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目ざめよ! 1984
目84 2/8 24–27ページ

オオカワウソを探す冒険旅行

スリナムの「目ざめよ!」通信員

夜明けです。カヌーの櫂でカープーリ川のコーラ色の水を静かにかきます。朝もやが薄絹のように水面を覆い,ゆっくりと目覚めていく周囲の森を包んでいます。私たちはクルージャラ(丸木舟)に乗って次第に川幅の狭くなっていく流れを切り進み,時折り行く手にはだかるうっそうとした密林の茂みを大きななたで切り開きます。かみそりの刃のように鋭い草にまつわりつかれて,腕や足がひりひり痛みます。

わたしたちが探しに来たのは,人間が絶滅寸前に追いやったブラジル・オオカワウソ,土地の呼び名で言えばビーギ バトラーダーグ(大きな水中の犬)です。この興味をそそる動物は,豪華な毛皮のために情け容赦なく追い詰められました。しかし,1954年にスリナム政府はオオカワウソを法律で保護しました。そのおかげで同国は,かなりの数のオオカワウソが今なお生息する数少ない土地の一つになりました。しばらく前,猟区監視官の監督者G・プラク氏が,「カープーリ川には推定20匹から30匹のオオカワウソがいます」と話してくれました。この絶滅寸前の動物を保護するための地域がほかにも何か所か,すでに指定されているとのことです。「オオカワウソを増やすと同時に,この興味深い動物をその自然の生息地で観察できる珍しい土地を保存したいのです」とプラク氏は語りました。

わたしたちが今日願っているのは,正にそのことです。しかし,1匹でも見ることができるでしょうか。案内人のアメリカ・インディアンのマリウスは楽観的です。私たち夫婦に同行してくれた友人のヘンクとジャクリーンもそうです。とはいえ,早くオオカワウソを見つけられたら,それにこしたことはありません。ヘンクは小さな木のベンチでその長い足を組んでプレッツェルのような格好をして,「ずっと先まで行かなくてはいけないかな」と聞きました。「その必要はないでしょう。今は乾季ですから。水位が低くて,バトラーダーグは奥へは行けません。それにこの池はオオカワウソのお気に入りの漁場なのです」とマリウスは請け合います。ヘンクは安心した様子で,もっと座り心地のよい場所に移り,わたしたちは舟を進めました。

最初の出会い

「アーアーアーアー,アーアーアーアーアー」。案内人のマリウスが突然びっくりするような叫びを上げました。

「だいじょうぶですか」と,わたしたちは言います。体の具合いでも悪くなったのかと思ったのです。

「アーアーアーアー」。高い川岸の方を盛んに指差しながら,マリウスはまたもや叫びます。わたしたちが急に振り向いたので,舟がひっくり返りそうになります。川岸から「アーアーアーアーアー」という鳴き声がいっせいに聞こえて,マリウスがどうして奇妙な行動をしたのかが分かります。オオカワウソの警告の合図のまねをしていたのです。それで私たちもマリウスと一緒にオオカワウソの鳴き声をまねして叫びます。

いました,いました! 9匹のオオカワウソの一家が完全にその姿を現わしました。実に独特の表情をしています。1.5㍍を超す体のおよそ3分の1はしっぽです。しっぽは具合いよくできていて,付け根のところでは太くて丸く,中ごろに行くと平たくなり,先端では槍の穂のように細くなっています。短い脚の先には水かきが付いていて,その短い脚で流線形をした胴体を支えています。しかし,肩幅が狭く,頭が下がっているので,せむしのように見えます。奇妙な体格をしているので,陸上では不格好ですが,水中ではアザラシのように優美です。

それで,オオカワウソの一家は川の土手をすべって頭から水に飛び込みます。少したって,犬かきをしながら水の上に顔を出すのが見えます。オオカワウソたちは私たちをじろじろ見ています。おかげで,オオカワウソをすぐ近くでながめることができました。丸い頭で,ほおひげが幾本か生えており,小さな耳を付け,表情豊かな大きい茶色の目をしています。くちびる,あご,のど,胸には,それぞれ異なった形のクリーム色のまだらが見えるので,1匹のカワウソと別のカワウソの見分けがつきます。日に当たると光沢を放つ,こげ茶色のビロードのような毛皮を見ると,人間がオオカワウソを捕まえて絶滅寸前の状態にまで追いやってしまった理由が分かります。

わたしたちは櫂を突き出して,オオカワウソが櫂にかみついたり,櫂を折ったりするか見てみました。初期の探険家は時折りオオカワウソがそうするのを見たと伝えられているからです。しかし,そうするどころか,雄のカワウソたちは鼻息を荒くして大きな音を立てたりうなったりして,家族のほかの者を集めます。先頭に雄,次いで雌,そして子供たちがその後ろの安全な位置に就きます。今や安心したカワウソたちは,静かに川の中に戻り,イルカのようにもぐったり,優美な姿を現わしたりします。

オオカワウソの多目的“テーブル”

