世界展望
ソ連を『悩ませる』エホバの証人
◆ 「エホバの証人のことで心を悩ませるソ連」。AFP通信モスクワ局からのニュース記事にこのような見出しが付けられている。その記事はこう述べている。「米国において100年以上前に創設されたエホバの証人の宗派は,ソ連邦におけるイデオロギー戦線の指導者たちの心を悩ませているようである。反宗教的な数種の出版物が最近明らかにしたところによると,ソ連国民の若者たちが多数,ソ連においては禁令下に置かれているこの宗派に加わりつつある」。この記事は次のようにも述べている。
「証人たちは,ソ連の社会生活に対する無関心さゆえに手ひどく批判されている。彼らは共産党や労働組合に参加せず,選挙の際にも投票せず,子供たちをピオネールあるいはコムソモール(共産主義青年同盟)の運動に参加させることを拒む。……一方,信者たちは自らの信仰の良い言葉を広めるために見事な熱意を示している。宣教者としての熱意が各証人の義務だからである」。
道徳的なために追放される
◆ カナダ,オンタリオ州にあるミシサウガの聖公会の一僧職者は,同性愛者のために別個の礼拝を行なう同教会の方針に異議を唱えた。同教会はこの僧職者の辞任を求めた。僧職者のジョージ・モーリーはこう語っている。「私はもう清い良心を保つことはできない。同性愛に恨みがあるわけではない。私が反対し,異議を唱えたのは彼らに対して教会内での特別な身分,その存在を認めることである」。トロント・サン紙は,「モーリーが述べたのは,聖公会は社会悪に対してあまりに寛大に過ぎ,今こそキリスト教の規準に戻るべき時であるということだ」と述べている。「大切なのは神が述べておられることである」と追放されたこの僧職者は言明している。
郵便受けに関する法律が支持される
◆ 米国の最高裁判所は,消印の付いていないものを個人用の郵便受けに入れることを禁じた連邦法を支持した。多数を占めた意見を説明して,陪席判事のウイリアム・H・レーンクイストはこう述べた。「郵便箱は,郵便物の配達と収受の全国的機構にとって肝要な部分であり,1934年以降,米国議会ならびに郵政公社の明示する条項あるいは条件にかなっていない限り,郵便箱を利用することは不法とされている」。この法律は,消印のないものを郵便受けの中に入れることに対し300㌦(約6万6,000円)の罰金を科している。この問題が法廷に持ち込まれたのは,ある市民団体が,自家所有者の郵便受けにリーフレットを配れないので,言論の自由が侵害されていると主張したためである。最高裁判所はこの申し立てを却下した。
『最大の建設』
◆ ナイジェリアでは,現在ラゴスにある政府関係官庁を収容する新しい連邦首都をアブジャに建設中である。ニュー・ナイジェリアン紙によれば,この工事は「単一の建設計画としては世界最大のものである」。工学技術局の局長であるE・A・アギュレは,連邦政府のこの新しい首都への移行は,1982年中に行なわれるよう計画されていると説明している。
「物知り」の赤ちゃん
◆ 偶然に発見されたことだが,米国ジョージア州の二人の研究者は,新生児が録音された自分の泣き声を聞くと泣きやみ,他の赤ちゃんの泣き声を聞くと泣き方が激しくなることを突き止めた。「赤ん坊は明らかに自分の声を識別した」と,サバンナ市にあるアームストロング州立大学のラッセル・D・クラーク3世博士は述べている。「赤ん坊は以前考えられていた以上に物知りで複雑である」。テープに吹き込まれた自分自身の声を多くの大人は識別できなかったが,赤ちゃんは識別したということに同博士は注目している。録音された声が持つ泣きやませる効果が乳児の退院後も続き,多くの母親たちを煩わしさから解放してほしい,と研究者たちは述べている。
ニューヨークの無宿者
◆ 米国ニューヨーク州の精神衛生局の職員サラ・コンネルは次のように言明した。「今のニューヨーク市における単一で最大の問題は何かと尋ねられたら,私は間違いなく無宿者であると言おう」。犯罪,失業,都市の崩壊の方が大きな問題であるという意見があるかもしれないが,ニューヨーク市に推定3万6,000人の,家を持たない男女がいることは決してささいな問題ではない。しかもその数は増加しているように見える。家を持たないこれらの人々は,バワリー街などの貧民街だけに限られているのではなく,ぼろぼろの荷物やショッピングバッグを携えて市内を徘徊している。そのため“バッグ-レディー”なる言葉が使われるようになった。このような人々が増加した理由としては次のようなものが挙げられる。福祉の対象となる資格の制限が厳しくなったこと。一人部屋専門のホテルが閉鎖されて,2万5,000以上の部屋が奪われたこと。精神病院に入院できる基準が厳しくなったこと。このことは,精神的な障害を持つ人々の多くが,無宿者になっていることを意味している。別の傾向としては,彼らの中に,コンネル夫人が「新しい都市放浪者の世代」と呼んだ20代および30代の若い人々が見られることである。
増え広がるサタンの崇拝
◆ ヨハネスブルクの新聞ディー・ファーデルラントによると,過去7年の間に,南アフリカのサタン教会の教会員が2万人から16万5,000人に増加した。これは700%以上の増加に相当する。この「教会」の会員になるための申込書に記されている“サタン聖書”からの引用を見れば,ある人々が入会に関心を持つ理由が分かる。例えば,ある引用文は,「サタンは抑制よりも満足を表わす」と述べている。さらに,「サタンはいわゆる罪の全体を表わしている。なぜなら罪はすべて,肉体的,精神的,感情的な満足につながるからだ」という引用文もある。同紙によれば,彼らの「礼拝」を特徴付けているのは,動物の犠牲,性的な浮かれ騒ぎ,血を飲むことである。
