世界展望

性転換はパラダイス？

◆ 性転換願望の人が切望する性転換手術は彼らの生活を実際に向上させるであろうか。ジョンズ･ホプキンズ病院の一精神科医は，医学的に性を転換した32人の人の生活を追跡調査し性転換願望の人で手術をしなかった66人との比較を行なった。その言葉によれば，手術を受けた人の大多数は2，3年間の最初の高揚期を過ぎると，「身体的輪郭の，ある要素を除いて実際には何も変化していないという痛恨の気持ちにとらえられる」。サイエンス･ニュースに載せられた報告は次のように述べている。「前々からの情緒また性格の問題が再燃し，患者は自分が，望んでいたものの“模写”にしか過ぎないことを悟るようになる」。

新しいものが良いとは限らない

◆ 現代的なコンクリート造りは，アフリカの家に伝統的なバンコ（粘土とわら）にまさるだろうか。国連食糧農業機構の雑誌セレスによれば，快適さと経済性の観点から見るかぎりそうではない。研究の示すところによると，「灼熱の太陽の下でさえ，バンコ造りの家の内部の温度は，コンクリート造りの同類の家と比べて10度は常に低く，また“快適な温度帯”を越えることも少ない」と同誌は伝えている。バンコはコンクリートよりも安く，取り扱いにコンクリートほど技術を要しない。

馬がライオンをかむ

◆ エチオピア国営通信社の伝えるところによれば，同国南西部で，飢えた一頭のライオンが家畜小屋の三頭の山羊を食べた。そしてろばに襲いかかった時，一頭の馬がライオンに食いついて離さなかった。遂に意外な結果として，ライオンのほうが突然に死んだと同通信社は伝えている。

シート･ベルトを法制化

◆ 自動車のシート･ベルトの使用を法律によって強制している国は，今では数か国に上る。ベルトを使用しないと罰金を課せられる。この法律が施行されている所では，事故で死亡する人の数が著しく少ない。スイスでは，1976年1月1日にシート･ベルト法が施行され，約90パーセントの人によって守られているものと見られるが，死亡事故は減少した。

カナダのオンタリオ州では，シート･ベルトの着用が強制的になってから事故の死亡者は激減した。J･スノウ運輸相は，「衝突事故で命の助かるチャンスが，ベルト着用のドライバーの場合，着用していないドライバーの十倍も大きい」ことを示す統計を引用している。1976年，オンタリオ州で起きた事故のうち，シート･ベルトを着用していなかったドライバーの事故は6万1,221件で，そのうち355人が死んだ。ベルトを着けたドライバーの関係した事故は26万9,772件で，153人が死んだ。

本は「絶滅の危機にある品種」？

◆ 読む技術は読書欲と共に低下している。ニューズ･ウィーク誌の論説記事によると，「1970年代の半ばを過ぎた今，人々がこっそりと，しかし確実に読書から離れつつあることは明白である」。この記事は次のように述べていた。「思想の永遠性，一世代から次の世代への知恵の継承の象徴である堅表紙本は，絶滅の危機にある品種のリストに新たに加えられるかもしれない」。とりわけ多くの若い人は読書力を培うことをせず，ラジオ，レコード，テレビを好む。イリノイ大学では新入生のうち，せいぜい中学2年程度の読書力しかない者が10パーセントにも及ぶという。平均的な米国の子供は18歳になるまでに1万5,000時間つまり睡眠を除いて他のどんな活動に費やすよりも多くの時間をテレビを見て過ごすという研究の結果から見て，この傾向は続くと思われる。

花咲く砂漠

◆ カラ･クム砂漠は，イランとアフガニスタンのちょうど北に位置するトルクメン共和国の大半を占めている。国の東部を流れるアム･ダリヤ川の水をはるばる西部にまで引く用水路の建設が長年の間進められてきた。西に延びるカラ･クム用水は920キロがすでに完成し，なお約480キロを残しているが，完成した部分に沿う約40万ヘクタールの砂漠は肥沃な農地と放牧地に変容した。

拡大し続ける砂漠

◆ より多くの砂漠地帯を肥沃な土地に変える努力にもかかわらず，過去50年間に更に6から7パーセントの土地が砂漠化したものと，国連食糧農業機構では推定している。これは主として森林伐採，過度の放牧，間違った農業の仕方による。同機構によると，乾燥した不毛の地は今，世界の陸地の43パーセントを占める。拡大する砂漠の一例は，北アフリカのスーダン南部である。この地の砂漠は，過去17年間に南方の赤道に向かっておよそ100キロ前進した。そして年に，5，6キロの速度で前進を続けている。

チベットの恐竜

◆ チベットで初めて恐竜の化石が発見された。11の異なる型のこれら古代の動物が中国の考古学者によって発見されたが，そのあるものは長さが16メートル，高さが3メートルもある。化石は海抜4,200メートルの青海チベット高原で発見された。

富くじに当たった人は幸福か？

◆ 富くじの当たり札の中には何百，何千ドルから100万ドルになるものまである。しかし当せん者は前よりも幸福になっているだろうか。調査結果の示すところによれば，新たに起こる税金の問題，弁護士の費用，友人の態度の変化，評判になってプライバシーが失われる事などのため，当せん者はかえって不幸になっている。ある人はこう語った，「今までのところ，これは幸福よりも頭痛の種になってきた」。別の人は語っている，「それは世間であれこれ言うのとは違う。世間や友人にはねたまれるし，金は[政府]にすべて持って行かれる。……それは無益だ」。

