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目ざめよ! 1975
目75 11/8 16–22ページ

心臓発作 ― この現代病に対処する

多くの人の命を奪うこの病気が自分の母親をどのように襲い,それに対処するのにどのような知識が役立ったかについて,一人の若い婦人の語る経験。

毎年百万をはるかに超えるアメリカ人が経験することですが,わたしの母も心臓の発作を経験しました。その時のことを,母は次のように説明しています。

「ニューヨーク市の中央部にある自分の仕事場へ行く途中,突然,胸の中心部に異様なものを感じました。わたしは胸を押さえて,『どうしたのかしら。何か自分に合わないものでも食べたのかしら』と考えました。

「わたしは力が抜けたように感じ,長い間その場に立ち止まらざるを得ませんでした。息をしようにも,極度に締め付けられているように感じて,深く吹い込むことができませんでした。原因は胃にあるような気がしましたが,今までに味わったことのない感覚でした」。

このような発作で急死する人は毎年25万人を超えるのですから,母が命を取り留めたのは正に不幸中の幸いでした。毎年75万人余りのアメリカ人が心臓病で命をなくします。合計すると,心臓および血管系の病気で死ぬ人の数は,米国の死亡者総数の半数をはるかに超えています。

しかし,この問題は米国だけに限られてはいません。世界の工業諸国は心臓病に悩まされています。ハーバード大学の教授ジーン・マイヤー博士が次のように述べているのを読んだことがあります。「我々は世界的流行病の新時代に生きていると言える。というのは,欧米諸国の男性の半数近く(そして女性においてもそれの占める割合は増大している)が,単一の病気で命を失っているからである」。

『何がその原因となっているのだろうか。心臓発作を予防するにはどうしたらよいだろうか。また,自分が心臓発作に襲われたなら,生き延びる可能性を広げるためにどんなことができるだろうか』などとお尋ねになるかもしれません。

当初わたしはその答えを知りませんでした。また,どんな事が関係しているかを理解している人が少ないことにもその時以来気付きました。母の経験がきっかけとなって,わたしはそうした事柄を調べるようになりました。

再度の発作

1972年5月のその金曜日の朝,母は自分が心臓発作に襲われていたことに気付かず,消化不良か単なる過労と考えていました。それで,数分間休むと,再び地下鉄に乗って仕事に出掛けて行きました。

翌週,母は医師に診察してもらいましたが,どこが悪いのかはっきり分からないまま仕事を続けました。その週の水曜日に起きたことについて母は次のように語りました。

「再び胸の下部が締め付けられるような重苦しい気持ちがしました。わたしは痛さの余り,体を折り曲げるようにしてかがみ込みました。同僚が驚いてコップに一杯水を持って来て,『どうしたのですか』と尋ねました。

「わたしは,『分かりません。食べたもののガスか何かでしょう。息がつまるような気がします』と答えました。

「同僚は,『医者に見てもらったほうが良いですよ』と言いました。

「わたしは同意しました。通りを二つほど隔てた所に組合の診療所があります。エレベーターを降りると,胸を締め付けるような気持ちは増々ひどくなりました。ほとんど息ができなくなり,腕の力はなくなり財布を握るのも困難なほどでした。わたしは酒にでも酔ったようにふらふらと歩きましたが,だれ一人手を貸してくれる人はいませんでした。それで,『診療所までたどり着けるよう助けてください』と神に祈りました。診療所のドアを開けると,その場で倒れてしまい,少しの間意識を失ってしまいました。

医師はわたしを診察し,その結果入院させようとしました。しかし,わたしは医師にこう告げました。『大分気分がよくなりました。家に帰らせてください。入院するのでしたら,娘が病院に連れて来てくれます』。わたしが強く言い張ったので,医師は帰宅させてくれました。わたしはひどく弱っており,やっとのことで家にたどり着きました」。

生き延びたのは驚くべきこと

わたしが帰宅した時,母は立って洗たくをしていました。わたしは,「お母さん,どこか具合が悪いみたいよ」と言いました。母の顔色は,真っ青で,黄色がかってさえいました。母とわたしは,わたしが幼い少女だったころにヨーロッパから移住して以来,ずっと一緒に暮らしてきました。父と他の家族は第二次世界大戦中に死にました。

