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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1969
塔69 6/15 374–376ページ

全時間奉仕に応ずる人が1万名も増加

エホバの証人が,1968年度中の自分たちの奉仕活動の結果である「1969年度年鑑」を読みはじめると,その心は喜びに満たされます。薄茶色の表紙にはさまれたページには,増加また増加を告げる熱意のこもった報告が載せられています。その目にはいるこれらの喜ばしい増加は,神エホバが,全世界にわたって神のお目的を知らせる彼らの努力を豊かに祝福しておられることのしるしです。

昨年中彼らが作った,心暖まる,そして励みになる記録のひとつは,定期的にせよ,休暇の時だけにせよ,伝道活動に全時間をささげるように生活を調整した人の著しい増加です。考えてください。毎月平均6万3871人が,この拡大された奉仕に熱心に参加したのです。これは1967年の月平均を1万107名も上回る数です。この増加は,通常の増加率の単なる表われではありません。これまでの年ごとの全時間奉仕者の増加と比較するとそのことはよくわかります。確かにこの比較は,昨年の増加がいかに意義深いものであったかを物語ります。

たとえば1964年のことを考えると,全時間奉仕者の数は,1963年のそれを3913名上回っていました。1965年には1964年より4915名増加しました。1967年には,1966年より6000名以上多い全時間奉仕者がいました。そういうわけで,全時間奉仕に携わる人が1968年に1万107名も増加したということを読むと,エホバの証人の心は喜びに踊ります。こんなにも多くの人が今日の緊急な神のわざに心から応じているのを見て,彼らはうれしく思います。

「刈り入れ」のわざをより多くしたいという精神は,イエスが地上で宣教された当時と同じように今日も生きています。エホバ神は,「刈り入れ」にもっと多くの働き人をつかわしてください,という祈りに答え,より多くの時間を野外奉仕に用いるように多数の人の心を聖霊によって動かしておられます。―マタイ 9:37,38。

エホバの証人たちが神の聖霊に燃え,彼らの活動がそれを表わしていることは疑問の余地がありません。彼らは,終わりが来る前に神の国の良いたよりを全世界に伝道するために大きな努力を払っています。彼らの中には,自由でなんの妨げもないために,自分の全時間をこの最も緊急なわざにささげたいと考える人々がいます。そして多くの人が,他国で奉仕するために家を離れました。また家を売り払い,エホバの証人の少ない,あるいは全くいない土地に家族ぐるみで移転して,そこで伝道している人たちもいます。さらに他の人は,仕事をよく調節し自分の居住区域で伝道により多くの時間をささげるようにしています。どこにいようと,またどこに行こうと,エホバは彼らの努力を祝福されるので,彼らは数々の霊的な祝福を経験しています。

なぜ彼らはそうしたか

全時間伝道者の隊伍に加わるには,多くの事柄を調節しまた犠牲にすることが要求されます。それは日課の変更を意味します。また,はるかに重要な伝道に心を集中するため,それほど重要でない事柄に時間を費やさないようにすることを意味する場合も少なくありません。ある種のぜいたく品や生活を楽にするものと関係を絶ち,わずかの娯楽でがまんすることを意味します。しかしこれらのエホバのしもべは喜んでそれを犠牲にしました。そしてさらに多くのしもべたちがそれを実行しつつあります。彼らは,この世と,この世が提供するものに対して,使徒パウロと同じ態度をとります。―ピリピ 3:8。

かといって彼らは苦行者になるわけではありません。あなたのお宅にも彼らのうちのだれかがお尋ねしたことでしょう。あなたはその人が喜びと確信を表わすのを認めないわけにはいかなかったでしょう。またみすぼらしくない,きちんとした服装をしていたことにもお気づきでしょう。彼らは生活に必要なものまで拒むわけではありません。ただ衣食さえあればそれに満足し,敬神というはるかに重要な特性からはかり知れない喜びを得ています。(テモテ前 6:6-8)彼らも望めば,自分の時間をお金を得ることや,肉の欲を満たすことに使うことができます。しかし彼らは,それに真の喜びが見出せないことを知っています。彼らは問題を注意深く検討しました。ですからこの危険な時代にどの道を行くことがより重要かつ賢明であるかを知っています。全時間伝道に携わることにより,彼らは最も効果的な方法で天に宝を積んでいます。彼らがそこに積むものは,虫もさびもそこなわず,インフレになっても価値が下がりません。―マタイ 6:19,20。

