私は有毒な化学物質に対してアレルギー反応を示しました
「私は殺虫剤や化粧品やペンキのにおいなどにいつも敏感で,その結果発疹が出たり,頭痛がしたりしていました。別に大した事はない,と自分では思っていました。それがどんな事態へと発展するか,全く分かっていませんでした」。ミリーはこのように自分の経験を話し始めました。
その話は次のように続いています:
「いまいましいハエね!」 そう思って殺虫紙を何枚か取りつけました。やがて,ハエは1匹も見られなくなりました。『現代の科学技術は本当にすばらしい』と思いました。ところが,それは私の健康の転換点になったのです。
動悸や筋肉の極度の衰弱,おう吐が起こり,突然大声で泣くようになりました。どうしたというのでしょうか。私は結婚して幸福を味わっており,生活を楽しんでいました。それから,引っ越しをしたのです。引っ越し先のアパートにはゴキブリがたくさんいたので,そこにスプレーをかけました。
急に呼吸が困難になりました。主人のジェリーが大急ぎで私を病院にかつぎ込みました。家に帰ってから私は抑うつ状態に陥り,混乱して満足に話もできませんでした。間もなく病院に戻りましたが,そこで医師はジェリーに,「奥さんは精神病です。精神分裂病ですね」と告げました。ところが,少し古い移動住宅に引っ越すと,その症状はなくなりました。
そして,アリが出て来たのです。害虫駆除業者が殺虫剤を噴霧しました。抑うつ状態と吐き気と発作的に泣くこととがみな戻ってきました。30分おきに吐くということが18時間続きました。下痢をしました。骨という骨すべてが痛みました。失意にうち沈んで私たちは精神病院へ行きました。
病院での血液検査で,白血球の足りないことが分かりました。それは免疫機構に欠陥があることを示唆しているようでした。しかし,そのことを自分の抱える問題と結びつけることは全くしませんでした。そして検査の後,担当の精神科医は,「あなたは決して精神分裂病ではありません。あなたの精神状態は世間一般の人々の大半よりも健全です」と言いました。病院では容態もよくなり,家に戻りました。ところが,家に着いた途端に視界がぼやけ,ほかの症状すべてが戻ってきたのです。
「病院に連れて来る度に妻はよくなるのですが,家に帰って来るとおかしくなるのです」と,ジェリーは涙ながらに医師に話しました。「アリを駆除するために家に薬を噴霧して以来,おかしくなってしまったのです」。
「それだ,それだ。少しの間その家から奥さんを出してごらんなさい。そうすれば分かるでしょう」とその医師は興奮した口調で言いました。
三日間トレーラーで寝ると,症状は消えうせました。問題が家の中にあるということにまだ疑いがあったので,私は家に戻りました。すると,途端にのどがひきつったようになり,舌が膨れ上がりました。これで分かりました。私は家の中の有毒な化学物質に対してアレルギー反応を示していたのです。時たつうちに,香水,家庭用化学製品,毛染め剤,化粧品,ガソリンのにおい,排気ガスなどに反応するようになり,しまいには化繊の衣料にまで反応するようになりました。
ミリーは20世紀症候群と呼ばれているものにかかっていました。確かに,ミリーの場合は極端な例です。公害に対する大抵の人の反応は,くしゃみ,かゆみ,物が目にしみて目が痛むことなどです。しかし,ミリーのような症例が世界中で増加の一途をたどっているのは,環境汚染の増大に対する警告のしるしなのでしょうか。人間は,聖書の中で幾世紀も昔に予告されていたように,本当に「地を破滅させている」のでしょうか。―啓示 11:18。