世界展望

子供のゲリラ

世界中のゲリラ軍の間で，子供たちが広く見られるようになりつつある。インターナショナル･ヘラルド･トリビューン紙によると，子供たちは殺し方をすぐに習得するし，どんな軍事グループであれ自分の家族のようになったグループに受け入れられたいという気持ちは，子供たちの善悪の感覚より強い。「ルワンダや他の場所で，極めてひどい残虐行為の幾つかを行なったのは子供たちだった」と国際連合のスポークスマンは語った。「子供たちは一員になることや称賛されることを望んでおり，大人たちよりもっと勇敢あるいはもっと野蛮でないと仲間に是認されないかもしれない」。アフリカにおけるある紛争では，8歳の男の子たちが訓練を受け，自分の親を銃で撃ったり，親ののどをかき切ったりするような残虐行為に携わるよう強要された。誘拐された女の子たちは，料理や掃除をさせられたり，兵士たちの性的な慰みの相手をさせられた。「現在，戦争に関与している子供たちの数は，24の紛争で，推定5万人から20万人に上る」とニューズウィーク誌（英文）は伝えている。

自然の掃除屋さん

ある種の顕花植物は，油で汚染された砂漠の土をきれいにし再生させる上で，すばらしい能力を発揮する，とロンドンのタイムズ紙は伝えている。科学者たちは，油が砂の重さの10％以下の所でこれらの植物がよく育ち，しかも根がまったくきれいなままであることを発見した。なぜだろう。この植物の根の周りにいる何百万ものバクテリアが油を摂取し，無害な物質に分解するのだ。これらの植物は，植物の中でも最大級の科の一つであるキク科に属し，同じ科には，デイジー，アスターや多くの雑草がある。科学者たちは，クウェートの砂漠を早くきれいにするためにこれらの植物を植えることを勧めた。イラクとの戦争から4年たった今でも，約50平方㌔㍍の砂漠が依然汚染されたままである。

頭を使う

「アフリカの女性は，重い水がめや食物の入ったつぼを運ぶ際に，まるで何も持っていないかのようにして何キロも歩く」とディスカバー誌は述べている。「研究者たちは，女性たちが余分なエネルギーを少しも使わずに，非常に大きな荷物を運べることに気づいた」。ケニアのある女性たちは，自分の体重の20％の重さまでなら，余分な努力をせずに運ぶことができる。どのようにするのだろうか。「重い荷物を背負って運ぶ人や，頭を使って運ぶ訓練をしたことのない人たちよりも，荷物をずっと効率良く」運ぶことによってである，とニュー･サイエンティスト誌は答えている。「秘訣は女性の振り子のような動きにある，と研究者たちは考えている」。歩く時，わたしたちは揺れる振り子のように，エネルギーの一部を次の一歩の中に繰り入れている。ヨーロッパ人の場合，荷物が重くなるにつれて，このエネルギーを移行させる効率が悪くなる。しかし荷物を頭に載せて運ぶアフリカの女性の場合は，効率が事実上良くなるため，筋肉は余分な仕事をする必要がない。ただし，この技術を習得するには何年もかかる。

「エルサレム症候群」

これは，「その都市の呼び覚ます強烈な霊的感情に圧倒されて，自分は救世主や他の聖書中の人物だとか，神から特別なお告げや指図を受けたと信じ込むようになる旅行者が経験する苦痛」である，とタイム誌は述べている。「患者の大半は過去に精神障害を患っている」。ずだ袋を身にまとってベツレヘム近郊の丘をさまよっているところを発見された，ひげ面のイタリア人は，自分はイエスだと言い張っている。裸で剣を振り回しながら旧市街を走り抜けていた男性は，目の見えない人をいやす使命を受けていると言う。がっしりとしたカナダ人は，サムソンだと名乗り，病棟の窓の鉄格子を引きちぎって脱走することにより，そのことを“証明した”。この症候群に悩まされた人はたいてい，エルサレムのクファル･シャウル精神病院へ連れて来られる。治すためではなく，落ち着かせて治療のために自宅に戻せるようにするためである。このような患者は年間50人ほどで，おもに西ヨーロッパと米国出身である，と病院側は見ている。

