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目ざめよ! 1997
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草はどうして緑色なのか ― 光合成を詳しく調べる

「草はどうして緑色なの?」 このような質問を子供の時にしたかもしれません。満足のいく答えが得られましたか。この場合もそうですが,子供の質問はとても意味深いときがあります。そのような質問がきっかけで,普段は気にも留めない何げない事柄を深く調べるようになることもあれば,意外な所に隠されていた不思議な事柄を発見することもあります。

草が緑色である理由を理解するために,草とは全く関係ないと思えるかもしれませんが,次のものを思い浮かべてみてください。それは完璧な工場です。完璧な工場は静かに操業し,見栄えがよいのではないでしょうか。環境を汚染するどころか,操業そのものによって環境を実際に改善するでしょう。すべての人にとって有益なもの,まさに必要不可欠なものを作り出すのは言うまでもありません。そのような工場は,太陽エネルギーを動力源にすると思われませんか。そうすれば,工場を動かすための電気の接続も,石炭や石油の供給も不要になります。

恐らく,太陽エネルギーを動力源とする完璧な工場は,現在人間が持つ技術をはるかに凌ぐ太陽電池板を使うでしょう。その製造に際しても使用に際しても,かなりの省エネができ,安く上がり,環境を汚染しません。考え得る最新の技術を使いますが,それが目立つこともなく,予期しない事故,故障,それに今日の最先端技術ゆえに必要とされるような際限のない微調整なども全く関係がありません。完璧な工場であれば,完全に自動化され,人間が注意を払わなくても操業できることをわたしたちは期待するでしょう。確かに,完璧な工場は,自らを修復し,自らを維持し,自らを複製するのです。

このような完璧な工場は単なるサイエンス・フィクションでしょうか。達成できないはかない夢物語ですか。そのようなことは決してありません。というのは,完璧な工場はあなたの足もとの草と同じほど現実的なものだからです。実際問題として,足もとの草は完璧な工場に相当します。事務所の中のシダ,窓の外の樹木もそうです。確かに,緑色の植物はどれも完璧な工場です。太陽光からエネルギーを得る緑色植物は,二酸化炭素,水,ミネラルを使い,地上のほとんどの生物のために,直接間接に食物を生産します。その過程で緑色植物は,二酸化炭素を取り除き,きれいな酸素を出すことによって,大気に燃料を補給します。

地上の緑色植物は全体で毎年推定1,500億㌧ないし4,000億㌧の糖を作り出しますが,それは,人間が鉄,鋼鉄,自動車,航空宇宙産業などの工場で生産する物の総計をはるかに上回る量です。その際,緑色植物は,太陽エネルギーを使って水分子から水素原子を取り去り,それらの水素原子を空気中の二酸化炭素の分子に付け,二酸化炭素を糖として知られる炭水化物に変えます。この驚くべき過程を光合成と言います。そのあと植物は,新しい糖分子をエネルギーとして使ったり,糖分子を結合させて備蓄食糧用のでんぷんを作ったり,植物繊維を構成する丈夫な繊維質のセルロースを作ったりします。考えてみてください。セコイアは生長すると人の上にそびえ立つ90㍍もある巨木になりますが,そのほとんどはただの空気から,一度に二酸化炭素の分子一つと水分子一つを使い,葉緑体と呼ばれる顕微鏡的な大きさの莫大な数の“組み立てライン”の中で作られたのです。でも,それはどのように行なわれるのでしょう。

“内燃機関”を調べる

セコイアが空気(および水と幾つかのミネラル)からできるのは,まさしく驚異ですが,手品を使っているのではありません。それは,理知的な設計と,人間の持ついかなる科学技術よりもはるかに精巧な技術の成果です。科学者たちは少しずつ光合成というブラックボックスのふたをこじ開け,中で行なわれている高度に精巧な生化学的反応を驚嘆して見つめています。それでは,科学者たちと一緒に中をのぞいて,地上の生物のほとんどすべてを支える“内燃機関”を調べてみましょう。もしかしたら,「草はどうして緑色なのか」という質問に対する答えが見えてくるかもしれません。

信頼の置ける顕微鏡を取り出して,典型的な葉を見てみましょう。肉眼では,葉全体が緑色に見えますが,それは錯覚です。顕微鏡で見る植物の各細胞は,実際にはそれほど緑色ではありません。むしろ細胞はほとんど透明で,それぞれ50から100個の小さな緑色の点を含んでいます。これらの点が葉緑体で,ここに光に敏感な緑色の葉緑素があり,そこで光合成が行なわれるのです。葉緑体の中で何が起こっているのでしょうか。

