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  • 「ひったくり」の名にふさわしく暮らすオウギワシ
  • 目ざめよ! 1986
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目ざめよ! 1986
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「ひったくり」の名にふさわしく暮らすオウギワシ

スリナムの「目ざめよ!」通信員

「すごい足ですね!」 生物学者であり著作家でもあるハインツ・ハイド氏から,子供の手首ほどの太さの2本の黄色い足を渡された時,わたしは思わず叫びました。

「生きていればもっと太いんですよ」と,ハイド氏はにこにこしながら言いました。「これは干からびて少し縮んでいますが,今までに見た中で一番大きいものには長さ8㌢のつめがありました」と,わたしの手と同じくらいの大きさの足から突き出ている,恐ろしそうな黒いつめを指差しながら話してくれました。

この見事な足とつめは,猛禽類の中でも比類のないものだということです。動物学者たちは,自らを誇示するこの鳥を初めて調べた時,ギリシャ神話に出てくるハルピュイアという名の,羽の生えた怪物を連想しました。伝説によれば,ハルピュイアはハゲワシのような巨大なつめで人間をひったくりました。それで大きなつめを持つこのワシには,「ひったくり」を意味するハーピー(オウギワシ)といういかにもふさわしい名前が付けられました。

「スリナムの地元住民の中にはこれをピアと呼ぶ人もいます」とハイド氏は説明してくれました。オウギワシはアメリカ大陸の生い茂った熱帯雨林の中に生息しているので,勇敢な野鳥観察者でさえめったに見ることはありません。しかし,たまに川岸の木に舞い降り,大きく「ピーア,ピーア」と鳴いて所在を明かすこともあります。それで,地元ではそう呼ばれているのです。

どう呼ぶにせよ,広く人々に知られ,しかもある人々を怖がらせているのは,ひったくりとしてのオウギワシのうわさです。しかしこの鳥は,その不名誉な名前を奉られるのにどの程度値するのでしょうか。

オウギワシの生態

オウギワシは自分と観察者との間にいつも遠い距離を置いているので,その魅惑的な秘密を明らかにするのは容易ではありません。

オウギワシは,黒と灰色と白の荘重な感じを与える,じっくり鑑賞するに足る作品です。森の一番高い木のてっぺんに彫刻のように留まっているところを想像してください。身長約1㍍(雄よりも3分の1大きい)の雌の成鳥は,世界最強の,そして最大のワシです。この鳥は,大きさやどう猛さの点で,地元住民が恭しくアカ・グランマンと呼ぶように,熱帯雨林の押しも押されぬ「猛禽類の長」なのです。

羽を広げた時のオウギワシの長さが,コンドルのような空高く舞い上がる猛禽類に比べて短いのは確かです。しかし,オウギワシの縄張には高く舞い上がる余地がほとんどありません。密林には迅速な作戦行動と高速度が必要なのです。その点オウギワシは,速く飛ぶのに都合よく造られています。力強い大きな羽ばたきとこずえからこずえへの短い滑空によって,森の天蓋をすれすれに飛びながら獲物の気配に耳をそばだて目を凝らします。

木の枝にナマケモノがぶら下がっています! オウギワシは時速64㌔から80㌔という,目もくらむほどのスピードに加速し,獲物めがけて急降下します。そして,獲物からほんの数十センチの所で体を横に向け,つめを前方に完全に突き出し,ナマケモノをつかむと木からひったくり,勝ち誇って運び去るのです。「ひったくり」とはよく言ったものです!

ところが,その突然の空襲で動物の世界は上を下への大騒動になります。オウム,ヤマアラシ,フクロネズミ,テンジクネズミ,ハナグマなどは皆姿を消してしまいます。それにはもっともな理由があります。皆オウギワシのメニューに載っているのです。中でも一番恐怖にとりつかれるのはサルです。ハイド氏は,「サルはワシを発見するとすぐに警報を鳴らします。生死を分ける事態であることを知っているので,声を限りに叫びます。まるで熟したマンゴーの実が森の地面に落ちるように,サルたちがこずえから地面に飛び降りるのをわたしは見たことがあります。クロクモザルでさえひどくおびえるのです」と説明します。

どんなものをひったくるのか

ハイド氏の何気ない言葉から恐ろしい情景が頭に浮かびます。オウギワシは本当に大型のクモザルのようなものでもひったくることができるのでしょうか。数年前までオウギワシを飼っていた森林パイロットのジェラルド・ブルーニングス氏に尋ねてみました。

