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目ざめよ! 1975
目75 10/8 20–23ページ

湿地は保護に値しますか

潟,湿原あるいは沢など,いろいろな呼び方があるかもしれません。それは多くの場合,淡水または海水で全くおおわれた,いつでも湿った土地です。米国だけでも,こうした湿地帯は海岸沿いに何千平方キロも広がっています。

これらの湿地は保護するだけの価値がありますか。これは今おおくの地域社会の住民によって盛んに論じられている問題です。それはなぜですか。この土地はいろいろな用途に望まれているからなのです。

地域社会の発展につれて,住宅,ごみ処理,空港,発電所,娯楽施設などのためにますます多くの土地が必要になり,湿地帯がふつうこれらの用途にあてられています。ところが今では湿地を残すべきであるという声が出ており,そのために激しい論戦や法廷での争いが繰り広げられています。

つづく戦い

「人は湿地と呼ぶが,私に言わせればそれは無駄な土地だ」。ニュージャージー州の停年退職した一市民はこう宣言しました。

問題の湿地はジャージー海岸にあって,そこは草の茂った約75ヘクタールの砂地です。環境の専門家によれば,そこはラリタン湾沿いの湿地帯約400ヘクタールの肝要な一部をなしています。ここにジャージー・セントラル電燈電力会社が発電所の建設を希望しており,住民の多くもそれを望んでいます。

「我々には電力が必要であり,仕事が必要であり,また我々の町を救って再興するのに助けとなる税収入が必要である」と,化学工場の一労働者は説明しています。

住民のひとりは次のことばを加えました。「我々はようやく生活が安定した。それなのに今度は『切りつめるように』と言われ,鳥や魚を守るために『手加減せよ』と言われる。我々が心配しなければならないのは家族である。……ことは一発電所の問題ではなくて我々の生活がかかっている」。

別の例では,昨年初め,フィラデルフィアの米国浚渫会社がグロウセスター郡にある自社所有の干潟約60ヘクタールに浚渫した土砂を投棄することを禁ぜられました。会社はニュージャージー州の湿原法とそれを実施することの合憲性を問題にしています。1973年9月1日,ニューヨーク州潮湿地法が施行され,同州に残された干潟は保護されることになりました。するとほとんど同時に法廷闘争が始まっています。1973年11月15日付ニューヨーク・タイムズ一面の見出しは,こう報じました,「湿地法をめぐる訴訟第一号」。数日後には同法に対する建設業界からの反対運動が宣言されました。

こうして闘争は尾をひいています。米国の東岸沿いの土地では次々と闘争が繰り広げられました。一方の側は湿原が多くの面で必要不可欠であると主張し,他方の側は湿原を“無駄地”と見て,これを工業用地や地域社会の発展のために活用すべきであると主張しています。

湿原を保護する法律の多くは施行されてまだ日が浅いため,それをめぐる闘争も比較的に最近のものです。昔は湿地帯の保護はほとんど考えられていませんでした。

減少する湿原

ニューヨーク市の多くの部分も以前は湿地帯でした。しかし1900年までには,かつて広大な干潟であったマンハッタンは埋め立てられ,建物が立ち並ぶようになりました。1900年当時,同市の他の区にはおよそ110平方㌔の潟がなお残されていましたが,現在では約15.5平方㌔が残されているにすぎません。他の大都市やその周辺においても,湿地を埋め立てて建物を建てることが広範囲に行なわれてきました。

1954年から1965年までの間にメイン州からデラウェア州に至る大西洋岸では,約1万8,200平方㌔に上る干潟が埋め立てられました。ニューヨークのロングアイランドではこの期間に干潟のほとんど30パーセントが失われています。ニュージャージー,デラウェア,メリーランドの諸州では,何百ヘクタールに上る干潟が姿を消しました。過去三十五年間に米国の湿原の四分の一が汚染,埋め立て,浚渫によって破壊されたということです。

しかしこれはそれほど悪いことですか。このような土地の多くは,今ではより高度に利用されているのではありませんか。たとえば,ニューヨークのラガデア,ケネディ両空港,イーストブロンクスのコープシティーや美しいシアスタジアムは,かつてそこにあった干潟よりもずっと価値があるのではありませんか。湿原を保護する法律が成立したのはなぜですか。

目に訴える以上のもの

干潟が多くの人にとって無価値な土地に見えるのは無理からぬことです。かたい草が茂っただけの,起伏のない広がりは変化に乏しく,単調に見えます。しかし海と陸をつなぐ干潟は貴重な役割を果たしているのです。