葉緑体は小さな袋のようで,その中にはさらに小さなチラコイドと呼ばれる平たい袋のあることが分かります。やっと草の中の緑色の正体を突き止めました。緑色の葉緑素分子はチラコイドの表面に埋め込まれていますが,それらは無作為にではなく,注意深く組織的に組み立てられています。これを光化学系と言います。ほとんどの緑色植物には2種類の光化学系があり,それぞれPSI(光化学系I)とPSII(光化学系II)として知られています。光化学系は工場内の専門化された作業チームのようで,それぞれが光合成の特定の作業の流れを受け持っています。

廃物にはならない“廃棄物”

太陽光がチラコイドの表面に当たるとき,PSII配列の葉緑素分子で集光性複合体と呼ばれるものが,それを捕らえようと待ちかまえています。これらの分子は,特定の波長の赤い光を吸収することに特別な関心があります。チラコイド上の別の場所では,PSI配列がもう少し長い波長の光が来るのを待っています。一方,葉緑素と,カロチノイドのような他の分子は,青や紫の光を吸収しています。

では草はどうして緑色なのでしょうか。植物に降り注ぐあらゆる波長の光の中で,緑の光だけが不要なのです。ですから,その光は単に反射され,待ち受けるわたしたちの目やカメラに入って来るわけです。考えてみてください。春の繊細な緑や夏の深いエメラルドグリーンは,植物にとっては不要な波長から生じますが,人間はこの波長を慈しみます。人間の工場から出る公害や廃棄物とは違って,この光の“廃棄物”は,わたしたちが美しい草原や森を眺め,心地よい命の色で魂をさわやかにするとき,決して廃物にされることがありません。

葉緑体に話を戻すと,PSII配列の中では,太陽光の赤色域から来るエネルギーが葉緑素分子の中の電子に移されます。最終的にこの電子は活性化されて,つまり“励起されて”配列自体から飛び出し,チラコイド膜にある待機していた輸送分子の腕の中に飛び込みます。ちょうど踊り手が一人のパートナーから他のパートナーへ回されるように,電子もエネルギーを徐々に失いながら,一つの輸送分子から他の輸送分子へと回されます。エネルギーが十分低くなると,この電子はもう一つの光化学系であるPSIの電子と安全に入れ替わることができます。―図1をご覧ください。

その間,PSIIの配列は電子が一つ足りないために電気的にプラスに帯電し,失った電子に代わる電子に飢えています。ちょうどスリにポケットの中身をすられたことに気づいた人のように,酸素生成複合体と呼ばれるPSII内の領域は気が動転しています。どこで電子を見つけるのでしょうか。何と,かわいそうなことに,近くを水の分子がさまよっています。これから目も当てられないようなことが起こりそうです。

水分子を引き裂く

水分子は,比較的大きな酸素原子と,それよりも小さい二つの水素原子によって構成されています。PSIIの酸素生成複合体は金属元素マンガンのイオンを四つ含んでおり,それらが水分子の中の水素原子から電子を取り去ります。結果として,水分子はプラスの電荷を持った二つの水素イオン(陽子),一つの酸素原子,そして二つの電子に分解されます。さらに他の水分子が分割されるにつれ,酸素原子は対を成して気体酸素の分子となり,植物はそれをわたしたちのために空中に放ちます。水素イオンはチラコイドの“袋”の中に蓄積してゆき,植物によって利用されますし,電子はPSII複合体の再供給のために使用されます。ここで,このサイクルを毎秒何回でも繰り返す準備が整います。―図2をご覧ください。

チラコイドの袋の中では,ひしめき合った水素イオンが逃げ道を探し始めます。水分子が分解されると,その都度二つの水素イオンが増えるだけでなく,PSIIの電子がPSI複合体に移動するとき,それにつられて他の水素イオンもチラコイドの袋の中に誘い込まれます。瞬く間に,水素イオンは,ごった返した蜂の巣の中の怒り狂った蜂のようにブンブン飛び回り始めます。水素イオンは,どうやってそこから出ることができるのでしょうか。

光合成を設計された聡明な方は,出口が一つしかない回転ドアを設けておられることが分かりました。それは,細胞にとって非常に大切なATP(アデノシン三リン酸)という燃料を作るために用いられる,特別な酵素のことです。水素イオンは強引に回転ドアから出る際,使用済みのATP分子を充電するのに必要なエネルギーを供給します。(図3をご覧ください。)ATP分子は小型乾電池のようです。その場で少量のエネルギーを放出し,細胞内の様々な反応のためにそれを供給します。後に,これらのATP分子は,光合成の糖組み立てラインで必要になってきます。