「もちろんできますよ。うちのペットのオウギワシは子羊を襲ったこともあります。大きくなると,近所の犬を追い回しました。ある日,肩の高さが少なくとも60㌢はある犬をつかみましたが,重すぎて持ち上げられません。それで,羽をばたつかせながら路上を引きずって来て,我が家のガレージに着くまで離しませんでした」とブルーニングス氏は言いました。

「実に力が強く,おまけに大胆です。追いつめられてもあきらめないのです」と,バルセル・バーグ・オメーレンという名の獣医は述べました。

「では病気のオウギワシをどのように治療なさるのですか」とわたしは尋ねました。

「オウギワシの治療を行なうには,二またになった長い棒をその胸部に押し当て,素早く腕を伸ばして注射する方法しかありません。その恐ろしいつめには十分に用心します」。

力持ちで物をひったくるこの鳥が少し怖くなったとしても,それはあなただけに限りません。実際,スリナムのジャングルに住む人の中にはオウギワシを恐ろしい敵と見ている人もいるとブルーニングス氏は言います。「中にはロクトエ・ティグリ,すなわち“空のトラ”と呼ぶ人もいます。その人たちは,オウギワシが幼い子供たちをひったくって行くと本当に信じているのです」とブルーニングス氏は述べました。

しかし鳥類学者たちは,そうした恐れは根拠のないものであると述べています。

別の目的のためにひったくる

オウギワシが獲物をひったくる方法は有名になり,自らの存在そのものを脅かすまでになりました。しかし,オウギワシの強力なつめとくちばしは穏やかな目的にも役立ちます。オウギワシのつがいは1年おきに巨大なパンヤの木を見つけて巣を作ります。それは大抵5月の後半です。手始めにしばしば古い巣を利用しますが,自分たちの趣味に合うようそれを“改築します”。

オウギワシのつがいはこれを行なうために,フクロネズミやサルではなくて木の枝をひったくり始めます。それからそれらの枝を組んで直径1.2㍍,厚さ0.6㍍の台を作ります。近くの木から運んできた緑の小枝は仕上げに用います。しかし面白いことに,この点では雌のほうが少しうるさいのです。オウギワシの権威であるネイル・L・レティック氏によると,雌は気に入った小枝を選ぶのに5分間位たっぷり飛び回ることがあるということです。ところが雄は,そうしたより好みをすることなく手当たりしだいに集めてきます。動物の世界でも女性は,室内装飾にセンスのあるところを示すのです!

巣作りが終わると雌は卵を2個産み,ふ化するまで56日間卵を抱いています。照りつける太陽にも激しい雨にも動じません。ところが父親は戸外を好み,週に1度母親の食料を携えて帰って来ます。雄は思いやりを示し,雌が近くの木に飛び移って食事を楽しめるよう雌に代わって巣の番をします。しかし休憩時間が終わると,ジャングルに戻り,雌が家族の責任を思い出させるため「ピーア」という緊急信号を送るまでは帰って来ません。

一つの卵がかえると(2番目の卵は無視されます),父親の仕事は2倍になります。父親はひながある程度育つまで,週に2回食料を運んできます。そして,およそ3か月間母親がひなにえさを与えます。そのあとひなは独りでえさを食べることができますが,まだお母さんからもらうほうを好みます。そして1か月後に立ち上がり,両親が繰り返す「ピーア」という声をまねながらよたよた動き回ります。

強風が巣の上を吹き抜けると,2世は羽をばたばたさせ,実際に一瞬浮き上がることもあります。5か月になると,子供のワシは辺りを飛び回れますが,独り立ちできるほどたくましくなるまでにはさらに何か月か親からえさをもらいます。しかし,その日はすぐに訪れ,子供は三,四回大きく羽ばたき,優雅で長い滑空をしてから森の中に姿を消して行くのです。

獲物をひったくる名人として,その名にふさわしくそこで暮らすことでしょう。オウギワシの評判はオウギワシを危険にさらすことになるかもしれませんが,森林パイロットのブルーニングス氏は,「ジャングルの上を飛行機で飛んでいると,まれにつがいを組んで飛んでいたり,単独で飛んでいたりするのを見つけることがあります。なんとか生き残っていくのではないでしょうか」と述べました。

[20ページの図版のクレジット]

©Zoological Society of San Diego

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