世界展望
宇宙の混雑?
◆ 科学者は,地球の周りの宇宙が次第に過密化していると警告を与えている。彼らが言っているのは特に地球の赤道の上空3万5,900㌔にある環のことで,そこでは人工衛星が地球の自転と全く同じ速度で地球を回り,地球上で見る限り“静止した状態”を保っている。地上の信号を増幅して下の広大な地域に直接伝達する中継局にとって,この位置は非常に効果的である。“地球と同じ速度で動く”つまり“地上からは静止して見えるこの”軌道には,現在100個の電波中継局と衛星の破片が存在しており,今年の7月現在ではそのうち30個がアメリカの衛星,25個がソ連,2個が西ドイツのものであった。「我々は地球と等速で動く軌道に多くのものを送り込んでいる。そして26万5,500㌔もの長さがあっても,それはこれ以上人工衛星が入り込む余地のない,閉ざされた環なのである」と米航空宇宙局の一職員は語っている。
神の言葉の威力
◆ 「[ロンドン]の,ウェスト・エンド商業地区の数ある劇場のうちで最も売れ行きの良かった切符の一つ」はマルコによる福音書の逐語的な朗誦であったとザ・ウォール・ストリート・ジャーナル誌は伝えている。マルコによる書全体を暗記し,それを会場を埋め尽くした聴衆に向かって感動的に読み上げた有名な英国の俳優,アレック・マッコーエン氏は,「マルコの中にはとても多くの活動が含まれている。これは福音書の中でもずば抜けて叙述的なものである」と述べている。同誌の説明によるとマッコーエン氏は「自分自身を伝達者とみなしており,マルコもペテロの語ったことを記録した伝達者だったと思うと語っている」。
勝負に負ける
◆ アメリカ東部では最初のとばく場が,今年の初め,ニュージャージー州のアトランティック・シティーにお目見得した。最初の六日間の営業期間中,そのとばく場がもうけた“利益”は一日平均43万8,504㌦(約8,770万円)だった。そこで遊んだ人は一時間につき平均18㌦(約3,600円)の割でお金をすられたが,そのうち一番の損をしたのはスロット・マシーンで遊んだ人で,一時間に平均18.64㌦(約3,700円)を失った。
ひざの上は危険
◆ 安全性を調査する一グループの下した結論によると,自動車に乗っている間に子供のすわる場所として最も危険なのは,人のひざの上だという。正面衝突で車が急に停止するときに子供も大人も前方に動き続け,その結果子供は子供を抱いていた人と,床を含め窓わく,計器パネル,ドアなどの内壁との間で押しつぶされてしまう。一つの事例を挙げると,後部座席の乗客のひざの上で抱かれていた生後14か月の赤ちゃんは,その大人の下敷になり,うつぶせになっているところを発見された。その赤ちゃんの死因は脳の損傷だったが,その大人と前の座席の背もたれの間で押しつぶされて複雑骨折や切り傷も負っていた。しかし同じ事故に遭った九歳の子供は,大人のそばに座り腰のベルトを締めていたため,無傷だった。
“軽い発作”
◆ 血餅や動脈出血に妨げられて,脳に送られる血液量が減少すると,発作が引き起こされる。脳の神経細胞から血液が奪われると,それらの神経がつかさどっている体の部分が正常に働かなくなる。身体的または精神的な疾患の原因のうちでよく見逃されるのが一連の“軽い発作”である。この発作は30歳ないしは40歳になってから始まることが多く,しかも夜間に起こるようである。あるいはめまいがする期間が続くとか,一時的な意識喪失を経験するとか,ほんのわずかな時間錯乱状態に陥るといった症状だけでほとんど気づかれずに見過ごされてしまう場合がある。それらの症状は手当てを受けるほどひどくはないが,脳に何かの傷が残される可能性がある。医師はこれら“軽い発作”の原因や徴候や治療に関して,もっと多くのことを知ろうとしている。
体を起こした姿勢で出産
◆ 米国産婦人科医の年次総会での一報告は,一般的にいって,陣痛と出産の際には,ベッドの上に横たわるよりも産婦に上体を起こした姿勢を保たせる方が優れているということを裏付ける強力な証拠を提出した。1783年,フランスの一医師が初めて,出産に際してベッドの上に横たわるよう提唱したことが知られているが,それは母親ないし子供の益のためではなく,医師にとって容易な方法だったからである。しかし妊産婦に関する比較研究の結果,陣痛と分娩の際に,母親に上体を起こした姿勢をとらせることによって,赤ちゃんはより早くより容易に,与える痛みも少なく併発症もさほど起こらずに生まれることが発見された。七か国の共同研究は,上体を起こした姿勢による分娩という古くからの方法が,通常の出産の大多数の場合に最善のものであるという結論に達している。上体を起こした姿勢の出産の時に鉗子を使わねばならなかったのはわずか0.7パーセントだけだったが,それに比べて体を横たえた姿勢の時は6.7パーセントの場合に使わねばならなかった。それに初産の女性について見ると,上体を起こした女性の方が陣痛時間が36パーセント短かった。上体を起こした姿勢による出産ははるか昔からあった。3,500年ほど前,イスラエルの婦人は「産み台」を使っていたと言われている。(出エジプト 1:16,新)しかし今日このような方法を用いる人は,熟達した監督者の指導が得られる場合にのみ行なう方が賢明であろう。
水浴に関する警告
