世界展望
結婚している女性の方が幸福
◆ 「夫の下を去ることを考えている人に対して私は,そうしないように,と助言する」。トロント大学で教鞭を執る歴史と婦人問題学の教授エドワード・ショーター博士は上のように語っている。同教授によると,一般に,「離婚した女性の間では現在のところ,抑うつ症にかかる割合が他のどんな人々の集団よりも抜きんでて高く,その数は配偶者のいない結婚歴のある男性よりも7割も多い」とのことである。「調査の対象になった婦人すべての中で最も幸福だったのは,結婚関係を維持していた人だった」と同教授は言葉を加えた。また最近多くの婦人の間で,家庭から出て,働く女性としての生き方を追い求めることが魅力あるものと映っているようであるが,ショーターはこう語っている。「今や勤労女性は,自分の話すことにだれも関心を持って耳を傾けてくれないような最低の仕事に全時間を費やすことがいかに退屈であるかに気付きつつある」。
家庭における戦い
◆ 「我が国は他の国々と平和な関係にあるのに,外ならぬ家庭で別の戦いが行なわれている。これはだれも否めない現実である」。1万8,000人の会員を擁するニューヨーク市パトロール警官慈善協会の会長フィル・カルーソーはこのように語った。同会長は次のようにも述べている。「それは確かに奇異な戦いではあるが,本物の銃と本物の弾を用いた本物の戦いであり,毎年憂慮すべき数の犠牲者を生んでいる。我々が今日対峙している逃げ足の早い敵とは,乱暴で攻撃的,また精神病的本性を有する野獣のような犯罪分子のことである。この者たちは我々の社会の秩序と文化の崩壊をもくろんでいる」。これはアメリカの社会に特有の現象ではない。他の多くの国でも犯罪の急激な増加が伝えられているからである。
最も人気のある運動
◆ 著述家ビル・ゲールは,パレード誌の中で,米国では「大人の運動の中で歩くことが,今,群を抜いて人気がある」と語っている。それには約3,400万人の賛同者がいる。元気よく歩くことによって多くの酸素が脳の細胞に供給されるため,頭の回転がよくなる。ゲールはこう述べている。「一歩歩くごとに筋肉は伸びたりねじれたりもみほぐされたりして,血行がよくなり,血液を送り出す際の心臓の負担が軽くなる。医学界では,人間の足の筋肉は『第二の心臓』と呼ばれることもある」。さらに,「ジョギングと違って,歩くことには危険がない」とゲールは語っている。
ボストンにあるマサチューセッツ総合病院の外科部長ジェラルド・オースティン博士はこう語っている。「我が国ではジョギングがいささか加熱気味である。……自分の患者の多くには,定期的に5マイル[約8㌔]歩くことを勧めたい」。心臓専門医であった故ポール・ダッドリー・ホワイト博士はかつてこう述べた。「幸福でないだけで他の面では健康な成人の場合,元気よく5マイルを歩くことは世の医学や心理学すべてをもってするよりも良い効果があるだろう」。
しかし,初心者,それも特に年配の人の場合には,無理をしないようにと勧められている。「はじめは短い距離を一度に少し歩き,次第に距離を延ばし,スピードを上げるようにして漸次強化してゆくのがよい」とゲールは語っている。
急増する犯罪
◆ 米連邦捜査局(FBI)の発表した1979年度の同国の犯罪最終統計によると,犯罪の発生率は前年よりも9.1%増加した。これは1975年以降最も急激な伸び率である。暴力犯罪は11%,強姦は13.2%,強盗は12%,加重暴行は10.1%,殺人は9.7%,それぞれ増加した。登録されている自動車の平均145台に1台が盗難に遭い,盗まれたものの75%は自動車であった。FBIのリストに記載されている7種の主要犯罪では,逮捕された人の81%が男性だった。
世界に目を向けると,国連の調査が示すように,最近の5年間に,窃盗は45%,麻薬中毒は114%,強盗は197%増加した。ナショナル・カトリック・リポーター誌はこう伝えている。「国連が犯罪および犯罪防止に関する最初の会議を開いた1956年よりも,その統計はずっと衝撃的なものである」。
木星の衛星がさらに発見される
◆ 木星にはこれまで13個の衛星があるものと考えられてきた。しかしボイジャー1号が送ってきた写真からさらに二つの衛星のあることが明らかになった。米航空宇宙局によると,その写真を新たに調べた結果,もう一つの小さな衛星のあることが明らかになった。木星の16番目の衛星は直径40㌔ほどで,木星の雲の頂の上方5万6,000㌔のところを回っているものと推定される。
人口の多い国々
◆ 最近の推定に基づいて,世界で人口の多い国を挙げると次のようになる。中国(9億7,500万),インド(6億7,600万),ソ連(2億6,600万),米国(2億2,200万),インドネシア(1億4,400万),ブラジル(1億2,200万),日本(1億1,700万)。平均寿命の最も長いのはアイスランドの76歳,最も短いのはアフガニスタンの37歳である。
公務員と犯罪
◆ 米国で行なわれた連邦捜査局の出先機関の一調査で,ホワイトカラーの犯罪のトップは国家および地方公務員の汚職であることが明らかになった。第2位は,銀行詐欺と横領である。また,保険金目当ての放火や有毒廃棄物の不法投棄も高位を占めている。
インフレ率
