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聖書に対する洞察,第2巻
洞-2 「乳香」

乳香

(にゅうこう)(Frankincense)

テレビン油の木,すなわちテレビンノキ,およびバルサムや没薬を産する木とも関係のある,ボスウェリア(Boswellia)属に属する幾種類かの香木やかん木の産物。これらの木はアフリカやアジアの一部に自生しています。乳香に相当するヘブライ語(レヴォーナー)は,「白い」という意味の語根から来ており,その乳白色の色に由来しているようです。ギリシャ語のリバノスは,このヘブライ語から派生しています。

「ソロモンの歌」は「乳香の丘」に言及しています。比喩的に言及しているものと思われますが,これはソロモンの王の庭園で香木が栽培されていたことを示唆しているのかもしれません。(歌 4:6,12-16; 伝 2:5)乳香は,東洋の貿易商の隊商が南アラビアから地中海に近いガザおよびダマスカスにまで達する香辛料の道を旅して運んだ重要な品物でした。聖書中の幾つかの言及箇所からすると,乳香はこのようにしてシェバからパレスチナへと輸入されたことが分かります。―イザ 60:6; エレ 6:20。

乳香は,樹皮に継続して切り傷を付けるか,樹皮を所々はがすことによって得られます。そうすることにより,白い樹液(何度か切り込みを付けた後は汚れて黄色や赤い色が混じる)が流れて,長さ約2.5㌢のしずくになります。集められた乳香は,小さな塊状または粒状の芳香性ゴム樹脂でできており,苦い味がして,燃やすと芳香を放ちます。―歌 3:6。

「ソロモンの歌」で述べられている箇所を除けば,ヘブライ語聖書において乳香はいつも決まって崇拝に関連して言及されています。(コリ二 2:14-16と比較。)乳香は聖なる所で用いられた聖なる香の成分であり(出 30:34-38),穀物の捧げ物の上や(レビ 2:1,2,15,16; 6:15; エレ 17:26; 41:4,5)聖なる所の供えのパンの各重ねの上に添えて用いられました。(レビ 24:7)しかし,罪の捧げ物や(レビ 5:11)「しっとのための穀物の捧げ物」に含めてはなりませんでした。(民 5:15)これは,後者の捧げ物が罪やとがに関係しており,エホバへの賛美や感謝の犠牲としてささげられるのではなかったからに違いありません。

バビロンでの流刑から戻った後,再建された神殿の建物に乳香が蓄えられたと述べられています。(代一 9:29; ネヘ 13:5,9)幼子のイエスを訪れた東洋の占星術者たちは乳香を携えて来ました。(マタ 2:11)また,乳香は滅びる前の大いなるバビロンに売られた品の一つとして言及されています。(啓 18:8-13)啓示 8章3,5節にある,天の香炉に相当するギリシャ語はリバノートスで,「乳香」に相当するヘブライ語から派生しています。

預言者イザヤは,エホバがみ言葉を退ける者たちのささげる供え物や乳香の使用を喜ばれず,また是認されないということを記しています。―イザ 66:3。

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