなやからっぽのカタツムリの殻,ミミズの穴などに内張りをして自分の巣穴にしたり,砲身を内装することさえあります。

ぼくの一族の別の者は仕立屋です。自分が食べられないようにする,あるいは食を得るためには,仕立屋にならねばならないのです。こん虫の仕立屋は,自分のものだけ作って,ほかの者の服は作らないから,その点がぼくの親せきは人間の仕立屋とちがいます。ぼくらは,なかなか凝った仕事をするんですよ。

あなたはこれら仕立屋のことを害虫だと思うかもしれませんが,織物につく虫は腕のいい仕立屋です。衣料を食べるこのガの幼虫は,ウールや毛やその他の布の小片に絹糸を巻きつけた袋,つまりマユの中に住んでいます。幼虫が成長するにつれて,袋はきゅうくつになります。縫代を出して大きくするというわけにいかないので,幼虫は袋の片方を端から半分ほど切り,新しい生地をつぎ足し,マユを大きくします。ついでもう一方に同じようなことをして,左右の釣合いをとります。結果ですか。あなたは腹を立てるかしれませんが,ぼくのいとこは,自分の身をちゃんと保護しながら仕立てなおした,ゆったりしたジャケットをもつことになります。

この小さな仕立屋は,つぎつぎにいろいろな色の布の上に置かれて,実験的に多色のコートを織らされたこともあります。

ぼくはまた,いとこのトビケラの能力にも感心しています。トビケラの幼虫はふつう小川のなかに住んでいます。幼虫は自分のためにそこに小さな家,つまり袋をつくります。種類によってそれぞれ独自の水中の家を作ります。まず第一に幼虫は,絹糸で管式のかくれがを作ります。でも,トビケラの柔らかい,おいしそうなからだを捕食者から守るには,ほかにも何かをしなければなりません。そこでトビケラは,石だの砂だの貝殻だの,なんでも自分の好きな物をくっつけて,かくれがを強化します。草の葉を防護用カバーにして,絹の管に巻きつけるものもあります。種類によっては,自分の好む材料がなければ,なんでもあるもので間に合わせるものもいます。

絹のかくれがに小さな巻貝をいくつかくっつけるのが好きな種類もいます。巻貝の中には住人がまだいて完全に生きています。そういう生きた巻貝の防護カバーは重くて扱いにくいようです。そこでこの仕立屋は,両わきに小さな棒をとりつけて,必要な浮力を与えます。もっともそれは,すばらしく仕立てられた構造物が浮くほどのものではありません。トビケラは長い足をかくれがから突き出します。そしてえさを求めて働くとき,その移動式の家をやすやすとひきずって行きます。それでも十分でないかのように,この小さな生物は,その大きな家の周囲を広げ,長さを延ばしていきます。しかも,いつも流水の下に沈んだままそれをやってのけるのです。

建築家

ぼくたち虫の仲間には,すばらしい建築家もいます。その建て方は建築学的に見て,ぼくたちの必要にぴったりなのです。たとえば,おなじみのミツバチの巣房を考えてみてください。これは6面をもつ構造物,つまり6角形です。ミツバチにとってこれは完全に必要に合った形なのです。6面の巣房のほうが3角形や4角形の巣房よりもたくさん蜜がはいりますからね。また,このデザインは,周囲の房との接触によって巣房を強くするのです。もちろんミツバチは,幾何学など知りません。ですから,この技能は,「知られている本能のなかで最もすばらしいもの」と呼ばれています。

たしかにぼくたち小さな職人は,創造されたときに,本能を与えられたので,おどろくべきわざを行ないます。たとえば,クモの巣をつくる技術を考えてみてください。正確にいえば,クモはぼくたちこん虫の部類にはいりませんが,彼らもまた小さな職人です。クモの巣作りには,距離や角度の測定,糸を平行に張ること,複雑な建築の幾何学などが関係しています。1匹のクモが作った55の巣のことを考えてみましょう。これにはどのくらいの働きが必要だったでしょうか。わずか36分かかっただけでした。糸の長さは37㍍で,くっつけた箇所は699箇。そのクモは53㍍を,一度も混乱したり,立往生することなく,動いたわけです。

