話の種になる食べ物
デザートのことを忘れていたわ。……そうだわ,デザートを考えなくては。……お客様を食事に招待する計画を立ててから,「デザートは何にしようかしら」と思ったことはありませんか。こうしたことはよくあるもので,多分,困った末に,計画した集いにぴったりのデザートが何かないか,料理ノートに当たったり,家にある料理の本を全部ひっくり返して見たりしたことでしょう。
フォンデュを作ってみるのはいかがでしょうか。これは話の種になること請け合いですし,簡単で速く作れるのです。フォンデュとは何でしょう。ごく簡単に言うと,こんろ付き卓上なべで幾つかの材料を溶かした物です。それに他の材料を浸して食べるのです。浸す材料をここでは「ディッパー」と呼ぶことにします。フォンデュという語は,「溶ける」を意味するフランス語フォンドルに由来します。例えば,チョコレート・デザート・フォンデュの場合,ベースになっているのは溶かしたチョコレートで,ディッパーにはケーキ類や新鮮な果物を使います。
チョコレート・デザート・フォンデュ
左にご紹介するのは,チョコレート・デザート・フォンデュの作り方です。初めての方は,こんなに良い物があったのかと喜ばれるに違いありません。
深めの片手なべにチョコレートを溶かして,残りの材料を加えます。かき混ぜて,とろみが付いたらフォンデュなべに移し,とろ火のこんろにのせて温めておきます。
浸して食べ始める前に,好みで,インスタント・コーヒー小さじ2杯かシナモン小さじ4分の1杯を加えても構いません。ディッパーの果物には,色が黒くならないように,レモン汁に水を加えて振り掛けます。チョコレートのフォンデュが薄すぎる時は,チョコレートを足します。濃すぎる時は,牛乳で薄めます。
電気フォンデュなべや直火に掛けられるフォンデュなべを使って調理すれば,別のなべに移さずにそのまま食卓に出せます。皆の手が楽に届くよう,フォンデュなべを食卓の中央に置きます。一つのなべは6人から8人分です。
残ったフォンデュは,冷蔵庫に入れておくと保存がよく利きますし,アイスクリームのとても良い上飾り<トッピング>になります。
スイスのチーズ・フォンデュ
チーズ・フォンデュを作ってみるのはいかがでしょうか。右にご紹介するのは,前菜にも主菜にもなるフォンデュの作り方です。
深めの片手なべの内側をにんにくの切り口でこすり,にんにくは取り除きます。なべにワインとレモン汁を入れて中火で温めます。泡が立って,表面全体に広がります。ワインを沸騰させないようにします。
コーンスターチまたは小麦粉と,おろしたチーズをボールに入れて混ぜ合わせます。
先ほどのワインを絶えずかき混ぜながら,チーズを一つかみ加えます。それが溶けたら,チーズをもう一つかみ加えて,溶けるまでかき混ぜます。この要領で,チーズを全部溶かします。好みによって,白コショウとナツメグか,パプリカと挽いたクローブで味を調えます。
それをフォンデュなべに移し,弱火か中火のこんろに掛けます。各人には,フォンデュ用の柄の長いフォークと皿とディナー用フォークが用意されているので,フォークにディッパーを刺し,それでフォンデュを円または8の字を描くようにかき回してください。それからディッパーを皿に載せて,ディナー用フォークでいただきます。
フォンデュが薄すぎる時はチーズを足します。濃くなり過ぎたなら,温めたワインを入れてかき混ぜます。ワインとチーズが分離した場合は,強火で熱し,泡立て器で強くかき混ぜて,火を弱めます。ディッパーを浸した時に必ずフォンデュをかき回すようにすれば,分離しません。
アルコールを含まない材料をベースにしたフォンデュを好む場合は,基本的なチーズ・ソースを用意します。バターと小麦粉,各大さじ4杯を混ぜ合わせ,弱火で加熱します。冷たい牛乳2カップを加えて,ゆっくり熱し,2分間煮ます。においの強いチーズ(おろしたもの)カップ1杯半を少しずつ加え,かき混ぜて溶かし,塩とコショウで味を調えます。先と同様の要領でディッパーを浸します。
最後は甘い物で
今度,デザートを何にしたらよいか困った時,チョコレート・フォンデュにしてみる方もおられるでしょう。あるいは,ビーフ・フォンデュを主な食事の献立にする方もあるでしょう。
いろいろの良い風味が溶け合ったこの料理は,あなたにも,お友達にも,きっと長く気に入っていただけるでしょう。フォンデュの魅力は,一つのなべを囲むところにあります。皆が手を伸ばし,和気あいあいとした雰囲気になるからです。しかも,この話の種の主な材料は食べることができるのです。―寄稿。
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チョコレート・デザート・フォンデュの材料
甘みを加えていないチョコレート……170g
砂糖……カップ1 1/2
乳脂肪分の少ないクリーム……カップ1
マーガリンまたはバター……カップ1/2
塩……小さじ1/8
簡単にする場合:
甘みを抑えたチョコレート……340g
チョコレートチップスまたは甘い料理用のチョコレート
ハーフアンドハーフ(クリームと全乳との混合物)……カップ1/2
ケーキ類のディッパー:
エンゼルケーキ,レディーフィンガー,ドーナツ,パウンドケーキをさいの目に切ったもの
果物のディッパーあれこれ。1種類だけでもよいし,数種類でもよい:
りんご,バナナ,さくらんぼ,デーツ,ブドウ,オレンジ,メロン,パパイア,モモ,ナシ,パイナップル(刻んだもの),イチゴ
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スイスのチーズ・フォンデュの材料
にんにく(二つ割りにする)……1片
辛口の白ワイン……カップ1 1/2
レモン汁……大さじ1
コーンスターチまたは小麦粉……大さじ1 1/2-2
スイスチーズ(おろしたもの)……435g
(またはスイスチーズとグリュイエールチーズとを合わせたもの)
キルシュ(なくてもよい)……大さじ2-3
白コショウとナツメグまたはパプリカとクローブ(好みで)
ディッパー:
皮が堅くて厚いフランスパンかイタリアパン2個,または堅いロールパンを3㌢のさいの目に切る。どれにも皮が付いているようにする
ゆでたとり肉,ハム,エビ
生野菜または,ゆでた野菜
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ソース(たれ):
ホースラディッシュソース
ホースラディッシュ(おろしたもの)……大さじ3
サワークリーム……カップ1
レモン汁……小さじ1
パプリカ……小さじ1/8
材料を混ぜ合わせる
カレーマヨネーズソース
マヨネーズ……カップ1/2
サワークリーム……カップ1/2
レモン汁……小さじ1
カレー粉……小さじ1
材料を混ぜ合わせる
塩とコショウで味を調える
マスタードソース
マスタード(練ったもの)……小さじ3
玉ねぎのみじん切り……大さじ2
サワークリーム……カップ1
材料を混ぜ合わせる
塩とコショウで味を調える
ビーフ・フォンデュ
赤身の牛肉(ヒレ肉または骨のないサーロイン)……1kg
植物油
注意: フォンデュなべには,必ず鋳鉄製か銅製か鋼鉄製のものを用いてください。陶製のなべをオイル・フォンデュに使うのは危険です。油が非常に高温になるので,なべが割れるからです
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チョコレート・デザート・フォンデュ
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スイスのチーズ・フォンデュ