世界展望
さらに多くの言語で翻訳される聖書
◆ 1979年末までに,聖書中の少なくとも一つの本が1,685の言語および方言で出版された。これは1978年の合計より25か国語の増加である。(「目ざめよ!」誌1979年12月22日号27ページ参照)米国サウスカロライナ州アンダーソンのデーリー・メイル紙によれば,聖書中の少なくとも一つの本が,492のアフリカの言語に翻訳されている。翻訳の言語が2番目に多いのはアジアで429,3番目はラテンアメリカで275,4番目はオーストラリアと南太平洋で246である。
戦争ゲームが禁止される
◆ おもちゃの兵隊やピストルの販売を中止するようにという玩具製造業者との先の協定に引き続き,スウェーデンは今回,他のすべての戦争指向のゲーム,模型,武器などを禁止した。当局者の意見によれば,そうした玩具は,「子供たちを暴力にさらすものであり,それによって暴力に走りがちな社会が生み出される」。禁令の主唱者たちは,戦争ゲームは,問題の正常な解決法は戦争と暴力であるという考えに子供たちを慣れさせるものだ,と論じている。
淫行を犯させる「強制力」
◆ レディーズ・ホーム・ジャーナル誌によれば,16歳までに性関係を持ったことのある若者の数は一世代足らずの間に8倍に増えた。その中の記事は,今日の道徳性に関する悲しむべき論評を加えているが,その説明によれば,若い人たちは,「処女であることはもう時代遅れだ」とほのめかす暗黙の圧力があるため,自分たちの純潔を失なわせる「性的な強制力」を感じているという。そこには16歳の少女の次のような言葉が引用されている。「わたしは処女です。これは悲しいことではないでしょうか。友だちはみんな処女ではないと思います。みんなから非難されることはありませんが,わたしが処女であることは,みんなとわたしの間にある溝のようなものです。みんなが知っている事を私は知らないのです。わたしは取り残されたように感じます。17歳の誕生日までには,きっとそうしようと思います。だれとかは分かりませんけれど」。
たばこは睡眠と記憶を妨げる
◆ ペンシルバニア州立大学の研究者によれば,喫煙者は一般的に非喫煙者より睡眠に困難を覚え,短期間にたばこをやめた喫煙者の睡眠の習慣はめざましく改善される。サイエンス誌上の同研究報告は次のように述べている。「50名の喫煙者のグループは,年齢と性別を同じくする50名の非喫煙者のグループより,睡眠に大きな困難を覚えた」。喫煙者たちは眠りにつくまでにほぼ40分を要したが,非喫煙者たちは30分もかからなかった。短期間に喫煙をやめたヘビー・スモーカーの場合,やめてから最初の三晩に,目ざめている時間が45%減少したと報告されている。
スコットランドのエジンバラ大学における研究は,喫煙が記憶をも損なうことを示唆している。「英国医学ジャーナル」誌上の報告によれば,25年間かそれ以上喫煙していた有志と,たばこを吸わない有志との厳密な比較が行なわれた。これらの人々には,名前と顔を合わせる能力に関する試験があてがわれた。非喫煙者たちは,73%が正解だったが,喫煙者たちの正解はわずか56%だった。「顔と名前とを結び付けて覚える喫煙者の能力は劣っており,これが喫煙者と非喫煙者とをはなはだしく区別するものとなった。これは,慢性的な喫煙の間接的副作用であると解釈される」と同報告は述べた。
金の袋を拒絶する
◆ 人々が天文学的な値段で金を買っている時代に,無償でこの貴金属を入手できるのにそれを断わるというのは普通のことではない。しかし,下関市のある人はそのことを行なった。いか釣りをしている時,海底にあった時価5,000万円もする21個の小さな金の延べ棒の包みが鉄製の釣りざおにひっかかったのである。この財宝は警察に届けられ,その後6か月半の法的な猶予期間が過ぎた。しかしその時になってこの下関市の人は金の発見者としての権利を放棄した。「金を釣り上げてからというもの,それで一体何をするつもりかと尋ねるいやな電話に悩まされ通しでした。家族や友人と話し合った末,それがない方がうまく暮らしてゆけるという結論に達しました」とこの人は述べている。
一つの後悔
◆ 33年前トランジスタを発明してノーベル賞を受けたウォルター・ブラッテンは,自分の唯一の後悔は,自分の発明したものが今日の十代の人々によってロック音楽を増幅するのに使用されている点であると述べている。「ロックンロールは,それに熱を上げる若者たちの聴覚を害するものである。私の判断するところでは,それは音楽ではなく……ただの騒音に過ぎない」と,77歳になる発明家は言明した。
1兆ドルの負債
◆ 米国が今年度見積った連邦政府の負債総額は,9,394億ドルつまり約1兆ドル(約240兆円)である。これは,同国国民すべてが,たとえ生まれたばかりの者であれ,平均4,229ドル(約100万円)の負債を分担することを意味する。1年間の利息だけでアメリカ人一人当たり359ドル(約8万6,000円)に上る。
金の浴槽
◆ 中伊豆の船原ホテルは10年前,泊まり客の使用のために,22カラットの金の浴槽を備え付けたことで有名になった。最近の金の価値の急上昇に伴い,同ホテルはその宝物を“10億円の浴槽”として宣伝できるようになった。年間約5万人の泊まり客が,金の浴槽に5分間つかるために3,000円を支払っていたが,インフレのため,つかり賃は2月に5,000円に上がった。
最も速い列車
◆ フランスは,世界で最も速い鉄道の一つになると言われているパリ-リヨン間425㌔の鉄道を建設中である。6年にわたってフランスでは,時速310㌔のスピードで走る新しい電車の実験を行なってきた。新しい線路は,カーブでも時速260㌔のスピードが出せるよう設計されている。工事は1983年に完成の予定であるが,鉄道の約7割は1981年末に開設される予定である。工事が完了すれば,乗客は平均212㌔の時速で,わずか2時間以内にパリからリヨンまで運ばれるようになる。現行の時間表では3時間40分である。
先を越されないように,日本の有名な新幹線も,現在,世界中で最も速い乗客サービスを行なってはいるが,1981年末には同様に時速260㌔で運転を開始する予定である。懸案の東北上越新幹線は,現在の新幹線が達しているスピードを時速50㌔も上回るものとなる。
ギリシャ人にガスマスクを?