たとえば,潟は波浪の浸食から海岸線とそこの居住地を守ります。潟が破壊されると,たいてい環境上皮肉なことが起こります。ニューヨーク市のブルックリン南部とクイーンズの干潟が埋め立てられたとき,陸軍工兵隊はジャマイカ湾の入口に5,550万ドル(約166億5,000万円)の工費をかけてハリケーンの防壁を作ることを提案しました。

また干潟には人々に安らぎを与える多くの野生生物が生息しています。ニューヨークのジャマイカ湾に残る干潟では,摩天楼を遠景にヒラメやスズキを釣ったり,カメを捕える漁師の姿が今でも見られます。潮干狩も干潟での楽しい遊びです。また干潟の水たまりで餌をあさったり,チェサピーク湾の上空を群れをなして舞う何千羽の大ガンを見る喜びがあります。潟が破壊されると,カモやサギなどの鳥や動物はそこを追われるか,死ぬかしなければなりません。

干潟に親しみのない人はこのような益について知らないかもしれません。しかしたとえその益を知るようになっても,干潟はもっと有益な利用法を考えるべきであると主張する人がいることでしょう。干潟を住宅地や工業団地に発展させるならば,そこから得られる税収が地域社会にもっと大きな益をもたらすという主張もあるでしょう。

しかしほんとうにそうですか。この問いに正しく答えるには,潟および最近の世界の動きに対する理解が必要です。

ますます認識されてきた価値

ある種の土地,たとえば肥沃な小麦畑やトウモロコシ畑の価値は過小評価される傾向のあることが一般に認められています。このような土地は一見それほど価値がないように見えるかもしれません。事実,市街地ならばほんのわずかしか買えない金で一エーカーの農地が買える場合もあります。しかし飢えている人にとって,食糧を生産できる土地と,家や工場や他の建物が新しく建てられた土地と,どちらが貴重ですか。

いうまでもなくその答えは明らかです。「しかし,それと干潟となんの関係があるのか」,と言われるかもしれません。大いに関係があるのです。というのはこれらの干潟は最良の小麦畑やトウモロコシ畑よりも多くの食糧を実際に生産することが明らかになったからです。ジョン,ミルドレッド・ティール共著「干潟の生と死」に次のことが出ています。

「一ヘクタールの干潟は年にほとんど25トンの有機物を生産する。これと比較して,小麦の平均収量は茎と葉を入れても一ヘクタールあたり年に約3.7トンである。この国の最良の牧草地は一ヘクタールあたり年に約10トンを生産し,世界最良の小麦畑がある北ヨーロッパでも,多くの手間をかけて一ヘクタールの土地から約17.5トンをどうにか生産している」。

潟は確かにばく大な量の食糧を生産します。しかし干潟に生える草の上に人間は住めないと,すぐに指摘する向きがあるでしょう。それは確かにそうかもしれません。米国の東部で湿原植物のおもなものはスパーティナ・オルタニフローラおよびスパーティナ・ペイテンズと呼ばれる茎のかたい草です。牧草地の草を飼料とする牛や羊や豚を人間が食用にするように,湿原植物を食べて生きる動物を食用にすることができます。

干潟の動物の大部分は,背が高く,葉の固いスパーティナ・オルタニフローラから栄養分を得ています。ある動物はこの草を直接に食べますが,多くは枯れた草が腐敗してできたものを食べています。草は枯死すると,微細な有機物に分解されて周辺の江湾の水に養分を与え,これが水中の生物の餌となります。

この養分を利用すると,ばく大な量の食糧を生産できます。潟や周辺の湾の一部は栽培漁業のために利用できます。東洋のある国々では水生動物の養殖が行なわれ,潟の水中で一ヘクタールあたり1,100キロのエビと2,200キロの魚が毎年,生産されています。日本の広島湾ではヘクタールあたり,むき身にしてなんと約5万6,000キロに上るカキの水揚げがあります。

干潟を保護するならば,米国においても栽培漁業は食糧資源をふやすものとなるでしょう。しかしたとえ栽培漁業を行なわなくても,大西洋岸沿いにある干潟の一部は,ヘクタールあたりで比べると最良の家畜飼育地帯よりも多くの食糧を貝や甲殻類の形で産出しています。たとえばニアンチック川の河口では一ヘクタールあたり年に約340キロのホタテ貝がとれます。またマサチューセッツ州のある干潟では年額30万ドル(約9,000万円)を超えるハマグリの水揚げがあります。

