「神聖な奉仕」大会で強調された実践的なキリスト教
「神聖な奉仕」という主題を掲げた,昨年のエホバの証人の地域大会は,確かに世界中の新聞紙上をにぎわしました。米国オクラホマシティーのタイムズ紙は,同市で開かれた大会についてこう伝えています。「聖書を手にした幾千人ものエホバの証人は,ミリアッド大会センターで今までに開かれた各種の大会中でも最大規模の大会に出席するため,オクラホマシティーに集まって来た」。
米国モンタナ州の人口約6万人の都市,ビリングズで開かれた大会に関して,地元のガゼット紙はこう述べました。「別に町を支配しようとする意志はないだろうが,メトラで開かれているものみの塔大会に出席するために町にやって来たエホバの証人の一団は,数の点だけでもそうした影響をビリングズに及ぼしている。…その集まりには8,500人が出席した」。
様々な都市から,エホバの証人の「神聖な奉仕」地域大会に関して類似の報告が寄せられました。昨年米国では103のそうした大会が開かれ,出席者最高数の合計は98万2,283人に上りました。これは,一つの大会に平均約9,600人が出席したことになります。
しかしそれと同時に,この四日間の大会のプログラムは,他の多くの国々でも公開されました。ギリシャのアテネの一新聞は,同国で開かれた大会のうち一つだけを取り上げ,それについてこう伝えています。「子供を乳母車に乗せた家族連れなどあらゆる年齢層の2万人余りの人々がエホバの証人の“地域大会”に出席した」― 1976年6月25日付,タ・ニア紙。
カナダでは,昨年の夏18の大会が開かれ合計10万5,270人が出席しました。英国諸島では6つの大会が開かれ,合計11万298人が出席しました。ドイツでは18の大会に13万3,863人が出席し,フランスでは21の大会に8万4,740人,日本では6つの大会に6万6,005人がそれぞれ出席しました。
これまでのところ,米国以外の34のこうした国々から寄せられた報告からだけでも,97万1,928人がそうした大会に出席したことが分かります。そして,さらに幾十万人もの人々が,現在進行中の,あるいは世界各地でこれから開かれようとしている,さらに多くの「神聖な奉仕」大会に集まろうとしています。
エホバの証人のクリスチャン大会に,これほど大勢の人々がやって来るのはなぜですか。人々を引き付けているものは何ですか。
人生の諸問題に対処するための音信
その点を知ろうとしてやって来た人々がいます。米国ロードアイランド州プロビデンスのジャーナル・ブリティン紙の編集員トニー・ロイスは,「エホバの証人と称するこれら8,000人のニューイングランド人とは一体どんな人たちだろうか……そこで何をしているのだろうか」という質問を提起しました。
ロイスはさらにこう述べています。
「今日で二日目を迎えたこの大会は,決して大声を出す人々のテント興行などではない。……そのグループは,宗教的なお決まりの話より,はるかに論理的な講演に耳を傾けていた。
「“一般の”宗教団体にさえ行き渡っている,儀式張った,“神秘的魔術巡業”のふん囲気は,全く見られなかった。演壇ではスーツを着てネクタイをしめた男子が筋道の通った話をし,会場を見ると,人々が静かに座って話に耳を傾け,ノートを取っていた。
「その大会全体は,主を賛美するための熱狂的な行為とは無縁のものであった。むしろそれは,20世紀に見られる生活の諸問題に注意を向けるものであった」― 1976年7月23日付,ザ・イブニング・ブリティン紙。
今日,特に大勢の人々が一か所に集まると,思いやりや礼儀の欠けることが問題の一つであるという点にあなたも同意されるでしょう。この問題を考慮に入れて,大会の最初の講演者は,大会出席者たちが事実上,神の食卓で霊の宴にあずかるよう招かれた客であることを指摘しました。ですから,すべての人は良いテーブル・マナーを示すよう求められました。子供たちは自分の親と一緒に席に着いているべきであり,講演者に注意が向けられなければなりません。
米国ケンタッキー州レキシントンのヘラルド・リーダー紙の編集員ポウラ・ビッガースタッフは,「エホバの証人はその助言に従っただろうか」と尋ねてから,ケンタッキー博覧会センターの一従業員の言葉を引き合いに出して次のように答えています。
