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目ざめよ! 1970
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ニューヨークの地下鉄はどうしたのか

アメリカの「目ざめよ!」通信員

どうしたもこうしたもない! ニューヨークの地下鉄を常時利用しなければならない人々の大多数はこう答えるだろう。地下鉄に乗らなくてもすむ人にどうして実状がわかろう。地下鉄通勤者で,ほかに方法のない人々,ラッシュアワーの見苦しい押し合いを毎日体験する人でなければ,その実状をまざまざと語るわけにはいかない。

では,地下鉄の実状はもっと具体的に言うとどうなのかと尋ねると,通勤者は次のようなひどい欠点を指摘するだろう。多くのプラットホームや駅が汚い。近代的な照明のない場所が多い。多くの電車は,地下鉄をもつ他の都市だったら,都市の名誉にかかわるとばかり,とっくの昔に廃車にしたであろうような,ふるぼけたしろものである。耳をろうする騒音と,骨までゆさぶるような震動。おそまつな維持から生ずる延着などがそれである。そして地下鉄利用者の心の中には,間接費がばか高い,という疑念がいつもひそんでいる。

通勤者の心はおもしろくない。「停電やスイッチの故障などで,電車が立ち往生したり,ドアがしまらなかったりすると,10分ないし1時間も,満員電車の中で身動きできないまま立っていなければならない」という苦情が絶えない。

やむをえない?

ニューヨークの地下鉄のこうした危険や不快は,ほんとうに,やむをえないと言えるのだろうか。メキシコ・シティのことを知れば,とてもそうは言えない。財力の劣るメキシコ・シティが,ほとんど音のたたない,しかも非難しようのないほど清潔で快適な,そのうえ経済的な速い地下鉄を走らせているのだから。メキシコ人が,特殊の装飾の施された駅で,静かな音楽を聞きながらほんの二,三分間待つところを,ニューヨーク市民は,もっと明るければよごれが目だつだけのような薄暗い駅で,ずっと長く待たされる。

ニューヨーク市民が,地下鉄駅への通路を,押しあい,へしあい登り降りするところを,メキシコ人は一方通行の恩恵に浴している。出口と入口が完全に別になっているからだ。ニューヨークでは,人々が発車まぎわにプラットホームに飛び込み,あとからくる友だちのためにドアを押えていたりするので電車が遅れ,いらいらさせられることがよくある。メキシコ・シティではそんなことはできない。すでに駅にいる人しか乗れないように,電車が駅にさしかかるや否やプラットホームに通ずる入口は締まってしまう。停車時間は17秒。

電車と駅の状態についても,清掃や維持の面でなすべきことが多くあることは明らかだ。プラットホームや駅が徹底的にそうじされるのを見たのはいつのことだろう。散らかった紙くずを片付けるところは見るかもしれない。しかし何年もの間にこびりついたよごれはどうだろう。雇われている清掃員があまり良心的に働かないのだろうか。それとも清掃作業員が足りないからだろうか。

清潔さということになると,公衆はどうかという質問が出てくる。彼らは地下鉄をきれいにすることに協力しているだろうか。だらしない乗客は,線路やプラットホームに,あらゆる種類の包み紙や新聞紙を投げ捨てる。ニューヨーク市の地下鉄からは毎日30トンもの紙くずが出る。

乗客とのよい関係を保とうとするメキシコ・シティ交通局の努力を見ると,ニューヨークの地下鉄関係者たちに,想像力,洞察力,プライドまたは積極的な態度といおうか,そう言った何かが欠けていると言わざるをえない。なにをしても,だれかがとがめるわけではなしと結論する乗客を非難できるだろうか。こうした考えがいったん一般化すると,散らかすこと,よごすこと,そして蛮行などがいっそうひどくなることは確実である。

メキシコでは,各駅に少なくとも二人の掃除夫がいる。蛮行が大目に見られることはない。すべての駅に警備員がいて,不注意な行為や悪習に対してはすぐに忠告を与え,矯正する。メキシコ当局は,駅に広告を出す代わりに,メキシコ全土の発展を強調するパノラマ写真をかかげている。どの駅にも,その場所となんらかの関係をもつ歴史的事件,もしくは人物にちなんだ名前がつけられ,駅の装飾は一貫してそれがテーマとなっている。

騒音はどうだろうか。ニューヨークの地下鉄はたしかにやかましい。しかしこれはどうにもならぬことではない。メキシコの電車は音をたてずに走る。これはどのようにして成し遂げられたのだろう。電車にゴムのタイヤをつけたのだ。各タイヤには鋼鉄の車輪がはいっていて,タイヤが圧力を失うと,それが使えるようになっている。