母はほとんど何も言わずに床に就きました。夜中の二時ごろ,わたしは母の呼ぶ声で目を覚ましました。母はひどい胸の痛みを訴え,ほとんど息もできない有様でした。わたしは慌てて,掛かり付けの医師に電話をかけました。医師は言いました,「ウイスキーを少し飲ませて,暖かくし,安静にしてあげてください。そして,気分がよくなったら,病院に連れて行ってください」。

翌朝,タクシーを呼んで,母をニューヨーク市立病院に連れて行きました。それでも母は,心臓の悪いことが信じられず,病院から出たがりました。ところがその時,母は再度の発作に襲われ,床に倒れ息をしようとしてあえぎました。医師や看護婦たちが駆け付けてくれました。

検査の結果,母は心臓病であることがはっきりしました。医師はその病気を心筋梗塞と呼びました。しかも母の場合は重症でした。医師たちは,母がこれまでよく生きていられたものだと,不思議がるほどでした。母は24日間入院しました。

退院して家に戻った時も,母はまだ極度に衰弱しており,二週間というものは,ほとんど寝たきりでした。母のためにわたしは何をするべきなのでしょうか。心筋梗塞,冠状動脈血栓,などの用語すべては,わたしを当惑させるものでした。母の心臓のどこが悪いのでしょうか。何が原因でこのような発作が起こるのでしょうか。そうした事柄を知ろうとして,わたしは図書館に行って数冊の本を借りて来ました。心臓がどのように働くかを知ることは,母の病気を理解する第一歩となりました。

驚くべき器官

基本的に言って心臓の構造はそれほど複雑でないことがわかりました。心臓は空洞のある大きな筋肉であり,二つの部分に分かれています。そして各部分はさらに,血液を受け取る所と血液を送り出す所の二つに分かれています。血液を受け取る所は心房,送り出す所は心室と呼ばれています。ですから,右心房と右心室,そして左心房と左心室があるわけです。このように,心臓は同時に働く,二つの別個のポンプから成っています。

わたしが学んだところによると,心臓は次のようにして働きます。まず右心房が全身から血液を受け取ります。そこに入った血液は右心室へ送り込まれ,そこから肺に押し出されます。肺では,血液中の炭酸ガスが除かれ,酸素が補給されます。新たに酸素を補給された血液は,肺から左心房に向かいます。そこから,命を支えるこの血液は左心室へ送り込まれ,さらに全身に押し出されて行きます。

驚くべきことに,心臓の幾百万個もの細胞は,それぞれ収縮弛緩する独自の能力を持っています。この収縮は,右心房にある洞房結節と呼ばれるものから出る電気的な刺激によって制御されています。洞房結節のお陰で,筋肉細胞は正しい順序と速度で収縮できるのです。その速度は一分間に約70回です。一回収縮すると約70ccの血液が押し出されます。ですから,一時間に押し出される血液は280㍑余りになります。しかし,運動をしている時の運動家の心臓は,一時間に何百㍑もの血液を送り出すのです。

心臓の持つ驚くべき力に,わたしは深い感銘を受けました。医師の述べるところによると,心臓の生み出すエネルギーは非常に大きく,一生の間に心臓の生み出すエネルギーを瞬間的な力に集約できるとすれば,それは戦艦を水上数メートルの高さにまで持ち上げるほどの力になります。心臓の驚くべき能力について学んだことは,わたしにとって励みになりました。

わたしは,右心室が病気やけがで全く損なわれてしまっても,循環系に調整を加えれば,心臓が本来の役割を果たせるとさえ言う心臓病専門医のいることに気付きました。その医師は,左心室の筋肉組織の75%が損なわれたとしても,残りの筋肉がそれを補って全身に血液を供給できるとさえ述べています。

では,母の心臓は何らかの仕方でほとんど完全に損なわれたという意味でしょうか。母の心臓がもう少しのところで止まりそうになった原因は何でしたか。

問題の根源

わたしは,心臓に栄養の不足しているのが問題であることを知りました。『しかし,心臓は文字通り血液に浸され,毎日幾㌧もの血液が心臓の各房室を流れているというのに,どうしてそんなことがあるのだろうか』と尋ねる方もおられるでしょう。それは,心臓がその房室内の血液から栄養分を受けていないからです。

