世界展望
盲人のための読書用機械
◆ マサチューセッツ工科大学によって初めて開発されたある機械は,盲人の読書を助ける面でブライユ点字法の発明以来,最も重要なものと見られている。その機械は重量が36㌔あり,現在のところ14台が病院やリハビリテーション・センターに設置され,一台がニューヨークの公共図書館に備え付けられている。その機械には光学的な走査機が取り付けられていて,そこから放たれた一条の光線が印刷の施されたページと交差すると,そのページの上の文字は電子計算機の分析するデータに変えられ,次いで電子計算機がそれを音声に転換するのである。ブライユ点字を用いて発行された印刷物はほんの一握りに過ぎなかったが,この方法を用いればどんな印刷物であっても読むことができる。しかし今のところこの機械の値段は目が飛び出るほど高い。
経済に関する警告
◆ サウジアラビアの国連大使,ジャミル・バルーディー氏は,世界中で増大している経済問題が,恐らくは1929年に口火を切った経済恐慌と同じ規模の不況に発展するであろうと考えている。この72歳の外交官兼経済学者の述べるところによれば,昔の政府が赤字支出をおしても仕事をふやし,繁栄を築こうとしたのは危機的な時に限られていた。しかし,と同氏は言葉を続けている。「危機的な時にはそうしても構わない。ところが今日我々はそれを年がら年中行なっているので破産という結果は免れられない……朝鮮やベトナムの戦争で新しい仕事がいくらか増えても,金銭の浪費は決してなくなっていない。政府はどんどん公債を発行し,立て続けにお金を印刷してきた」。このことが原因で絶えず物価は上昇し,負債は増加し,支払い能力はますます衰えているが,これは破産と不況を招く通則である。
重曹は身長を伸ばす
◆ 何の変哲もない重曹が,腎管酸性症と呼ばれる腎臓疾患によって発育を妨げられた子供たちの成長を,正常な状態に回復させることができる。その子供たちの腎臓は,過剰の酸を体外へ排出する用をなさず,そのために発育が妨げられている。しかしサンフランシスコにあるカリフォルニア大学メディカル・センターの研究者たちは,アルカリ性の重曹を十分な量だけ摂取することによって,過剰の酸が中和されることを発見した。驚くべきことに生後八日の赤ちゃんから九歳半までの10人の子供についてこの事実が明らかになった。どの子供たちも三年もしないうちに正常な身長に達し,ある幼児はわずか二か月で51㌢から61㌢に成長した。
専門家からの援助
◆ アメリカは乗客輸送の鉄道に関して,多くの国々に長い間遅れを取ってきた。現在,全米旅客鉄道会社(アムトラック)は,フランスから鉄道線路を修繕する203㌧もある機械を借り受け,弱くなった道床の質を改良している。ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報告によると,46.3㍍もの細長い装置が「強力な磁力で線路を持ち上げ,石で築き上げられた道床をゆるめたあと,レーザー光線を使って線路をもと通り完全なきちんとした位置に戻す」。同社はまた,オーストリアから道床をゆるめる機械を購入したり,スイスで設計された,鉄道線路を敷設する装置を買い付けたりしている。
驚異的な生存
◆ ふとしたことでカナダのある男の人が23階の窓台から転落したが,それは自分の女友達をおどかすか,彼女の注意を自分に引き付けようとしたかそのいずれかが目的だったと言われる。その男の人は63㍍下の,水深約1㍍の水泳プールに転落した。報告によると,入院したその24歳の青年は精神的に健全だった。
別の青年は,麻薬の影響と思われるが,サンフランシスコにある48階のトランス・アメリカビルの27階から通風口に飛びおりた。その人も99㍍落下したあと,精神に異常は見られなかったと記されている。その22歳の男の人はももの骨と膝蓋骨とかかとの骨を折ったが,内臓の損傷はなかった模様である。警察は落下の途中で通風口の両側に体をうちつけたことによって,墜落の際の力が弱まったものとみている。救急車に乗せられた時もその男の人の意識ははっきりしており,歌を歌っていたと伝えられているが,その歌の中には「何とすてきな俺の旅」という文句もあった。
緑内障からの解放
◆ ある人々は,医学的に処方されたマリファナをある種の緑内障を制御するために用いてきた。しかし今はナビローネと呼ばれる同類の薬が合成されている。その薬はマリファナとは違い,思いを乱す影響を及ぼすことなく眼の液体の圧力を低下させるようである。シカゴ大学眼科学部長は,これまでの諸研究が示すところによるとこの薬は「ごく少量でも効き目があり,副作用は何もないようである」と述べている。
うんざりする慈善行為
◆ 「今アメリカ全土で専門家による資金調達の戦いが盛んである。そしてそうした人々は隣人愛など持ち合わせていない」とサンフランシスコ市の,慈善行為に関心ある市民の会々長は述べている。数多くの規模の小さな慈善団体は,巨大な慈善組織ユナイテッド・ウェイ社のせいで自分たちが締め出され,慈善基金にあずかれないと感じているようである。彼らはユナイテッド・ウェイ社を独占的事業として非難しているが,それを時として訴訟に持ちこむこともある。
牛に光を