いくつかの問題に対する別の見方

交通局の職員に,地下鉄の状態がなぜこうなのか尋ねると,どう答えるだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙が伝えるところによると,彼らのかなり多くが,問題は「非能率的なこととか怠慢という点にあるのではなく,経験の浅いことにある」と考えている。「この問題は……退職と年金にかんする1968年交通労働者組合協約の中のある条項に端を発している,と彼らはいう」。この協約によると,20年間勤続した従業員は,退職後も給料の半額を支給される。

何千という従業員がこの条項を利用して退職した。後任者はもちろん経験にとぼしい。交通局の修理計画に携わる一監督の話によると,彼の属する部門の人員は4,000人であるが,昨年そのうちの熟練した従業員1,400人が退職した。また,過去15か月間に326人の監督のうち270人が退職して入れ替わったという。「こうしたことが弊害を招く」と彼は主張する。しかし問題はほんとうにそこにあるだろうか。メキシコ・シティでも,地下鉄の全従業員ははじめてその仕事に携わったのである。

しかし一部の職員は,予算の増額による電車修理工の増加など,明るい発展に目を向けている。またあらゆる設備の状態を監視し,車両の点検や分解修理を簡易化するための新しいコンピューター・システムも予定されている。また今では,新しい従業員の雇い入れも,新しい手順でスピード化されている。しかしこうした進歩で問題は解決するだろうか。

“クリッフ・ハンガー”決定

ニューヨークの地下鉄従業員と経営者との間の協約は2年ごとに期限が切れ,“クリッフ・ハンガー”決定の登場となる。これが決裂すればストライキになる。“クリッフ・ハンガー”は,自分たちの要求を入れさせようとする労組の代表と,それを阻止しようとする経営者側の代表との,あの劇的な最後交渉を適切に描写する語である。しかし一般大衆は理解しかねる。

ニューヨーク・タイムズの編集局に寄せられた一通の手紙にはこう書いてあった。「常識の名にかけても,適当な時期に解決を見るよう,最終期限に十分さきがけてこれらの交渉を行なうことはできないものか」。労組員であろうと経営者であろうと,市民のある団体が一般大衆を手玉に取って,強引に自分の要求を通そうとするのは,とても道理にかなった行為とは言いがたい。今回の地下鉄運賃値上げに伴って生じた混乱と不便は,多くの人にとって不条理きわまるものであった。

運賃の問題

ニューヨークの交通機関はたしかに古い。最初の地下鉄工事が始まったのは1900年であった。また,約7,000の車両,延べ436キロの路線,および急行と各駅停車の便をもつ世界最大の地下鉄でもある。最近では空気調節装置のある新車がいく台か運転されており,これをさらにふやすという約束もある。しかし,ラッシュアワーの満員電車に乗る人々は,これほど多くの乗客がいるのに,なぜ地下鉄はいつも赤字なのか,と思わないわけにはいかない。

最近行なわれた運賃の50パーセント値上げに対しては,通勤者の大部分が憤りを感じている。ビーム会計検査官は最近,「この値上げが,いちばん貧しい人々を苦しめることは明らかだ」と語った。地下鉄の紛糾に直接関係している人をも含め,他の公的立場にある人たちも値上げに反対した。

政治家はインフレと賃金の上昇を憂慮しているという。しかしこの交通費の増加ほど大きな賃上げ要求の原因になったものはないであろう。町の商人もこの値上げをきらい,いくぶん客足が減ることを予想している。

メキシコ・シティでは片道料金は10セントほどになるが,ニューヨーク市では30セントである。賃金の率が国によって異なるのは事実であるとしても,すべての市民に等しくその市場を,そしてすべての施設を利用させることは,市行政の関心事とするところではなかろうか。

解答なし

そこで,ニューヨーク市の地下鉄はいったいどうしたのか,というひとつの疑問が,他の多くの疑問を引き出すことになるが,現在の体制下には,それらの疑問に対する答えはないかもしれない。人々は,そうした公益事業を公有にするのと私有にするのとでは,どちらに利点があるのかと考えている。また,地下鉄は,党利だけのためにけりまわされる,政治フットボールになってしまったと見る向きもある。

地下鉄運賃の値上げを押える方法はないかもしれない。1965年以降100パーセント上がっているのだが。ではサービスの質がそれに比例して改善される見込みがあるだろうか。この面で大きな希望を差しのべている者は,ひとりもいない。統計学者の話によると,一般の賃金労働者は,今回の運賃値上げで1年に50ドル余分に払うことになる。それでも,サービスと環境の早急な改善は期待できない,と交通局のある職員は述べ,「一夜にして改善する方法はない。これが是正されるのは来年か,あるいはそれ以上かかるかもしれない」と言った。そのころまでには運賃は賃上げ要求でまた高くなっていることだろう。

複雑なこの地下鉄問題が,きのうやきょう生じたものでないことは明らかである。州と市の為政者は,大問題を相続してきたのだ。その根は深くて何十年もの昔にさかのぼる。たしかにニューヨーク市の地下鉄の問題は,さっそくには是正されないだろう。

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