それは,ガソリン輸送車の場合と比較できるでしょう。その輸送車は幾千㍑ものガソリンを顧客の所へ運んでいても,ガソリンが切れて止まってしまう場合があります。そのトラックは,自らが運んでいるガソリンを燃料として走行しているのではないので,燃料を補給するために給油所で停車しなければならないのです。同様に心臓も房室内の血液から栄養分を受けるのではなく,いったん心臓から送り出された後,二つの冠状動脈を通って心筋に戻って来る血液から栄養分を受けるのです。

血液は大動脈と呼ばれる太い動脈に送り出されますが,その幾らかは直ちに大動脈から冠状動脈へと流れて行きます。それが冠状動脈と呼ばれるのは,心臓の上を冠のように取り巻いているからです。これら二つの動脈は,網の目のような,より小さな血管に枝分かれし,やがて毛細血管になります。こうして血液中の酸素や栄養分は心筋全体に行き渡るのです。心臓が送り出す血液全体の5ないし10%は,これら冠状動脈に流れ込み,心臓に栄養を与えます。これらの動脈の中で起こる障害が心臓発作の原因になることが分かりました。

冠状動脈の中に脂肪沈殿物が沈積するのが問題の根源であり,それはアテローム性動脈硬化症と呼ばれる症状を引き起こします。問題を分かりやすく説明するため,医師はその過程を,温水管の中にさびが沈積し,やがては水の流れを妨げるのと比較するでしょう。

しかし,アテローム性動脈硬化症は,血管内を一様に狭くしてしまうわけではありません。沈殿物が血管内の所々に沈積しても,血管の他の部分の直径は正常であるかもしれません。従って,血液の流れは各々の障害物を通過する際に速度を速めるだけの場合もあるので,必ずしも実際に流れる血液の量が減少するとは限りません。しかしわたしは,このアテローム性動脈硬化症の症状が,心臓発作の起こりやすい状態をどのように作り出すかを理解するようになりました。

どのようにですか。

発作を起こす閉塞

血液が異常なほど小さな開口部から押し出されると,血液中の物質は凝血つまり血栓を形成するよう促されます。一般にこの反応は,傷口からの出血が続いて死ぬことがないようわたしたちを守り,傷の治ゆに役立ちます。しかし,血液中の凝血物質が非常に狭くなった血管の中で反応し始めるなら,そこで形成された血栓は血液の流れを遮断してしまうことがあります。また,脂肪沈積物そのものが壁面からはがれて血管をふさいでしまう場合もあります。ふさがれた血管が心臓の中にある場合,それは冠状動脈血栓と呼ばれます。

心筋梗塞という言葉は,この血管閉塞の結果を指していることをわたしは知りました。心筋梗塞の“心”は心臓を,“筋”は筋肉を指しており,“梗塞”は血液の流れが妨げられたために組織が壊死状態に陥ることです。ふさがれた血管が心臓の大部分に栄養を与える血液を供給している主要なものであれば,そのために筋肉組織が壊死状態に陥る結果として,心臓は止まってしまいます。それが致命的な心臓発作です。

アテローム性動脈硬化症のために,体内の他の場所にもこうした血管閉塞が起こり得ますが,最も冒されやすいのは冠状動脈です。この点はわたしにとって興味深いことでした。また脳の血管に閉塞が起きると卒中を引き起こします。しかし,心臓の血管の閉塞は心筋梗塞,つまり心臓発作を引き起こすのです。

閉塞を伴わない心臓発作

しかし,凝血の関係していない心臓発作も多く,それが心臓発作の半分以上を占めていると言えるかもしれません。そうした発作はアテローム性動脈硬化で血管が狭くなっているだけで起きるのです。事実,心筋に対する損傷がほんのわずかであっても致命的な発作の起こる場合があります。本質的に健康な心臓が止まってしまうのはなぜですか。

