どのようにして開拓奉仕に成功を収められますか
1 1マイルを4分で走るレースに対して,人々は長年どんな見方をしてきましたか。それは正しい見方でしたか。
1864年における1マイルレースの世界記録は4分56秒でした。1マイルを4分以内で走れるなどとはだれも考えてみませんでした。P・ヌルミが4分10秒の記録を出した1923年当時でさえ,それは不可能だといわれていました。しかし1954年になって,英国のR・バニスターは3分59.4秒で1マイルを走破し,以来この記録を更新する新記録が八つも生まれ,現在の世界記録は3分51.1秒となっています。
2 (イ)エホバに仕えている人はだれでも,どんなレースに携わっていますか。(ロ)どんな特権が考慮に価しますか。その召しに関してはどんな反応が見られてきましたか。
2 エホバの奉仕に携わっている人はだれでも永遠の命のためのレースを走っており,その奉仕は全時間にわたるものです。しかしある人たちは,“開拓”奉仕という挑戦を引き受けました。この奉仕では速度が増し,網羅する場所はふえ,忍耐が要求されます。すべての人がこの速度の速い神権的な活動を続けることができるわけではありません。しかしそうだからといって,それは他の人々がこの活動を試みることを妨げるものではありません。彼らは時の緊急性を悟り,開拓奉仕に加わるよう励まされます。すばらしいことに,1966年には世界に4万7,000人以上の開拓者がいました。それが1967年には5万3,700人以上となり,1968年には6万3,800人がこのわざにあずかり,1969年の平均は7万6,500人でした。次いで1970年になって,開拓者は8万8,871人に増加しました。ある国々ではたいへん多くの人々,たとえば5人につきひとりの伝道者が開拓奉仕をしている所もあります。ですから,開拓奉仕は自分には向かないなどと考えないでください。父親や母親,若い人たちのほかに年配の人たちにとっても,この全時間の宣教に携わることが可能となっています。目の見えない人や不具の人の中にさえ,この奉仕を楽しんでおられるかたがいます。しかし,召しはいまだに出されています。関心のある人々を世話するために,野外ではさらに助けが必要とされています。それは慎重な考慮に価する奉仕の特権です。―使行 16:9,10。
3 開拓奉仕に関する見方にはどんなものがありますか。ある人たちはどんな問題に直面してきましたか。
3 開拓宣教についてあなたはどう感じておられますか。私にはとてもできそうにない,と自分に言い聞かせますか。それに歩調を合わすことができそうにないとか,障害が大きすぎはしまいか,と感じておられるかもしれません。高等学校終業をまぎわにして,開拓宣教を始めたいと願いながら,不信者の親から考えを変えるように説かれる若い伝道者もいます。また,続けて大学教育を受けるようしいられる人もいます。宣教の計画を実行しようとしたために,家から追い出された伝道者さえいます。健康の問題や就職の見込みが限られていたり,交通の便がないといった事情のために,開拓をすることを1マイルを4分で走るレースの場合と同様に困難であると感じる人もいます。しかしながら,多くの人がそうした障害をエホバの助けを得て克服してきました。彼らは,次のように語ったパウロと同様に感じています。「そは活動のために大なる門,わが前にひらけ,また逆ふ者も多ければなり」― コリント前 16:9。
4 ある人たちは開拓宣教にとどまるどんな良い理由を言い表わしていますか。
4 忠節なクリスチャンとして歩むこのレースには,「大かん難」が来るまで終わるというものがないばかりか,勝つということは,効果的な宣教を行ないながら走りつづけることを意味します。(マタイ 10:22)多くの人はある職業で人に先んずるため長年懸命に務めてきましたが,真理を学ぶと,エホバに仕えるこの特権に比較しうるものは何もないと判断し,その多くは全時間開拓者として奉仕をします。開拓奉仕に長く携わってきた人は,その奉仕を長く続ければ続けるほど,宣教を続けたいという願いと宣教に対する認識とが増し加わることを話してくれるでしょう。また,奉仕の喜びと,それがどのように自分の助けとなったかを語ります。多くの開拓者がそうであるように,毎年ひとりかふたり,あるいはそれ以上の人々を命の道へと援助できる彼らはなんと幸福でしょう。多くの会衆の伝道者が奉仕に費やす約10時間の平均に比べると ― それは良いことですが ― 開拓者はそれより10倍から15倍も多くの時間を費やして他の人たちを助けることができ,その結果,祝福も倍増します。個人的な認識,聖句を使ったり他の人を教えたりする能力も急速に高まります。
