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目ざめよ! 1976
目76 8/22 24–27ページ

自分の家を仕事場にしている人々

日本にいる外国人宣教者が,全世界の「目ざめよ!」読者のために書いた記事

宣教者であるわたしは幸いにも,日本の人々とその生活様式を身近に知ることができました。わたしは聖書に見いだされる良いたよりを伝えるために人々の家をいつも訪問していますが,家の人もわたしに興味深い事柄を教えてくれます。特に興味深く思ったのは,彼らの“家内工業”について知ることでした。

ご一緒に,そうした人々に会い,彼らが行なう仕事について説明を聞くことにしましょう。

家業

この家でわたしは,家族と共に,和紙を作っている青年に出会いました。和紙についてお聞きになったことがありませんか。その青年はこう説明してくれました。「英語では和紙をライス・ペーパー(わら紙)と呼んでいるようですが,わらとは何の関係もありません」。

和紙はどのようにして作られるのでしょうか。その青年は次のように話しました。「わたしたちの仕事は,コウゾの木から始まります。まずコウゾの内皮から取った繊維を処理し,十分に洗います。それにトロロアオイの根から取ったねばり気のある液体が加えられます。和紙がほかの紙と異なっているのは,コウゾの長い繊維とトロロアオイから取る液体を用いているからです。このねばり気のある物質の作用で,繊維がむらなく広がるのです。出来上がった製品を見るのは喜びです。この紙に描かれた美しい模様をご覧ください。西ドイツや米国でも,この製品は高く評価されています」。

どんないきさつでこの仕事を始めたのかと尋ねると,彼はこう説明しました。「60年ほど前,教師であった曾祖父が病気になりました。それまでの仕事を続けられなくなった曾祖父は,自宅でできる仕事をあれこれ考えました。ここ小川町では,昔から主な家内工業と言えば和紙をすくことでした。曾祖父はその技術を身に付け,家で紙をすくようになったのです。わたしたちは今でも同じように紙をすいています。わたしは両親と二人のおじと二人のおばと一緒に働いています」。

わたしは,長時間の労働についてこの青年が語るのを聞いて,彼自身家族の仕事のことをどう考えているのだろうかと思いました。すると,この青年は自信を持ってこう答えました。「わたしはこの仕事が大好きで,一日12時間働くのも苦になりません。わたしは紙をすく技術を後世に残しておきたいと思っています。それは大きな挑戦と言えます。他の十代の人々も同じようなことを言いますが,そうするだけの備えがありません。多くの人は,紙をすくのは骨の折れる仕事だと考えています。でも実際にやってみれば,そのおもしろさが分かるかもしれません」。

夫婦が共に働く

ほかの家々を訪問してみて,夫婦が家で一緒に仕事をするのは珍しくないことに気付きました。彼らは,夫が妻を家に残して外に働きに出るよりも,夫婦で一緒に仕事をすることを好むのです。

20年余り一緒に仕事をしている一夫婦は,自分たちの事業についてこう説明してくれました。「わたしたちは友人から本のカバーを作ってみないかと勧められました。実際にわたしたちが行なうのは,その仕事の一工程にすぎません。長さ九㍍の布を家へ届けてもらい,その裏側に紙をはりつけます。そうした布地一枚を完成させるのに約30分かかります。わたしたちは二人で一緒にこの仕事をします。夫は65歳になり健康のほうも余りすぐれません。わたしは60歳になります。ぼつぼつ仕事をしていますが,それがわたしたちに合っているようです。わたしたちはとても幸せです」。