そのような場合,心臓は何らかの肉体的あるいは感情的な非常事態に対処するために,より多くの血液を必要としており,狭くなった血管を通して心臓に到達する血液だけでは間に合わなくなってしまうようです。それから,心筋のごくわずかな部分が一時的に血液の供給を受けなくなっただけで,電気的な刺激の型が乱れ,鼓動のリズムが狂ってしまいます。そうなると心臓は心室細動と呼ばれる症状を呈します。それは心臓が小刻みに震え,推進力を失って止まってしまう,異常で重大な合併症です。血液を送り出す心室の正常な機能が回復しないなら,数分後には死んでしまいます。こうして,本質的には健康な心臓の持ち主が毎年幾千人も命を失うのです。

心臓発作とは分からないような発作とその治ゆ

わたしは,ごくわずかな徴候を呈するだけの心臓発作の多いことを知って驚かされました。事実,心臓病の専門家は,最初の発作の約二割は犠牲者が少しも気付かぬうちに起きているのではないかと推定しています。それは,心臓の血管が突然にではなく,数週間か数か月間にわたって閉鎖されてゆくからかもしれません。その結果生ずる心筋の損傷が,後程,定期検診などの際に心電図を取ってみて分かる場合もしばしばあります。

さらにまた,母の場合のように,徴候が表われていても,それが心臓発作であるとは気付かないこともあります。母は,その徴候は消化不良から来る激しい発作だと思っていましたが,そのように考える人は少なくありません。疲労を感じ,顔色が青白くなると共に,吐き気を催すこともあります。わたしは,次のような典型的な症例について読みました。

70代半ばのある男の人は,重い心臓病に悩まされるようになってから,医師に診察してもらいました。心電図は二つの古い冠状動脈血栓のあることを示していました。凝血の結果,心筋が壊死状態に陥っていたのです。その人は,25年ほど前に,自分ではひどい消化不良の結果であると思った発作に襲われ,その二年後にまた別の発作に見舞われたことを思い出しました。その時は医師の診察を受けませんでしたが,老齢になるまで生き延びたのです。医師たちは,そのような例は幾千となくあると述べています。

実際,心筋の壊死状態に陥った部位を治療するために医師にできることはほとんどありません。心臓が心筋梗塞を切り抜け,致命的な細動に陥らなかったなら,壊死状態にある筋肉に取って代わって瘢痕組織が形成されるのを待つ以外にありません。しっかりした有効な瘢痕が形成されるには,活動を制限することが大切です。役立たない部分の働きなしに心筋が正常な機能を果たせるようにするため,瘢痕は生きている筋肉をできるだけ近くに引き寄せます。

医師は母の心電図をわたしたちに示し,冠状動脈血栓とその結果心筋が壊死状態に陥った形跡を指摘しました。医師は,今できることと言えば,心臓にその機能を回復する機会を与えるため活動を最小限にとどめ,心臓を休ませるだけである,と述べました。母は,この回復期間が心臓病患者にとってどれほど重要であるかを認識していませんでした。しかし,間もなく母は,恐ろしい仕方でそのことを銘記させられました。

再度の危機

母は働かないではいられない性分でしたから,しきりに仕事に戻りたがりました。母は快方に向かっているように見えました。実際,わたしたちは田舎で一週間の休暇を楽しみました。しかし,母は無理し過ぎたようです。

数日後のある晩,家に帰ると,母はひどい痛みで苦しんでいました。その左腕と左半身は麻ひしていました。わたしは,病院で母を診療してくれた医師に電話を掛けました。医師は,すぐに母を病院に連れて来るように,と言いました。しかし母は,そうしてもむだであると考えていました。無理に母を連れて行くことはできませんでしたから,わたしたちの住むアパートまで往診してもらえないかどうか尋ねてみましたが,往診はできないとのことでした。

「どうしたらよいのでしょう」とわたしは尋ねました。

その医師はこう答えました。「ただ見守って,心の準備をするだけです。お母さんは一生麻ひしたままでいるか,卒中を起こすか,お亡くなりになりさえするかもしれません。あなたにできることは何もありません」。