5 多くの人々が携わっている全時間奉仕のいろいろな部門をあげなさい。
5 1970年に全世界で1万3,426人が特別開拓奉仕を行なっていたことを知るのは興味深いことです。それらの開拓者は平均して1か月約150時間を宣教に費やしますが,この奉仕者の数の中には外国で宣教者として働いている多くの人も含まれています。加えて,休暇開拓者および正規開拓者として1か月に100時間に達する奉仕をしている人が7万5,445名いました。この中には2,326人の旅行する奉仕者,つまり巡回のしもべと地域の仕事に携わっている290人の奉仕者が含まれていました。さらに,当協会の世界各地にある93の事務所で2,304人の全時間奉仕者がわざに従事し,文書を出版したりエホバの証人の宣教を監督したりしました。ですから,パウロが述べたとおり,活動のために大なる門がまさしく開かれています。あなたはそれを通って中にはいりますか。
障害を克服する
6 正規開拓奉仕のためにどんな準備をすることが,多くの人を成功させる助けとなっていますか。
6 レースを成功裏に走り,絶対に失望して落後者にならないようにするにはどうすればよいでしょうか。あなたが直面している障害にはどんなものがありますか。多くの人がこの奉仕を断念したり資格を失ったりする一つの理由は,奉仕の目標に達しないことです。目標達成には計画が必要です。どんなレースでも良いスタートが肝要です。スタートが悪いと,ずっと遅れてしまって,走者は失望します。良い走者はまず訓練をしないでは,決してレースに加わりません。同じ原則が開拓宣教にも当てはまります。会衆の伝道者としての一月10時間程度の歩速から,一月100時間の開拓者の走路に一挙に飛び出すのは容易ではありません。ですから,まず自分の奉仕を徐々に強化するのが賢明です。そうすれば,開拓奉仕に携わるための資格にかなうことにもなります。多くの人は,正規開拓者になる前に休暇開拓をしばらくするのが良いことを経験しています。そのあとでは,開拓者の歩速がとても無理だとは感じません。つまり,正規開拓奉仕者になったからといって,毎日6時間も8時間も伝道に費やすわけではなく,1日の平均はわずか4時間です。
7,8 良い開拓奉仕の予定表に従うには何が助けとなりますか。例をあげなさい。
7 とはいえ,実際的な予定表が肝要です。これは会衆の伝道者と開拓者の両方についていえます。スタートの非常におそかった走者が,レースが展開されていくうちにどんどんスピードをあげたものの,結局負けてしまった,というような競走をごらんになったことがあるかもしれません。良い開拓者であるためには,良いスタートを切り,良い歩速を守ることが重要です。そうすれば,目標に達しなかったために資格を失い,協会の名簿からはずされることはありません。ひとりの開拓者は,事務に携わるときのように自分の奉仕に対すべきだと感じると言いました。世俗の仕事では午前9時までに出勤しなければならないのですから,彼は開拓者としていつも午前9時までには最初の家に着くようにし,その結果,良い開拓者となりました。区域によっては,午前7時に奉仕を始められる所もあります。この点,エホバはわたしたちのために型を示されました。エレミヤの言ったとおりです。「また,エホバは預言者なるご自分のしもべたち全部をつかわし,早く起きては彼らをつかわされた」。エレミヤが自分の宣教でどのようにこの模範に従ったかに注目してください。「わたしはあなたがたに語りつづけ,早く起きては語った」。(エレミヤ 25:3,4,新)ですから,スタートをおそくではなく,早くしてください。
8 多くの開拓者は月の間,毎週宣教に30時間を費やすよう計画して,いわば歩速調整をします。彼らは早く時間を入れて,必要になるかもしれない他の事柄のため月末に二,三日取れるようにすることを願います。そうすれば,月末にいわば最後の直線コースをトップスピードで飛ばし,翌月の次の競走の始めにはへとへとになっている,というようなことは決してないでしょう。奉仕のスタートをおそくすると,毎月最後の部分がかなりの競争となり,その開拓者はしばしば時間の目標にさえ達することができません。野外宣教に費やす時間の点では,月末のずっと前に予定を達成し終え,翌月の良いスタートに備えるほうがはるかに良いのではありませんか。
9 野外宣教に対する時間の要求をどのように見るべきですか。