告訴されるルワンダの女性

1994年にルワンダで少なくとも50万人が虐殺された事件では，男性と同様に女性たちも責任を負わなければならないと，ロンドンに本拠を置く組織「アフリカ･ライツ」は訴えている。「非常に多くの女性が，他の女性に殺された」とその報告は述べている。「先例のない規模で，女性が殺害において積極的な役割を担った。これは偶然の出来事ではない。あの大虐殺＜ホロコースト＞の立案者たちは，できるだけ多くの人々を ― 男性も，女性も，そしてたった8歳の子供でさえ ― 加わらせようとした。彼らは，集団虐殺の血で結びついた過激派による国家を創設することを目指していた」。加わった女性の多くは，閣僚，地方行政官，修道女，教師，看護婦など，責任のある地位にある人だった。なたや銃を使って虐殺に積極的に加わった者もいれば，殺害をする男性をはやしたてたり，それら殺害者たちを家や病院に出入りさせたり，家々を荒らしたり殺された人からはぎ取ったりして，虐殺を支持する役割を演じた者たちもいる。

新しい聖書翻訳

「最新の英語による新版聖書の波が書店に到着」と伝えるのはUS･ニューズ･アンド･ワールド･リポート誌。子供向き，運動選手向き，年配者向き，専業主婦向き，父親向きその他，いろいろなグループ向きの聖書が出版されてきた。一つは「ブラック･バイブル史伝」で，「アメリカ黒人のティーンエージャー向きに，聖書物語を生き生きさせるため，スラングや脚本の形が採用してある」。もう一つの「新約聖書 詩編付き: 包括訳」は，性中立的な語での訳を試みている。神は「父-母」と呼ばれ，人の子[英文字義: 息子]は「人である者」となっている。左利きの人の気分を害さないように，訳者たちは神の右手を神の「力強いみ手」と呼び，人種的な含みのため，もはや暗黒を悪であるとはしない。三つ目の，「国際的読者の新約聖書 新訳」の発行者は，「市場で最も低いレベルである小学2年程度の読解力で読めるように書かれた，これまでにない聖書」と評している。「現在，英語だけでも合計450以上の訳の聖書がある。新しい版がすべて店頭に出るので，聖書が不変のベストセラーという往年の地位を失うことは，今のところなさそうである」とその記事は結んでいる。

なくなるマンホールのふた

1994年に，北京＜ペキン＞に住む200人以上の人が，ふたの無いマンホールに落ちた，とエコノミック･デーリー紙は報じた。なぜだろうか。その年に，中国の首都の通りから2,000個を超すマンホールのふたが盗まれたためである。大半は，中国の流動人口と呼ばれる移住者によって盗まれた，と言われている。ふた泥棒は過去10年間，市の移住人口の増加に伴って増えてきた。約60㌔のふたは100元（1,200円）以上で売れる。けがをした住民には，歩行者と自転車に乗っていた人の両方が含まれていた。

ソテツの安全

多くの植物学者は，Encephalartos woodiiというソテツが世界で最も珍しい植物ではないかと考えている。それで昨年，南アフリカがこのヤシに似た熱帯植物の標本をロンドンのチェルシー･フラワーショーに送ることにした時，抗菌クリームを塗った盗難防止用マイクロチップを幹に埋め込む，という予防措置が講じられた。南アフリカで輸送されるソテツはすべて，現在この方法で守られているとニュー･サイエンティスト誌は伝えている。ソテツ泥棒と闘うために，南アフリカの環境保護論者は今，衛星追跡システムの助けを得て，同様に野生のソテツの保護に乗り出している。

氏名の問題

12億の人口を抱える中国は，姓の蓄えが減るという事態に直面している。研究者によると，中国で使われる姓は，過去には約1万2,000あったのに対し，現在ではたったの3,100である。およそ3億5,000万人，すなわち米国と日本の人口を合わせたのとほぼ同じ数の人々が，李＜リー＞，王＜ワン＞，張＜ヂャン＞，劉＜リゥー＞，陳＜チェン＞という五つの最も一般的な姓を共有している。加えて，同じ名前が使われるということもよくある。例えば，天津＜テンシン＞では2,300人以上の人が同姓同名の張李＜ヂャン リー＞で，同じ漢字を使う。さらに多くの名は，漢字が違っても発音は同じである。混乱の結果，不当な逮捕，預金引き出しのミス，病院で違う人に手術を施すことなどが多数起きている。大韓民国もよく似た問題を抱えている。1987年の調査によると，韓国では5人につき一人が金＜キム＞という姓である。近親結婚による害を防ぐために，同じ姓の人同士の結婚が禁じられていた結果，何千組もの夫婦が一緒に住みながら結婚を届けないため，保険その他の恩恵を受ける資格を持っていない。しかし，韓国の最高裁は今や，そのような同じ姓の人同士の結婚でも，その夫婦がまず外国で結婚するなら合法とみなされるようになる，との判決を下した。