世界展望
「マラウィのイエス・キリスト」?
◆ 1975年12月6日付のマラウィ・ニューズ紙はH・カムズ・バンダ博士が最近「マラウィのイエス・キリスト」と呼ばれたことを明らかにしている。伝えられるところによると,バンダ大統領は,この言葉がデズザの地区議長L・ジュマ・フィリ氏の語ったものであることを否定するどころか,むしろ「どの宗派であっても真実のクリスチャンの聖職者であるなら,地区議長の発言に対して怒ることはないと弁明した」。同紙は,バンダ博士の語ったことをこう伝えている「メシアが到来して自分たちを救ってくれることをユダヤ人が考え」始めたいきさつを真実のクリスチャンが読むなら,「ユダヤ人にとってメシアがすべてであった理由を理解するだろう」。バンダ博士によれば,マラウィでも「同じことが言える」。同紙はこう報じている。「なぜなら,バンダが帰国する以前に,人々は自分たちを植民地的くびきから救ってくれる者を探していたからだ。もし教会指導者の中にそのことで感情を害する者がいるならその人はクリスチャンではないと彼は語った」。
『剣を鋤とする』
◆ 国連の敷地のすぐ近くで,同事務局の建物の向い側には,次のような文字が刻み込まれた壁がある。「かれらは剣をうちかえて鋤となし,その鎗をうちかえて鎌となし,国は国にむかいて剣をあげず,戦いのことを再びまなばざるべし」。長年その言葉の出典は明らかにされていなかった。しかし最近,この引用文の下に「イザヤ」という名が刻み込まれた。聖書の読者はそれがイザヤ書 2章4節(英本文は欽定訳)の文であることに気付かれるだろう。
健康な国
◆ 日本の厚生省は,全国700の市町村を対象にした健康調査の結果を最近発表した。1万5,300世帯の約5万900人が調査の対象となった。日本人の四人に一人は眼鏡をかけており,十人に一人は1974年中に何らかの病気をしたことがわかった。しかし,病人の数は20.8%も減少しており,前年には千人に対し127.7人であったのが1974年には101.2人になった。ジャパン・タイムズ紙によれば,厚生省は,減少の原因として「1974年中にインフルエンザの大流行がなかった」ことを挙げている。
世界で一番高い,火災による死亡率
◆ 昨年11月に発表された,日本の消防庁の報告によれば,1974年中,日本の火災による死亡率は世界一高かった。千件の火災につき24人が死亡している。調査の対象となった6万7,712件の火災で1,646人の死者を出している。しかし,火災件数は1973年に比べて7.3%減少し,死者も12%減少している。
女声の歌
◆ 六百人ほどのイスラエル系ユダヤ人は最近,全国向けラジオ放送網に対し苦情を申し立てた。女声の歌を放送すべきでないというのがその主張である。その後,米国のユダヤ人社会の指導的なラビは,信仰の厚い人々でも,その女性歌手を知らず,旋律がラブ・ソングでないなら聴いてもよいと定めた。興味深いことに,幾世紀も前に,イスラエル人が紅海を渡った後,男たちはエホバ神に一つの歌をうたった。その男たちにこたえて,モーセのよく知られている姉「ミリアムは彼らに和して歌った」。(出エジプト 15:1,20,21,全米ユダヤ出版協会版「聖書」)男たちはミリアムを知っていても問題にはならなかった。
古代人はすでに行なっていた
◆ 今日,せんじゅぎくなど害虫を防ぐと言われる植物で庭を仕切ったり,囲んだりする人もいる。他の人は,コロラドじゃがいも甲虫を近づかせないため,畑に海草をまいたり,うじを寄せつけないために,木の葉を含む土の中にキャベツを植えたりする。しかし最近,カナダの科学者たちは,古代の農夫も同じような方法を用いていたことを明らかにした。昔の著述家の中には,防虫または殺虫の目的で,クミン,にんにくあるいは,つたを他の作物の横に平行して植えるよう勧める人もいた。雑草を駆除するため,カトーとバロは,オリーブの実の油かすで土を覆うよう提案している。大プリニウスは,いとすぎの葉を野菜の種に混ぜ合わせると,うじが植物の根を食い尽すのを防げると提案している。細菌による植物の病気に対処するため,デモクリトスは種を植える前に,にらの汁に浸すことを奨励している。調査によると,古代ギリシャやローマの農夫は,植物,樹木,動物や土壌から容易に得られる鉱物や化学成分から作った物質を用いた。害虫との戦いには,殺虫剤,除草剤,げっ歯動物抑制物質を用いること,種子の表面処理,およびくん蒸などが含まれていた。
ガンによる死の急増
◆ 普通,米国におけるガンによる死亡率の増加は毎年十万人にき1%である。ところが,国立保健統計センターの発表した暫定資料によると,1975年の最初の7か月間で,原因不明であるがその増加は5.2%上昇している。それに匹敵する数字が,メトロポリタン生命保険会社から提出された。1968年以来ガンによる死亡率の増加は毎年1%を超えなかったが,1975年の最初の半年間に,同社の保険契約者の間でその増加は6%になった。同社の1975年の最初の半年間の統計を1974年の同期と比べると,肺ガンによる死亡者数は7%も増加した。前述の全国的な暫定資料は死亡者数のわずか10%に基づいたものだが,米国ガン協会の統計学者たちは,最近の増加を「信じ難い,不可思議なこと」と言っている。