◆ 国際労働機関によると,昨年インフレ率が最も高かったのはアルゼンチンで,140%を記録した。第2位はイスラエルで111%。アフリカのほとんどの国は,20%以上のインフレ率を記録し,アジア諸国では10ないし25%であった。最低はクウェートで,4.4%であった。
ラクダの出番
◆ ケニアは,密猟者の取締りにラクダの助けを得るようになった。密猟者たちは,犀角を1ポンド(約450㌘)あたり300㌦(約7万2,000円)で売るのだ。メルー国立公園付近のクロサイは次々と殺されて,その数は250頭から29頭に減少してしまった。そこで,その付近を監視する助けとしてラクダを用いることになった。42名から成る密猟監視チームの隊長はこう説明している。「ラクダに乗った部隊には,自動車に閉じこもった隊員たちに比べて数々の利点があることに疑問の余地はない。まず第一に,道路に縛られることがない。従来の部隊では入って行けなかったような田舎にまで入り込むことができる。そして,音をたてることもほこりを巻き上げることもない。それだけでなく,ラクダの上からは実に広範囲に見通しがきく」。その上,ラクダを使えば維持費が安くてすむ,と隊長は言う。ラクダはガソリンがいらない上に故障しないからである。密猟監視の旅に出ると,ラクダは各々1日に少なくとも40㌔は歩き,130㌔ほどの荷物を運び,水なしでも20日間は過ごせる。
ものみの塔を訪れたスイスの印刷業者たち
◆ スイスの印刷関係の定期刊行物シュバイツェリッシェ・ブーフドルッケルツァイトゥンク誌の出版元は,同誌の読者であるスイスの幾人かの印刷業者のために米国への見学旅行を取り決め,そののち一行の受けた印象をまとめて出版した。旅行中,一行は米国の幾つかの印刷工場を見学したが,ニューヨーク市ブルックリンにあるものみの塔協会の印刷施設も見て回った。スイスからの訪問者は,そこで働いているエホバの証人たちについて称賛の言葉を述べ,「このように友好的で,満足感を抱いた,よく働く職員を見て,感銘を受けた」と語った。
専門家 対 家族
◆ カナダのオンタリオ州の地域社会・社会奉仕相によると,社会奉仕の専門家たちは家族に対する脅威となっており,「かつては家族や友人,教会,ボランティアなどの関心事であった“世話をする”」分野で次第に幅を利かせるようになってきている。今日多くの判事は,社会事業家や医師の勧告に応じて,子供に対する保護監督権をその親からためらうことなく取り上げてしまう。「三,四年で社会事業の学位を得たからといって,子供を世話する分野で普通以上に資格があり,親や家族が全く不適格になるなどと考えるのは,僣越もはなはだしい」と,ノートンは説明している。青少年局の局長も,家族の問題に「介入しすぎる事態」が見られると付け加えた。同局長は,助けを差し伸べるということは家族を乗っ取ることとは違うのだ,と言っている。
仕事が第一
◆ 外出中に地震が起きたら,あなたはまずだれに電話をするだろうか。日本人の男性を対象にした調査によると,まず自分の妻に電話をする人は9%にすぎない。ところが,37%の人は,まっ先に自分の会社に電話をすると答えた。これは,一昨年行なわれた総理府の調査結果を説明するのに役立つかもしれない。その調査によると,独身の日本女性の62%は結婚を望んでいるが,結婚によって幸福になれると考えている人は12%にすぎなかった。
『飛ぶ鳥としては世界最大』
◆ 科学者たちは,これまでに空を飛んだ鳥の中では最大のものと思われる巨大な鳥の化石を発掘した。この鳥はすでに絶滅したテラトーンで,その名は「驚異の鳥」という意味である。アルゼンチンで見付かったその遺物から判断して,両翼端の間の長さは7.6㍍で,まさに驚異の鳥であった。口ばしから尾までの長さは3.4㍍,体重は75㌔ほどであった。「これで,この鳥はこれまでに知られている空を飛ぶ鳥としては世界最大のものとなる。実に見事な鳥であったに違いない」と,ロサンゼルス動植物学博物館の脊椎動物古生物学の主事,ケネス・E・キャンベル博士は語っている。両翼端の間の長さが7.6㍍のテラトーンの前には,現存する空飛ぶ鳥としては最大のものであるアンデス山中のコンドルも影が薄くなってしまう。コンドルの両翼端の間の長さは3㍍しかない。
『司祭を分かち合う』?
◆ ローマの聖職者聖省は29ページの文書を発行し,北アメリカとヨーロッパの僧職者に中南米その他の発展途上国の深刻な司祭不足に対処するため,それらの土地に幾人かの司祭を移すよう呼び掛けた。この文書によると,世界のカトリック教徒のうち北アメリカとヨーロッパに住んでいる人は45%であるのに対し,その世話をしている司祭の数は実際に活動している司祭全体の77%以上に当たる。一方,中南米とフィリピンにも世界のカトリック教徒の45%が住んでいるが,その世話をしているのは同教会の司祭の12.6%にすぎない。
この呼び掛けに対する僧職者の反応は素早く,オンタリオの一司教はさっそく次のような不平を述べた。「例えば,我々の司祭の80%ほどは50歳を超えているということをご存じないようだ」。また,モントリオール市のザ・ガゼット紙は,同市の一高位僧職者はその計画を「無用で破壊的な」ものと呼び,「我々の司祭たちは北アメリカの生活様式に慣れきっているからだめだ」と語ったと伝えている。言うまでもなく,根本にある問題は,このバチカンの文書そのものも述べる通り,僧職に入る若者が少なくなっていることにある。ヨーロッパや北アメリカでも司祭の数の不足がさらに深刻になるのは時間の問題である。