「同センターの事務員ジュディ・キーズは,エホバの証人は『一年間に当センターを使用する団体の中で最もよく組織された団体』であると述べ,さらにこう語った。『大抵これほど大勢の人々が集まると,子供たちが乱暴になるものですが,あなたがたのお子さんはとても行儀がよいですね』」― 1976年8月1日付。
そのような賛辞が聞かれるのは常の事でした。時には例外も見られましたが,エホバの証人全体としては,自分たちの宣べ伝えている事柄を実践していることが再三観察されました。ギリシャのアテネのニューズ紙は次のように伝えています。「アテネの有能な警察当局者は,主にアテネ地区から来た2万人近くの,上品で,思慮深く,幸福そうな人々が……四日間にわたり集まったが,その模範的な秩序正しさに,今年も感銘を覚えた」― 1976年6月29日付。
米国ウィスコンシン州グリーン・ベイのプレス・ガゼット紙はこう述べています。
「モーテルの経営者は……エホバの証人が再びやって来たのを喜んだ。一支配人はこう語っている。『この人たちは思いやりのあるりっぱな人々です。トラブルや器物破損や盗難が起こることを心配する必要は全くありません。彼らの振舞いは非常に優れており,一時的にサービスが低下しても理解を示し,出発する時にはすべてがきちんとなっています。エホバの証人ならいつでも大歓迎です」― 1976年7月10日付。
若い人々の持つ問題に対処する
若い人々の持つ問題についてはどうですか。「家族構造の崩壊と弱体化」の問題を指摘し,「十代の妊娠をどうにかしなくてはならない」と述べた,米国の大統領候補者の意見に同意されますか。しかし,一体どうしたらよいのでしょうか。
訪問者たちは,大会のプログラムが最初の日から,その問題に取組んでいたのを認めることができました。一人の講演者は,次のような最近のUPI特電を引用しました。「十代の妊娠の波は全国に押し寄せており,わずか九歳の少女が避妊具を求めるようになっている」。こうした問題にはどんな解決策がありますか。
大会の講演者たちは,解決策はわたしたちの創造者エホバ神に導きを求めることにある,と説明しました。事実,カナダのエドモントン・ジャーナル紙のジェームズ・アダムスは,最初の日のプログラムを伝えた記事に,「エホバの証人は,生活の中で聖書に従うよう諭される」という見出しを付しました。午後からのプログラムのために,十代の人々すべては,「若い人は人生から何を得たいと考えていますか」と題する,特に若い人に対する話を聞くため,前の方に設けられた特別の席に座るよう求められました。
その話の中で講演者は,「あなたの若い時代,それから最善のものを得る」と題する192ページの新しい本を発表しました。その本は,若い人々が今日の諸問題に対処し,人生を成功させるのに役立つよう編集されたものです。講演者は,「マスターベーションと同性愛」,「性道徳を守ることには意義がありますか」,そして「デートと求愛」などの主題に関する,聖書に基づくその本の導きが,多くの家族に心痛を与えた悲劇を避ける上で,どのように役立つかを説明しました。出席していた十代の人々すべてに,この本が一部無料で手渡されました。
若い人々は,この本が自分たちの問題に対処するのに役立つ,実際的な音信であると感じましたか。多くの人はその本をすぐに読み始め,中には大会が終わるまでにそれを読み終えた人さえいます。米国インディアナ州インディアナポリスに住む若者は,「この本はわたしたちが実際に直面する問題を扱っています」と述べました。米国の南西部に住む一人の十代の人は,「本を書いた人がわたしの頭の中にある事柄すべてを見抜いて,この本の中で答えを与えてくれているように思えます。自分の考えていることすべてをだれかが知っているようで,怖くなることもあります」と語りました。米国オハイオ州クリーブランドの17歳の若者はこう述べました。「麻薬に関する章は特に優れています。その中には,わたしや他の十代の人々が,学生たちの考えを論破するのに役立つ,しっかりした論点が含まれているからです」。