オランダ領アンチルに住む5人の子どもの母親のことを考えてください。この婦人は,家族に対して多くの責任があるにもかかわらず,正規の全時間福音伝道者です。6番目の子どもがおなかにいたときも伝道を続けました。彼女の土地には,妊娠している女は神の恵みを受けていると考える人がたくさんいます。それで彼女が人々に話すと,彼女のからだの状態に敬意を払って多くの人がよく聞きました。そのために彼女の宣教はほかの時よりも産出的だったにちがいありません。そういう熱意ある全時間活動を続けた彼女は,多くの祝福を得ました。

グレナダの3人の若い証人のことも考えてみましょう。そのうちの二人は職場で昇進と昇給を約束された責任ある地位についていました。他のひとりはカナダの有名大学に入学する機会を提供されました。彼らは将来のことを慎重に考慮しました。どうしたでしょうか。3人とも全時間伝道奉仕にはいり,援助を必要とする会衆とともに働いています。そうです,彼らは賢明にも,エホバとクリスチャンの兄弟たちに対する愛を強めるために,この世のものを捨てたのです。

そのうちのひとりは,この決意について,自分の感想を次のように書いています。「正しい道を選んだということについて,わたしの心の中には一点の疑いもありません。わたしが最善の決定をしたこと,また全時間をささげて神に奉仕するという決意に忠実であるとき,エホバが祝福してくださることは絶対に確かです…わたしが聖書の中で発見したものにまさる,いやその半分の値にさえ相当するものがないことをわたしは知っています。それでわたしはそれを他の人にも分かちたいと思うのです」。確かに,ほめるべき態度です。

それより短い期間をささげた人々

エホバの証人といえども,いろいろな事情があるために,全部が全部,全時間伝道に携われるわけではありません。にもかかわらず,彼らはより多く奉仕したいという精神を同じように持っていて,それを実行します。どのようにして? 何千という人は,毎年,自分の時間の一部を全時間伝道にあてるために仕事をやりくりします。2週間か1か月,あるいはそれ以上をこの楽しい仕事に費やすのです。このようにして彼らもまた,隣人を助けるという最善の仕事をする特権を楽しみます。

太平洋のポナペ島に一緒に住むふたりの義理の姉妹は,どちらも2週間ずつ全時間奉仕ができるような計画を組みました。4月の最初の2週間はひとりが宣教に携わり,あとの2週間は他のひとりがそうしました。ひとりが神に奉仕している間,他のひとりは料理を一手に引き受けました。こうした協力によって,ふたりは証言のわざを拡大しながら家事の責任をも果たしました。この同じ島に住む別の伝道者は,休暇を利用して全時間奉仕をしました。彼は,4月になるまえの6週間,土曜日にも仕事をして十分の時間をたくわえたので,クリスチャンの宣教のために2週間の休暇がとれました。なんとすばらしい,神を喜ばす信仰でしょう。

年を取った人たちも,全時間奉仕からしりごみしていません。アルゼンチンでは77歳の老人が休暇をこの仕事に費やしまた。彼は会衆内の若い人々の模範になりました。またブラジルでも,年配の証人たちが休暇中に全時間奉仕を始め,他の全時間奉仕者の群れに加わりました。彼らはバスで3時間かかる区域にそろって出かけました。疲れて帰ってはきましたが,次の日にはまたあふれるばかりの熱意をもって再び出かけました。

そうです。これらの全時間伝道者 ― 1968年には前年に比べ平均1万107名も増加 ― は,世界の200の土地で聞かれる賛美の叫びに声を合わせたのです。彼らはこの偉大なわざにわずかでも普通より多く参加し,兄弟姉妹を助けることができたのを喜んでいます。あなたも今年の夏に宣教を拡大することを計画しているエホバの証人のひとりですか。それはほんとうに称賛に価することです。もしあなたが献身し,バプテスマをうけた証人で,全時間伝道を一度も考えたことがなければ,この際に考慮してみてはいかがですか。もしあなたが若くて自由な身であれば,全時間伝道を生涯の仕事とするよう,真剣に考えてはいかがですか。いまはなすべきことが非常にたくさんあり,またこの喜ばしいわざに全時間をささげることによって得るものも多いのです。

神の目的をより深く学ぶため神の組織に集まりつつある多数の人は,霊的な面で世話を必要としています。そのためにますます多くの全時間伝道者が必要です。その求めに心から応ずる人は,エホバのみ手から流れ出る良いものを豊かに受けるでしょう。

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