9 確かなことが一つあります。つまり,全時間の開拓宣教は怠惰な人々のためのものではありません。正規開拓をする奉仕者には,野外宣教に1年間1,200時間を費やすことが要求されています。この点について正しい見方をするなら,奉仕を続ける大きな助けが得られます。それを重荷と考えるならば,走る速度が落ちるでしょう。しかし,単に時間を入れたり記録を作ったりするためではなく,宣教を増し加え,エホバの崇拝にさらに十分にあずかる機会を高く評価するからこそ,自分がこの奉仕に携わっているということを認識するならば,この時間の要求はできればそれを越えるための目標となるでしょう。こうして,会衆の伝道者として一月に野外宣教に10時間の讃美の供物,つまり口唇の果をささげるかわりに,開拓者はわずか一月の間にエホバに対してその10倍もの賛美をもたらしうるのです。―ヘブル 13:15。
10 開拓者のために提案されている目標はどのように助けとなりますか。
10 一月100冊の雑誌配布,関心ある人々への35の再訪問つまり再度の訪問,毎週7件の家庭聖書研究の司会といった,正規開拓者に提案されている他の目標は,開拓者を宣教において産出的かつ実り豊かにするのを助けるための,実際の経験に基づく勧めであるといえます。自分のわざに心を尽くす開拓者の多くは,一月100時間に限らず,110,120,一月に150時間も費やします。なぜですか。なぜなら,彼らはその必要性,この時代の緊急性を悟っており,できるだけ多くの人が真理を認識し,命の道を歩み出すよう助けたいと願っているからです。そのうえ,時間の目標をいつも事前に達成する開拓者は,ある月に病気になったり休暇を取りたくなったりしても,1年の後半にいたって目標を達成できなくなるということが決してないのを知っています。どんな不測の事態に対しても備えができているからです。
11 (イ)ある人は物質主義のためにどのように奉仕からそれますか。(ロ)取るべき道を決定するに当たり,聖書のどんな助言が助けとなりますか。
11 しかしながら,サタンが走路にやってきて,あなたのスピードを落とさせようと努めていることはまちがいありません。彼はあなたの道に障害物やおとし穴を設けるかもしれず,それをよけて通ったり飛び越えたりすることが必要になります。あるいはまた,サタンは物質主義をもってあなたをコースからそらそうとするかもしれません。良いレースをするには,注意をそらす事柄を避ける必要があります。断郊競走に参加しているランナーが,自分の注意をひいた自動車を調べるために突然止まったり,町を走り抜けるさい,店のウインドーをのぞくために休んだりなどして,他の走者に追い抜かれて平気でいることを想像できますか。そうするかわりに,箴言 4章25-27の助言に従うべきです。「汝の目は正しく視 汝の眼瞼は汝の前を真直に視るべし 汝の足の径をかんがへはかり 汝のすべての道を直くせよ 右にも左にも偏ること勿れ」。この助言は開拓者に限らず,エホバのしもべたちすべてに当てはまります。にもかかわらず,目標にまっすぐ目を向けないため,実際に奉仕から落後する人がいます。物質主義のとりことなり,命を得るためのレースからすぐに落後してしまうのです。開拓をするかたわら,実際には必要でないかもしれない自動車やトレーラーを買おうとして,重い荷を背負い込んでしまう開拓者もいます。しかし,そうならなくてもよいはずです。目標に目を定めて,走りつづける決意を持っていれば,エホバの助けを得てそうすることができます。そうした余分の重い荷をいっさい負わないことです。反対に,「凡ての重荷…を除け,忍耐をもて我らの前に置かれたる馳場をはしり」ましょう。―ヘブル 12:1。
12 エホバはご自分に仕える者たちのために物質上の必要な世話をされますか。
12 多くの人にとって一つの大きな障害は,必要な収入を得るための適当な仕事です。神に奉仕するのは良いが,だれが養ってくれるのですか,という人がいます。エホバは,全時間の宣教に携わる8万8,000人を越える開拓者やベテル家族の成員が,衣食その他のものを得られるようにしてくださっており,しかもこれら奉仕者の数は増加しています。自分を養うためにはなんらかの収入が必要です。しかしながら,必要な世俗の仕事を第二にし,宣教を最重要な事柄とするためには良い平衡を保たねばなりません。イエスはそうした平衡を保たれましたから,その助言に耳を傾けるのは有益です。彼はこう言われました。「何を食ひ,何を飲み,何を著んとて思ひ煩ふな…汝らの天の父は凡てこれらの物の汝らに必要なるを知り給ふなり」。(マタイ 6:31,32)したがって,わたしたちは思いわずらう必要はありません。が,賢明に計画をたてたいと願います。―箴言 20:4。ピリピ 4:11-13。
13 開拓者や開拓奉仕を望んでいる人は,仕事や交通の便にかんして何を考慮するのは良いことですか。