抗生物質の正しい用法
◆ 米国の医師は,1974年に行なわれた,抗生物質による治療に関するテストでかんばしくない成績を残した。ニュー・イングランド医学ジャーナル誌の最近号の報告によると,抗生物質の用法に関する50問のテストを受けた4,143人の医師の平均点は,60点,つまり正解が34題であった。抗生物質の間違った使用法が米国では,健康管理上の大きな問題となっている。
走り幅跳び
◆ シシリー島の刑務所の四人の収容者はしばらくの間走り幅跳びを練習していた。刑務所当局はこの種の運動を認めていたようである。しかし,四人の囚人全員が,刑務所の建物の屋上から刑務所の外側の建物の屋上まで約3.6mを跳び越え,脱走したときの当局者の驚きようは想像し難いものではない。
成人教育
◆ 1957年当時,米国では,資格のある13人の成人のうち一人が成人教育を受けていた。しかし,同政府の記録に基づく最近の情報によれば,参加者の数は増加しており,現在では八人に一人という割合になっている。
英国のにれの木が危機
◆ 過去五年間に,英国南部で約六百万本のにれの木が,治療法のまだ分かっていない病気にかかって絶滅した。オランダにれ病(最初オランダ人の科学者たちが主に研究したのでそう呼ばれている)は,飛ぶスコライタス甲虫の一種によって広がる。その害虫はにれの木だけにつき,春にはにれの導管組織の中に毒性の菌を沈着させる。これは養分と水分の両方が葉に達するのを妨げる。その結果はどうなるだろうか。夏までには,襲われた木の枝はみな枯れてしまう。英国南部では毎日二万本のにれの木が枯死していると推定され,北部でもこの病気が発見されている。
生の魚が好きですか
◆ にしんのような魚を生で食べるのが好きであれば,それには健康を害する可能性のあることを知っておくとよい。米国ジョージア州アトランタにある疾病管理センターは,太平洋および大西洋沿岸でとれた魚の多くには熱を加えなければ死なない虫が付いていると警告している。
人間とペット・フード
◆ 米国リッチモンド市にあるバージニア州立大学助教授エドワード・H・ピープルズ二世博士は,彼の言う「控え目」な数字を引用し,「ペット・フードは少なくても22万5,000世帯のアメリカ人にとって主食の一部となっている」と推定している。つまり,約百万人が関係していることになる。ピープルズ博士の結論は統計資料に基づいてはいないが,同博士は,人々が必要に迫まられてペット・フードを食べていることを示すかなりの多くの証拠を得ている。1974年の米国上院栄養委員会の報告は「スラム街で売られているペット・フードの三分の一は,人間が食べている」と述べている。その数字は公益科学センターの「経験に基づいた推測」に過ぎないとはいえ,そうした情報は,多くの人が経験している貧困や困窮を如実に物語っている。
急増する学校での犯罪
◆ ニューヨーク市内の学校における通報された暴力や犯罪の件数は,第一学期の9月から11月までの3か月間に,昨年の同期に比べ,55%も増加した。ストラキのため9月には6日間学校がほぼ閉鎖されていたにもかかわらずそうであった。教育委員会は,生徒,教師などによる学校の備品の盗難件数が,報告されたものだけでも昨年より67件多い173件に達したことを明らかにした。1975年の9月から11月までに,教師に対する暴行事件は289件あった。それは1974年の同じ三か月間に比べ95件も多い。
香港の刑罰学
◆ 「住民の99%までは,中国人の凶悪犯罪を防止するには極刑をもって臨むのが一番であると真剣に考えている。この点に疑問の余地はない」。香港政庁立法審議会の委員チュング・ツェイェン博士はこう語っている。ところが,同地で最後に絞首刑が執行された1966年以来,95人が死刑を宣告されているが,このうち実際に刑を執行された者は一人もいない。これは主に英国の影響による。チュング博士は,香港において,投獄刑が刑罰として妥当であるかどうかは疑問である,と指摘している。刑務所内の生活水準は,多くの場合,囚人の家庭における生活水準より高いからである。
鳥は鳴き方を習得する
◆ 鳥は本能的に鳴き方を知っているのであろうか。それは鳥の種類によって異なる,とカリフォルニア工科大学の小西雅一博士は語っている。同博士は,ニワトリやハトなどは仲間の鳴き声を聞いたことがなくてもその種独特の鳴き声を出せることに気付いた。ところが,マキバドリやミヤマシトドなどは,仲間から隔離されていると奇妙な鳴き声を出すようになる。しかし後者の場合でも,テープに吹き込んだ仲間の異なった鳴き声を聞かせたところ,その異なった鳴き方を習得した。しかし中には,自分の鳴き方が,すでに自分の脳裏に本能的に刻まれている鳴き声の型に従っているかどうかを知るために,自分の鳴き声を聞かねばならない鳥もあった。生まれつき耳の聞こえない鳥は,異常な鳴き方をする。
失業
◆ 国連の国際労働機関の報告によると,1975年9月末までに,世界の失業問題はここ40年間で最悪の状態に達した。西欧の主要23か国における失業者数は1,710万人を数えた。なお,1930年代の大恐慌の時の失業者数は2,500万人であった。