ガンの死者を減らす

◆ 世界保健機構の言明するところによると，「先進国ではたばこに関連した病気が不具や早死にの大きな原因となっているため，たばこを制限すれば，予防医学の全分野において他のどんな単一の手段を講ずるよりも，これらの国々において健康を増進し寿命を延ばすことができるであろう」。人々がたばこを止めるならば，肺ガンによる死亡者数は約85パーセント，心臓麻痺は20パーセント減少させ得ると当局では推定している。

ライ病に関する懸念

◆ 世界には1,100万人のライ病患者が主として開発途上国にいる。この病気に対する標準的な薬剤療法の効果がうすれてきたので，世界の保健関係者は憂慮している。新しい事態に対処できるように，他の薬あるいは何かのワクチンの早急な開発が望まれている。

自家製のガス

◆ 「中国再建」誌の報ずるところによると，中国では自家製の「メタン」を料理や照明用の燃料として使う農家がますます増えている。このガスの成分はおもにメタンで，石，粘土，石灰岩と砂で作られた10立方メートルのタンクの中で製造される。一軒の農家にひとつのタンクが備えてある。木の葉，草，茎，人と動物のふんをタンクに入れて水を加える。すると発酵によってガスが発生する。タンクはプラスチックの管によって料理用のバーナーおよび照明用のランプとつながれている。ある郡では農家の73パーセントが今ではメタンガスを使っているという。メタンガスを発生させた後の残留物は，すぐれた有機肥料と考えられている。

殴打される婦人

◆ 夫に殴打される婦人が多い。これは過去2，3年間に目立つようになった，そしてますます増えている問題である。調査の示すところによると，450万人もの米国婦人は少なくとも1回は夫に殴打されたことがあり，何回となく打たれた婦人も多い。シカゴで（被害者が病院に収容された）1万1,000件の暴行事件のうち，3,000件は夫に殴打された婦人であったと警察では語っている。

足元にご用心

◆ 昨年，米国では階段で転んだけがのために病院で応急手当を受けた人が53万8,000人に上った。けがの原因の中に次の事が挙げられている。箱を持ち運んでいたために前がよく見えなかった。ロングスカート，フレヤー付きズボン，かかとの高い靴，大き過ぎるスリッパなどのためにつまずいた。階段に放置された玩具などの物品。ぬれた，あるいは凍り付いた階段。照明が不適当。階段の上で振り向いてだれかと話すことや急いでいる事も原因のひとつに数えられている。

コーヒーどろぼう

◆ コーヒーは過去2年間に価格が3倍になったので，どろぼうに目をつけられる事も多くなった。「強盗は時勢におくれないように努めているものと見える。今我々の最大の頭痛の種はコーヒーである」と米国連邦捜査局（FBI）では語っている。FBIは，合わせて200万ドル（約6億円）近くに相当するコーヒー豆が強奪された15件の強奪事件について語った。

食中毒の予防

◆ 毎年100万人以上の米国人がサルモネラ菌による食中毒にかかるものと推定されている。この病気は2，3日続くに過ぎないが，吐き気，嘔吐，発熱，下痢，消耗などの激しい症状を伴う。おもな原因は家庭および公共の場所での食物の取り扱いの不手際である。この菌は畜肉，鳥肉，卵などのなまものに最も多く付着しているが，冷蔵または冷凍によって繁殖が抑えられ，調理によって死滅する。このようななま物を扱う時は，手，器，まな板，カウンターの上などを熱い石けん水で洗うことが勧められている。

記録的な自動車輸入

◆ 長年の間，外国製小型自動車の輸入は米国における自動車販売のかなりの部分を占めてきたが，4月の輸入台数は20万5,000台で新記録となった。これは販売された自動車台数の20パーセントにあたる。燃費，維持費に加えて米国製大型車の値上げがひとつの要因となった。輸入車の上位三位はトヨタ，日産，フォルクスワーゲンである。

スポーツ肥り

◆ スポーツ競技は人々を肥らせると，カナダのP･ユーチヤック下院議員は言明している。「たばこを何本も吸い，あるいは体に良くない高カロリーの食品とアルコール飲料をたらふく食べたり飲んだりしながら」，テレビの前に座ってスポーツを見る習慣のために肥る人が多過ぎると同議員は語っている。

安全キャップは命を救う

◆ 1972年に米国では46人の子供がアスピリン中毒で死亡した。そこで，すべてのアスピリンのびんに安全キャップをつけることを要求する立法措置がとられ，翌年，アスピリン中毒による子供の死亡数は17人に減少した。その後，すべての処方薬も，小さな子供には開けることが不可能でないにしても困難な安全キャップをつけなければいけない事になった。

減少する産油量

◆ 米国の2月の産油量は1日平約800万バレルを割って11年来の最低に落ち込んだ。3月の第1週に原油および石油製品の輸入は1日に1,000万バレルに達し新記録となった。こうして国内生産の減少と外国産石油への依存の増大という近年の傾向は続いている。