世界展望
たばこに関する統計の記録
◆ 去る六月,米国における成人男女のたばこの使用に関する調査結果が,全米ガン研究所と防疫センターから公表された。これによって,とりわけ次の点が明らかになった。調査を受けた人の90%が喫煙を有害であるとみなしており,84%が健康に与える重大な影響を懸念して,何らかの処置の講じられる必要があると考えている。また82%は,喫煙が病気や死の原因になることがあると考えている。ところが,喫煙者の57%は,今後とも喫煙をやめるつもりはないと語った。
喫煙と少女
◆ 今日,13歳から17歳の間の少女と18歳から34歳までの若い婦人の間に,以前にもまして喫煙者が増えている。アメリカ・ガン協会の依頼で行なわれた,最近のある研究調査によって,この点が明らかになった。“臨床医のためのガン情報”誌は,「10代の少女だけを取っても,喫煙者の数は1969年以来50万人増加し,その割合は22%から27%に増えている」と報じた。10代の少年の場合,その30%がたばこを吸っているが,喫煙の量は女子の方が男子よりも多い。若い女性の間では,喫煙者の数の増加はそれほど多くないが,いわゆるヘビー・スモーカーの数は全体の51%から61%に増加した。
死亡事故を起こす運転手の横顔
◆ 最近,米国運輸省は交通事故の死亡者を調査し,“死亡事故を起こす運転手の横顔”を描き上げた。これは,将来の惨事を予測させる性格をまとめたものである。インダストリー・ウィーク誌は,これらの要素を次のように略述している。「25歳から37歳の間の男子。高卒の独身者,離婚者,もしくは別居中の人で古い型の車を運転する人。よくしゃべり,大酒し,アルコール分の強い酒よりビールを好む人」。
脈拍調整器と電気柵
◆ 心臓の鼓動を刺激する脈拍調整器を付けた人が電流を流した柵に接触すると,死亡する場合がある。高電圧の電流にさらされたショックで,体内に埋め込まれている調整器が停止してしまうのである。ほとんどの電気柵の作動時間は1/10秒以下で,電流の流れていない時間が3/4秒ほどであるので,脈拍調整器を備えた人はその間に手を離すことができるはずである。しかしながら,電気ショックに対する脈拍調整器の反応はそれぞれの作りによって一様ではないのである。
エネルギー節減
◆ スウェーデンの場合,国民総生産1㌦当たりに必要とされるエネルギーの量は,アメリカのちょうど60%であると言われている。サイエンス・ニューズ誌は,ローレンス・バークリー研究所の調査がその理由を明らかにしていることを伝えている。その理由は次のとおりである: スウェーデンでは,住宅を含めた建物の暖房効率が[米国の場合より]二倍も良い。産業界で1㌧の生産物を作り出すのに要する熱エネルギーの量も25%少ない。都市部では大量輸送手段が広く用いられており,スウェーデンの自動車は1㍑当たり平均10㌔走る。
くしゃみは心臓に悪い?
◆ くしゃみは心臓に悪い,との見解を持っている人もいる。しかし,モリス・フィッシュバイン博士は,「家族の健康」と題する雑誌の中で次のように述べている。「くしゃみが心臓に有害であることを示す科学上の根拠は何もない。くしゃみは,呼吸器内の異物を除去する保護機能である」。
より早くお湯を沸かすために
◆ アメリカ連邦エネルギー局の話によると,ガスレンジを実際に使っていないときでも,やかんを点火用補助バーナーの上に置いておくと,お湯をより早く沸かすことができ,エネルギーの節約になる。インダストリー・ウィーク誌はこう報じている。「連邦エネルギー局の当局者は,この点火用補助バーナーを利用すれば,[紅茶やコーヒーをより早く入れることができるだけでなく,]バターを溶かしたり,ソースをあたためたりすることもできる,と語っている」。
仏陀の遺骨
◆ ゴータマ・ブッダとして知られるようになったシッダールタ王子は,生涯の最初の29年を古代の都市カピラ城で過ごした。そしてその後,領地と両親を後にした。カピラ城は,今日のウッタルプラデシ州のピプラワ村のあたりにあったものと考えられている。最近,この仏教創始者の遺骨の一部を同地で発見したとの報告が,政府によって派遣された考古学者からもたらされた。西暦前六世紀にこの宗教指導者が死ぬと,その遺骸は火葬にされ,遺骨は生前関係のあった8つの部族の間で分けられた。ところが,1973年にピプラワ(昔のカピラ城)で出土した骨箱に,シッダールタ王子の遺骨の収められている旨が記されていた。現在,インドの考古学者たちは,この文字には信ぴょう性があると考えている。
なぜ自殺するのか
◆ スウェーデンのルンド大学では,昨年53人の学生が自殺した。その他にも,500人が自殺を計ったが未遂に終わっている。精神科医の助けを求めた学生は2,000人に上る。このように,自殺に走る傾向が見られるのはなぜであろうか。パレード誌は,「孤独,学業の不振,経済上の問題などがその主な原因として挙げられた」と報じている。
満腹
