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目ざめよ! 1977
目77 3/8 20–21ページ

ライン川にどんなことが起きているか

西ドイツの「目ざめよ!」通信員

私がライン川で最後に泳いだのは1949年のことでした。水から上がった後,自分の体にこびり着いた汚物を洗い落とすのに一苦労しました。それ以来これまでの27年間,この大河の川岸に立っては自分の幼かりし頃の思い出にふけることが度々ありました。私の幼少の頃には,ライン川の水もきれいで,学校が夏休みに入ると,その岸辺で子供たちが戯れていました。

しかし,今ではもうそのような光景は見られません。今日ではライン川を“ヨーロッパの下水”と呼ぶ人もいます。私の記憶では,この川が汚れだしたのは1930年代のことでした。当時,ドイツでは急速に工業化が進み始めていました。ドイツ人の大半は,工業から何らかの恩恵を受けてきましたが,工業化の波がライン川などの河川に及ぼした影響は悲劇的なものでした。

自然の循環を破壊する

こうした事態を引き起こした原因はどこにあるのですか。物理的な原因は基本的に言えば簡単です。普通の環境下では,自然のすばらしい循環のゆえに,河川には“自浄”能力があるはずです。この循環は,水中の好気性バクテリアが酸素を使って有機廃棄物を藻類の養分となる物質に変えることから始まります。動物プランクトンと呼ばれる小さな生物がその藻類を食べ,さらに小さな魚が動物プランクトンを食べ,そして大きな魚が小さな魚を食べます。大きな魚が死ぬと,好気性バクテリアがこの循環をもう一度最初から行ないます。こうした過程は,死んだ魚のような自然の廃物だけでなく,人間が水の中に流し込む物質の大半にも作用します。

しかし,工場が多量の廃棄物を河川に流し込むと,どうなりますか。そうなると好気性バクテリアは,廃棄物を水中の養分や,生命に無害な他の物質に分解するため,特に忙しく働かねばなりません。余分の仕事をしなければならないので,これらのバクテリアは自然の過程を通じて河川に還元されるよりも多くの酸素を消費します。その上,毎日ライン川に流れ込む廃棄物の中には,バクテリアの分解できない,幾万㌧もの化学物質があります。こうした事柄が要因となって,自浄サイクルの崩壊が始まるのです。水質は日に日に汚染の度を強め,動植物は死滅してゆきます。

悲しいことに,ライン川は過去40年以上にわたってこのような道をたどってきました。例えば,ライン川沿岸のルートウィヒスハーフェンには,ヨーロッパ最大の化学工場があります。その工場自らの報告書によると,1973年中,同工場は2億4,000万立方㍍余りの下水汚物を排出しました。現在その量は2億5,500万立方㍍に迫っています。それに加えて,ライン川は毎日,ヒ素3㌧,水銀450㌔,カリウム鉱山から出る各種の塩6万㌧,その他大量の有毒物質を海まで運んで行きます。

浄化への努力

ライン川の汚染は何らかの対策を施す必要に迫られています。2,000万人近くの人がこの川から(水をろ過した後)飲料水を得ており,さらに毎年およそ150億立方㍍もの工業用水がライン川から直接取られています。この川の水質を向上させる方法があるでしょうか。

下水処理工場は幾らか良い結果をもたらしています。こうした工場では,川に流す前の段階で廃水を処理します。一つの処理法では,廃水はまず“沈砂池”を通り,そこで砂や石など重い無生物が沈殿して除かれます。

それから下水は,大きなタンクへ送られ,そこで空気が加えられます。この結果,好気性バクテリアが繁殖します。空気を加えられた下水は,その後,爆気そうに送られ,圧縮した空気がさらに吹き込まれます。この時点で,“活性汚泥”が加えられますが,それは以前に処理された廃水から出た固型の残りかすです。この物質の中には,廃水中の固体を“消化”する好気性バクテリアがさらに大量に含まれています。

次の段階に進むと,この混合物は沈殿そうに入り,消化された固体が底に沈みます。好気性バクテリアに富むこの沈殿した固体が活性汚泥となるのです。この活性汚泥は沈殿そうの底から除去されます。このそうから流れ出る液体には,危険な細菌類を除くために化学的な処置が施されます。これが済めば,その水を川に流しても汚染を引き起こすことはありません。前述のとおり,沈殿そうから除かれた活性汚泥の幾らかは,次に送られて来る汚物の分解を早めるために,爆気そうの中に入れられます。

別の下水処理方法は,ある人々が“散水ろ過”と呼ぶものです。この方法では,タンクから送られて来る液状の汚物が,石やスラグなどで成るろ過用物質の上にまかれます。このろ過用物質は,ろ過器として働くよりはむしろ,好気性バクテリアが繁殖して行くのに役立つ場所を提供するものとなります。下水汚物がろ過用物質の上を通る際に,バクテリアが有機廃棄物を分解してゆくのです。

進歩を妨げる障害物

こうした下水処理方法で,ライン川が元通りに浄化されるとはだれも考えていません。廃水を100%浄化するには経費がかかりすぎるため,そうした考えは考慮の対象にもなりません。ですから,ルートウィヒスハーフェンの化学工場地帯にある下水処理場は,廃水を部分的に浄化できるにすぎません。ところが,その施設を建造するために4億5,000万マルクaもの工費がかかったのです。それに加えて,年間維持費が7,000万マルクかかり,人口5万人の都市に匹敵するほどのエネルギーを消費します。

余分の活性汚泥は肥料として役立つとはいえ,それを始末するためにはさらに経費がかかります。大々的な下水処理に必要とされる支出に賛成する人はほとんどいません。

さらに,毎日投棄される幾万㌧もの化学廃棄物で,生物学的な方法では分解することのできない物質についてはどうですか。ある洗剤は特にやっかいな問題を引き起こします。そうした洗剤のあわは,水面に長期間うず高く積もってなかなか消えません。あわはやがて消えてなくなってしまいますが,洗剤は有害な汚染物質として水の中に残ります。油も害をもたらす物質の一つです。油がひとたび水の中に入ると,それを取り除くのは至難の業です。時には油が飲料水の中に入り,それを飲用に適さない水にしてしまうこともあります。

費用が高くつくなどの問題があるために,ライン川の汚染を減らす最善の方法は,投棄される汚染物質の量を減らすことである,と考える人は少なくありません。しかし,この方面で目立った改善の見られる希望はほとんどありません。なぜですか。そうすることは,多くの人にとって,自分の生活水準を下げることを意味するからです。残念ながら,大抵の人は,工業の提供する現代の便利な品々を手離すよりも,むしろ汚染された水に耐える方を選びます。その上,商業上の利潤を生活の中で最も重要な事柄とみなす商人たちは,工業生産を減らすための努力に反対するに違いありません。

ライン川の汚染は,人間の利己心と貪欲さの別の現われであるにすぎません。この問題,および世界の抱える他の苦悩の解決は,全能者なる神のみ手を通してのみもたらされます。神は,「地を破滅させている者たちを破滅に至らせる」時に,それらの問題を解決されるでしょう。―啓示 11:18。

[脚注]

a 西ドイツのマルクは現在約123円に相当します。

[20ページの地図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

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