世界展望
エルサレムで発見された神のみ名
● イスラエル人の考古学者,ガブリエル・バーケイは,エルサレムで見いだされた,神のみ名の記されている書物としては最初のものと言われる小さな銀色の巻き物を発見したと発表した。この考古学者は,シオンの山の向かいにある納骨室で,西暦前6世紀の古さを持つ小さな巻き物2巻を少し前に発見していたが,エルサレム・ポスト紙の報道によると,「傷をつけずに巻き物を開くことが技術的に困難だったため,イスラエルとドイツの研究室が[成功にこぎ着けるまでには],3年の研究期間が必要となる」。「それらの巻き物の判読は困難を極めたが,バーケイは,巻き物の一方の中に,神を表わすヘブライ語,つまりヤハウェあるいはエホバと音訳されるヨード・ヘー・ワウ・ヘーという文字をはっきり認めることができた」。この名はイスラエル地方ではめったに見ることがない,と同ポスト紙は説明している。なぜなら,「その名が通例書き記された物,つまりパピルスがずっと昔にばらばらになってしまったからである」。AP通信の報道はさらに,「信心深いユダヤ人は神の名前を口に出すことをはばかり,正確な発音ができないような仕方でこの名前が記された」ことにも触れている。
『驚くべき変ぼう』
● 米国カリフォルニア州,サンディエゴのザ・トリビューン紙上で「人生相談」の欄を担当しているリッチモンド・バーバーに,最近次のような質問が寄せられた。「父は回心しましたが,この状態は長続きするでしょうか。父はいつも酒を飲み,毒づき,けんかをし,事あるごとに[波風]を立ててきました。そんな時に,エホバの証人の二人の人が父を回心させたのです。今……父は祈ったり,聖書を読んだり,教会の本を勉強したりしています。驚くべき変ぼうぶりです。これは長続きするものでしょうか」。
バーバーは解答の中で,変化が永続的なものとなるために,「関係する教会は,改宗者が価値ある事柄を絶えず忙しく行なえるようにすべき」こと,そして「自分は重要な人間だと本人が感じられるように関係者すべてが,引き続き働き掛けねばならない」ことを挙げている。この質問に対するコラムニストの意見はどんなものだろうか。「エホバの証人の教会はこれらの要素を二つ共備えています。あなたのお父さんの回心は多分永続的なものでしょう」。
インフレに揺れるアルゼンチン
● アルゼンチンではインフレ率が驚くべき数字に達しているため,政府は従来の通貨の貨幣単位からゼロを四つ取ることを余儀なくされた。6月30日以降,1万ペソが新しいアルゼンチンペソではわずか1ペソになる。当局がこのような措置に踏み切ったのは14年ぶりのことである。しかし1969年には,古い100ペソが新しい1ペソになったにすぎなかった。1982年のアルゼンチンのインフレ率は210%で,世界最高であった。ペソの価値が,公定為替相場で1米㌦が5万3,000ペソになったため,最低賃金を得ている一人の労働者の1週間分の給料でさえ,一見天文学的数字の100万ペソになる。しかしそれはわずか19㌦のことである。
「宗教の名において」
● 米国の有名なニュース解説者,ポール・ハーベーは,「キーン大学のハワード・ディズベリー教授が,『宗教ゆえの殺人』を正当化する『義人の暴虐』と呼ぶもの」について最近書き記した。グリット紙のハーベーのコラムでは,アイルランドのような幾つかの国で生じている,「宗教の名において人が人を殺す」事態について言及されている。
ニューヨーク市のアッシジの聖フランシス・カトリック教会で,ラッセル・ベッカー司祭も同様の主題について語っている。ニューヨーク・タイムズ紙によると同司祭は,「テルツリアヌスやアレクサンドリアのクレメンスなど,初期のキリスト教神学者たちは信者が軍務に就くことを禁じていた」こと,そして「教会は宗教的な権力だけではなく俗事にかかわる権力を有するようになった時,信仰の名において戦争を支持した」ことを礼拝者たちに述べている。そしてさらにこう言明した。「教会がこの世にのめり込み,我々が征服するはずの悪者のように自らなって,戦争に関与したことは,我々の歴史の恥部である」。
教会とナチス
● イタリア百科事典協会編の「エンサイクロペディア・デル・ノベチェント」は,「国家社会主義」という項目の中で,ヒトラーのナチ政権とローマ・カトリック教会の間の緊張関係を説明している。この権威書はこのように述べている。「しかし,司教団は,[ナチスとの]著しく協力的な政教条約に同意した後はちゅうちょしてナチ政権に公然と反対しなかったため,また国務長官のパチェリ枢機卿(後の法王ピウス12世)が第三帝国の反ボルシェビキの立場を評価したため……その緊張は正式の決裂状態にまでは決して至らなかった。……とはいえ,ナチ政権と,ユダヤ人やエホバの証人に対する迫害を糾弾する発言を完全に控えた諸教会との関係は,どっちつかずのものであった。それはヒトラーが,ボルマンの意見を排して,戦争が終了するまでは露骨な反教会的行動を差し控えるように命じたからである。……二つの宗派[ルター派とカトリック]の僧職者の大部分はナチ政権に対して表面的には忠節な行動を堅持した。……バチカンが外交面で懐柔的な立場を取ったことは,特にナチ政権が権力を握り始めた段階において,同政権を確実に支えるものとなった」― 第4巻,519ページ。
体の「知恵」