◆ アテネのデーリー・ポスト紙によれば,車の排気ガスや建物の暖房装置から出る排出物のために,「アテネの市民は,窒息する危険を冒さないで動き回るためにガスマスクが必要となるであろう」。同紙は,このことはギリシャ技術庁の調査官の答申の中でほのめかされたものだと述べている。その報告が例証しているところによれば,アテネにおける下町の街路の上空に含まれる微粒子の平均値は,世界保健機関の述べる安全規準と比べると4ないし6倍も高い。
武器を持った若い強盗
◆ 米国ニューヨーク市の10歳になる少年は,銃を持った12歳と13歳の二人の少年に呼びとめられ,持ち物を渡さないと殺すと脅かされた。警察は,武装した強盗として同市でこれまでに逮捕された人の中で,これらの少年たちが最年少であろうと述べた。22および38口径の二個の充填されたピストルは,少年たちから押収された。そして彼らは,被害者の少年と一緒になって泣き崩れたと報じられている。2月末にニューヨーク・ポスト紙は,「学校で子供たちから70挺の銃が押収されたが,その中にはまだ十代になっていない者たちがいた」と報道した。ある青少年指導員は次のように述べた。「街頭でいとも簡単に銃が手に入るので,子供たちはジップガン[手製ピストル]を作る手間さえいらない」。
日本のロボット労働者
◆ テクノロジー・レビュー誌によれば,「工業生産のために使用されているロボットの世界総数は1万7,500体である。それらのうち,2,000体はヨーロッパにあり,2,500体が米国,1万3,000体が日本にある」。この分野における日本の卓越性を例証するものとして,同誌はカラーテレビの組立てを行なう自動化された機械に注意を引いている。日本では一台のテレビを組み立てるのに,アメリカにおける最も効率の良い工場の半分以下の労働者しかいらない。オートメーションにおける日本の主導的な立場は,「十年前に開始された慎重な計画」によるものである。当時の調査には,日本の労働力は「間もなく同国の工業の要望に十分こたえられなくなるであろう」と述べられている。
車に要する費用の急騰
◆ 1973年以来,新車を使い始めてから最初の3年間に要する費用は,90%も上昇した。ガソリン代,修理費,保険金,自動車自体の販売価格などの高騰が,車を所有する費用がかさむようになった理由である。レンタカー会社であるハーツ・コーポレーションによれば,小型の新車を1マイル(1.6キロ)運転するのにかかる全費用は,米国では平均約32セント(約77円)であるが,1マイルにつき44セント(約106円)かかる都市もある。一方,3年使用した車は,次の3年間運転するのに半額しかかからない。こうした事柄が賃貸しの値段にも反映され,その結果,ウォール・ストリート・ジャーナル紙の表現によれば,「中古車貸出し業が全国で急激に増加している。レンタレック社は,全国に20以上の加盟店を持っており,リースアレモン社は4店,アグリー・ダックリング・レンタカー社は20店以上持っている」。
“解放された”犯罪者たち
◆ 「男性にできることであれば何でも同じほどうまく,あるいはより上手にできることを誇示する婦人がいよいよ増えている」と,米国コロラド州デンバーのロッキー・マウンテン・ニューズ紙は述べている。同紙は,米国連邦捜査局の制服犯罪報告を引用している。これらが明らかにしたところによれば,1974年から1979年の間に詐欺で逮捕された女性の数は,約50%増加しており,一方同じ罪で逮捕された男性は13%増加したに過ぎなかった。横領罪で逮捕された女性は,同じくおよそ50%増加したが,男性は,わずか1.5%の増加であった。貨幣の偽造罪でつかまった女性は,27.7パーセントの増加で,男性は10パーセント足らずの増加であった。こうした割合いは,今日の“解放された”女性によるホワイトカラー族の犯罪が高い率で増えていることを示唆してはいるものの,その犯罪の件数は男性のそれより依然としてはるかに少数である。
老化? 働き続けよ!
◆ 退職した人々は,仕事を持ち続ける人に比べて80%も心臓発作に襲われやすい,とハーバード大学公共衛生学部の研究者たちは述べている。568人の男子を対象にした研究を終えた後に,科学者たちの代表者は,「退職することが冠状動脈の血栓閉塞を引き起こす一つの危険な要因となる」ことが研究結果から分かる,と語っている。