神はご自身の方法でなされる
人間のあらゆる約束や苦情などをものともせず，神はそれをご自身の方法で行なわれます。では何を行なわれるのですか。それは，正義の新しい世界，永遠に平和のつづく世界，心配も痛みも死もない世界を実現させることです。
政治家たちは，神にしかできないことを自分たちですると言います。牧師たちは，神の方法を指摘するかわりに，ともすると彼ら自身が政治家ではないかと思われるようなことを口にします。ジー･ブロムレイ監督は，インディアナ州ラフアエッテで行われたメソジスト青年会全国集会の演説でこう述べました，「今世紀こそ，人間が戦争をなくし，経済上の正義を確立し，人種間の兄弟関係を実現させた世紀と呼ばれるであろう」。しかし，神の御言葉はこう言つています。「ヱホバのみわざを見よ。ヱホバはおおくのおそるべきことを地になしたまえり。ヱホバは地のはてまでも戦いをやめしめ……たまう」。―詩 68:8，9。
平和な新世界を建設するという人間の約束は，くりかえし失敗してきました。ですから，正義を愛する人々は，今こそ，神がご自身の方法をもつてそれを実現させられるということを学ぶべきです，「わたしは新しい天と，新しい地とを創造する」とヱホバは言われます。イエス･キリストの弟子は，人間の約束ではなく，神の約束に関してこう書いています，「わたしたちは，神の約束に従つて，義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいる」。―イザヤ 65:17。ペテロ後 3:13，新口。
クリスチャンたちは，神がそれを神ご自身の方法で，またご自身の定めた時に行われるということを学ぶ必要があります。ヱホバ神は，宇宙の偉大なる時間厳守者であられます。ヱホバが何かを約束されたらそれは定められた時に必ず実現します。人間は神をせかすことはできません。それなのに，クリスチャンと自称する者たちは，時々神の定める時間に不平をこぼします。彼らは，肉体的にあるいは他の面で苦しんでいて，「死もなく，悲しみも，叫びも痛みもない」新しい世界に関する神の約束の成就を待ちこがれているのでしよう。そうして人々は，神の約束の果し方がおそいと思うかも知れませんが，私たちは，いつも使徒ペテロの次の言葉を心にとめておかねばなりません。「ある人々はおそいと考えているが，ヱホバは彼の約束を果すのにおそいのではない。ヱホバはあなた方に忍耐されているのである。というのは，彼はひとりでも滅びるのを望まれず，すべての者が悔い改めるよう望まれているからである。」― 黙示 21:4，新口。ペテロ後 3:9，新世。
神が約束を果されるのがおそいなどと考える代りに，神の忍耐から益を受けなさい。いま神の御旨を行いなさい。そして他の人々もこの悪い世の破滅を生き残るよう，彼らが神の御旨を学ぶのを助けなさい。私たちが「末の日」すなわち，この古い世の「終りの時」に住んでいるのを認識することによつて，神が物事を行なわれる仕方に一致していることを示しなさい。―テモテ後 3:1。ダニエル 12:4。
聖書は時間表，つまり，神がご自身の御目的を実施されるための時間表になぞらえられるでしよう。では，なぜこの時間表を無視するのですか。なぜ神が物事を行なわれる仕方に自分の生活を合わせないのですか。私たちは宇宙の時計を逆にまわすことができますか。私たちは，「末の日」の大きなしるしをつくりあげる目に見える事実や出来事を，故意に無視することはできます。しかし，それによつて神の時間表が変るようなことはありません。神は，この長さのきまつている「末の日」が，ハルマゲドンの最高潮において終りをつげるよう，はつきりと時間を定めておられます。この時に関し，主イエスは言われました，「その日，その時は，だれも知らない。天の御使たちも，また子も知らない。ただ父だけが知つておられる」。―マタイ 24:36，新口。
神がご自身の方法で行われるのを認めるならば，私たちは聖書の時間表が間違つていることを望んだり，「末の日」が長時間であることを望んだりしません。事実，その「時は短い」ことが保証されています。（黙示 12:12）ですから，神が物事を行う仕方を知りそれに従つて行動しないということは，何と愚かなことでしよう。ある人々は神の方法を故意に無視するようです。それはある著述家が，「ザ･クリスチャン･ダイジェスト」の中で，キリスト教国の自称クリスチャンたちに関して書いている通りです，「わたしたちは，自分たちが末の日に住んでいるということを度々口にするが，わたしたちの行為は，そう望んでいないことを証明している。世界は暗黒時代を度々通過して来た。われわれは，活動に関する正しいブログラムが分りさえすれば，時計の針を1，2世紀ばかり逆戻りさせて，いつもの仕事をやつて行くのだがと考える」。
「いつもの仕事」というのは，多くの人々が神の方法を無視して，自分自身の望む事を行うために用いる口実です。私たちは，自分の動機を調べるべきです。「いつもの仕事」のために，神の御旨を行うのを延期していますか。いつもの仕事」という方針のために，多くの人々が自分の生命を失うことでしよう。ハルマゲドンにおけるこの世の破滅の「日と時」が，ヱホバによつて定められているという事実を述べたすぐ後で，主イエス･キリストはこう言われました，「人の子の現れるのも，ちようどノアの時のようであろう。すなわち，洪水の出る前，ノアが箱舟にはいる日まで，人々は食い，飲み，めとり，とつぎなどしていた。そして洪水が襲つてきて，いつさいのものをさらつて行くまで，彼らは気がつかなかつた。人の子の現れるのも，そのようであろう」。―マタイ 24:37-39，新口。
であれば，いまは，「いつもの仕事」のための時ではなく，神の御旨に沿つて生活する時，「時を生かして」用いる時です。「現在は悪い時代なのである。それであるから，無分別な者にならず，ヱホバの御心が何であるかを悟りなさい」。（エペソ 5:16，17）あなたは，ヱホバの御心が何であるかを知るために時を生かして用いていますか。ヱホバの正しい道を学ぶのに時間をつくりますか。「ヱホバはそのすべての道にただしく，そのすべてのみわざにめぐみふかし」。（詩 145:17）神の方法は正しいだけでなく，うまく行くただ一つの方法でもあります。
この世界がうまく行つていないのは，誰も認めるところですが，神の新しい世はうまく行くでしよう。しかし，この新しい世は，人間のたてた計画を通して実現するのではありません。正義の新しい世は，神の御手により，神の御国を通して出現するのです。
ですから神の方法と一致して働きましよう。人間製の計画を信頼したり，神の忍耐に不平をこぼしたり，「いつもの仕事」のために神の方法を無視するようなことがあつてはなりません。「ヱホバをおそれその道をあゆむ者は皆さいわいなり」。―詩 128:1。