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目ざめよ! 1994
目94 6/22 15–19ページ

モスクワの地下にあるまばゆい宮殿

ロシアの「目ざめよ!」通信員

メトロ,つまり地下鉄がどこにあるかはすぐに分かりました。人の流れが切れ目なく続き,地下につながる入口に吸い込まれてゆきます。入口の上にはMという字の赤いネオンサインが輝いていました。入口のドアが私の前でぱっと開き,ドアの内側では人々が急いで下に降り,地の底にでも消えてゆくような奇妙な光景が見えます。最初,私はためらいましたが,すぐに気を取り直して,後に続きました。

地下鉄に乗るのは生まれて初めてです。それも普通の地下鉄ではありません。モスクワのメトロに乗ったのです。といっても,世の中では人類が宇宙を旅行し,原子を分裂させ,複雑な脳外科手術まで行なえるというのに,地下鉄のどこがそんなに特別なのでしょうか。

まず,モスクワのメトロは,恐らく世界一美しい地下鉄であると教えてもらいました。ロシアのことわざの言う通り,「百聞は一見にしかず」です。昨年の7月にモスクワで開かれたエホバの証人の国際大会に出席した時,ぜひメトロに乗ってみたいと思いました。

どのようにしてできたか

1902年に,科学者また工学技師であるボリンスキーというロシア人が,クレムリンの壁沿いに市の中央部を環状に走る陸上輸送システムの建設を提案しました。しかしその時は,モスクワ市議会はこのシステムを作る案を退けました。10年後に市議会はこの案を真剣に考慮しはじめました。ロシアで建設されるこの種の輸送機関としては初めてのものになる予定でしたが,1914年に第一次世界大戦が勃発したため,その後の進展は遅れることになり,1931年にようやくこの案が復活しました。その年にソビエト連邦共産党中央委員会は,ロシアで最初の地下鉄をモスクワに建設すると発表したのです。こうしてロシアは,このような大規模な建設工事に着手した11番目の国,モスクワは17番目の都市となりました。

モスクワのメトロポリタン地下鉄の最初の路線は,延長約11㌔で,建設が始まってからわずか3年後の1935年5月15日午前7時に開通しました。四つの列車が13の駅に停車し,1日約20万人の乗客を運ぶことができました。モスクワの人たちも外国からの旅行客も感銘を受けました。とても新しく,とても珍しいものでした。晩には,最初の列車に乗ろうとする人たちが列をなして待っていました。それはちょっとした見ものでした。そして今でもそうです。

1935年以来,システムは拡大を続け,9本の路線を持つようになり,総延長は約200㌔,駅の数は149になりました。空港や河川交通など,モスクワにある他の形態の公共交通機関のほとんどは,このメトロと何らかの形でつながっています。実際,モスクワの人たちにとって,メトロなしの生活など想像できません。メトロは毎日平均900万人の乗客を運んでいるのですから,それもうなずけることです。この数はフィンランドの人口のほぼ2倍に当たります。比較として,ロンドンとニューヨークの地下鉄の乗客数を合計しても,だいたいこの半分にしかなりません。

もう少し詳しく調べる

地下20階に何があるか見てみたいと思いますか。エスカレーターに乗ると,かなりのスピードで下に降りてゆきます。これは全部で500ほどあるエスカレーターの一つにすぎません。エスカレーターを全部つなげると長さは50㌔以上にも及びます。30度の勾配を毎秒約1㍍の速さで,つまり他の多くの国のエスカレーターのほぼ2倍の速さで下るのは何という興奮でしょう。

私たちはマヤコフスカヤ駅に到着しました。その建築様式からすると,地下鉄の駅にいるというよりは宮殿の中にいるような感じがします。本当に地下にいるとはとても想像できません。地上でもこれほど美しい建築を見たことがありません。地下ではなおさらです。1937年から1939年の間に開かれた国際的な建築展覧会で,この駅を含め,モスクワのメトロの駅五つが受賞したのも不思議ではありません。もっとも,149のすべての駅がマヤコフスカヤ駅のように宮殿のような造りをしているわけではありません。その後建造された駅のほとんどはもっと地味ですが,それでも印象的です。スタイルや形態の点で同じ駅はありません。

ほとんどすべての駅はロシアの歴史と何らかのかかわりを持っています。装飾のため,ロシアの20ほどの地域から大理石や窯業製品や花崗岩が運び込まれました。ですから,写真入りガイドブックは,「モスクワのメトロ建設を助けるために全土が協力した」と述べています。花崗岩は耐久性があるので,床の装飾のため大量に使用されました。毎日大勢の人が駅に押し寄せることを考えると,これは重要な要素です。

