世界展望
1974年 ― 予想と現実
◆ この世界の人々は,将来を予見する点であまり上手ではない。それは次の例を考えればわかる。1949年7月6日付のミルウォーキー・センティネル紙は,25年先の“予告”を載せた。何が予見されていただろうか。「1974年には物価が非常に下がり,買い手は好きなものを選び,その場で去年のドレスかなにかのように容易にそれを捨てることができるであろう」。この予想と今の現実とを比較してみるとよい。1974年7月6日付のニューヨーク・タイムズ紙は次のように報道した。「高騰する食品価格のために,貧しい国々,また至る所の貧しい人々は,限られた食糧供給にあずかったうえでそれと同じほど重要な必需品のための金銭を見いだすことがしだいに難しくなっている」。
「神の目的」大会
◆ 5週間の間(6月20日から7月28日まで)に,全米の40以上の都市でエホバの証人の「神の目的」大会が開かれた。4日間にわたるそれぞれの集まりの最高潮である公開講演に合計80万3,000人以上が出席した。公開講演の講演者は,人間のいろいろな計画が絶えず修正されながらなお失敗を続けていることを指摘した。その結果,キリスト教世界においてさえ一致が見られなくなっている。『「平和の世代」の基礎を置くという政治家たちの約束はむなしく聞こえる!」と講演者は述べた。その原因は何であろうか。『創造者……またその助言を無視していることである』。真の調和は聖書に示される方法でもたらされる,と講演者は述べた。英語またスペイン語でなされたこれら59の大会で,合計2万800人以上がバプテスマを受けた。最後に開かれた三つの大会の報告はこの中に含まれていない。
世界……協議会
◆ 普通の人が宗教会議に出席した場合,そこで宗教に関する話を聞くことを期待する。しかし,実際にそうした話が聞けるであろうか。英国科学振興協会の書記マグナス・パイクは,最近ルーマニアのブカレストで開催された世界教会協議会の会合に出席した。ニュー・サイエンティスト誌は彼が見たものについて次のように報道している。「非宗教的な生活をしてきた科学的な訪問者にとって,ブカレストでの議事はかなりの驚きとなった。討議の多く(そのあるものは激論であったが)は政治に関するものであった。どんな種類の“社会主義”によって社会の公正がもたらされるか(資本主義についてよく言う者はいなかった),そしてどのようにして富んだ国が自らの富の償いをして貧しくなり,それによって……貧しい国がより豊かになるかなどが討議されていた」。
ラテン・アメリカにおける教会の現状
◆ 「今日の神学」誌は最近,ラテン・アメリカにおけるキリスト教世界諸教会の状態を要約した。そのありさまはわびしいものである。「神学校に入学するものの数はかなり減少している。あまりにも多くの僧職者がその任務を離れたために,それは“消え行く職業”と呼ばれるようになった。保守主義者,進歩主義者,革命主義者,教派主義者,信仰復興主義者,カリスマ主義者などがキリスト教社会に入り乱れて紛争や緊張が増大している。……カトリック社会もプロテスタント社会も共にこの危機に巻き込まれている」。
空っぽのオーストラリアの諸教会
◆ オーストラリアの諸教会は「スランプ状態にある」と,オーストラリア・ルーテル教会の会長L・グローブは,最近シアトル・タイムズ紙上で語った。彼は次のように述べた。「オーストラリア人の95%は,自分はいずれかの教派に属するクリスチャンであると言うであろう。しかし統計を扱う人は,近年[教会]に定期的に出席している人がその10%を超えたことがないという点を指摘するであろう。今ではこれよりさらに少なくなっているかもしれないが,それはほとんど目にとまらないであろう。どちらにしても教会はほとんど空っぽなのだから」。
セイウチの予報官
◆ 北極では,氷の状態を予報するのにセイウチの生態が利用されている。1965年,セイウチの一群が氷原のヘリから160㌔ほど中に入った所にいるのが見られた。二週間以内にその地区の氷は完全に解けた。それ以来,同様のことが幾度か起きた。専門家の推測によると,セイウチは暖かい海流に乗って,氷原のはるか内部まで入っていく。セイウチの大好物は,暖かい水と冷たい水が会う所に見いだされるからである。その暖かい海流は徐々に氷を解かす。ソ連の雑誌,ズナニエ-シラは次のように述べている。「セイウチの“予報”はすべて正確であることが証明された」。
早い回復
◆ 病気の人が早く回復するために宗教が役に立つだろうか。「アメリカ医学ニューズ」誌の最近号の中で,カリフォルニア州オレンジのR・J・マクファレン博士は次のように述べている。「わたしの経験では,活発で積極的な宗教的信仰を持つ患者はより早く回復し,病気になる率も低い。信仰を持っていても,心理的障害,種々の神経症,肉体面での病気などになることがある。しかし,ある精神科医に宗教と精神医学についてどう考えるか聞いたところ,彼はこう答えた。『患者が治療の基礎となる信仰を持っているなら,健全な精神状態に戻るための戦いの50%は,治療の初めの段階で成し遂げられる」。
お年寄り
◆ 世界保健機構(WHO)の調査によると,いわゆる貧しい国の年寄りのほうが先進諸国の年寄りよりも恵まれている。なぜだろうか。一般的に言って開発途上国の老人は地位を与えられ,家族から面倒を見てもらっている。他方,先進諸国では,しばしば老人を引退に追いやり,国家に面倒を見させる。同調査は,年老いた人々が肉体的また精神的に可能な限り,働けるようにすることを勧めている。
消え行く預金者たち
◆ いよいよ多くの人が世界の経済体制に対する希望を失っている。サタデー・レビュー(ワールド)誌に,フランスのストラスバークからリチャード・ネフが報告した点に注目するとよい。「つつましやかな預金者たち,一定の収入しかない人々,債権者たちなどは,いつの世でもインフレによって一番大きな被害を受けてきた。しかし今日,これらの人々でさえ,以前ほどインフレに抵抗しなくなった。預金族は,どこにおいても風変りな消え行きつつある種族となっている。伝統的に保守的なフランスにおいてさえ,1959年に月賦購買者の16倍もいた預金者は,現在では月賦購買者の5倍にすぎなくなった!」。
アフリカの飢きんの原因
◆ アフリカのサハラ地方の飢きんの主な原因は何であろうか。ある“専門家たち”の感情を害するかもしれないが,サイエンス誌はこの飢きんが主として人間自身によって引き起こされたとしている。次のように述べている,「過去数十年にわたる西欧諸国の科学や技術,慈善団体や諸政府の全くの善意からの努力などが,実際には破壊の主な役を果たした。……長い目で見れば,サハラにおける西欧諸国の干渉で住民の側に役立ったものはほとんどない」。