◆ 光の影響を受けて生長する生物は,植物だけではないようだ。サイエンス誌上の報告によると,冬の期間中に一日16時間日光浴をしたホルスタイン種の牛は,平均的な時間,つまり9.8時間だけ日光を浴びた牛と比べると,10-15%体が大きく,10%も余分に乳を出すという。二つのグループの牛は共に同じ量だけバター脂肪の入った乳を飲み,同じ量だけ干し草を食べた。「このように光を余分にあてる操作を行なうことによって,動物が供給する食物の量は驚異的に増加する」とミシガン州立大学の研究者たちは語っている。
年を取り過ぎているということはない
◆ 81歳になる老人が最近名古屋市の近くにある花園小学校を卒業した。その男の人は幼いころ経済的に恵まれなかったため,学校に行かず奉公に出ていた。それで自分が受けそこなった教育をいくらかでも受けるべく,この老人は1975年に小学校へ入学することを志したのである。毎日学校へ行くために二㌔の道のりを自転車で通い,70歳も年下の子供たちに囲まれながらこの老人は他の人と全く同じように試験を受け宿題を果たした。「この老人は目の黒いうちは勉強をやめないと語った」と英文毎日は報じている。
『カエサルに税を納め』ず
◆ 自分の所得税をごまかすことは世界のいたる所で生活の手段とされている。米国国税庁の一職員は最近次のように告白した。「これはまったくどうにもならない問題だ。2,000億ドル(約50兆円)ものお金が帳簿に全く記載されずに[納税の記録なしに]動いているのである。それは国民総生産(GNP)の一割以上になる」。同職員はまた,政府の国税庁の職員2万5,000人が違反者を見つけても,「陪審員団は有罪判決を下すことを好まない。心の奥底では,米国の役人をごまかしたいとも考えている陪審員団に,脱税がいかに悪質なものかを納得させるのは至難の業である」と語っている。しかしエホバの証人はどこの国に住んでいようと,「カエサルのものはカエサルに……返しなさい」というイエスの命令に従っている。―マルコ 12:17。
固く締めつける
◆ エベレスト山が地殻に及ぼしている圧力の700倍の力を加えれば,ダイヤモンドをプラスチックのような可塑性を持つものに変えることができると言われている。カーネギー協会,地球物理学研究室の科学者たちは,小さなダイヤモンドの一部に可塑性を持たせるために,一平方㌢あたり1,770㌧の圧力を加えることに成功した。
スピード料理
◆ 中華人民共和国で最近開催された専門家の競技大会で,目を見張るような包丁さばきがひろうされた。公営通信社である新華社の報道によれば,コック長が生きたままのにわとりから,切れ目の入った胸肉のチリソースがけを作るまで,2分4秒しかかからなかった。ピーナッツで仕上げられたこのこうばしい四川省の料理は,「宮殿の宝石」と名付けられている。
“進歩”?
◆ ワシントン特別行政区の環境問題の一グループであるワールドウォッチ協会の報告によると,死を招く病気の原因になることが知れ渡っているにもかかわらず,喫煙が,ことに世界の貧しい国々で増加しているという。どちらかというと貧困な国でふえているのはなぜだろうか。同協会の説明では,その原因はたばこ生産者の間に,喫煙は“進歩”の象徴という見方があるからだとしている。これらの国々の『上流階級』の人の多くは,喫煙が階級を区別すると同時に現代的であることの象徴であるとみなしている。同協会はこう述べている。「世界中の貧困国の,教育や経済面でのエリートたちが,同国人の喫煙の習慣を始める手助けをしているのである」。
旅行者に対する警告
◆ 世界保健機構(WHO)は,旅行者がアフリカから自国に持ち帰る“マラリアの輸入”件数が着実に増加しているとして警告を与えている。同機構は「自分たちが訪ねようとしている地域でのマラリアの危険性やその危険に対処する方法について,さらに万一旅行者が帰国後発熱した場合,どんな処置を講じたら良いかについて」すべての旅行者に知らせなければならないと強調している。旅行者情報局がこうした情報を提供するはずである。
世界一のタイピスト
◆ 最近オランダのロッテルダムで行なわれたタイピストの世界選手権大会で,ハンガリーの一婦人が30分間に1万8,665の文字を正確に打ち,選手権を獲得した。それは英語で言えば,一分間に124以上の単語を30分間にわたって打ち続けることに相当する。
シェトランド諸島の小馬
◆ 世界に名高い小型のシェトランド小馬は,原産地のシェトランド諸島でも数が減少している。残っているのは一千頭少しに過ぎないが,それは飼育係の仕事を続けるのが割に合わないとされているからである。去年開かれた毎年恒例の馬市ではほとんど需要がなかったため,生後半年の小馬につけられた値段がわずか28㌦(約7,000円)だった。一つの問題は馬を新しい家に運搬する際の費用がかさむことで,ニューヨークまで運ぶのに1,400㌦(約35万円)もかかるという。
芝居ではない
◆ 1968年,「人は我らをごろつきとみなす」と題する映画に,スウェーデンの10代のヒッピーたち40人が登場し,自分たちで芝居を演じた。その後,40人の“俳優”のうち10人が薬の飲み過ぎで死亡したが,最後に発見された人の死体はストックホルムの公衆便所の中にあった。