英国でのこと,子供を持つエホバの証人の一婦人はシェフィールドでの大会から帰って来ました。その婦人がふろにはいっているところに,カトリックの教師である母親が訪ねて来ました。その母親は,待っている間にテーブルの上にあった「若い時代」の新しい本に目を留め,それまでエホバの証人の出版物に敵意を持っていたにもかかわらず,その本を読み始めました。娘がふろから上がると,母親はその本がすばらしい本であると述べ,こう尋ねました。「この本を買い求めることができるかしら。学校でわたしのクラスの若い人たちを助けるのに打って付けの本だわ」。
家庭内の他の問題に対処する
今日の家庭構造の崩壊を物語る別の証拠は,急上昇する離婚率と家族を捨てる妻の数の著しい増加です。昨年,米国では100万件余りの離婚がありました。また,1960年には家族を捨てて家出をする男性の数は女性の300倍でしたが,1974年には家出をした女性の数が男性の場合とほとんど変わらなくなりました。そして,一昨年,家出をした男性の二倍に相当する数の女性が家出をしたのです。
最初の日のプログラムは,この問題を取り上げました。バンクーバー・サン紙は,そのプログラムについて論評し,「家族およびその福祉が,この派の主要な関心事であり,それは聖書の主要な関心事でもある。聖書の中には,家族生活,そして生活全般をそれに添って律してゆくべき原則が含まれている」と述べました。話の中で与えられた,聖書に基づく実際的な導きは,家庭での男性と女性のふさわしい役割について述べおり,大いに感謝されました。
「それは家族全体に対するすばらしい教訓でした」とクリスチャンの一長老は語りました。12歳になる利発な子供はこう述べました。「わたしは,家庭における婦人の役割について述べられていた箇所が気に入りました。聖書は婦人を卑しめていません。婦人は夫に服従しなくてはなりませんが,それでもなお,家族や家庭に関してなすべき事柄を数多く持っています」。あるクリスチャンの妻はこう述べました。「わたしはエホバが不公平な方ではないという点が気に入りました。神は天に行く14万4,000人の成員として,男性と女性の両方を選ばれました。(啓示 14:1,3)そのことは,自分たちが二流の市民なのではない,という保証を姉妹たちに与えました」。
「神に仕えること ― それはあなたの問題を解決する道」と題する,大会の主要な講演もかなりの時間を割いて,結婚生活の問題を取り上げました。夫たちに対して,妻を「愛」し,妻に「誉れ」を配するよう告げている,エフェソス 5章28節,およびペテロ第一 3章7節が論じられました。講演者は次のように述べました。「ある婦人は,あなたのご主人のどんな性質が一番好きですか,と聞かれて,『私に優しいところが好きです』と答えました。世の多くの男性が考えているのとは逆に,慎みのある女性は,威張り散らす専横な男性,自分を粗暴にそして不親切に扱う男性を好みません」。
ペテロ第一 3章1,2節に見られる,妻に対する聖書の諭しを指摘した後,講演者は次のような興味深い所見を述べました。「ところでこれは,神の道に従えば今完全な結婚生活が送れるということでしょうか。そうではありません。わたしたちはまだ不完全ですから,今そのようなことはできません。しかしそれによって結婚生活が非常によいものになることは事実です。ですから仮に100組の夫婦に神の道を守らせるとすれば,夫も妻も聖書の原則を尊敬しない100組の夫婦の場合よりはるかに多くの夫婦が,結婚に成功するでしょう」。
神のみ言葉の教える事柄を実践することの結果は,大会を訪れた人々の目には明らかでした。そして時として,そうした人々はみんながいかに仲良くやっているかについて見解を述べました。元カトリック教徒だった人は,自分がものみの塔の出版物を読み,学んでいる事柄によって元気付けられはしたものの,余りにも話がうますぎるので本当とは思えなかった,と説明し,さらにこう語りました。
