寄生虫から身を守りましょう
ホンジュラスの「目ざめよ!」通信員
目を覚ました時に吐き気がします。疲れやすくなりましたし,おなかもいくらか膨れています。妊娠したのでしょうか。そうかもしれません。でも,もしあなたが熱帯や亜熱帯の地域に住んでおられるなら,何らかの腸内寄生虫が原因であることは十分考えられます。腸内寄生虫とは何でしょうか。そうしたありがたくない客の宿主になっているかどうかはどうすれば分かりますか。
簡単に言うと,寄生虫とは,宿主と呼ばれる生物の体表あるいは体内で生活し,宿主から栄養分を取る生物のことです。腸内寄生虫には,アメーバを含む原虫と蠕虫の2種類があります。宿主がどの程度の害を受けるかは,寄生虫の種類と数,また宿主の年齢と健康状態によって決まります。
一例として,回虫の雌は1日に約20万個も産卵することがあります。しかし,卵は土の中でなければ成熟しません。人の体内にいる回虫の数は,口から入った成熟可能な卵や幼虫の数によって決まります。体内に回虫が数匹いても,ふつう宿主はそのことに気づきません。しかし,回虫の数が多いと重症の腸閉塞を起こすことがあります。
腸内寄生虫によって引き起こされる一般的な症状は,腹痛,吐き気,食欲不振,腹部が膨れること,疲労感,慢性的な消化不良や下痢や便秘などです。体重が減る,眠りが浅い,むずがゆい,呼吸をするとゼイゼイいう,熱がある,といった場合も寄生虫のいる疑いがあります。もちろん,こうした症状の見られる病気はたくさんあるわけですが,寄生虫がいるかどうかは何回か検便をすれば分かります。
正確に診断することは大切です。例えば,もし回虫のほかに別の種類の寄生虫がいる場合,まず回虫を駆除しなければなりません。なぜでしょうか。ある種の薬は回虫を殺さずに刺激するだけだからです。刺激された回虫は他の臓器に移って重大な害をもたらすことがあります。
予防は治療に勝る
寄生虫の駆除に薬を使った治療が効果を上げていますが,最初から寄生虫に感染しないようにするほうが勝っています。では,どのように寄生虫を防げるでしょうか。
清潔さは最大の防御です。排せつ物を覆わずに放置してはいけません。トイレは水源から十分離れたところに設置します。し尿を肥料に使ってはなりません。衛生を心がけることも大切です。さらに,子どもが土を口にすることがないようにしてください。もし一人でも子どもに寄生虫が見つかったら,家族全員が検査を受けると良いでしょう。
食物を買ったり調理したりする際にも注意が必要です。衛生状態が良いと言われている地域で取れた物を買うようにしましょう。肉は中までよく火を通してください。生肉は決して食べてはなりません。生の野菜や果物はまず十分に洗ってください。しかし,一度使った水は汚染されているかもしれないので,さらに使ってはなりません。
飲料水は十分に沸騰させます。冷めてから空気にさらして酸素を補充しても良いでしょう。家庭用フィルターはたいてい,寄生虫を全部取り除くには不十分です。市販のボトル入り飲料水の清潔さは,工場での衛生管理がどの程度なされているかにかかっています。
旅行や外食の際にはさらに注意が必要です。ボトルやパックに入った飲み物は,氷を入れて出されない限り,たいていは安全です。寄生虫の中には氷点下になっても生き延びるものがいるので,氷は元の水がきれいでなければ安全ではありません。屋台で売っている食べ物にも注意すると良いでしょう。切り売りしているパイナップルやメロンはおいしそうに見えますが,新鮮に見せるため,たいてい水をふりかけてあります。その水が汚染されているかもしれないのです。注意深くあってください。でも,旅を楽しめなくなるほど神経質にならないでください。適度に用心していれば,いろいろな方法で寄生虫を防ぐことができます。
[14ページの図版]
清潔さは最大の防御
[15ページの図版]
氷は元の水がきれいでなければ安全ではない
アメーバと蠕虫は二つの主な寄生虫
[クレジット]
DPDx, the CDC Parasitology Website