13 学校に通っている人で開拓奉仕を計画しているかたは,速記とか大工職とかといった,自分の住んでいる区域でパートタイムの仕事ができるような実技を身につけるようにするのはよいことです。掃除,塗装,園芸,窓洗い,販売などの仕事をしている開拓奉仕者もいます。姉妹ならタイプ,アイロンかけ,縫い物,洗濯,子もりなどもできます。ひとりの兄弟が言ったように,「なんでもする気があるなら,何かが見つかるものです」。そして彼は開拓奉仕を続けたいために,そうした気構えを持っていました。いうまでもなく,開拓者は収入に限らず支出をも考慮しなければならず,その重要性も見のがせません。開拓者が自動車を買えないなら,なぜ車を手に入れるためだけに開拓奉仕をやめなければならないのですか。いなかの区域でさえ自動車を持たないでも,他の伝道者の車に乗せてもらったり,一般の交通機関を利用したり,自転車を使ったり,あるいは歩いたりして開拓ができることを経験している人は多くいます。イエスはほとんどがいなかの区域であった場所を伝道するのに,自動車はおろか自転車も持っておられませんでした。会衆の伝道者であろうと開拓者であろうと,全時間の宣教に携わっている人はすべて,次のように言った使徒パウロの態度をつちかうのは望ましいことです。「ただ衣食あらば足れりとせん」。(テモテ前 6:8)パウロは旅行がしやすいようにと,競走馬車を手に入れるために思い悩んだりはしませんでした。
14,15 (イ)良いレースをしている人を止めさせるため,サタンは誤った行為をどのように利用する場合がありますか。(ロ)多くの人はどんな幸福なコースをたどってきましたか。
14 あなたは開拓者として良いスタートをしたかもしれません。良い予定表をたて,パートタイムの仕事も手に入れ,王国の関心事を第一にしているかもしれません。それでもレースを成功裏に走ることの妨げとなるような事態が起こりうるでしょうか。そのような事態に陥る人がありうるのです。サタンのわなを避けることに失敗したり,ふさわしくない行為をしてつまずいたりします。しかし開拓奉仕に引き続きとどまるには,『責むべき所があってはならない』のです。テトス書 2章12節〔新〕が述べるとおり,真のクリスチャンはすべて,「不敬虔と世の欲とを棄てて,謹慎と正義と敬虔とをもてこの〔事物の体制〕を過」さねばなりません。使徒パウロはこの点に気づいていたので,「わが体を打擲きて之を服従せしむ。恐らくは他人に宣伝へて自ら棄てらるる事あらん」と書きました。(コリント前 9:27)他の人々を命の道へと助けながら,みずからは失格するのは残念なことです。より大きな特権へと進み,特別開拓の宣教に携わったり,外国で奉仕する宣教者となったり,協会の旅行する巡回奉仕者になるよう,あるいは主の組織のベテル本部で奉仕するようにその召しを受け入れたりすることのほうがなんとすぐれているのでしょう。―ヘブル 6:1,10-12。テトス 1:5,6。
15 昨年,数百名の人々がベテルにはいり,また多くの人が宣教者の奉仕を始めました。外国の畑でのわざを助けるためにみずから海外に行った人もいます。そうした奉仕に携わる人々は,自国におけるよりもさらにきついレースをしなければならないことに気づきますが,その報いはしばしばより大きいものです。ある月には,2週間または1か月間の休暇開拓奉仕をする人が,正規開拓者の名簿に載せられている人と同じほど大ぜいいるということも励ましを与えます。それは多くの兄弟たちが宣教にあずかる自分の分を拡大したいと願っていることを示しています。国によっては,良いたよりの伝道者10人にひとり,あるいは5人にひとりが開拓奉仕に従事している所さえあります。
あなたは開拓奉仕ができますか
16 (イ)開拓奉仕を続けるさいの他の障害を述べなさい。(ロ)問題を解決するうえで何が大きな助けとなりますか。
16 開拓宣教に携わっている人の数は平均伝道者100人につき6人ですが,あなたはそのひとりになれますか。それは考えてみるべき事柄です。エホバはあなたが成功するようにあなたを強めることができます。では,なぜ失望して,開拓奉仕をやめる人さえ出るのですか。奉仕のパートナーがいないためか,出費をきたしすぎたか,自分の処理しうる以上の事柄を引き受けて予定表が混みすぎ,余分の仕事が多すぎるためかもしれません。その結果,宣教が苦しくなり,長距離レースの最中に走者が疲れるのと同様,奉仕の喜びが薄れます。すべての開拓者は何が自分にとって問題になるかを知っています。自分の道にハードルのようなものが横たわっているのです。克服できるでしょうか。たいていは克服できます。祈りの重要性を過小評価しないでください。エホバはわたしたちが何を必要とするかを知っており,わたしたちがその援助を求めるなら,助けてくださいます。―詩 145:18,19。
