ピンクの驚異
“炎の鳥”。古代ギリシャ人は,フェニックスのことをそう呼びました。それは,炎の中で自ら命を絶ち,その後灰の中から現われるという神話上の鳥です。何世紀も前に,フェニックスの名は実在する鳥,フラミンゴに譲り渡されました。フラミンゴはかつての伝説以上に,その名にふさわしい生き方をしています。群れを成して飛行するその様はまさに壮観であり,羽音を立て,鳴き声を放つ“火のあらし”が,空をピンクや黒また朱に染め上げます。
また,1羽のフラミンゴにも,その頭から足に至るまで,驚くべき意図的な造りが見られます。長方形の,蓋付きの箱に似た,そのくちばしについて考えてください。くちばしの先端は折れ曲がっているので,池の浅い所で餌を探すために頭を前後に動かす際,くちばしは池の底と平行になります。くちばしの内部には剛毛が裏打ちされているので,舌がポンプのように水を出し入れする際に,大きな物は締め出し,藻類などの小さな餌を取り込むことができます。このような方法で餌を取り入れるのは,鯨髭で小エビを濾し取るクジラだけです。
鳥類の中で,首と脚の占める割合がフラミンゴほど大きなものはほかにいません。立ち上がったときの体長が1.8㍍を超えるフラミンゴもいます。竹馬のようなその脚は,浅くて,塩分を含んだ湖沼で生活するのに適しています。しかもフラミンゴは,捕食動物から身を守る水の中で立って休みますが,およそ想像し難い姿勢を取ります。何と,1本足で立つのです。専門家の意見によれば,フラミンゴが1本足で立つのは片足を休めるためです。脚を柱のように一定の場所にしっかりと固定できるのは,フラミンゴに特殊な腱があるためです。さらに,並外れたバランス感覚の良さも一役買っています。
進化論者たちは,フラミンゴの起源に関して頭を悩ませています。彼らにとってフラミンゴは,ガンに似ている面もあれば,コウノトリに似ている面もあり,さらにはサギにも似ています。さらに,クジラのように餌を捕り,電気スタンドのような格好で眠るという点も付け加えることができます。しかし,フラミンゴがどのように存在するようになったかに関しては,頭を痛める必要はありません。そのような驚くべき造りを考案できたのは,ひとりの聡明な設計者にほかなりません。