読者からの質問
■ ヨハネ 1章21節に述べられているように,バプテスマを施す人ヨハネをエリヤであると考える人がユダヤ人の中にいたのはなぜですか。
イエスがバプテスマを受ける前に,ヨハネがバプテスマを施していた,ヨルダンの向こうのベタニヤに幾人かの祭司やレビ人がやって来て,ヨハネに向かって彼がキリストなのかどうか尋ねました。ヨハネがそうではないと答えると,彼らはこう尋ねました。「では何ですか。あなたはエリヤですか」― ヨハネ 1:19-28。
それらのユダヤ人たちはどうしてヨハネが9世紀ほど前に死んだヘブライ人の預言者エリヤかもしれないと考えたのでしょうか。それは,エリヤの時代とヨハネの宣教の始まった時とのほぼ中間の時代に語られた一つの預言のためです。神の預言者マラキは次のように予告しました。「見よ,エホバの大いなる,畏怖の念を抱かせる日の来る前に,わたしはあなた方に預言者エリヤを遣わす」。(マラキ 4:5)ユダヤ人の中には,この預言を神がエリヤを復活させることによりエリヤが肉体で戻って来ることを意味するものと理解していた人がいたようでした。その時ヨハネはエリヤが身に着けていたような毛衣を着,皮帯を締めて登場したのです。(マタイ 3:4。列王第二 1:8)そしてヨハネは,エリヤがそうであったように,悔い改めを呼び掛ける神の音信を宣明する点で率直でした。それで,彼らはヨハネがエリヤであるかどうか尋ねたのです。
それに対してヨハネは,「そうではありません」と答えました。確かに,ヨハネは依然として死の眠りに就いていたヘブライ人の預言者エリヤその人ではありませんでした。事実,(ヨハネの父親になった)ゼカリヤに対して,一人のみ使いがヨハネはユダヤ人をエホバへ立ち返らせるために「エリヤの霊と力」をもって仕えるであろう,と告げました。(ルカ 1:17)ヨハネがエリヤになるわけではありませんが,ずっと昔に死んだ預言者エリヤが成し遂げたのと同様の業を行なうでしょう。
このことと調和して,イエスはヨハネを念頭に置いて後日こう語られました。『エリヤはすでに来たのですが,人々はそれを見分けなかったのです』。(マタイ 17:12)イエスはヨハネがマラキ書 4章5節の預言を成就したという意味で,そう言われたのです。ヨハネはメシアの前に道を備えました。しかし,ユダヤ人の大半はその役割を果たした人としてヨハネを受け入れることはありませんでした。さらに,ヨハネ 10章41節には,「確かに,ヨハネはただ一つのしるしも行なわなかった」と書かれていますが,元の預言者エリヤは八つのしるしつまり奇跡を行ないました。