17 野外奉仕で他の人といっしょに働く取り決めはどのようにして設けることができますか。
17 会衆内の他の開拓者やしもべたち,または巡回のしもべと話し合って,自分の奉仕の障害となっている物事に対する解決策を見いだすようにするのは良いことです。ひとりだけで働くために問題があるなら,率先して,他の人と働く取り決めを設けるよう努めてください。最初は成功しなくても失望せずに,もう一度試みてください。特定の日にあなたといっしょに働ける人がいないかどうか捜してごらんなさい。他の人々を励まして,あなたといっしょに開拓奉仕するよう考えてもらってください。神への奉仕に十分にあずかるなら,豊かな祝福が得られます。箴言 11章30節が言明しているとおりです。「義人の果は生命の樹なり 知恵ある者は人を捕ふ」。
18 開拓奉仕を続けてきた人の励ましを与える例を述べなさい。
18 開拓奉仕をするために自分の事情を調整した人は大ぜいおり,彼らの経験はたいへん励みとなります。ある姉妹は57歳の時に開拓奉仕を始め,72歳の今もその奉仕を続けています。冬には時々病気になって床につきますが,この姉妹と聖書を研究している人々が研究のために自分の家に来るよう取り計らったりして今日にいたっています。それに自分がいつも訪問する人たちや,定期的に「ものみの塔」誌や「目ざめよ!」誌を届ける人たちとさえ電話や手紙で連絡を保っています。彼女は自分の家の近くで働くのが良いことに気づきました。そうすれば昼には休めますし,元気を保つために何か食べることもできるからです。74歳になる別の姉妹は1912年以来開拓奉仕をしており,1941年に特別開拓者となり,今でも奉仕に150時間を費やしています。40年間開拓者をしているある兄弟は,87歳になってもまだ忠実に奉仕しています。
19 開拓奉仕に携わっている人はどんな責任を見過ごしてはなりませんか。そうした責任はどのように果たすことができますか。
19 開拓者になったからといって,家族のかしら,妻または子としての責任から解放されるわけではありません。結婚している人は,子どもの世話,世俗の仕事のための予定や料理その他の家事といった家族の事柄,それに,どうすれば家族の関心事をそこなわないようにして開拓ができるかを考慮する必要があります。ひとりの兄弟は家族を養いながら,しかも重症をわずらっているにもかかわらず,今日まで開拓奉仕を続けています。彼は家族に対する自分の責務を認めながら,妻の良い協力,それに会衆と密接に交わって働いたおかげで,今日まで開拓奉仕を続けられたと報告しています。大きな家族をかかえている姉妹でさえ,家族からの良い支持を得て開拓奉仕をすることができるものです。6人の子どもを持つ姉妹と8人の子どもを持つ姉妹は,今では子どもたちが大半の時間学校にいるようになったので,ふたりで開拓奉仕をしています。ほかに多くの例をあげることができます。老若,独身者あるいは既婚者の別なく,これら開拓者たちは知恵の道に従っています。ですから,開拓者でない人で開拓者になれる可能性のある人でしたら,マタイ伝 6章19-21節のイエスのことばを考慮してください。「なんぢら己がために財宝を地に積むな…なんぢら己がために財宝を天に積め…なんぢの財宝のある所には,なんぢの心もあるべし」。
20 エホバのしもべとしてレースを続けるわたしたちにはどんな励ましがありますか。
20 開拓者であれ宣教者であれ,あるいは巡回,地域,ベテルの奉仕者であれ,その奉仕の特権がなんであろうと,全時間奉仕に携わっている人たち,レースを中途で放棄しないでください。この事物の体制の終わりは近づいているからです。途中で止めさせようとするおとし穴や障害を乗り越えるのを助けてくださるよう,エホバにより頼んでください。あなたは1マイルを4分で走るレースに参加しているのではなく,永遠の命というゴールを目ざすレースに加わっているのです。ですから,何物にもまただれにも失望させられてはなりませんし,またこのすばらしい奉仕の特権からそらされてもなりません。だれもが開拓奉仕を行なえるわけではありません。しかし,それを行なえるかたは歩速を保ってレースを続けてください。会衆の伝道者であれ開拓者であれ,宣教におけるレースは速い者,若い者,強い者のためのものではなく,エホバに信頼を置く者すべてのためのものであることを忘れないでください。(イザヤ 40:28-31)このレースで重要なのはスピードではなく,忍耐です。できるかたすべてが,スタートするばかりでなく,さらに重要なことに,わたしたちの神エホバに対するすばらしい奉仕にとどまるようお勧めします。