わたしは,以前に母を診察したことのある,別の心臓病専門医に電話を掛けてみました。その医師の方が同情を示してくれましたが,やはり往診はできないと言って丁重に断わりました。わたしは本当にろうばいしており,何も考えられないような状態でした。

しかしその時,わたしはひざまずいて祈り,力と導きを与えてくださるよう神に求めました。立ち上がった時には,もはや狂乱状態にはありませんでした。わたしはすぐに,まだ手元にあった医学書を開いて調べてみました。

応急処置

その本はまず,少なくとも三,四日間は固形食を全く与えず,液体だけを与えるようにと述べていました。そこでわたしは,絞りたてのグレープフルーツやオレンジのジュース約60ccを二,三時間おきに母に飲ませました。数日後わたしは,昼食として,ゆでてつぶした野菜を少しずつ与えるようにしました。

またその本は,患者を暖かくし,かん腸をし,毎日二回ずつ辛子を使って足浴を施すようにと述べていました。そしてとりわけ,手洗いに行くためであっても,患者を動かしてはなりませんでした。今になって考えてみると,あの晩母を病院に連れて行こうとしていたなら,母はそのために死んでいたかもしれないと思います。

わたしは自分の仕事を一週間休んで,昼も夜も看病しました。そして再び仕事に戻った時には,友人と取決めを設けて,母と一緒に居てもらいました。わたしたちは三週間というもの,母を寝床から出しませんでした。母は徐々に快方に向かい,立って歩き回れるようになりました。

感謝すべきことに,母の心臓は細動状態には陥りませんでした。そうなっていたなら,何をしたらよいか分からなくなっていたでしょう。その後わたしは,外部からの心臓マッサージと人工呼吸を組み合わせた心臓肺蘇生術(CPR)について学びました。「目ざめよ!」誌の1973年9月22日号は,その技術について論じていました。そして,ニューヨーク心臓学会に属する一医師は,その技術を応用すれば,毎年ニューヨーク市で心臓発作のために亡くなる1万4,000人のうち4,000人までの死を防ぐのに役立つと推定しています。

しかしわたしは,自ら心臓病に悩む他の人々がきっと抱いていると思われる次のような疑問を持ちました。この現代病の背後には何があるのだろうか。心臓発作をもたらす,動脈内の沈殿物の沈積を引き起こすものは何だろうか。

はっきりしない,さまざまな見解

わたしは,権威者たちにもそれがまだはっきり分かっていないことを知りました。それは,不断の研究に基づくその結論がそれぞれ異なっていることからも明らかです。しかし,コレステロールと脂肪(グリセリド)は,沈殿物や動脈硬化と何らかの関係があります。コレステロールを含む食品は,いろいろあります。それと同時に,わたしたちの肝臓や他の器官でもコレステロールは作られます。ところが,脂肪性物質の沈殿物が動脈の中に沈着して悲惨な結果を味わう人は少なくありません。それはなぜですか。

広く信じられている見解で,アメリカ心臓学会も支持しているのは,脂肪とコレステロールに富む食品は血液中のコレステロールの濃度を高くするので,その結果動脈硬化に加えて,アテローム性動脈硬化を引き起こすというものです。しかし,証拠はまた,感情面のストレスが脂肪の多い食品と全く同じほど血液中のコレステロール濃度を高くする場合のあることを示しているようです。例えば,公認会計士を対象とした一調査は,税金の締切期限である4月15日以前のほうが,時間に追われている感じのほとんど消えた5,6月よりも,血液中のコレステロール濃度の高いことを明らかにしています。

しかし,ほかにも見解はあります。糖分の取り過ぎは,ある種のホルモン,特にインシュリンの異常生成を引き起こすと言われています。その結果,血液中のトリグリセリドと呼ばれる脂肪の濃度が増えると考えられています。そして,ひいては動脈内の脂肪性の沈殿物の沈積をもたらすとされています。水道の水に含まれている塩素が,脂肪性の沈殿物を沈降させる主な要因となっているという別の見解もあります。

心臓発作の一因として大抵の権威者が一般的に受け入れている特定の要因もあります。感情面でのストレスや脂肪とコレステロールに富む食品に加えて,遺伝,喫煙,高血圧,現代の座りがちな生活様式などもそうした要因に含まれています。しかし,大抵の心臓発作を引き起こすアテローム性動脈硬化症の原因は,実際にはまだ分かっていないことを認めねばなりません。疑いなく,二つ以上の要素が関係しており,患者によって原因も異なっているのかもしれません。