地下にあるこの宮殿の美しさを楽しみながら,高速で行き来する列車にも注目しましょう。駅から列車が出て行ってから1分半もすると,近づいて来る次の列車のライトがもう見えてきます。いつもこんなに頻繁に発着しているのでしょうか。ラッシュアワーにはそうです。それ以外の時間帯には,およそ3分ないし5分間隔で運行しています。

列車の快適な座席に座る間もなく,列車はすばやく最高速まで加速します。直径が約6㍍しかないトンネルの中を,時には時速100㌔近いスピードで突進します。だいたい6時間あれば,何とメトロの全線を一巡りすることができるのです。モスクワの人がメトロを使うのを好むのは,それが一番速い交通手段だというばかりでなく,安上がりで快適だからでもあります。昨年7月,エホバの証人の国際大会の期間中,メトロはどこへ行くにも10ルーブルでした。当時の為替レートでは米国の1㌣(約1円)に当たります。

列車の発車間隔がとても短いのに,どうしてあんなに速いスピードで運行できるのだろうと不思議に思うかもしれません。説明は簡単です。それは自動速度調整システムが特に事故防止のために設計されているからです。このシステムは,その時の列車のスピードで停車するために必要な距離よりも列車の間隔が短くなることが決してないようにしています。言い換えると,時速90㌔で運行している列車と前の列車との間の距離が,必要な停止距離よりも短くなると,自動的にブレーキがかかるようになっているのです。さらに先行する列車の機関士には警報が出されます。もちろん,このシステムによって運転の安全性がかなり向上しました。モスクワのメトロに乗っている乗客が落ち着いていてくつろいでいる理由がお分かりでしょうか。ほとんどの人は座って静かに読書をしており,安全に目的地に着けると確信していることがはっきり分かります。

照明と空調

毎日朝早く,数千台のモーターがうなりながら回りはじめ,幾十万灯の照明が点灯し,混雑する地下の宮殿の中を数百万の人がかき分けて進みはじめます。その中を3,200両ほどの列車が一日中,ドアを開けたり閉めたりしてゆきます。このすべてを行なうには膨大な量の電力が必要です。

こうした活動によって大量の熱が放出されますが,その一部は周りの大地に吸収されます。しかし,トンネル内や駅の構内を過熱してしまう余分の熱はどうなるのでしょうか。宮殿にふさわしく,それぞれの駅には換気システムがついており,1時間に4回完全に空気を入れ替えるようになっています。メトロでは幾ら混雑していても,新鮮な空気をいつでも吸うことができます。実際,モスクワのメトロの換気システムは世界一だと考える人は少なくありません。

しかし,冬になると,この熱は役に立ちます。地上にある建物や入口を除けば,暖房装置は必要ありません。列車や人込みから生じる熱に加えて,地球そのものが春から夏にかけて蓄えた熱を豊富に放出するので,地下の宮殿は温かくて快適に保たれます。

あらゆる方面からの賛辞

予想されるとおり,図解メトロ案内パンフレットは盛んにメトロを褒めています。「モスクワのメトロは世界で有数の洗練された地下鉄であるとみなすのは正当なことである。軌道や配線,配管,ケーブルなどが網の目のように複雑に張り巡らされた,宮殿のような駅は,芸術的な業績と工学的な独創性の神髄を融和させた真に心を奪う代表例である。これらは駅であるというより,まねのできない優雅さや魅力を備えた建築物の傑作である。大理石や花崗岩,鋼鉄,タイルで味わい深く装飾されており,斬新なデザインの照明,彫刻,モザイク,モールディング,鏡板,ステンド・グラス,打ち出し細工がそれを引き立たせている。このレイアウトや装飾に貢献したのは国内最高の建築家や芸術家[や彫刻家]などである」。

モスクワを訪れてメトロをじかに見た今,私もそのように思います。大会に出席した仲間の代表者の多くも,感銘を受けていました。一人のドイツ人はこう言いました。「きれいなシャンデリアのあるコンサートホールに入ったのかと思いました。うっとりしてしまいました」。米国から来た旅行者はメトロが時間通りに運行し,きれいで効率がいいのを見て感銘を受けました。遠くのシベリアから来た大会の代表者は,地下建造物の規模の大きさに驚いていました。

モスクワに行かれるなら,地下にあるこれらのまばゆい宮殿をぜひ訪れるようお勧めします。「百聞は一見にしかず」という言葉を忘れないでください。

[15ページの図版のクレジット]

Sovfoto/Eastfoto

[16,17ページの図版]

モスクワの地下鉄の美しい駅の幾つか

[クレジット]

写真提供(左上から時計回り): Laski/Sipa Press; Sovfoto/Eastfoto; Sovfoto/Eastfoto; Laski/Sipa Press; Laski/Sipa Press; Sovfoto/Eastfoto

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