◆ 長い間浜べで日光浴をした後,急に海の冷たい水につかることは命取りになりかねない,と英国,クリスタル・パレス全英レクリエーション・センターの医局員,ディビッド・ライド博士は語っている。同博士は次のように述べている。「浜べで横になり太陽光線を浴びていると,皮膚の血管が膨張し,この時に皮膚は約1㍑の血液を余分に包含することになる。それを突然冷やすと,血管はこの血液を組織内に再度送り返さねばならなくなる。それは突然輸血を受けるようなもので,時々心臓はそれに対処する能力を失ってしまう」。他の場合には,突然のショックで失神することがあり,意識を失った人は溺死する。
人体の値打ちが上昇
◆ 何年か前,カルシウム,マグネシウム,鉄分その他の化学物質など,成人一人の体を構成している基本材料は98セント(200円弱)に相当すると見積もられた。イリノイ医科大学のハリー・モンセン博士の計算によると,今はそれがインフレの影響を受けて5.6㌦(約1,100円)になった。同博士は次のように述べている。「自分たちが98セントの値打ちしかないと言われた時,人々はショックを受けた。5.6㌦の価値があると知って人々は気嫌を直すことだろう」。
CB無線のアンテナが凶器となる
◆ 米国では一年間に少なくとも123人が,通信アンテナで感電死しているが,CB無線装置(市民ラジオ)のアンテナが動力線に触れた事故がその半数を占めている。ここ一か月の間に少なくとも八人がCB無線のアンテナで感電死している。米国の消費者製品安全協会は,すべての死亡証明書が感電死の直接の原因を明記しているわけではないので,このような方法で命を失った人の数はもっと多いかもしれないと述べている。
一笑に付すべきにあらず
◆ “ラーフィング・ガス,つまり亜酸化窒素は,歯科医が治療を施す際患者の緊張をほぐすために投与する麻酔剤である。ところが歯科医の中には,そのガスが気分を陽気にし,くつろがせる効果を持つところから習慣的にそれを吸い続け,その常習者になってしまった人がいる。その結果,幾人かの人々には,神経中枢組織の変性疾患である多発性硬化症と同じような症状が現われている。その症状の中には,膀胱の制御不能,歩行困難などが含まれる。
寛大なのはだれか
◆ ハーバード大学の一研究が明らかにしたところによると,富裕な階級の人々より社会経済的に下層階級に属する人々の方が,同情心に厚く,できる場合には他の人々に分け与えたいという意欲がある。裕福な階級の子供たちより貧しい子供たちの方が利他的であった。ノースウエスタン大学の研究もまた,寛大さには伝染性があること,他の人の物惜しみしない態度を見ると人はその行動を模倣する傾向のあることを指摘している。さらにワシントン大学での実験は,援助を求めていろいろな活動に携わっている人々に近付いたところ,食事をしている人が最も寛大であったことを示している。
人気最高のテレビ
◆ デトロイトの新聞フリー・プレス紙は,120組の家族に対して,「もし500㌦(約10万円)を差し上げたら,みなさんは丸ひと月テレビをつけないでいられますか」という質問を提起した。四分の三以上の家族(93家族)は否と答えた。はいと答えた人々のうち五家族が選ばれてそれを実践したが,テレビなしで一か月を過ごした後,父親たちの大半は子供たちをより良く知るようになったと語り,四組の家族は互いに対する親密感が増したと述べている。中にはテレビに邪魔されることなくおとなしく遊んだ子供もいたが,テレビを見たいとせがんだ子供もいた。
仕事にあぶれた若者
◆ 西ヨーロッパの約600万人の失業者のうち,少なくとも三分の一は25歳以下である。これら若者の多くは人生のあらかたを,職を得られないままで過ごすという問題に直面している。アジア,アフリカ,南アメリカなど他の地域の幾百万もの失業者を加えてみると,多くの世界指導者がなぜ将来を深く憂慮しているか理解できるようになる。
しわを防ぐ
◆ 米国サン・アントニオ市に住む臨床皮膚科学の一教授は,女性の使うあらゆるクリーム,ホルモンマスク,美顔術,蒸気美顔法などすべてがしわの防止にほとんど役立たないと唱えている。B・L・リンマー博士の意見によれば,化粧品はしみやしわを覆い隠すことや美しさをきわ立たせることはできても,しわや老化に打ち勝つ面では全く効果がない。刺激性の少ない石けんと水で一日二回洗顔し,ベビー・オイルのような純良な油か乾燥防止剤を使えば,どんなタイプの皮膚でもそれで十分であると同博士は述べている。
宇宙船内のくもの巣
◆ 今年の初め,宇宙船パイオニア・ビーナス一号の打ち上げに際し,ケネディ宇宙センターの技術者たちはその秒読み時間中に,巨大な宇宙船の通気管のノズルに問題が生じていることを探知した。一匹のクモがその場所に新しい巣を作っていたのである。その小さな建造物は直ちに,惑星探険という目的のために犠牲とされ,秒読みが続けられた。
国境をまたぐ家
◆ ケベック市の新聞,ラ・プレス・オブ・モントリオールは,カナダとアメリカのちょうど境目に居を定めている一女性の問題について伝えている。その女性は二か国に税金を支払わねばならない。しかも二台の電話があった時には,一方がアメリカ,一方がカナダのものだったため,二種類の電話料金請求書に対して支払いをしなければならなかった。