しかし食糧を豊富に産出する潟を保護するほどに食糧は貴重ですか。世界には餓死する人が何万人もいるという最近の月々の報道を,あなたはどう受け取りますか。また例えば1974年3月22日付イサカ・ジャーナル紙に報ぜられた次のような事柄をどう思いますか。「エネルギー,農業,人口,世界経済の,通常は控え目な専門家たちも,経済の破たん,社会の崩壊,今年の末または1975年初めまでに10億の人々に迫る飢餓を予測しはじめている」。米国でさえ,この世界の食糧不足に悩まされるという点で例外ではありません。

これに照らしてみるとき,食糧生産の面で地球上最良のものに属する土地を破壊してよいでしょうか。多くの人はそのようには考えません。海の魚に対する干潟の影響が明らかになるにつれて,人々の考え方は干潟の保護に傾いてきました。

海の畑また養魚場

干潟は周辺に住む動物だけでなく,沿岸の海に住む魚にも食物を供給しています。世界市場に出回る魚の80から90パーセントは,沿岸の水域でとれると推定されています。大西洋側の沿岸水域に住む魚の大部分にとって,その死活にかかわる食物は干潟によって供給されているのです。干潟は海の魚にとってまさしく畑であると言えます。

そのうえこれら海の魚の多くは干潟によって産卵を保護されており,幼少期の大部分をそこですごして大きく,また強くなります。米国の東海岸で水揚げされる魚の約三分の二は,一生のいつかを干潟の入江で過ごすものと推定されています。それで干潟が破壊されるならばどうなりますか。

一例としてニューヨーク市の場合を考えてみてください。そこはかつて漁業の栄えたところでした。しかし干潟の大部分が破壊され,水が汚染されたため,漁業は今日見る影もありません。これは一般の傾向のようです。事実,1955年から1965年に至る間に米国東岸およびメキシコ湾岸沖における,潟に依存する魚の漁獲高は約4,500万キロ以上の減少を見たと言われます。

科学者はこのような傾向を憂慮しています。米国内務省のスポーツ漁業および野生動物局のジョン・ゴッツチョーク局長は次のように強調しました。「干潟がなくなることによって大陸棚の生態系は変わりつつある。このことについてわたしはなんの疑いも抱いていない」。ジョージア大学生態系研究所の理事ユージン・P・オウダム博士はこう述べています,「潟を保護するのはもはやぜいたくなことではなく,科学的に見て必要なことである」。

「国立公園と保護管理誌」の1974年3月号に生物学者のジョン・ヘイは次のことを書いています。「潟というものを“現実的に”考えるならば,それは海の揺りかごとして,住宅建設よりもずっと生産的であることを理解しなければならない。潟がなければ海の魚は産卵と成長の場所を失い,やがて海に出て行くこともなくなる。そうなればそれを捕る漁師の収入の道も絶たれてしまう。大西洋岸の漁船団の漁獲は近年かんばしくないが,それでも沿岸の潟や入江で育つ魚の漁獲高は金額にしておよそ7,500万ドル(約225億円)に上っている。ばく大な額の現金収入を得ている海のスポーツ産業と貝や甲殻類をとる漁業はいずれも養魚場である潟に依存している」。

有意義な法律

一部の人々は,潟を埋め立てて他の用途にあてることにより経済上の利益を得ようとします。しかし潟の価値がますます明らかになるにつれて,これらの地域を保護する法律が作られてきました。それでも湿地帯を埋め立てようとして法律に抵抗する人々はあちこちであとを絶ちません。1974年2月21日付ニューヨーク・タイムズはこの問題について興味深い社説を掲げ,次のように結論しています。

「それで“公共の益”をはかって湿地を保護するための法律が制定されている。そしてこれらの法律は,自分自身の経済的な利益を求める開発業者によって挑戦されることが多い。このように無理やりに開発を進めようとする人がいるのはなぜか。なぜならば,たいていの人々は自然が湿原と潟を造った理由も,それらの持つ,はかりしれない価値をも知らないからである」。

こうして多くの場合,人間は,地球がすばらしく造られている仕組みや,その驚くべき相互依存の働きについて知識を持たずに行動しています。わたしたち人間のこのすばらしい住みかについてできる限りのことを学び,わたしたちの創造者が意図されたとおりにそれを管理することに努めるのは確かに賢明です。

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