ATPの他にも,糖の組み立てに欠かせない別の小さな分子があります。それはNADPH(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド・リン酸の還元型)と呼ばれています。NADPH分子は小型配達トラックのようであり,糖分子を作るために水素原子を必要としている待機中の酵素に,それぞれ水素原子一個を渡します。NADPHを作るのはPSI複合体の役目です。一つの光化学系(PSII)が水分子を引き裂いてATPを作るのに忙しくしている間に,もう一方の光化学系(PSI)は光を吸収して電子を放出します。それらの電子は最終的に,NADPHを作るために使われます。ATPとNADPHの両分子は,糖組み立てラインで使う時に備えて,チラコイドの外のスペースに保管されます。

夜勤

毎年,光合成によって何十億トンという糖が作られていますが,光合成における光を動力源とする反応は,実際には糖を作りません。その反応によって作られるのは,ATP(“電池”)とNADPH(“配達トラック”)だけです。この時点から,チラコイドの外のスペース,つまりストロマの中にある酵素がATPとNADPHを使い,糖を作ります。実のところ,植物は完全な暗闇でも糖を作れます。葉緑体は工場のようです。チラコイドの中で二人の作業員(PSIとPSII)が電池と配達トラック(ATPとNADPH)を作り,それらを外のストロマにいる3人目の作業員(特別な酵素)が使うのです。(図4をご覧ください。)この3人目の作業員はストロマにある酵素を使い,化学反応の正確な順序に従って水素原子と二酸化炭素分子を加えてゆくことにより,糖を作ります。作業員は3人とも日中に仕事ができますが,糖を作る作業員は,日中作られたATPとNADPHの在庫が少なくとも尽きるまでは,夜勤もします。

ストロマは,細胞内の結婚斡旋業者のようなものと考えることができます。その中には原子と分子がたくさん入っていて,お互い“結婚”する必要があるのですが,自分としてはそうする勇気が全然ありません。ある種の酵素は厚かましい小さな斡旋業者のようです。a 彼らは特別な形をしたタンパク質分子で,その形は,特定の反応にちょうど必要な原子や分子を捕まえやすくなっています。ただし,将来の結婚相手となる分子を紹介するだけでは満足しません。酵素は結婚が行なわれるのを見届けるまで満足せず,将来夫婦となる二人を捕まえて,乗り気でない二人を直接くっつけ,生化学的な一種のショットガン・ウェディング(強制的な結婚式)で結婚させるのです。結婚式の後,酵素は新しくできた分子を放し,この過程を何度も繰り返します。酵素は,未完成の糖分子を信じられないような速さでストロマ内を回し,組み替えたり,ATPを使ってエネルギーを与えたり,二酸化炭素を加えたり,水素をくっつけたりします。最終的には三炭糖を送り出しますが,細胞の他の場所でこれに部分修正が加えられ,グルコースや他の様々な種類の糖になります。―図5をご覧ください。

草はどうして緑色なのか

光合成は単なる基本的な化学反応ではなく,それをはるかに越えたものです。それは驚くべき複雑さと緻密さの伴った生化学のシンフォニーです。「植物の生命のプロセス」と題する本は,このように述べています。「光合成は,太陽の光子のエネルギーを利用するための,すばらしい,高度に組織されたプロセスである。光合成をつかさどる,植物の複雑な構造と,信じ難いほど入り組んだ生化学的,遺伝的制御は,光子を捕らえてそのエネルギーを化学的な形に変換するという基本的なプロセスを精錬したものと見てよいだろう」。

言い換えれば,草が緑色である理由を知るということは,人間が考え出したどんなものをも凌駕する設計や技術を驚嘆して見つめることです。自らを統制し,自らを維持する極微の“機械”が,毎秒何千回,いや何百万回というサイクルで稼動し(騒音,公害,見苦しさを生み出すこともなく)太陽光を糖に変えているのです。また,わたしたちにとっては,最高の設計者であり技術者であるわたしたちの創造者エホバ神の知性を垣間見ることにもなります。次回,エホバの美しい,生命を維持する完璧な工場を観賞するとき,あるいは次回,美しい緑の草の上をひたすら歩くようなときには,草はどうして緑色なのかについて考えてみてください。

[脚注]

a ある種の酵素は厚かましい小さな離婚専門の弁護士のようです。彼らの仕事は分子を分かつことです。

[20ページの図]

(出版物を参照)

図1

図2

[21ページの図]

(出版物を参照)

図3

図4

[22ページの図]

(出版物を参照)

図5

[19ページの図版]

光合成はどのようにこの樹木を生長させたのだろうか

[18ページの図版のクレジット]

挿入写真: Colorpix, Godo-Foto

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