● 以前には不要あるいは有害と考えられていた,傷害や病気に対する体の反応や器官が,実際には体の生得的な「知恵」を示す証拠であるということが最近の発見で明らかにされた。次の例に注目できる。
● 頭を強く打ってかなりの期間意識を失っている時,人は昏睡状態にあると言われる。「今,科学者たちは,昏睡状態が正常な行動を抑える特定の脳系統の活性化から生ずるという証拠をつかんだ」とサイエンス・ニューズ誌は伝えている。「昏睡状態を引き起こす脳中枢の存在は,意識不明になることが,何としても避けるべき破壊的な過程以上のものである可能性を示唆している」。考え得る一つの理由として,「脳の損傷はしばしば呼吸作用に困難を来たすので,意識不明になると,限られた量の利用可能な酸素をめぐって,脳と活発な筋肉が競うようなことを防ぐ」という点をその記事は挙げている。
● 「[米国国立衛生研究所の]新たな発見により,華氏104度[摂氏40度]未満の熱でアスピリンやアセトアミノフェンを服用するという大部分の人々の知恵に関して深刻な疑問が生じている」と,ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。「実際のところ,小児科医を含め,幾人かの内科医は,中程度の熱であれば,自然に引くのを待つべきであると提案している。熱は病気の治癒を速め,抗生物質の働きを強化し[助け],他の人に移す機会を減らすことができるからである」。
● 外科医は昔,悪くなった脾臓を摘出することにほとんどためらいを感じなかった。脾臓は成人にとってまず無用の器官だと考えたからである。しかし「脾臓のない人は,一般人よりもひんぱんに重病にかかり,その病気で死ぬ場合の多いことが最近明らかになった」と,アメリカン・ヘルス誌は述べている。「実際,その死亡率は50%に近い」。どんな結論が出ているだろうか。「将来の科学は,体の知恵に一層頼るようになるかもしれない」とアメリカン・ヘルス誌は予告している。
オカルト的な交信が禁止される
● コロンビアの通信当局は,占いや呪術,心霊術,催眠術の放送を禁止したと伝えられている。オカルトの慣行が急速に広まったためこの禁令が出されたもので,そうした問題を扱った放送は「人々の思いをかき乱す」という通信大臣の見解が出されるに至った。通常のラジオ放送よりも霊界との交信を優先する放送局に対しては,免許が停止されるという警告が与えられた。
政治家か僧職者か
● 「カンタベリー大主教は,昨日,フォークランド紛争に対して聖職者としての是認を与えた」とロンドンのデーリー・メール紙は報じている。英国王立国際問題協会の席上で大主教の初めて行なった演説の中で,ロバート・ランシーは,集まった外交官たちに,「アルゼンチン軍が侵入した後,機動部隊を送ったのは正しかった」と述べた。同大主教はさらに,核の脅威と軍縮に対処する方法について彼らに助言を与えた。
● 「カナダの[カトリック]司教から成る委員会は,驚くべきことに,経済政策を批判するという愚行に走り,その結果,人々を教化するという教会の役割に対する敬意を損ねた」と,ワシントン・ポスト紙のコラムニストで自らもカトリック教徒であるジョージ・F・ウィルは書いている。ウィルは,政府の税金政策と予算案に対する批判は「福音の霊感による」という司教たちの主張に触れ,同時に,「十分に吟味された信仰によれば,これこれしかじかの金融・財政政策が支持できると主張すること以上にキリスト教の奥義を確実に矮小化するものはない」と断言している。
性病禍
● ジンバブエ大学のマズール・グンディザ博士が行なった最近の全国的な調査によると,ジンバブエの成人女性の半数,および国民全体の約20%が,性交によって感染する病気にかかったことがあるか,今かかっていることが明らかになった。ジンバブエ・ヘラルド紙は,「首都の中で最も罹病率が高いのは,人口の密集したコプジェ地域であった」と伝えている。「調査から,そこの住民の99.9%までが性病の犠牲者となっていることが分かった」。この調査が描き出しているのは,ペニシリンに対する抵抗力のついた変種が広まり,絶えず悪化してゆく状況という「陰うつですさまじい」光景である,とグンディザ博士は語った。
見直されているラクダ
● 中東では,ラクダが1,000㌦(約25万円)というこれまでにない高値で売られていると言われる。砂漠を行く乗り物としてラクダは理想的である。カイロに住む一人のラクダ商人は,「丈夫な良いラクダなら,25年働くことができるから,車を買うよりも価値ある投資になる」と語った。ラクダの有用さについてこの人は,「ラクダは頭の悪い愚かな動物だが,仕事となると何事も恐れない」と述べた。
釈放された幼い暴漢
● 英国ボルトン市で78歳の婦人を襲撃した犯人は,逮捕されたが告訴されない。その婦人,メアリー・ブリンドルを殴り倒し,血が出るまでけりつけて財布を奪おうとしたのは6歳,8歳,9歳の3人の少年だった。英国では,この3人は幼過ぎて罪に問うことができない。
『喫煙の問題』を抱えるのはだれか
● ギリシャ北部のハンティ地区で,高校生が学校に喫煙室を作ってほしいと求めた時,教師たちは驚き,喫煙は許可されていないと答えた。しかし生徒会は,冬は寒く,においが不快で病気にかかる危険があるので,トイレで一服したくはないと主張した。アテネ・ニューズ紙はこう報じている。「この後,学校はPTAの会合を開いたが,集まった人たちは学生たちの『喫煙の問題』に取り組むため,まずはたばこに火をつけた」。