「それからわたしは,愛がご自分の追随者のしるしとなるということに関する,ヨハネ 13章35節のイエスの言葉を思い出しました。そこでわたしは,エホバの証人が確かに神の民であるということを証明させることにしました」。そこで彼は,その説明によれば,「特に人々を見ることを目的として」,エホバの証人の大会に出席しました。「わずかな交わりの後にわたしが抱くようになった感情を思い出すと,今でも驚かされます。それは暑くて,厳しい砂漠の長旅をした後,オアシスで一息入れ,気持ちがさわやかになった時のようでした」。
この人は,昨年の夏,カナダで開かれた「神聖な奉仕」大会でバプテスマを受け,エホバ神に仕えるために献身したことを象徴した,1,076人の中の一人でした。
バプテスマ ― 大会の重要な行事
米国では,各地の大会で合計1万253人が浸礼を受けました。しかし,これまでに入った報告によれば,「神聖な奉仕」大会では,合計2万7,717人がバプテスマを受けました。一つの大会での調査が明らかにしたところによると,バプテスマを受けた人の70%は11歳から30歳までの年齢層の人でした。このことからも分かるとおり,聖書の真理を受け入れているのは,特に若い人々です。
神のみ言葉を学び,それを当てはめることがこれら多くの人々に及ぼした驚くべき影響について聞くのはすばらしいことでした。英国ロンドンでバプテスマを受けた一人の婦人はこう説明しています。
「わたしは四年間にわたって精神科医の治療を受け,神経の病気を治すために数多くの薬剤を飲んできました。しかし,薬剤には効き目がありませんでした。ところが,聖書の真理には効果があったのです。今ではもう薬剤を飲んでいません。わたしの生活全体が変化しました。その変化が余りにも著しいものであったため,夫も聖書を調べてみる気になり,今では研究をしています」。
米国カリフォルニア州イングルウッドでバプテスマを受けた一婦人は,次のような経験を語りました。「わたしは精神病院で治療専門家として働いていました。そして,患者の一人と親しくなりました。精神科医は,その人を治療することはできないとして,退院させました。病院にいたときは,食欲もなく,話そうとせず,一度などは自殺を図って漂白剤を一びん分飲んだこともありました。
「しかし二か月後,彼女は前よりもずっと良くなってわたしのところを訪れました。その人の説明を聞いてみると,エホバの証人になったとのことでした。その変化が余りにも明確なものであったため,わたしは科学以上の何物かがあるに違いないと確信し,聖書を研究して,エホバ神に仕えるため自分の命をささげる気持ちになりました」。
バプテスマを受けた人々の中には,以前深刻な結婚問題を抱えていた人や麻薬中毒者,アルコール中毒者,犯罪者,あるいは変質者だったような人々もいます。しかし,聖書から学んだ事柄を実践することによって,彼らの生活は完全に変化しました。ケネベック・ジャーナル紙は,米国メーン州オーガスタの大会でバプテスマを受けるために,一日だけ釈放された,殺人罪で服役中の囚人について報じました。ニューヨーク州バッファローでバプテスマを受けた別の人は,次のように説明しています。
「わたしはこれまでの15年間芸能界にいましたが,有名になることはできませんでした。わたしは13歳の時から同性愛者でした。生活を本当に楽しむことはできず,非常に不幸でしたから,人々に自分の生活を知られたくないと思っていました。
「わたしは変化したいと思いました。また,家族の中のある者がエホバの証人であることを知っていました。どこかに,より良い生活があるということは分かっていました。昨年,バッファローで大会が開かれるということをテレビで知り,すぐに出席したいと思いました。
「母の友人が母から頼まれてわたしを訪問してくれました。わたしはその人から聖書を求め,その人は多くの質問に答えてくれました。わたしは研究を始め,不道徳な生活を清いものへと改めました。その結果,エホバに仕えるために,自分の命をささげるようになりました」。
大会の他の特色
大会期間中それぞれの日には主題が定められていました。最初の日の主題は,「家族として行なう神聖な奉仕」,次の日は,「あなたが会衆で行なう神聖な奉仕」でした。三日目の主題は,「野外で行なわれる神聖な奉仕」,そして最終日は,「神聖な奉仕の点で忍耐する」でした。毎日のプログラムが主題に添って組まれていたことに対して感謝を言い表わす出席者は少なくありませんでした。主題があるお陰で,資料を記憶するのが容易になったからです。