◆ ニューヨークの外科医は,一人の精神病患者の胃が非常に拡張していたので,腫瘍ができていると考え,手術を行なった。ところが,38歳になるその患者の胃を切開した医師たちは,25セント銀貨,10セント銀貨,5セント白銅貨,1セント銅貨,また地下鉄の代用貨など300個もの硬貨を発見した。その他,壊れた温度計,かん切り,ナイフ,スプーン,フォーク,ナット,ボルト,鎖,自動車のかぎなど,200個もの物品が胃の中から発見された。「今までわたしが見た中で,最も驚くべきことだった」と,外科医の一人は語っている。いつからそうした物品がこの患者の胃の中に入っていたかは分からない。意外なことに,食道にも腸にも何の傷も見られなかった。
失業
◆ 西ヨーロッパでは過去2年間に,外国からの出かせぎ労働者約200万人が職を失った。彼らは,労働力の不足を埋め合わせるため,南ヨーロッパや北アフリカから,北部の工業諸国に移って来た者たちだった。ところが過去2年間の景気後退で,彼らは職を失った。現在,経済状態は回復しつつあるが,国際労働機関は,外国からの出かせぎ労働者がさらに失業することを予測している。彼らは南の故国へ帰り,それらの国々の失業者数を増大させるであろう。
女性のほうが暴力的
◆ ある国々では,男性よりも女性の間で暴力的な犯罪の増加率が高い。こうした状態は「女性解放が著しい」国で起きている,と英国でただ一人の女性警察署長ダフネ・スキラルンは述べている。
アリが列車を止める
◆ アリのために,日本の鉄道が止まってしまった。英文読売紙によると,去る5月11日,四国の中部を走る土讃本線で列車の運行が50分間停止した。何が原因だったのだろうか。継電装置を収めた箱の中にアリが入り込んで装置を作動させ,信号を赤にして列車を止めてしまったのである。昨年の11月には,自動踏切装置の中にアリが入り込んだため,予讃線の松山付近で列車が止まった。四国の国鉄職員は,踏切装置の中にナフタリンを入れて,このやっかいな虫を寄せつけないようにしている。
第三位を占める糖尿病
◆ 伝えられるところによると,全米糖尿病委員会の委員長オスカー・B・クロフォード博士は,糖尿病とその併発病が米国における主要な死因の第三位を占めていると語った。糖尿病より上位に位置しているのは心臓病とガンである。米国には,少なくとも500万人の糖尿病患者がおり,その数は,おそらく1,000万人に達すると言われている。昨年12月の全米糖尿病委員会の発表によると,糖尿病を直接の死因とする死亡者は毎年3万8,000人ほどであるが,これを原因とした心臓病や腎臓病による死亡者は25万人を超える。
浜辺のそよ風と伝染病
◆ メキシコ湾沿岸とアメリカのバージニア州からフロリダ州に至る海岸に住む人々は,結核菌によって肺を冒されやすいと言われている。時には,これによって命を失う人もいる。ニューヨーク州保健局の関係者ハワード・クラフトは,これら結核菌が時として海水の中でも繁殖を続け,波しぶきの働きで空中に運ばれることを発見した。この微細なしぶきが海のそよ風に運ばれて内陸に達し,肺の極めて細い気管内に吸いこまれていくのである。こうした点から,グラフトは,肺結核に海水と浜辺のそよ風が関係している可能性を示唆した。
聖書の配布現況
◆ 聖書協会連合発行の1975年度世界年報によると,100を超える土地で活動している同連合翼下の57を数える聖書協会のうち,最も広く聖書全巻を配布したのは南アフリカの聖書協会であった。同協会の手で,総計71万9,290冊の聖書が配布された。そのうち,2万2,929冊は,ボツワナ,レソトおよびスワジランドで配布されたものである。南アフリカ・ダイジェスト誌に報じられているように,同国の聖書協会は,「新約および分冊分を含めると,82の言語で197万5,440冊の聖書を配布した。これらの言語のうち32は,バンツー語とその方言であった」。
米国のテレビ
◆ パレード誌によると,米国の家庭のほぼ97%にテレビがある。そのうちの75%はカラーテレビであると言われている。
ネズミを媒介とするウイルスによる熱病
◆ 昨年,韓国(南朝鮮)で約800人,アジアの他の地域を含めると数千人が,出血を伴う熱病にかかったと言われている。25年前の朝鮮戦争当時にも,幾百人もの従軍兵士が同様の熱病にかかり,鼻,口,内臓からの出血に苦しんだ。しかし,この原因は究明されないままに終わっていた。リー・ホー・ワン博士と同僚の研究者たちは,詳細な研究を行なった後,この病気がネズミの運ぶウイルスに起因することを突き止めた。タイム誌はこう報じている。「出血を伴うこの熱病が,南朝鮮の乾期に当たる5月と10月に多発することから,リーは,アカネズミ[韓国に広く生息するネズミ]のふんの中にこのウイルスがもぐり込み,ウイルスに汚染された粒子が,舞い上がったほこりとともに人間の体内に吸い込まれるものと推測している」。
中絶の記録
◆ 米国では,1975年中に100万人の女性が合法的な妊娠中絶手術を受けるという記録が生まれた。これは,前年度に比べて11%の増加にあたる。しかし,ある地域では,施設が限られているため,中絶を希望した婦人の多くは合法的な手段で中絶手術を受けることができなかった。そのため,実際の数はこれをはるかに上回るものと考えられる。1975年に生まれた赤子は300万を少し上回るほどであったから,同国では,三人の赤子が生まれるごとに,少なくとも一件の中絶手術が行なわれていることになる。胎児の大量殺りくはとどまるところを知らない。