興味深いことに,クモは,自分のからだの,巣に接触する部分にだけ油を塗ります。インドの密林に住む15㌢もあるクモは,日暮れからはじめて1時間ほど油塗りをします。これは,先のことを考え,何物も浪費しない本能が備わっていることを物語るものです。

ぼくたち虫の仲間には,あなたがた人間でさえ技術の粋と考えるつかを作るシロアリが幾種類かアフリカにいます。そうしたつかの構造物のなかには,巨大なキノコの形をしたものもあります。その建築様式は,彼らが直面する状況によって異なります。ある地域では,シロアリの建築家たちは,小塔のある城のようなものを建築し,ちがう土の地域では,アリづかは高さ6㍍の塔のように見えるかもしれません。

こん虫が築く最も驚くべきつかは,オーストラリアで見られます。ここでは,ある種のシロアリが,「磁石づか」と呼ばれるものをつくります。これは高さ3.6㍍,長さ3㍍くらいで,必ずと言っていいほど南北をさし,平坦な面が東西に面するように建てられています。あなたがたのこん虫専門家も,なぜこれら小さな職人たちが,そのつかを磁石状に作るのか,実際のところ知らないようですね。それに,ぼくたちも言わないのでね。

穴掘り人夫と坑夫

それから,長さ5ないし13㌢の髪の毛のような管を持つ雌のヒメバチがいます。彼女はその管で樹皮を十四,五㌢えぐり,木を食べるこん虫のかくれたトンネルを掘りあてます。つぎに,管をとおして卵を生みつけ,卵はふ化すると,他のこん虫を食べます。彼女はどのようにして,その細い管を堅い木に打ち込むのでしょうか。管の先端に小さな歯がついていて,それを使って木のせんいを切り開くのです。また,えぐる箇所を選定するヒメバチの能力もたいしたものです。彼女は木を注意深く調べ,ときおり触角で打診します。ついに満足な箇所を見つけ,足のつめを樹皮にたてて,かくれた標的めがけて穴掘りを開始します。

驚くべき坑夫はウッド・ワスプの幼虫です。あるとき,ウッド・ワスプが松材の中に卵を生みつけました。その松材はあとで厚さ3.8㌢(15層)の鉛のケースにはめこまれました。やがて幼虫が出てくる時となり,幼虫は木にトンネルを掘って進んでいるうちに鉛のケースにぶつかりました。しかし彼らはあごを使って鉛のケースに力強くいどみ,途中で幾匹かは死にましたが,あとの幼虫は厚さ3.8㌢の堅い鉛をかじって進み,外に出ました。しかもそれは赤ん坊たちが本能にかられてやったのです。

虫の世界の他の驚くべき坑夫は,サウバ・アントと,ある種のシロアリです。サウバ・アントはいつか,パライバ川の川床の下にトンネルを作ったことがあります。パライバ川は,テームズ川の,ロンドン・ブリッジがあるあたりの川幅と同じ広さをもつ,ブラジルの川です。また砂漠に住むある種のシロアリは,砂地に深さ40㍍ものたて穴を掘ります。そして水のところまでくると,必要なだけの水を巣まで運びあげます。

お話ししようと思えば,まだいくらでもあります。結局,ぼくたち虫のほうが,あなたがた人間よりはるかに数が多いので,ぼくたちのほうに,知っていただきたいものがたくさんあるんですね。しかし,きょうはこのくらいにしましょう。きょうは,ぼくたち小さな職人をもっとよく知っていただく楽しい機会になりました。これで,ぼくたちが,厄介者よりももっとましな者と見ていただけるようになれればと思うのですが。

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