大会期間中おもなプログラムとして毎日行なわれた聖書劇は,教訓的な点を聴衆にはっきり銘記させました。「あなたは自分の心をエホバの崇拝に固めましたか」と題する最初の劇は,エホバ神に仕えようとする,古代ユダの若い王ヨシアの努力,そして王の周りの人々の心の定まらない態度を中心にして展開されました。(列王下 22章と23章)この劇は,自分が本当に心からエホバに仕えたいと願っているかどうかを吟味するよう,多くの人を促すものとなりました。
「互いを敬う点で率先しなさい」,および「あなたは群れの模範ですか」と題する二つの劇は,クリスチャンの監督に対する優れた教訓を含んでいました。そして最終日に上演された,「終わりに至るまで忠誠を保つ」と題する劇は,ネブカデネザル王の金像を拝まなかった三人の若いヘブライ人の忠実さを描いていました。この劇は,学校でしばしば国家主義の問題に直面する若いクリスチャンたちにとって,特に励みとなるものでした。―ダニエル 3章。
エホバのしもべたちはどんな力によって支えられ,エホバに仕えるのを助けられているのですか。「活動する聖霊」と題する,二日目の主な講演は,それが目に見えない,神の活動力,すなわち聖霊であるということを示しました。その話の終わりに,「聖霊 ― 来たるべき新秩序の背後にある力」と題する,192ページの新しい本(英文)が発表されました。
大会三日目のプログラムは,神の王国について他の人々に証言するというクリスチャンの責務を大いに強調するものでした。それはイエス・キリストが行なったのと同じ業です。(ルカ 4:43; 8:1)その日には,「あなたは聖書について語る用意ができていますか」,「自分の神聖な奉仕を拡大する」,そして「自分が証人であることを決して忘れないでください」と題する話が行なわれました。そしてエホバの証人が聞いたことを実践するということに関して,エドモントン・ジャーナル紙は,「エホバの証人について確かに言える一つのことは,彼らを“日曜クリスチャン”として非難することは決してできないという点である」と述べています。そうです,エホバの証人は,聖書に基づく自分たちの信仰について他の人々に活発に証言しているという評判を勝ち得ています。
「全地に良いたよりを告げ知らせる」と題する,三日目の主要な話の中で,「あなたを幸福にする良いたより」という192ページの新しい本が発表されました。この本は,東洋人,および聖書の教えについてほとんど,あるいは全く知らない人々に,聖書の音信を伝えるために特に編集されたものです。
最終日のプログラムは,聖書劇および「神に仕えること ― それはあなたの問題を解決する道」と題する公開講演を除けば,神への奉仕の点で忍耐することを励ます,一連の講演から成っていました。
教えられた事柄を実践する
ニューヨーク州エルモントにあるベルモント競馬場で開かれた大会に出席した人々には,忍耐が必要とされました。それは,大会三日目の早朝まだ暗いうちに,ハリケーン・ベルが大会会場に吹き荒れた時のことです。中には,土地の王国会館で一夜を明かした人もいました。しかしプログラムは翌朝予定通りに始まり,1万6,000人近くの人が出席しました。エホバの証人の中にはけが人は一人もいませんでしたが,家屋に被害を受けた人は幾人かいました。
他の人々のために神への奉仕を行なうことはキリスト教の基本であり,その点からも「神聖な奉仕」という昨年の大会の主題は非常に適切なものと言えます。(マタイ 4:10; 20:28)では,エホバの証人は,実際に他の人々に仕えるということを実践していましたか。フィラデルフィア・イブニング・ブリティン紙は次のように論評しています。
「[大リーグのオールスター]試合の数時間後に,球場は試合が始まった日と同じほど,ちり一つないきちんとした状態になっていた。……約2,000人のエホバの証人の会員が球場内に入り,朝までに,すみからすみまで片付けてしまった」― 1976年7月14日付。
