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目ざめよ! 1978
目78 10/8 25–27ページ

クレタ島のブドウ収穫期

ギリシャの「目ざめよ!」通信員に語られたもの

「さあ,起きなさい! 早く! 急ぐのよ! みんなはもう出発したわ。わたしたちだけが取り残されてしまいますよ」と,母が大声で言いました。

まだ,日の出前の早朝で,空がやっと白み始めたところです。しかし,すでに,わたしの生まれ育ったクレタ島の細い田舎道を,村人がこぞって歩いていました。彼らは,列を作り,楽しげに語らいながら,足速に進んで行きます。

ベッドから飛び降りると,わたしたちの住んでいたいなか風の小さな家から庭に走って行き,顔を洗う情景を,今でも思い出します。ロバの子の背に乗って,慌てて仲間の村人の列に加わったものです。でも,なぜこんなに急がなければならないのでしょうか。

この時はちょうどブドウの収穫期だったのです。地中海のこの島にあるわたしの住んでいた小さな村では,それは活動と喜びの時であり,一年の労働の実を刈り取る時でした。9月がブドウの収穫期に当たります。

わが家のブドウ畑に近付くと,仲間の村人が一面に広がる各自のブドウ畑に散って働いているのが見えました。ブドウの実を摘みながら陽気に動き回るその姿は,ミツバチの群れを思わせました。

時間がたつにつれて太陽は高く昇りますが,麦わら帽子をかぶっているので,直射日光にさらされることはありませんでした。ブドウ畑の中を移動する娘たちの明るい叫び声や笑い声,歌声などが周囲からいつも聞こえてきました。娘たちは,白く熟したブドウの房を鋭いナイフで切り落とし,そばにあるかごに次々に入れていきます。

かごが一杯になると,男たちがそれを肩にかついで運んで行き,中のブドウを大きな亜麻布の上にあけます。周りでは,女たちがしゃがんで,腐った実や葉,巻きひげなどを房から取り除いています。それらの房を切って小さな房にしてからかごの中に戻します。

他の男たちは,きれいになったブドウの実を,灰汁の入った大きなたるに浸します。この灰汁の表面には,幾らか混ざっているオリーブ油が浮いています。次に,このブドウの実を空地に運んで,焼けつくような9月の太陽の下にさらします。こうして,干しブドウが作られるのです。

お祭り気分も手伝って,午前中の時間はまたたく間に過ぎ去り,太陽が真上で輝くようになります。昼休みの時間になり,わたしたちはブドウ畑の端のオリーブの木の下に集まりました。木陰で休みながら,家から持参した弁当を食べ,陶製のつぼに入った新鮮な水でのどを潤すのはなんと楽しいことでしょう! 生気を取り戻し,新たな力を得て,わたしたちは再び仕事を始め,夕方遅くまで働いたものです。

ブドウの収穫

このように,ここクレタ島では,ブドウの収穫は大きな喜びの時です。また,それは,激しい活動と働きの時でもあります。収穫はわせの熟する8月初旬から始まります。そのブドウをそのまま食べるのも楽しいものです。しかし,最初の本格的な収穫は,その少し後から8月下旬にかけて行なわれます。初めに,黒ブドウを摘みます。わたしたちの村では,どの家でもこのブドウを使って,すばらしい赤ブドウ酒を造るのが習わしになっています。

大きなかごに入れられたブドウの房が(大抵は若ロバの背に載せられて)ブドウ畑からそれぞれの家のブドウ絞り器のある場所に運ばれます。人々は,素足で,絞り器の中のブドウを踏みつけます。この時期に旅行者としてこの島を訪れる人は,この仕事に加わって格別な楽しみを味わうことができます。

でも,ちょっと待ってください! ブドウを踏みつける前に,農夫は必ず足を洗います。この楽しい作業に加わりたいと思う観光客にも,同じように足を洗うことが求められます。

絞り汁の入ったたるから,ブドウ液つまり“マスト”を大きな木のたるに移します。この中で,マストは発酵し,深紅色のおいしいブドウ酒になります。クレタ島のほとんどの家庭では,食事の際にこのブドウ酒がなくてはならないものになっています。しかし,ブドウの実から作られる製品はこれがすべてではありません。

マストの全部がブドウ酒を造るのに用いられるわけではありません。マストの入ったゼリーやゼリーソーセージなどの菓子類を作るのにも用いられています。ブドウ酒からは,料理に使う天然のすばらしいビネガーが得られます。また,新鮮なブドウの葉でミンスミートやご飯を包むとおいしいごちそうができます。

村人は,ブドウを踏みつけて絞り汁を取ったあとのかすまで利用します。このかすは,家畜の飼料や肥料として使われます。しかし,これは,収穫期のもう一つの楽しい集まりでも用いられます。10月か11月に,お祭り気分の中で,この絞りかすの“煮出し”が行なわれるのです。

農民は,村のはずれで,昔から伝わるこの煮出しを行ないます。大きな石で急ごしらえの炉を作り,絞りかすをいっぱいに入れた釜をかけて,これを煮出すのです。村人は,日が暮れると,炉に火を付けてその周囲に集まり,秋の夜の冷気の中で暖を取ります。

あちこちで,おもしろおかしい冗談や楽しげな話し声が聞こえます。武勇伝や冒険物語などの作り話が若者の想像力をかき立て,子供たちは近くに座って聞き耳を立てています。おなかがすくと,炉にくべた炭火の上で丸焼きにしたおいしいジャガイモを食べます。しかし,夜になると,男たちには,釜でできる最初の抽出液を味わう楽しみがあります。これはとても強いお酒で,ツィクディアと呼ばれます。

このように,苦しい労働と努力と村民相互の協同作業の一年は,こうした祭りによって最高潮に達します。このようにするには,作業を1月から開始しなければなりません。せんていし,古い芽を切り取り,さらに多くの実を結ぶ新しい芽が生えるようにします。続いて,畑を掘り起こしたり,ハローで耕したり,くわで掘ったりする作業が,ブドウが花を付ける3月まで行なわれます。

後になって実が付くと,その先の茎を切り落として,養分を無駄にすることなく,良い実が成るように手入れをします。一方,水をやったり,肥料を施したり,亜硫酸ガスを添加したり,殺虫剤をまいたり,つるを格子だなにはわせたりする仕事も行なわねばなりません。

開花時の降霜など,天候によってはブドウに大きな被害の出る恐れがあります。また,種々の病害やイナゴ,ハチなどに対しても警戒を怠ることができません。

しかし,いっしょうけんめい働いてブドウの世話をした人は,その働きが熟したブドウの実という形で報われ,収穫期に村全体が陽気な気分に浸っているのを見る時,それだけの努力を払う価値のあったことを知ります。

[25ページの地図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

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