何ができるか

それでも,わたしの学んだことからすれば,用いることのできる健全で常識的な予防手段があります。著名な心臓病の専門家ポール・ダッドリー・ホワイトはこう述べています。「求められているのは,すでに染み着いてしまった食べ過ぎや運動不足やたばこの吸い過ぎの習慣を変えることである」。

母もわたしもたばこを吸いませんから,その面での変化は必要ありませんでした。しかしわたしたちは,学んだ事柄に従って,自分たちの食習慣を調整しました。それには主に,食事の量を減らすことが関係していました。その上わたしたちは,もう塩や砂糖を使ったり,コーヒーを飲んだりしません。また,全乳,バター,アイスクリーム,卵,そして脂っこい肉などを含め,コレステロールに富む食品をほとんど,あるいは全く食べなくなりました。

運動をすることは,心臓発作を予防する別の重要な手段です。最も良いのは,定期的に,きびきびした足取りで散歩をすることです。そうすれば明らかに,心臓における副行循環(補助的な血行)が確立されます。座りがちな人の場合,筋肉に血液を供給している動脈が細くなり,小さな血管の多くが消えてしまう場合さえあります。こうして筋肉に達する血液は減り,それに共なって供給される酸素も少なくなります。

しかし,定期的な運動は明らかに,より多くの血液を運べるよう動脈を膨張させます。その上,筋肉組織の中により多くの血管が開かれ,さらに多くの酸素を送るための新しい経路になります。それは心筋にとって特に有利です。そうなれば一つの動脈が“詰まった”としても,補助的な経路から供給される血液は,心筋が酸素不足に陥って止まってしまうのを防ぐものとなるからです。

母は,幾月もかけて非常にゆっくりと,身体的な活動を増やしてゆきました。今では,炊事や家事に携わり,かなり活発に動き回っています。医師が驚くべき回復とみなすほど母がよくなったのも,主にこうした用心のお陰であるとわたしは確信しています。

十分の休息を取らなかったことやよくない食習慣なども,母の心臓発作の別の要因となったようですが,特に問題となっていたのは気苦労であると思われます。そこで,母が心臓発作に襲われた後,わたしはかわいいインコを買ってきて,「心配しないで,お母さん。笑顔を見せて」と言うように教え込みました。神のことば聖書も示している通り,そうした気持ちは大切です。こう書かれています。「心に憂いがあればその人をかがませる」。しかし,「心の楽しみは良い薬である」― 箴 12:25; 17:22; 14:30,口語。

苦悩に満ちた今日の世界にあって,喜びを感じる理由を見いだすのは多くの人にとって困難である,というのはもっともなことかもしれません。ところが,現在でも喜びを抱く理由が確かにあることをわたしは知りました。信頼の置ける神のことばの示すところによると,現在の邪悪な状態は,全能の神が今の事物の体制を全く除き去り,ご自分に仕える者たちを生き残るよう保護する時を間近に控えた時代にわたしたちが住んでいることを示す確かな証拠だからです。―マタイ 24:3-14。ヨハネ第一 2:17。

その時,「彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死もなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」との人類に対する神の確かな約束は成就します。(啓示 21:4)心臓発作という,この恐ろしい病気の脅威を少しも感じないで生活できるようになるのは,何とすばらしいことではありませんか。―寄稿。

[17ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

人間の心臓

(正面図; 矢印は血液の流れを示す)

体から

体から

右心房

右心室

肺へ

肺動脈

肺から

左心房

左心室

大動脈

体全体へ

[18ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

アテローム性動脈硬化症

1. 正常な動脈

2. 初期のアテローム性動脈硬化症

(脂肪沈殿物)

3. 進行したアテローム性動脈硬化症

(動脈をほとんどふさいでしまった脂肪沈殿物)

[19ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

冠状動脈血栓症

動脈内の血栓,つまり凝血部位

血液の供給のなくなった範囲(梗塞部位)

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