カンザスシティーでは,八月に共和党の全国大会が開かれたケンパー・アレナが,エホバの証人の大会会場として使用されました。カンザスシティー・タイムズ紙は,その模様を次のように説明しています。
「木曜日朝の大会開幕を前にして,エホバの証人たちは,母親も父親も子供たちも,アレナのいすを洗い,床をみがいた。そして昨日大会が終了した後,出席していた1万2,509人のエホバの証人の一部は,清掃のために戻ってきた。
「市当局者は,そうした態度を高く評価した。……その証拠に,市当局者は,これからいつまでもこの場所で大会を開くようエホバの証人に勧めた」― 1976年6月14日付。
数多くの都市で,新聞は同様の記事を掲載しました。しかし,エホバの証人が無料の奉仕を申し出たのは,大会の会場を清掃するためだけではありません。彼らは,遠方からやって来る人々のために宿舎を確保したり,出席者のために食事を準備して,それを配膳したりするなど,必要とされる数多くの奉仕を行ないました。プロビデンス・サンデー・ジャーナル紙はこう伝えています。
「それは野戦隊長がしばしばつまずく問題であり,最も優れた計画者をも心配させる兵たん学上の難題である。
「どのようにして一度に一万人に食事を供し,一食あたりわずか一㌦で変化に豊んだ食事を出せるだろうか。
「長年の経験に基づく手法とほかではめったに見られない自給力を駆使して,エホバの証人はその答えを提出した。……
「大会が始まる前から,幾百人もの自発奉仕者がやって来て,配膳台や食卓そして野菜や果物を洗う,水そうを作った。そして,各々約9,500人が出席する,四日間にわたる二つの大会の最初のものが始まると,さらに幾百人もの人々が食事を作るためにやって来た」― 1976年7月25日付。
他の人々の益を求めるこうした愛のこもった関心は,大会中数多くの違った仕方で表わされました。例えば,貴重品が失われても,それを拾ったエホバの証人が落とし物係に届け,持ち主の手に返るということが幾度となくありました。ミシガン州デトロイトのタイガー・スタジアムで開かれた大会に出席した若い男の人は,婚約指輪が戻ってきたのをどんなにか喜んだことでしょう。その人は自分のいとこに指輪を見せていた際に,それを三階から下の階に落としてしまったのです。しかし,それは翌日になって,その指輪を見付けた若いエホバの証人によって届けられました。
他の人々のための少し変わった種類の奉仕と言えば,マラウィの仲間のクリスチャンに対する迫害をやめるようにという,マラウィ政府に対するエホバの証人の懇願があります。幾つかの大会では航空書簡が入手できるようになっており,リノ大会の出席者だけでも,2万9,000通もの航空書簡を購入しました。手紙を書くための場所が設けられ,見本となる手紙までが幾通か用意されていました。
神のみ言葉の中で勧められている愛と奉仕を実践する人々との交わりが魅力的なものと思われるなら,エホバの証人がそのような人々であるかどうかをご自分の目で確かめるようお勧めいたします。これから先の月々,エホバの証人は小規模な大会を開きます。あるいはあなたの住んでおられるところの近くで開かれるかもしれません。また,それぞれの土地の王国会館では,毎週集会が開かれています。そこへ出掛けて行って,ご自分で調べてみてはいかがですか。
[18ページの写真]
ギリシャのアテネで開かれた「神聖な奉仕」大会の出席者たち。これまでに報告が寄せられた各大会の出席者合計数は,195万4,211人に上る
[19ページの写真]
「若い人は人生から何を得たいと考えていますか」と題する話に耳を傾ける若い人々
[20ページの写真]
これまでに報告の寄せられた各大会で,合計2万7,717人がバプテスマを受けた
[21ページの写真]
大会の呼び物として四つの聖書劇が行なわれた。上の写真はある劇の一場面
[22ページの写真]
「あなたを幸福にする良いたより」と題する新しい本は,東洋の人々にとって特に助けとなるに違いない
[23ページの写真]
写真の三人を含め,幾千幾万もの人々が,大会を成功させるために自発奉仕を申し出た
[24ページの写真]
大会出席者の便宜を図る仕事の中には,宿舎を備えることも含まれている