廃棄物の活用
◆ ヨーロッパや極東の幾つかの国は,ごみを単に投棄したり焼却したりする代わりに,それを利用して電気を起こす面で他の国々を大きくリードしている。最近の研究によると,ルクセンブルクとデンマークはごみを処理して電力を得る面で先端を行っている。これらの国は国民一人当たり,毎日約1.1㌔のごみを発電に用いている。それに続くスイスは,1日当たり約0.9㌔のごみを利用している。香港<ホンコン>とドイツ連邦共和国では0.5㌔,日本では0.45㌔である。それに対し,ソ連では0.04㌔足らずしかこの方法で処理されていない。米国とオーストラリアで処理されている量は0.09㌔,英国では0.18㌔足らず,カナダとイタリアでは約0.23㌔である。
犬の方が「より安全な」治療を受ける
◆ 6歳になるシェパード犬マックスは,カナダのトロントにある主人の家に押し入ろうとした強盗を撃退しようとして,壊れた窓ガラスでひどいけがをした。そして出血多量でひん死の状態に陥った。獣医はマックスの飼い主に,犬には輸血をしないことになっていると告げた。一体なぜだろうか。トロント獣医学会の会長はトロント・スター紙の記者に次のように説明した。『出血多量でショック状態に陥っている犬の治療にはコーチゾンや静脈用の輸液が使用されている。この方が輸血より効果があり,より安全で回復が速い』。それでは,なぜ人間には「より安全な」治療が施されないのだろうか。犬と人間では違っていると考える人がいるかもしれないが,医学界の多くの権威者も出血多量でショック状態に陥っている人の治療には輸血以外の方法を採用するよう勧めている。例えば,英国の「麻酔術」誌は次のように述べている。「しかしながら,たとえ十分の量の全血が得られるとしても……重度の血液量減退症患者[多量の血液を失った患者]の……最初の治療に用いる輸液としてそれが適切かどうかは疑わしい」。確かに,犬の最良の友も「より安全な」治療を受けるに値する。
山で死ぬ人が増加
◆ 米国ニューヨークの登山同好会は,1951年から1979年までの間に,米国内の登山事故のため合計664人の登山家が命を失ったと報告している。一昨年報告された1979年の場合には,40人の死者があったが,10年前には29人だった。昨年の初め,ワシントン州のレーニア山を登っていた11人の人が氷河で死亡した。数時間後,そこから160㌔ほど離れたオレゴン州のフッド山で,一登山隊が610㍍ほど落下して5人が死亡した。
蛋白質で減量?
◆ サイエンス誌に載った最近の研究によると,近年人気を呼んでいる高蛋白質の減量食は宣伝されているほどの効果はないようである。二つのグループのネズミを使って実験し,両方に同じカロリーの餌を与えてみた。ただし,最初のグループの餌には蛋白質が5倍多く含まれていた。その結果,高蛋白質の餌を与えられたグループのネズミは他のグループのネズミに比べて体重が22%ほど多くなった。しかも,高蛋白質の餌を与えられたネズミの体重のほぼ4分の1は脂肪であったのに対し,2番目のグループのネズミの脂肪は体重の6分の1以下であった。
犬に命を救われる
◆ ギリシャのあるおばあさんが村はずれの畑で転んだ。このおばあさんは大けがをして動けなくなった。ところが,2匹の犬が三日三晩彼女のそばに付き添い,ほえ続けた。とうとうその鳴き声に気付いた地元の教師が調べに来て,75歳のその婦人を発見し,彼女をラリッサの病院に運んだ。
音楽による“自己虐待”
◆ 軽いイヤホーンを耳にして音楽を聴きながら歩き回る最近の流行は,騒々しい携帯用スピーカーの音から都市居住者を解放するのに一役買っている。「音にどっぷりつかりながら物事を行なう」人の多くは「明らかに有害な」レベルの音を聞いている,とニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。ニューヨーク市のある女医はその装置を付けている人々を呼び止めて,音のレベルを測定した。100デシベル以上の音が測定されたことは珍しくなく,時には120デシベルもの高い測定値の示されることもあった。「105デシベルの音を毎日1時間ずつ長期にわたって聞いていると,聴力を永久に損なうことになる」と同女医は語っている。「何に駆られてこの種の自己虐待に身をさらすのかは憶測する以外にない」とニューヨーク・タイムズ紙は伝えた。
脂肪と心臓
◆ 食物中の脂肪が心臓に与える影響に関する,いわゆる7か国共同研究が,英国の医学誌ランセット誌上で最近公表された。ヨーロッパの五つの国と日本および米国の12,000人の男子を対象にした10年間にわたる研究により,脂肪分の多い食事と,心臓病による死の危険には関係のあることが明らかになったと言われる。その報告によれば,「脂肪を多量に含んだ食物は,血清[血液]内のコレステロールを増加させるだけでなく,若死にの可能性も高める」証拠がある。脂肪分の少ない食事を取っている人は,ガンのような他の病気にかかる危険も少ないことが明らかにされている。食肉および乳製品製造業者と一部の専門家たちは,脂肪分の高い食事と心臓病との間には何ら栄養学上の関連はないと主張していた。