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目ざめよ! 1984
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大企業と戦争

兵器の国際的な販売は19世紀に大きな商売になりました。ドイツのクルップ社や英国のビッカース・アンド・アームストロング社のような製鋼業者が兵器を大量生産するようになりました。自国の政府が兵器を十分買えなかったり買おうとしなかったりすると,これらの会社は国際的な貿易を展開し,やがて巨大な多国籍会社になりました。

初期のころから,兵器を生産して輸出することが道徳にかなっているかどうかについて疑問の声が上がっていました。スウェーデンのアルフレッド・ノーベルは,大砲用のコルダイト爆薬の一種(バリスタイトと呼ばれる無煙火薬)を発見し,60歳の時にスウェーデンの大砲製造会社ボフォール社を買収しました。しかし,ノーベルは平和主義への関心を言い表わし,有名なノーベル平和賞を後世に残しました。その賞は国家間の友好関係を促進するために最も功績のあった人物に贈られることになっていました。1900年にウィリアム・アームストロングが世を去った時,英国の一新聞は,「アームストロング卿に備わっていたような冷静で穏健な知性が破壊の科学に用いられたことには想像を絶する恐ろしいものがある」と論評しました。

しかし,どんな良心のかしゃくも,愛国主義や利益を考慮に入れることによって,ほどなくして打ち負かされてしまいました。第一次世界大戦の始まった時には,世界のほとんどの国の首都には兵器のセールスマンが群がって,自分たちの製品を売り歩いていました。しかし,その大戦は兵器の売買に重大な道徳上の問題があることを明らかにしました。

戦争中,英国とフランスの製造業者の兵器が戦場で英国とフランスの兵士に用いられました。ドイツは,クルップ社の兵器で装備したロシア人およびベルギー人と戦いました。参戦国の海軍の大半はクルップ社の特許の下で造られた装甲板を使っており,ユトランド沖の海戦では双方の側がクルップ社製の導火線で砲撃を行ないました。

軍需企業は戦争で膨大な利益を上げました。その利益があまりにも大きかったために,それらの会社が自分たちの利益のために戦争を長引かせようとしたのではないかと疑う人も少なくなかったほどです。1934年に出された雑誌の一記事は,その大戦中に一人の兵士を殺すための費用を2万5,000㌦と算出し,「その大部分は軍需業者の懐に入った」と述べています。―アンソニー・サンプソン著,「軍需市場」。

その大戦以来兵器の売買は続き,それは今日かつてないほど栄えています。死の兵器を取り引きすることが道徳的かどうかについていまだに疑問を抱く向きもありますが,それが大きな利益を生み出すことを否定する人はだれもいません。「戦争は再びよい商売になった」と,ウォール街の一分析家は語りました。ニューヨーク・タイムズ紙は,高度の技術を駆使した近代兵器に言及し,「科学技術の奇跡である以上に,電子兵器戦争は金になる商売である」とつけ加えています。

「兵器の売買は……景気づいており,ソ連がアメリカに代わって主要兵器の輸出国の筆頭に立っている」ことを英国の雑誌ニュー・サイエンティストは確証し,こうつけ加えています。「また,フォークランドがショーウインドーになって,今後一,二年のうちに英国の兵器輸出は急増するに違いない」。

事実,近代兵器を製造する会社の首脳にとって,フォークランドおよびレバノンの紛争は天の恵みのように思えたに違いありません。ガーディアン紙は,「自社の製品の最高度の公開実演となった[フォークランドでの]戦争の後に,欧米の会社は,胸を躍らせるような新しい見込みを読み取っている」と評しています。

これはまた,自分たちの資金の安全な投資先を求めていた人々の目にも明らかだったに違いありません。軍需産業への新しい投資家たちは,いわば「降ってわいたように出てきて」います。一国防評論家の次のような言葉が,ニューヨーク・タイムズ紙に引用されました。「これらの武力紛争[フォークランドおよびレバノン紛争]以来,株の出来がよかった。これは明らかに大勢の投資家の注意を引いたのである」。

1970年代に東南アジアで戦争が猛威を振るっていたころ,プロテスタントの諸教会 ― 中にはその戦争に反対し,米国の軍備の増強に抗議しているものもあった ― は,もうけの多い軍需市場から甘い汁を吸う者たちの中に数えられていました。この問題を扱った小冊子の中で,全米教会協議会は次のように述べていました。「ここに明らかにされた投資は,軍需産業および軍備調達の“大企業”に対するものである。教会の投資額はほぼ2億300万㌦(約487億円)に達する。……こうした投資は教会にとって大きな商売であり,教会の持ち株の最も重要な部分,とまではゆかなくても,重要な部分を占めている」。

軍需会社の首脳陣が特別な喜びをもって満足気なしぐさをする理由は,その取り引きの大半が民間の顧客ではなく,軍部を相手に行なわれることにあります。それゆえに,その利点は数多くあります。ほとんどの大国は,国防に幾千億円もの予算を既に割り当てているので,製造業者の金庫にお金が入って来ることは保証されています。これらの軍需物資は軍隊の規格を満たさなければならないので,民間の顧客へ売られるものより価格が4ないし5倍高くなります。軍部は概して,外国の会社よりも国内で造られた製品を購入するので,外国との競争という脅威が少なくなります。特にアメリカの会社は,軍部との契約を得るにあたって,日本との競争が存在しないという類例を見ない立場にあります。軍需は確かにもうけの大きい商売なのです。

戦争にまつわるこの大きな商取り引きのただ中に臆面もなく立っているのは,戸別訪問をする行商人のように破壊的な製品を売り歩く兵器のセールスマンです。そうしたセールスマンの一人は,「兵器の製造が自動車の製造に比べて際立っているところは,兵器が常に時代遅れになったり消耗されたりするので,拡大の余地が無限に広がっていることである」と述べています。

最新のスタイルの兵器を見に売り手や買い手が集まって来る軍需ショーが,世界のいたる所でファッション・ショーのように行なわれています。製造業者たちは第三世代の兵器と呼ばれる高度の科学技術プロジェクトを開発しています。それには研究開発のための軍備費を増やすことが関係しています。アメリカ科学者連盟のクリストファー・ペインは,これを「兵器の製造業者が自分たちの商売を続けていくために行なっている危険な策略」と呼んでいます。

兵器の売買にかかわる道徳上の問題は変わっていません。フォークランド戦争に先立つ3年間に,英国は2億㌦(約480億円)を上回る額に相当する軍艦や電子兵器をアルゼンチンに売りましたが,戦争がぼっ発すると,その大半は逆に英兵に向けて使われました。国家も大企業も,こうしたことが起きる危険をあえて冒しています。国際的な兵器の販売を非難する声が上がっています。それでも,売り込みは続き,その売り込みは国の政府により助長されることが珍しくありません。その一方で,世界は生活していくのにいよいよ危険な所となっているのです。

[8ページの拡大文]

英国は幾億ドルにも相当する兵器をアルゼンチンに売ったが,それは結局フォークランド諸島で逆に英兵に向けて使われた

[7ページの図版]

兵器を売ることが道徳的かどうかについての疑いは,転がり込む利益にほどなくして打ち負かされてしまう

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