別の夫婦は,竹で電燈のかさを作っていると言いました。その人は次のように詳しく話してくれました。「みっちり働けば,重さが三㌔ほどある大きなかさを,一週間に五つは作れます。まず最初に,竹ざおを適当な長さに切り,節をそぎ落とします。一定の長さの竹を立てて,小刀で半分に割り,好みの厚さになるまでそいでゆきます。中には非常に薄くて,しなやかなものもあり,編むのには最適です。真ん中に小さな穴のあるプラスチック製の円盤を用いて,その円周にそって編んでゆくと,やがてそれは大きな車輪のような形に編み上がります。竹をしなやかにしておくためには水をつけます。その輪が一定の大きさになると,球体あるいは半球体になるよう形を整えます。仕上げとして,水でうすめたのりを塗って,形がくずれないようにします。とても時間のかかる仕事ですが,時間をかけるだけの価値があります。わたしたちは,カナダで開かれた万国博のあるレストランの中に,わたしたちの作った電燈のかさが使われていたことを名誉なことと思っています」。

わたしはまた,農業を営むある夫婦から,養蚕業について幾つかの事柄を学びました。その人は畑の中のかん木を指して,こう尋ねました。「あれは何の木だか分かりますか。あれは桑の木です。桑の木のある農家では,わたしたちと同じようなことをしています。あの桑の木は蚕のえさになるのです。蚕がふ化したばかりのときには,一日に二回柔らかい葉を刻んで与えます。蚕がふ化してから25日目になるまで,蚕を入れてある箱の中に桑の葉を枝ごとえさとして入れてやります。わたしたちはそれを家の中でするのです」。

「家の中ですって?」とわたしは聞き返しました。すると彼はこう言いました。「心配なさらないでください。蚕は犬や猫のように辺りを動き回ったりしません。蚕は桑の葉が大好物ですから,箱の中から出ることはありません。わたしの子供のころには,空間のなくなるほど蚕の箱がうず高く積み上げられていました。夜眠るときには,蚕が桑をはむ音が子守歌の代わりになったものです。わたしは気にしませんでしたが,どうしても寝室と蚕を別にしたいというのが妻の願いでした。そうだったね,お前」。

「そうなんですよ」と妻が答えました。「当時は,蚕を入れるために,わたしたちの方が追い出されそうになりました。しかし今では家も大きくなりました。機織りはわたしの仕事の一つです。うちには百年前からの織機があり,それは三畳間にぴったり入ります。一日精を出して働くと,一反の織物を仕上げることができます。経験の浅い人ですと,同じ量の織物を仕上げるのに二,三日かかります」。

婦人の仕事

家庭によっては事業を経営するのが婦人であることに,わたしはほどなくして気付きました。ある日,盛岡市内の家々を訪問していた際,次のような事を進んで話してくれた婦人に会いました。「わたしたちも家内工業に携わっていますが,それは女性だけでする仕事です。40年ほど昔,盛岡で未亡人が集まって,手つむぎを始めました。盛岡には羊がたくさんいたので,紡績と機織りの仕事を選ぶのはもっともなことでした。しかし,盛岡近辺の羊からとれる羊毛の質は良くなかったので,英国のウェールズから羊毛を輸入するようになりました」。

わたしがお願いすると,その婦人は毛織物が出来るまでの過程を親切にこう説明してくれました。「それは難しいことではありません。まず最初に,羊毛を婦人服用,紳士服用,そしてじゅうたん製造用の三種類に類別します。羊毛はよく洗ってから染めます。それから,残っているごみを取り除き,羊毛にブラシをかけます。ふわふわした羊毛の塊を指でよってゆき,その粗糸を紡ぎ車にかけます。糸が紡ぎ上がると,機織りをするための準備がほとんど整ったことになりますが,機織りを始める前に糸を15分ほど湯にひたし,それから糸巻きに巻き取らねばなりません。織り上がってから,おうとつを除き,悪いところを直します。それからゴム長ぐつをはき,織物を水にさらして一時間ないし一時間半ほど踏み付けます。そうすると,さらに汚れが洗い落とされます。しかし,それが済めば,織物を外に吊して乾かし,洋服屋で見られるような形に巻き上げることができます」。

