体に悪い食習慣
住民の多くが100歳になるまで生きる地域社会に共通する事柄が幾つかあります。その一つは食べ物です。「つましくて,カロリーが低く,土と密接に結び付いており,食物のほとんどは直接に土から取るものである」とデービス博士は書いています。
食べ物はビタミンに富み,糖分が少ないので,その人々の間に肥満はほとんど見られません。肉類を食べることは非常に少なく,蛋白質はほとんど乳製品や各種の豆類から取っています。デービス博士は,「100歳まで生きる人々の健康面での驚くべき事実は,ほとんど全くと言ってよいほど命取りになる病気を患うことがないという点である」と,述べています。
栄養の豊富な食物を食べないために,病気にかかりやすくなる家族は少なくありません。その結果,毎年幾百万もの人々が早死にします。また,無分別な習慣や貪欲な商業主義,一般の人々の教育不足,無関心などによって,ショッキングな事態が生じています。例えば,多くの食品は,腐らないように,また棚に長いあいだ並べておけるように精製されていて,栄養価が大いに疑問視されているほどです。
さらに,テンポの速い現代の生活様式に影響されて多くの人はただ“大急ぎで物を食べる”だけで,新鮮な野菜や果物を含む,体がきちんと機能してゆくのに必要な食事を準備しなくなってきています。ひどく空腹を感じても,栄養価のほとんどない菓子やスナック食品でおなかを満たすことが少なくありません。ビタミンや蛋白質を全くと言ってよいほど含んでいない清涼飲料水やビールが,ミルクやスープよりもはるかに多く消費されています。
食事のバランスが取れていなかったり,食べ過ぎの習慣があったりして太り過ぎる人は少なくありません。余分の脂肪はほかの病気の原因になるうえに,心臓病の進行を早め,腸ガンをはじめとする様々なガンの原因になると考えられています。
確かに,非常に優れた食物でさえ健康を保証するものとはなりません。自然食に凝っている人も病気になります。しかし,適切な栄養についての知識を増せば,自分自身のために役立てることができます。しかし,人類の大部分は食糧が不十分で栄養不良になっており,人間の諸機関にはそれに対する解決策がありません。