陸に上がった私たちは,密林の茂みが切り開かれた,長さ6㍍幅4㍍のきれいな半円周にふと気づきました。私はある人たちがそのような場所を水中の犬のテーブルと呼んでいるのを思い出しました。この前にやって来た時,隣の国ガイアナ出身のアラワク族のインディオ,エディーがそのことを話してくれたのです。エディーはこう語っていました。「これらの上陸場は非常に平らで清潔に見えます。カワウソは時々これらの“テーブル”に大きな魚を引きずってきて,ここで食べるのです」。オオカワウソにとって猟と魚取りは真剣に取り組まなければならない仕事です。明け方からたそがれまで猟と魚取りに終始し,1日に3㌔から4㌔の魚をむさぼり食べます。

エディーはさらにこう言いました。「故郷の年寄りたちは,これらのテーブルにはだしで入ると,十二指腸虫性皮膚炎という恐ろしい病気にかかると言っています」。じゃこうのような,そして腐ったような臭いを放っている泥沼にみんなで足を踏み入れた時,私はその言葉を思い出しました。「そこはカワウソの便所です」とマリウスが言った時にはもう遅かったのです。みんなくつをはいていたのは不幸中の幸いでした。

オオカワウソの食堂と寝室と手洗いが一緒になった場所をながめながら,私は,人間がカワウソの肉を食べなくなったのはカワウソにとって本当によかったと思わずにはいられませんでした。今世紀の初め,カワウソの肉はおいしいと感じる人々がいました。それでカワウソの肉はたびたび食されました。「今ではカワウソを食べないのはどうしてですか」と,ある時私は数人のアメリカ・インディアンのハンターに尋ねてみました。

「カワウソの肉はおいしくありません」とひとりの人は言いました。

「腐ったような味がします」と,別の人は言いました。

「なま臭すぎます」と,さらに別の人は答えました。

しかし,「カワウソは水中の犬です。わたしたちは犬の肉を食べません」という説明はもっと当を得ているように思えました。このように,オオカワウソはそのあだ名のおかげで命拾いをしたのです。オオカワウソを殺したり生け捕りにした者に対して1万ギルダー(約132万円)の罰金か3か月の懲役を科すという政府の罰則もあります。「結局,1万ギルダーあれば,牛肉がたくさん買えますからね」と,ひとりのハンターは軽口をたたきました。

家族のきずな

オオカワウソは,一部の人間を恥入らせるような家族生活を営んでいます。カワウソの穴,つまり巣を探す私たちについて来てください。穴の中で1年に1匹ないし3匹の子供が生まれ,生後3か月になるまでそこで育てられます。川岸の1本の木の根元に,約30㌢×50㌢の大きさの開口部が見えます。懐中電灯で照らしてみると,その穴の奥は,雌のカワウソが体を丸めて入れる広さになっています。雌はそこで,まだ目の見えない毛むくじゃらの赤ちゃんに乳を飲ませるのです。

オオカワウソの夫婦は,子供の訓練を夫婦で行なう共同事業と考えています。雄も雌も共に,子供を口にくわえて水中に飛び込み,子供に泳ぎというものを初体験させます。このような幾分苦しい訓練を受けても,子供のカワウソは親が好きとみえて,翌年赤ちゃんが生まれるまで親と一緒に暮らします。中にはもっと長く暮らす子供もいて,3匹ないし20匹から成る強いきずなで結ばれた家族を形成することもあります。

オオカワウソの家族が強いきずなで結ばれていることは,寝ている様子を見ても分かります。オオカワウソの夫婦は,頭と尾,あるいは頭と頭を向かい合わせて並んで寝ます。一方が,優しく抱くようにして他方の上に足を掛けることも珍しくないでしょう。

帰途に就く

引き潮になったので,案内人は,戻ったほうがいい,さもないとここで動けなくなってしまうと言います。オオカワウソの巣のある所からカヌーを押し出していると,雨が降り出します。舟をたぐったり引きずったり引っ張ったりして,倒れた木の障害物を越えるので,帰路は障害物競走のようです。

ようやく雨が上がります。湾曲部を曲がると,突然,丸木の上で日光浴をしていた6匹のオオカワウソと,ばったり出会いました。カヌーに乗っている私たちと日光浴をしていたオオカワウソがお互いの顔を見合います。オオカワウソは1匹ずつ川に飛び込みます。指導者格の雄が大胆にも私たちのすぐそばまで近づいて来ます。そして,水中から体を出して,けんか腰でうなります。私たちのカヌーは止まります。そのカワウソはあちらこちら泳いで,突然舟の下にもぐり,舟の反対側へ行きます。振り向くと,カワウソはいましたが,あらぬ方向を向いています。その太い首は左を向き,それから右を向きます。驚くべきことに,立場は逆転して,今やオオカワウソが人間を探しているのです。

私たちを見つけると,彼は後ろにさがります。それから,平然とした顔つきで,もう一度私たちを冷ややかにながめ回すと,水中に姿を消します。私たちはオオカワウソが残した波紋を見つめ,この愛きょうのある密林の住人に会う機会を与えてくださった創造者に感謝します。また,人間が貪欲さのために地上からオオカワウソを絶滅させないようにと願います。

[24ページの地図/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

カープーリ川

スリナム

南米

[25ページの図版]

この興味をそそる動物に関して余り多くのことは知られていない

[26ページの図版]

ブラジル・オオカワウソ 成獣の標準的な大きさ: 約1.5㍍ないし1.8㍍

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