わたしは,こうした工程すべてが家庭で行なわれるのを知って,驚きました。その婦人は,もっともうかる仕事がほかにあると述べてから,次のように説明しました。「こうすれば自分の時間は自分の好きなようになります。また,この仕事をしていれば,子供と一緒に家にいながら,働くことができます」。

一緒に事業を行なう父子

必ずという訳ではありませんが,息子が父親から教えられた仕事を受け継ぐことも少なくありません。例えばある男の人がわたしに語ったところによると,その人と弟は,40年間父親と一緒に働いてきたとのことです。彼らははさみを作っており,月に500丁ほど仕上げます。そうしたはさみは,病院,庭園,そして家庭などで用いられます。大量生産によるはさみとどこが違うかを尋ねると,その人はこう答えました。「わたしたちは一丁一丁心を込めて作ります。二枚の刃はぴったりとかみ合います。大量生産をしたものよりも少しばかり値は張りますが,丈夫で長持ちします」。そうした品質は,決して侮るべきものではありません。

息子と共に印刷業を営むある男の人の説明を聞き,家内工業が多くの場合,どれほど分業化されるかよく分かりました。「本を仕上げるために,この近所の家々はそれぞれ工場になっています。一軒の家では作業の一工程だけが行なわれ,それから品物は別の家へ送られて,次の工程を経ます。こうしたことは,本が仕上がるまで繰り返されます。うちでは,本の各ページを印刷する以外,何も行ないません」。

同じような分業は,昔ながらの日本人形の製造にも見られます。岩槻市のある男の人は,自宅にある仕事場を見学させてくれました。そこでは人形の頭だけを作っています。その人は,原型に目を入れ,顔を描き,頭髪をのり付けする方法を説明してから,こう言いました。「簡単なようですが,申し分のない頭を作れるようになるまでには十年かかります。繊細な顔立ちを描くには時間もかかりますし,手つきもしっかりしていなければなりません」。

この家では親子三代がそろって働いています。わたしはその人の81歳になる父親に紹介されました。その父親は息子と同じ部屋で,いまでも仕事をしています。別の部屋では,わたしを案内してくれた人の息子が自分に与えられた注文に応じて,同じ仕事をしていました。

その人はしみじみとこう語りました。「わたしの子供のころは,父親の跡を継ぐのが当然のことと思われていましたし,自分でもその道を選んだことをうれしく思っています。しかし,教育の影響で若い者たちの中には家内工業を見下げる者がいます。そうした若い者にとっては,ぱりっとした背広を着,かばんを片手に,電車に乗って出勤するのが“格好のいい”ことなのです。周りの若い者たちと同じようにしたいという欲望は根強いものです。しかしわたしは,うちの息子がこの家業を続けており,本当の意味で家族の一員となっていることを喜んでいます。こうした技術があれば,必要以上に長い時間働かなくても,楽に生活してゆけます」。

家内工業に数々の利点があることは明らかです。中にはほかの仕事よりも時間のかかるものもありますが,いずれも仕事をする時間を自分で決める機会を与えてくれます。

この見学旅行にお連れした際,わたしはほんのうわべの事柄に触れたにすぎません。家内工業は,無限と言ってもよいほど多様です。作り上げられる品物には,それぞれ独自の興味深い逸話があります。

人々に働く意欲があるなら,家内工業は繁栄します。同時に,家内工業は,家族の一致という健全な精神を生み出すのに役立ちます。あなたもそうしたいと思われますか。

[26ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

3 1 2 3

羊毛は注意深く三つに類別され,それぞれ以下の用途に用いられます。(1)婦人服。(2)紳士服。(3)じゅうたん。

[25ページの図版]

『羊毛にブラシをかけてから,ふわふわした羊毛の塊を指でよってゆき,その粗糸を紡ぎ車にかけます』。

[27ページの図版]

人形の繊細な顔立ちを描くには,時間もかかりますし,手つきもしっかりしていなければなりません

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